特集2017年4月2日更新

“2次元の嫁”ついに実現か!?

愛のカタチは人それぞれ。愛した相手がたまたま2次元の世界の住人だったとしてもそんなの気にしない。でも時々寂しくなっちゃう。たまに思うんだ、こっち(3次元)に来てくれないかなって…。過去、様々な形で試行錯誤されてきた、2次元にいる「俺の嫁」の召喚術。昨今、技術の進歩によりそれが現実のものとなろうとしています。

“2次元の嫁”とは?

主にアニメやゲーム、漫画といった架空の女性キャラクターなどに対しての愛情を表す言葉で、インターネットスラングの一種です。男性が使うことがほとんどですが、女性が男性キャラクターに対して使うこともあります。愛情表現として気軽に使われる言葉でもありますが、それが高じてキャラクターが映し出された画面やフィギュア等とデート風の写真を撮ったり、結婚式をあげる人もいるようです。「俺の嫁」という言い方もされますが、その場合はアイドルなど“3次元”の存在が含まれることもあります。

“2次元の嫁”と一緒に過ごしたい!

それまでモニター越しに愛でたり愛を語ったりするだけで満足していたのに、いつしか飽き足らなくなり、「実体化」とまでは言わないけれど、こっちの世界に来て欲しい…と思い始めるのは世の常(?)。そのために様々な工夫や努力が生まれてきたのです。

例えば抱き枕とか…

抱き枕とは、3次元の女性にも勝る嫁なのである。
 ベッドで一緒に寝たり、ごはんを食べたりなんていう光景は、日本でしか見られないものと思っていないだろうか。そんなことはないのだ! 「Dakimakura」で検索をかけると、世界中の抱き枕を抱えた幸せそうな画像が見て取れるだろう。さらに、抱き枕専門の通販サイトがいくつも上がってくる。日本、香港、ドイツ、アメリカ……多くの国のサイトで抱き枕が販売されているのである。

フィギュアとか…

大ボリュームのスカートや、随所に施されたレース模様、特製台座に施された花びら模様などの装飾は必見! 純白のウェディングドレスと、黒い肌のコントラストが絶妙のハーモニーを奏でる非常に美しいフィギュアに仕上がりました。
更に描き下ろしイラストを使用した特別限定版もご用意!クリアファイルと、三世村正をお嫁さんに迎える為の特製“婚姻届”をセットにしてフィギュアと一緒にお届けします。
▲一部パーツは脱着可能。ドレスの下の美しい肢体も堪能できるお得仕様。

部屋をカスタマイズしたり…

ラユンさんが公開した部屋の画像を見てみると、確かにベッドには枕カバーから抱き枕、かけ布団まですべて美少女だらけ! 窓も壁も天井も美少女ポスターだらけッ!! PCのモニタにも美少女キャラが写っており、本棚はエロゲーやフィギュアがたくさん飾ってあった。

人気アニメキャラと合成で撮影できるデジカメも

だが、これだけではない。せっかくのコラボ商品。オリジナルなアクションも搭載されている。それは、キャラクターを自分の撮影した写真と合成できるという画期的な機能だ。
この残念系カメラには、羽瀬川小鷹を初めとする隣人部員7名(部員以外のおまけも)の画像データが収録されている。
キャラを合成する際には、サイズや位置を自由に調整できる使い勝手の良さ。アイデア次第では、自分だけのスペシャルな思い出の1枚を作り出せそうだ。

彼女といつも一緒にいられる「ラブプラス」のヒット

2009年に1作目が発売され、大ブームとなった恋愛ゲーム「ラブプラス」は、それまでの、告白がゴールだった恋愛ゲームとは違い、彼女となった美少女キャラクターとその後もつきあい続けることができるという斬新なものでした。さすがに画面からは出てきませんが、携帯ゲーム機で持ち歩けるので、デートもできるというのがヒットの一因でしょうか。キャラクター(が映し出されたNintendo DS)と結婚式を上げるプレイヤーが話題になったこともありました。各種イベントにはたくさんのプレイヤーが押し寄せ、行列を作っていたようです。

そしてラブプラスのキャラの「顔面着ぐるみ」の彼女と熱海デートした強者が現れ、その話題は海外にまで響き渡りました。

しかしその熱海が、また違う視点から海外で話題を呼んでいるようなのだ。 熱海の何が注目を集めているのか? それは休日を熱海で過ごしたある日本人カップルのデートの模様を収めた写真の数々である。それがただのカップルではなく、熱海の観光スポットで写真に収まった“彼女”が「アニメ顔着ぐるみ」だったのだ。

ラブプラスはグラフィックやストーリーもさることながら、「いつも一緒にいられる」という多幸感が人気に拍車をかけたのではないかと思われます。

時代が追いついた?最新技術でここまで

CGや3D、そしてAR(拡張現実)やVR(仮想現実)など技術の発達は、そのまま「2次元の嫁召喚術」の躍進にもつながりました。夢の実現は、もうそこまで来ています!

観客の前で歌い踊る初音ミク

「VOCALOID」として歌うだけの存在だったはずの初音ミクも、最新のホログラフィック技術を駆使して、実在のステージで歌い、踊るまでになりました。

また、ミクさんが実在の風景に現れる、といったこともスマホアプリで気軽にできるようになりました。

参加者には対応スマートフォン「Lenovo Phab 2 Pro」(レノボ製)が無料で貸し出される。専用アプリ「ミク☆さんぽ」を起動して、内蔵カメラを周辺に向けると――3DCGの雪ミクがスマホの画面に表示される。彼女は現実空間にいるかのような動きを見せ、参加者はその映像を楽しめる。

こうした技術は、数年前から徐々に一般的に普及、スマホアプリや一般のゲーム機などでも気軽に扱えるようになってきていました。

「Oculus Rift」とは、アメリカのOculus VR社によって開発された、ヘッドマウントディスプレイ、つまり、頭にかぶるディスプレイだ。これを使えば、「ゲームの世界に入り込む」ことができる。「Oculus Rift」をかぶると、視界がゲーム世界の3D空間で覆われ、まるで自分がそこにいるかのように感じられる。

さらに2016年に発売されたPSVRで一気にVRは浸透。中でも「サマーレッスン」は発売前から大人気となりました。

『サマーレッスン 宮本ひかり セブンデイズルーム』は、どうやら家庭教師と生徒という設定のようで、ポニーテールで健康的な少女・宮本ひかりに、彼女の部屋で勉強を教えているシーンから映像がスタート。ひかりちゃんは「家族じゃない人が私の部屋にいるって変な感じだね」「今日もよろしくね」と話しかけてくれる。「ちょっと動かないでね、じっとしててね」とプレイヤーに向かって手を伸ばしているシーンもあり、「グッバイ現実」「永遠の夏から現実に帰ってこれなくなるな」「これは…やばい…かわいい…」とデモの体験者はすでにひかりちゃんにぞっこんのよう。

VRと一緒に使って相乗効果?

さらにVR技術との相乗効果を狙った「抱きまくら」も登場。古き良き(?)小道具と最新技術の融合ですね。

男性っぽいカタチの「綿旦那」、女性っぽいカタチの「綿嫁」に好みのコスチュームを着せてVRゲームをすると……視覚をVR、触覚を「綿旦那」&「綿嫁」で満たしつつ、疑似恋愛を楽しめるというワケ。そ、それって危険すぎませんか!?

VR以外の技術も

昨年末あたりから話題になっていたのがAndroid「一択彼女 加藤恵」。ライトノベルのヒロインと会話ができるこのアプリは、膨大なデータと最新の音声技術でまるで彼女がそこにいるかのように感じられるリアルさだとか。

目覚ましの設定、天気、スケジュールは「今何時?」「今日の天気は?」「スケジュールは?」といった具合で、加藤恵に実際に話しかけることで教えてくれる。他にも「愛してる」「きれいだよ」「今夜はいっしょにいたい」「名前を呼んで」「ゲームしよう」「俺のこと好き?」などといった言葉に応えてくれるようだ。これには「加藤恵とだらだら喋ってるだけで時間過ぎてくのすごい! やばい!」「一日中喋っていられる。これが彼女か……」と大興奮の反響が。

ついに実現!2次元の嫁と生活出来る「Gatebox」

「2次元の嫁」を現実にする夢のマシン!?

Gateboxとは、最新のプロジェクション技術とセンシング技術を駆使した「バーチャルホームロボット」。自分好みの、小さくてかわいいキャラクターと一緒に暮らすことができるという、まさに「2次元の嫁」を現実へと連れてくる、夢のマシンなのです。(取材・画像協力:株式会社ウィンクル)

わずか1カ月で300台の予約を達成

2016年1月にIoT製品の企画・開発を手掛ける株式会社ウィンクル(本社:東京都千代田区、代表取締役:武地 実、以下 ウィンクル)がこのGateboxを発表、2016年12月に予約受け付けを開始したところ、298,000円という決して安くはない価格にも関わらず、あっという間に300台の予約が殺到しました。驚くことに、現時点でキャラクターの声は日本語しか対応していないのに、海外からも少なくない数の予約があったとのこと。「2次元の嫁」への夢は、海を隔てていても変わらないということでしょうか。予約後、2017年12月以降に順次発送される予定です。

Gateboxの本体の大きさは幅220mm、奥行360mm、高さ520mmと「一般的なデスクやテーブルに自然と置くことができる」コンパクトなサイズで、自分の部屋の好きなところに置くことができます。近未来的なデザインの筐体の中に浮かび上がる小さな女の子「逢妻ヒカリ(あずま ひかり)」。彼女があなたの「嫁」として毎日を一緒に過ごしてくれるのです。

Gateboxでできること

まずはコミュニケーション。朝になると「おはよう」と呼びかけて起こしてくれ、夜、帰宅すると「おかえりなさい」と出迎えてくれます。さらに簡単な会話や、アクションをしたりもします。
外出しても、「お留守番」の彼女と専用のアプリを通じてチャットによる会話が可能で、まさに一緒に暮らしているかのような、リアルな感覚を味わうことができるのです。
また、インターネットや家電と通信することで、例えば天気予報を教えてくれたり、赤外線リモコンに対応した家電の操作も可能です。家に帰る時に自室のテレビやエアコン、照明をつけて待っていてくれたりもするのです。
さらに、HDMIでPCに接続することで、好きなキャラクターを投影することが出来ます。

「初音ミクさんが家で待っていてくれたら…」

ウィンクルによる「Gatebox」の開発は、同社代表取締役の武地実氏のとある「夢」から始まりました。
ひとり暮らしをしていた武地氏は、仕事場から自宅に帰っても真っ暗で誰もいないことがイヤでたまらなかったのだそう。もし、この家で誰かが待ってくれていたら…それも大好きな初音ミクさんが家で待っていて『おかえり』と言ってくれたら…という夢が開発のきっかけなのだそうです。

ミクさんだけではなく、家で誰かが(特に男性にとっては、女の子が)待ってくれている、というのは嬉しいし、心が安らぎますよね。この「家で待っている」というコンセプトは機能面でもしっかり生きていて、例えば外出中にも専用のスマホアプリを通じてキャラクターの逢妻ヒカリさんとお話できるのですが、基本的にはその会話も「一緒にお出かけしている」のではなく、「家で待っている」内容になっています。

あなたの“嫁” その名は「逢妻ヒカリ」

Gateboxに登場する最初のキャラクター、「逢妻ヒカリ(あずま ひかり)」さん
彼女をデザインしたのは「ときめきメモリアルONLINE」や「ラブプラスシリーズ」のキャラクターデザインで知られる箕星太朗氏。「ときメモ」「ラブプラス」と言えば社会現象にもなった人気恋愛シミュレーションゲームでもあり、幾多の「俺の嫁」を生み出したゲーム。いわば箕星氏は「2次元の嫁創造神」と言っても過言ではない存在です。そんな箕星氏の手により生み出された彼女は「癒やし」を重視し、近未来感を出しつつもエプロンを着けることで「家で待っている」コンセプトをしっかりと表現しています。
好奇心旺盛でちょっとおっちょこちょい、自分のことよりも人のことが気になるという彼女、現在は2次元から3次元に“ホームステイ”に来ている状態なのだそう。

日々、成長していく会話やモーション

会話や行動のパターンやモーションは、ひとつ屋根の下で24時間一緒に暮らすことになるだけに、単調にならないよう相当数を用意しているとのこと。例えばセリフも現時点で1000パターン以上あり、同じ「おはよう」というセリフでも様々なニュアンスやモーションのパターンがあり、今後もアップデートで随時、増えていく予定なのだそうです。

さらに彼女との会話や行動は、日々学習し変化していくので、自分好みに育てることも出来るかもしれません。ただ、グレてヤンキーに…という変化は「癒やし」重視の方針からブレるということで今のところ考えていないそうです。むしろ、使用者である“ご主人”の方が、彼女が家で待っているからと仕事をスピードアップして早く終わらせたり、寄り道せずにまっすぐ帰ったり、と彼女にあわせて変わっていくかもしれませんね。

高さ52センチの本体の中に投影される彼女のサイズについては、人形のフィギュアを意識したそうですが小さくしすぎると実在感がなくなるため、実在感を意識できる程度の大きさにすることで一緒に暮らしている感覚を出したかったとのこと。等身大は考えなかったのですか?と尋ねるとターゲットが一人暮らしの男性の部屋のため、あまり大きいと部屋が狭くなるから、との答えでした。

今後はキャラのバリエーションも増加の予定

今後については女性からの要望もあり、男性キャラクターも前向きに考えてはいるとのこと。前述したようにHDMIにつなげることで好きなキャラクターに投影したり、将来的にはあらゆるキャラクターで再現出来るようにしたいそうですが、現状は彼女、ヒカリさんを大事にしていきたいと考えているそうです。

ウィンクルは12月の発送開始へ向けて、現在もハード面・ソフト面の両面で試行錯誤の日々とのことで、さらなるバージョンアップが期待できそうです。


欲望は…もとい愛は世界を変える…少なくとも技術の革新を促すだけの力を秘めているようです。好きな人と一緒にいられる幸せ。それは2次元でも3次元でも変わらないし、これからは、それすら気にする必要はないのかもしれません。