特集2017年1月23日更新

2017年の暮らしはどう変わる?制度・税制・法律

2017年に施行される法律や制度があります。それにより我々の生活にどんな影響があるのか。どう活用すればいいのか。2017年に施行・改正される制度・税制・法律の中から、1月から開始されるものを中心に5つピックアップしました。

セルフメディケーション税制

平成29年1月1日より、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)の購入費用について所得控除を受けることができる、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が開始されます。

「セルフメディケーション税制」とは

 セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。
自分や家族が特定成分を含んだOTC医薬品を購入した場合、合計額が1万2千円を超えるときは、超える部分(上限は8万8千円)を総所得金額から控除できる、という税制です。

詳しい解説は厚生労働省の公式サイトに記載されています。

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について / 厚生労働省

対象となるのは「スイッチOTC医薬品」

厚生労働省のサイトによると、対象となるのは「スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)」とされています。

「スイッチOTC医薬品」には具体的にどのような商品があるのでしょうか。厚生労働省のサイト上でも対象となる商品の一覧が提供されています。ガスター10、バファリン、ユンケルなどよく目にする商品も対称となっています。

セルフメディケーション税制を使う際の注意点

セルフメディケーション税制を使う際にも、その対象となる人の基準や申請時の注意事項があります。

予防接種や所定の健康診断を受けている人が対象

セルフメディケーションは、医療用医薬品から市販の医薬品へ代替えするため、適切に健康管理をしていることが制度を利用する条件となる。具体的には、メタボ健診と呼ばれる特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診のいずれかを受けている人で、勤務先での定期健康診断も対象となる。

年間購入額が1万2000円を超えた場合に適用になります。

従来の医療費控除制度は、1年間に自己負担額として医療費が10万円を超えた場合に適用になり、2月から3月に行われる確定申告に書類を提出することで、清算することができました。
「セルフメディケーション税制」は、特定の成分を含んだスイッチOTC医薬品の年間購入額が、12,000円を超えた場合に控除の適用になります(ただし上限は88,000円まで)。生計を一緒にする家族なら、金額を合算することも可能です。

控除申請時にレシートが必要

控除申請時には購入時のレシートが必要になります。受け取ってしっかり保管しておきましょう。

病院で貰うレシートや処方箋でもらった薬のレシートは原則再発行不可なので、失くさないように保管している方も多いでしょう。
しかし、ドラッグストアやコンビニで買う薬はついついレシートを失くしてしまうという方は、しっかりと保管しておきましょう。レシートが控除申請時の購入の証になります。

控除申請方法

控除申請は確定申告で行います。

申請は毎年の確定申告で行い、その際は以下の5点が明記されたレシートが必要となります(発行できない場合は領収書)。
・商品名
・金額(計算対象は税込金額)
・当該商品がセルフメディケーション税制対象商品である旨
・販売店名
・購入日

医療費控除との併用は不可

生計をともにする家族の医療費が年間10万円を超えた場合、所得税の控除を受けることができる医療費控除があるが、セルフメディケーションの所得控除と併用することはできない。
対象医薬品の購入代金について、これまでの医療費控除制度を利用するのか、あるいはセルフメディケーション税制を利用するかは、自分自身で選択することとなる。

個人型確定拠出年金

2017年1月から個人型確定拠出年金制度(愛称は「iDeCo(イデコ)」)が改正されます。これにより今まで加入できなかった公務員や主婦など、ほぼすべての人が加入対象になります。

「確定拠出年金」とは?

確定拠出年金とは、将来受け取る年金額が決まっている「確定給付型(Defined Benefit Plan、以下DB)」の年金制度とは異なり、企業や従業員などが拠出する(積み立てる)金額が決まっている「確定拠出型(Defined Contribution Plan、以下DC)」の年金制度である。
わが国の確定拠出年金には、企業が管理・運営する「企業型DC」と、自営業者や企業年金制度を持たない企業の従業員のための「個人型DC(愛称:iDeCo)」がある。

運用先は自分で決める

毎月年金のために積み立てる金額をどの金融資産に振り分けるか、定期預金なのか、保険なのか、投資信託なのか。それを全部自分で決めるんです。

月の掛金限度がある

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、自営業のように国民年金第1号被保険者は月の掛金限度が6万8,000円(年81万6,000円)、1月から専業主婦(主夫)のように国民年金第3号被保険者は月の掛金限度2万3,000円(年間27万6,000円)、公務員は月の掛金限度額1万2,000円(年間14万4,000円)、掛金は5,000円以上1,000円単位です。

加入できない人も…

国民年金保険料を未納にしてたり免除してると加入出来ません。加入中に未納とか免除にしてしまうと掛金を支払えず、一旦後で遡って掛金を支払う事も出来ません。

改正でほぼ全員が加入可能に

2017年1月からの改正で、この個人型確定拠出年金制度(iDeCo(イデコ))の加入対象者が増えます。

加入できるのは、これまでは自営業者等に限られていましたが、2017年1月からは、次の人たちも新たに加入できることになりました。
・企業年金を実施している企業の会社員
・公務員
・専業主婦
つまり、基本的にすべての人が加入できるようになります。

ストーカー行為等の規制等に関する法律

「ストーカー行為等の規制等に関する法律」が1月3日に改正されます(一部は6月14日に施行)。2016年5月に東京都小金井市で起こった、歌手活動をしていた女子大学生がファンの男からTwitterなどで執拗に嫌がらせを受けたうえイベント中に刺される事件が起こりました。警察は事前に被害相談を受けていましたが、当時の法律ではストーカー被害として対処することが出来なかった部分が多かったことを受け、今回の改正に繋がりました。

改正のポイント① ネット上の“付きまとい”を新たな規制対象に

 改正前は、家や学校などで待ち伏せするなど現実社会での付きまといのほか、拒まれたのに執ように電話やファクス、電子メールを送ることなどを付きまとい行為としていたが、改正法では、TwitterやLINE、ブログなどネット上の“付きまとい”も対象に加えた。

しかしネット上の書き込みすべてが対象というわけではないようです。

改正のポイント② 緊急の場合には手続を省略できるようになった

ストーカー規制法の第一の判断主体は、裁判所ではなく警察署長などです。そして、つきまとい禁止など、強い命令を出すためには段階を踏まなければならないという手続的な問題がありました。
そこで、(2)緊急の場合には手続を省略して進めることができるなどとされました。

改正のポイント③ 非親告罪化

被害者が届け出をためらっているうちに重大事件に発展しないよう、(4)被害者から告訴がない段階でも捜査し起訴することができるようになりました(被害者の「親告」が要らなくなったという意味で、非親告罪になったと表現します)。

改正のポイント④ 罰則を強化

ストーカー行為の罰則は、懲役6月以下、罰金50万円以下から、1年以下、100万円以下に引き上げた。

しかし規制内容を詳細にしたことで「誰でもストーカー認定されてしまうのでは」という懸念の声も上がっている。

育児・介護休業法

2017年1月1日、育児・介護休業法(法律の正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)が改正されました。これまで93日間まとめて取らなければならなかった介護休暇を3回に分けて取れるようになったり、マタハラ防止措置を事業主に義務付けるなど育児・介護休を取りやすい環境に整備されました。

改正のポイント① 介護休暇を「3回」に分けて取得できるようになった

今まではどうだったのか? 基本的には、1回限り、最大93日まででした。それが、法改正によって「通算93日まで、3回を上限として介護休業の分割取得が可能」となりました。

93日間をうまく配分して休暇を取ることで、より効果的に介護に活用してもらうことができます。

改正のポイント② マタハラ防止措置を事業主に義務付け

育児の事情で時短勤務や早退などを望む従業員に対し、職場の上司や同僚からのマタハラ(マタニティハラスメント)と呼ばれる言動が問題視されていました。今後、事業主は上司や同僚の言動に対して具体的な措置を講じる必要があります。

2016年3月、均等法・育児介護休業法が改正され、いわゆる「事業主のマタハラ防止措置義務」が新設されました。
これは、事業主に対し、マタハラにあたるような上司・同僚らの言動を防止する措置を具体的に講じなさいと義務付けるものです。事業主は、この措置を2017年1月1日から始めなければなりません。

男女雇用機会均等法も改正された

平成28年8月2日に、事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針等が公布されました。
この指針は、妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置の適切かつ有効な実施を図るために定められたものです。
平成29年の1月1日から、事業主の方は、この指針に従い、妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置を適切に講じなければなりません。

改正のポイント③ 非正規労働者も育休を取りやすくなった

現行法は、(1)雇用期間が1年以上、(2)子が1歳以降も雇用継続の見込みがある、(3)子が2歳になるまで更新される可能性があるという3条件を、非正規社員が満たしていなければなりませんでしたが、厚生労働省の有識者研究会は、昨年、この3条件が厳しすぎるため、非正規社員の育休取得がすすまないと提言しました。

上記改善のために2017年1月1日より、有期契約労働者の育児休業の取得要件を以下のように変更されました。
①当該事業主に引き続き雇用された期間が過去1年以上あること
②子が1歳6ヶ月に達する日までの間に労働契約が満了し、かつ、契約の更新がないことが明らかでない者 とし取得要件を緩和する。

雇用保険法

2017年1月1日以降、これまで雇用保険の適用外だった65歳以上の雇用者についても、雇用保険の適用対象となります。

65歳以上へ雇用保険の適用拡大

平成29年1月1日以降、現行は雇用保険の適用除外となっている65歳以上の雇用者につきましても、雇用保険の適用の対象となります。

今回は2017年1月早々に施行される5つを紹介しました。 時代と必要性に合わせて次々と変わっていく制度・税制・法律。しっかりと把握して自身の生活と安全、利益を守っていきたいですね。