特集2017年6月4日更新

故郷の味!全国各地のソウルフード

全国各地で地元民に愛される「ソウルフード」と呼ばれる料理。それは地域の特産品から作られる料理だったり、先祖代々受け継がれてきた味だったり、一種の町興しのために開発された商品だったり。今回は全国各地で有名な、故郷の味「ソウルフード」をピックアップしてみました。

北海道・東北地方

ラーメンサラダ(北海道)

北海道発祥といわれるラーメンとサラダが融合した冷製のラーメンサラダ。冷やし中華よりもサラダの量が多いといわれるヘルシーな一品。「ラーサラ」という略称で地元民に親しまれています。

「ラーサラ」の元祖がここ、札幌グランドホテル別館の1階にある、「北海道ダイニング ビッグジョッキ」。
誕生したのは1985(昭和60)年。夏期限定メニューとして出したところ近隣のビジネスマンに大受けし、グランドメニューに昇格したそう。こちらの「ラーサラ」はお皿にミニすのこが引いてあり、余分な水分が落ちることで最後までシャキッとした食感が楽しめるのが特徴。また、麺は「ラーサラ」のための特注品で、ドレッシングは中華とフレンチをブレンドした濃厚な味わい。キュウリのピクルスがトッピングされているのもポイントです。

味噌カレー牛乳ラーメン(青森県)

地元の人々に30年以上愛され続けている、青森県青森市のご当地グルメのひとつ。味噌、カレー、牛乳が組み合わさった温かいラーメンということで、聞くだけでも濃厚そうなコクのありそうなラーメンを想像してしまいます。寒い地域には喜ばれる身体の温まる一品。

まずはスープからひと口いただくが、味噌味でもなくカレー味でもない。牛乳の味が強いわけでもない。
言われてみれば、それぞれの味を感じられる気がするが、何ラーメンかを聞かされずに食べたらきっと答えられないだろう。まさに絶妙なバランス!
太い縮れ麺が濃厚なスープとよく絡んで非常にウマい!そしてカレーのスパイスが効いているのか、食べているとどんどん身体が温まってくる。

まめぶ汁(岩手県)

久慈市山形地区の郷土料理で、小麦粉で練った生地でクルミや野菜、そして黒砂糖などを包んだ団子を、野菜と一緒に出汁で煮込んだ汁もの料理。NHK「あまちゃん」にも登場し知名度を上げました。

小さな団子が3つほど入っている。さっそくつまんでみると、プニューッと簡単に潰れる。けっこう柔らかいようだ。
クルミのジワッとくる深いコクが広がりつつ、黒糖の甘さをホンノリと感じて独特の美味しさを奏でる。
具として入っているカンピョウにも注目したい。コリコリとしていながらすぐに砕け散る食感が料理をユニークなものにし、同時に、黒糖とは違った極微量の甘味を感じることができる。

三角あぶらあげ(宮城県)

仙台市青葉区の「定義とうふ店」さんで作られている、その名の通り三角の形をした分厚い油揚げ。サクサクとした食感の油揚げは、醤油と七味のみで食べるシンプルな味付け。

使用するのは油揚げ専用に配合されたしっとり感あふれる木綿豆腐で、通常の油揚げの4倍の厚さにカット。ふわふわ感を出すために一晩寝かせて水分を切り、四角い鍋を効率的に使うために「三角形にした」と同店の従業員は説明した。二度揚げしてサクサク感を出した三角あぶらあげは、もともとは「定義如来 西方寺」の参拝客向けに始めたもので、今では名物になっているという。

横手やきそば(秋田県)

ご当地グルメとしてはあまりに有名な「横手やきそば」。目玉焼きと福神漬がのった甘口の焼きそばは、B級グルメの大会「B-1グランプリ」で優勝したこともあります。

秋田県・横手市を旅した特集で「元祖・神谷焼きそば屋」(秋田県横手市)を訪れた。
旅の途中で出逢った赤ちゃん連れのお母さんに横手の名物を尋ねて紹介された同店は、昭和30年頃に創業した焼きそば屋。横手市を代表するご当地グルメ「横手やきそば」発祥の店として知られている。横手やきそばは、辛味を抑えた特製ソースを太めの麺に絡めて仕上げに目玉焼きをのせるのが定番の焼きそばだ。

関東地方

そぼろ納豆(茨城県)

茨城県は水戸に伝わる伝統的なお惣菜。切り干し大根と納豆をあわせ、醤油などの調味料で漬け込んだシンプルな料理。いかにもご飯に合いそうです。

実際に食べてみると、納豆の美味しさに切り干し大根のクニっとした歯ごたえが加わり、非常に美味しい。
これはご飯にかけるだけでなく、そのままお酒のおつまみにも良いし、味が濃いのでお茶漬けにも最適だと思う。

レモン牛乳(栃木県)

栃木県で製造・販売されているレモン風味の乳飲料。栃木乳業株式会社が「関東・栃木レモン」、針谷乳業製が「針谷おいしいレモン」とそれぞれの名前で販売しています。

爽やか系のバニラアイスを溶かしたような風味をしており、後味がスッキリの甘い牛乳といった感じ。レモン味というわけではないが、レモンっぽい香りはする。そのアクセントは味というより爽やかさに寄与していると感じた。ちなみに無果汁!! でもしっかり美味しいから不思議!!

マックスコーヒー(千葉県)

日本コカ・コーラ社販売の「GEORGIA」ブランドのコーヒー飲料。練乳が使用されていて、コーヒー牛乳などよりも、よりミルキーな甘さで若者を中心に親しまれている。

落花生に負けず劣らず、県民が愛してやまないソウルドリンクが缶コーヒーの「マックスコーヒー」だ。
千葉・北関東以外では馴染みが薄いかも。コーヒー牛乳に近い甘さが人気で、千葉県民はたいてい“マッ缶”でコーヒーデビューします。

家系ラーメン(神奈川県)

もはや知らない人はいない横浜を中心に全国に広がっていったラーメン。豚骨醤油をベースとした濃厚なスープと太めの麺、トッピングは主に海苔やほうれん草を添えられているのが特徴です。ラーメン店「吉村家」を源流とし、それにならって店名に「○○家」とつける店が多かったことから、「家系(いえけい)ラーメン」と呼ばれています。

濃厚な豚骨しょうゆをベースとするスープ、太めの麺を用いたラーメンで、お客の好みによって味の濃さ、脂の量、麺の硬さを自由に選べるスタイルが特徴だ。それぞれの店名につく「~家」は「~や」という読み方が大半ながら、一般的に「家系(いえけい)」と称されている。

北信越地方

新潟県魚沼地方発祥の、つなぎに布海苔(ふのり)という海藻を使った蕎麦。「へぎ」と呼ばれる剥ぎ板で作られた器に盛り付けらることからその名で呼ばれています。

へぎそば(新潟県)

つなぎに布海苔を使用するのが特徴で、独特のつるつるとした食感が楽しめる。また、茹で上がった蕎麦を「手振り」と呼ばれるひとくちサイズの大きさにまとめて大勢の分を板に盛り付けるのもポイント。

ハントンライス(石川県)

薄焼き卵で包んだオムライスの上に白身魚のフライを乗せ、ケチャップとタルタルソースを豪快にかけた、ボリューム満点の料理。名前の由来はハンガリーの「ハン」と、フランス語でマグロを意味する「トン」をあわせた造語と言われています。

昭和中期、金沢市片町の洋食店で考案され、その店から独立した料理人たちが各店で販売するようになり、市内各地に広まったという。
料理名の由来は、ハンガリー料理からヒントを得たことにちなみ、ハンガリーの“ハン”と、フランス語でマグロを意味する“トン”を組み合わせたという説が有力だ。
当初は、マグロのフライをトッピングしていたそうだが、現在では白身魚のフライが一般的。エビフライなどを乗せて独自のアレンジを加えている店も多い。
いわば、オムライスをさらに進化させた“盛りオムライス”といったところだ。

ローメン(長野県)

羊の肉と野菜を炒め、蒸した太めの中華麺を加えた長野県伊那のソウルフードです。ラーメンのスープを加えるものと加えない焼きそばタイプの2種類があります。

実に、この食べ物を説明するのは難しい。というのも、まず店によって出てくる「ローメン」は2種類あるのだ。ひとつは、ラーメンのような丼でたっぷりのつゆに浸かったスープタイプ、もう一つが焼きそばタイプである。共通項は、具は羊肉とキャベツ、麺は蒸し麺を使っていること。
 そもそも、この料理は昭和30年頃に始まったもの。発祥の店「萬里(近くに、ローメン発祥の地碑が建つ、こちらはスープ系)」の主人が「ローメン」の名の使用を自由にしたため多くの店がさまざまな工夫を凝らして進化していったのである。
 つまり「ローメン」は定型がなく、自由度が高い食べ物なのである。

東海地方

鶏ちゃん(岐阜県)

鶏肉を味噌、醤油などで味付けし、キャベツやたまねぎなどの野菜と一緒に焼いて食べる岐阜県の郷土料理です。

家庭料理である『鶏ちゃん』が広まり始めたのは1950年代初期で、地域の公共工事などが増えるに従い、現場で働く人たちが手軽に食べられる安価な料理として飲食店で提供され始めたのがきっかけでした。
商品としての販売を初めて行なったのは、下呂市(旧 益田郡)の精肉店「天狗」でした。1960年代、当時販売していた商品名は「味噌漬けかしわ」と言い、当時20歳代前半の若き女将、戸谷 道子さんが開発した商品でした。

黒はんぺん(静岡県)

鯖や鰯などの魚を丸ごと一匹練って作った「はんぺん」。そのまま焼いて食べたり、白いはんぺん同様、おでんの具としても食べられます。静岡県では給食のおかずとして出されることもあるよう。

鯖や鰺、鰯などの青魚を主原料にした魚肉ねり製品で、静岡県の郷土食。静岡で「はんぺん」といえば白いものではなくこちらを指す。魚を丸ごと使用しているので独特の歯ごたえがある。

とんてき(三重県)

「とんてき」そのものは全国でもメジャーな料理ですが、三重県四日市市のとんてきは、その量と豪快な盛り付けにインパクトがあります。

グローブのような切り込みが入った豚肉の切り身をにんにくと一緒に濃いめのタレでソテーし、たっぷりの千切りキャベツとともに食べるB級グルメです。

関西地方

551蓬莱の豚まん(大阪府)

大阪のお土産といえば「551蓬莱の豚まん」。大阪からの出張帰りや、お友達の家に行く際の定番となっています。無添加にこだわり、シンプルな味付けで愛されています。

”551のあの味”がしっかり付いています。企業秘密の味付けだそうなので、どんな味かが上手く説明できず……。少し甘辛くて、ウスターソースかオイスターソースのようなコクもあるんですよ。また、皮は弾力があり、甘みもしっかり感じられます。
(中略)
しっかりした味付けと食べごたえという、関西人が好きなものが詰まった印象

三輪そうめん(奈良県)

奈良県三輪地方は、そうめん発祥の地といわれています。その中でも「三輪そうめん」は今でも三輪地方の特産品としてその伝統と味と製法を守り続けています。

奈良県桜井市がその発祥の地であり、今もなお「三輪そうめん」の産地として時代を貫いている。鎌倉時代、室町時代には、宮中、寺社内で高級品としてもてなされた。江戸の元禄時代になり醤油が生まれ、今のようなつけめんスタイルになる。お中元でそうめんが贈答され、七夕にはそうめんが食べられた。

中国地方

とうふちくわ(鳥取県)

江戸時代、漁港の発展が遅れていたために魚が貴重だった鳥取県。そのため豆腐を魚に見立てて発案されたのが「とうふちくわ」です。鳥取県産大豆を使用した木綿豆腐に、白身魚混ぜて蒸しあげています。

鳥取県東部に見られる独特の加工食品で、木綿豆腐と白身魚のすり身を7対3の割合で混ぜて蒸し上げたもの。噛みしめるとふんわり豆腐の香りが広がる不思議な食感。

カキオコ(岡山県)

岡山県備前市日生の郷土料理。「牡蠣のお好み焼き」の略称で、日生地区の独特の製法で作られるお好み焼きに、大量の牡蠣を盛り込んだ贅沢な一品。

ふんわりと焼かれた生地に、尋常でないほどのカキが詰まっていました。カキ特有のえぐみや臭みは全くありません! 「海のミルク」と呼ばれる理由が心底実感できるほど濃厚。

せんじ肉(広島県)

豚のホルモンを揚げて干した、噛めば噛むほど味が出る、ビーフジャーキーに似た「せんじ肉」。県内では広島発祥のコンビニ「ポプラ」でも販売されている定番のソウルフードです。

昭和20年代から30年代にかけて、広島県西区の食堂や肉屋が開発したのが起源らしい。「せんじがら」とも呼ばれており、広島県のコンビニやスーパー、酒屋などで購入することが出来る。
か、かたい……がッ!! 噛めば噛むほど旨味がジワジワ出てくる! ウメぇぇぇえええッ!! これは確実に酒飲みなら好きな味ッ!! 適度な塩分があるので酒があったら止まらないだろう。ざっくり言えば珍味であるが、同じようなものと言われても思いつかない……せんじ肉はせんじ肉なのだ!

四国地方

焼豚玉子飯(愛媛県)

目玉焼きを乗せただけのようにも見えますが少し違います。ご飯と焼き豚、目玉焼き、それに特製の甘口のたれをかけたシンプルな「焼豚玉子飯」が今治のソウルフードです。

脂身たっぷりの焼き豚4切れとたまご2個分の目玉焼きがご飯を埋め尽くしている。ご飯、焼き豚、目玉焼き......想像するだけで、よだれが出てしまいそうになった。目玉焼きの黄身を1つ割り、白身と焼き豚、ご飯に絡めて口に運ぶ。
「こ、これは......」
焼き豚と甘口たれの相性が抜群ではないか。双方の甘味はもちろん、ほのかな香りも楽しませてくれる。黄身と白身、ご飯が混ざり合って生まれた食感は、焼き豚の歯ごたえとけんかせず、互いに生かし合っている。視覚、味覚、嗅覚、触覚のすべてに訴えかけてくるものがある

九州・沖縄地方

シシリアンライス(佐賀県)

佐賀県佐賀市のソウルフード。ご飯の上に甘辛いたれで炒めた牛肉とたまねぎを乗せ、その上にレタスやトマトなどの生野菜を盛り付け、マヨネーズをかけた料理です。

ごはんに甘辛いタレで炒めた薄切り肉と玉ねぎ、レタス、トマト、きゅうりなどの生野菜を盛り、仕上げにマヨネーズドレッシングがかかっている。

ヨーグルッペ(宮崎県)

デーリィ南日本酪農協同株式会社が製造する、甘酸っぱくマイルドでどこか懐かしさを感じる乳酸菌飲料。昭和60年(1985年)に誕生して以来、愛され続けるロングセラー商品です。

ヨーロッパで培養された3種混合菌(ビフィズス菌・サーモフィルス菌・アシドフィルス菌)のマイルドな酸味と、熱処理により牛乳中のタンパク質と糖が反応して生まれる独特のコクと色。乳酸飲料というと白い飲みものをイメージしますが、ヨーグルッペは茶褐色なんです! 九州人で知らない人はいない、子どもから大人まで大好きなドリンク。

島豆腐(沖縄県)

沖縄で作られ、食べられている島豆腐。原料は大豆ですが、一般的な豆腐とは異なる製法で作られていて、木綿豆腐よりも固くて炒めても崩れにくいのが特徴です。崩れにくい分、ゴーヤ・チャンプルーなどの炒め料理にも適していますね。

14世紀頃、中国からの使徒、「冊封使」(「さくほうし」、あるいは「さっぽうし」ともいう)に同行した調理人が伝授したそうです。
沖縄の豆腐の特徴は、その大きさと硬さにあります。民俗学者の柳田国男は、<野武士の如き剛健なる豆腐>と表現しています。
重石をかけ、水分を抜いてしっかり押しかため、1丁の重さは約1キロ。とくに、野菜と一緒に炒めるチャンプルー料理には欠かせません。
(中略)
伝統的な作り方を守っている豆腐は「島豆腐」と呼ばれます。ひと晩水に浸けておいた生の大豆を絞って豆乳を取る「生絞り」製法で作られ、その後大きな地釜で煮ます。そこから「地釜豆腐」とも呼ばれています。

いずれも美味しそうなソウルフードばかり。地元やお近くの地域のソウルフードはあったでしょうか。遠方であれば観光がてら足を運んで食べに行ってみるのも良いかもしれませんね。