特集2017年11月16日更新

詳しくない人も楽しめる!マイナー趣味マンガ

世の中にはいろいろな趣味があります。そしてその趣味を題材にしたマンガも様々です。例えばスポーツなんてその最たるものですし、他にもゲームや囲碁・将棋、釣り、料理・グルメ、アウトドア、スポーツ観戦、アイドルのおっかけ…挙げるとキリがありません。その中でも、あまりマンガの題材として取り上げられることの少ない趣味を扱ったマンガを紹介します。

目次

マイナー趣味マンガとは…

マンガでの扱いが「マイナー」という意味です、念のため

その趣味自体がマイナーというわけではなく、マンガの題材として扱われることが比較的少ない趣味をさしてこういう表現にしております。大事なことなのでもう一度いいますが、扱われている趣味がマイナーという意味ではないです、念のため。

ちはやふる

百人一首

アニメ化・実写映画化されて、日本全国に百人一首ブームを巻き起こした名作です。百人一首に青春をかける主人公・綾瀬千早と彼女を取り巻く仲間たち、そして個性豊かなライバルたちの人物描写、そして百人一首の対戦が熱く、素晴らしい。このマンガの影響で百人一首の知名度は一気に上がり、参加人口が増えて各地の大会が今も盛況だと言います。

作者 末次由紀
出版 講談社
単行本 1 ~ 36巻
発売 2008年5月 ~
単行本の累計発行部数850万部を達成した漫画『ちはやふる』は、現在19巻まで発売され、2010年からはテレビアニメも放送。今月13日からは『ちはやふる2』(日テレ)の放送が決まっているという超人気漫画だ。
主人公は、百人一首の札を一対一で取り合う競技かるたで“かるたクイーン”を目指す少女・綾瀬千早。紆余曲折の青春ストーリとともに、競技かるたの激しさが読者をひきつけ、百人一首人気を高めた。

ナナマルサンバツ

競技クイズ

今でこそテレビのクイズ番組は芸能人中心ですが、かつてクイズ番組は一般人参加のものが少なくなく、幾多のクイズ名人が誕生しました。今でも高校・大学・社会人の部活・サークルによるクイズ熱は根強いものがあり、各地でクイズ大会が開催されているのだそうです。このマンガはクイズの世界に魅入られた、読書好きの高校生が競技クイズの世界に飛び込んでいく物語。ちなみにタイトルの「ナナマルサンバツ」は「競技クイズ」のルールのひとつで、「7問正解で勝ち抜け、3問不正解で失格」という意味。競技クイズのルールや空気感が非常にリアルに書き込まれていて、クイズの面白さを堪能できる作品です。

作者 杉基イクラ
出版 角川書店
単行本 1 ~ 14巻
発売 2011年7月 ~
『ナナマル サンバツ』は読書好きの高校1年生・越山識が同級生の深見真理に引っ張られてクイズ研究会に入会するところから物語が始まります。研究会のメンバーや他校と凌ぎを削っていくことで、競技クイズの世界にはまっていくという青春部活漫画です。
僕たちの青春は○と×の間にある――。
あの大ベストセラーコミック「サマーウォーズ」の杉基イクラがオリジナルで描
く、熱血部活系《競技クイズ》ストーリー。
入学早々、高校一年生の越山識が勧誘されたのは、怪しげな先輩が会長を務める
「クイズ研究会」だった。同級生の残念美少女・真理に引きずられるようにして
入部した識は、0.1秒を争う早押しクイズのめくるめく世界に魅せられていく。

コンプレックス・エイジ

コスプレ

主人公は「コスプレ」に熱中する26歳の派遣社員。コスプレを理解しない彼氏と破局したり、コスプレ仲間にネットで悪口書かれたり、会社の同僚にコスプレ趣味がバレたり…。下の引用記事にもありますが、連載中で起こる「コスプレあるある」にネットではコスプレ経験者の方を中心に阿鼻叫喚となっていました。

作者 佐久間結衣
出版 講談社
単行本 全6巻
発売 2014年8月 ~
佐久間氏は34歳のゴスロリ趣味のヒロインを描いた『コンプレックス・エイジ』で第63回2013年度前期ちばてつや賞一般部門を受賞。ネットでも公開された同作品は125万PVを越える話題作となった。その佐久間氏が同タイトルで開始した連載作は、26歳派遣社員のコスプレイヤーを描くもの。その描写が単なる「あるある」を越えて残酷なほどにリアルだと、実際のコスプレイヤーなどからも賞讃の声を集めているのだ。
その反響はというと、「コンプレックス・エイジが毎週怖い」「心が痛い」「胸に刺さってヤバイ」などなど…最新話が出るたびに、ネットやTwitterでコスプレイヤーさんの悲鳴じみた感想が聞こえてきます。
日本のムラ社会の残酷さも相まって、見る人が見れば下手なホラー作品よりも恐ろしい内容なのかもしれません。

87CLOCKERS

オーバークロック

「のだめカンタービレ」の作者が描く、おそくらメジャー誌では空前絶後の?(すみませんちゃんと調べていないので他にあるかもしれませんが)オーバークロックをテーマにした作品。PCの限界に挑む人々の物語、と言うと聞こえはいいですが「のだめ」作者らしく奇人変人のオンパレード。日本ではマイナーなオーバークロック、世界チャンピオンの日本人は金欠でいつも苦労していますが、海外では大金を稼ぐスター選手もいるそうです。

作者 二ノ宮知子
出版 集英社
単行本 1 ~ 9巻
発売 2012年4月 ~
オーバークロックとは、自作PCのCPU(コンピューターの中心的な処理装置)を既定の周波数よりも高い周波数で動かす行為の通称。あらゆるパフォーマンスが向上する半面、故障の原因にもなり得る、まさに“もろ刃の剣”と呼べる技術だ。

スローモーションをもう一度

80年代カルチャー

松田聖子に中森明菜、薬師丸ひろ子、小泉今日子、おニャン子クラブ、なめ猫、アラレちゃん、ひょうきん族、なんとなくクリスタル…。バースにKKコンビ、ウォークマン、とんねるずのみなさんのおかげです…いやー80年代最高!「あまちゃん」でもプチ・ブームになった80年代カルチャーをこよなく愛する高校生男女のラブストーリー。キュンキュンきちゃう2人の仲も気になりますが、それ以上に作中に散りばめられた「80年代」に青春を過ごした人だけでなく、当時のことを知らない、若い世代にも刺さりまくってるそうです。やっぱり80年代最高!

作者 加納梨衣
出版 小学館
単行本 1 ~ 5巻
発売 2016年10月 ~
この作品は、一見リア充だけど友達に隠れて80年代カルチャーを愛する大滝くんがある日、共通の趣味を持つクラスメイトの薬師丸ちゃんと出会うところからスタート。ふたりの友情以上恋人未満の微妙な関係にむずキュンしつつ、80年代カルチャーに親しむことができるという新機軸ラブストーリー!
さらに話ごとのタイトルは「セーラー服を脱がさないで」「飾りじゃないのよ涙は」など、’80年代の曲名がつけられ、'80年代を意識した作画、漫画内にちりばめられた'80年代を象徴する小物たち……。その時代に青春を送った40代はもちろんのこと、'80年代ブームで興味を持った'80年代生まれの人たちにまで刺さりまくりの作品です。

トクサツガガガ

特撮

主人公は特撮をこよなく愛する26歳女子。会社ではそのことをひた隠しにして「デキる女」に擬態しているけど、プライベートになるとファストフードのお子様セットをオマケ目当てに買ったりする落差ぶりや、「休みに何してるかを言えない」「キーホルダーを見かけたらチェックせずにはいられない」などの「オタクあるある」がいちいち最高だったりします。

作者 丹羽庭
出版 小学館
単行本 1 ~ 11巻
発売 2014年11月 ~
『トクサツガガガ』は、26歳の隠れ特撮オタク、仲村さんの日常を描いたストーリー。
アイドル、漫画、ゲーム、BL、アニメ……などなど、なにかのオタクの人なら「あるある!!」と全力で首をぶんぶん振って同意したくなるエピソードが満載なんです。
各話の中で、ピンチに陥った仲村さんの前にたびたび現れるのが、大好きな特撮ヒーロー・エマージェイソンの幻影だ。前述のカラオケシーンでは、知っている歌を歌えばオタバレしてしまうと困惑する仲村さんに「諦めてはいけない! 己の生活を守るため正体を隠すのは「悪」ではない」と、励まし(?)の言葉をたむける。いかにすべきか迷いに陥った時に幻影が浮かぶ展開。

木根さんの1人でキネマ

映画鑑賞

こちらも会社では「出来る女」な主人公の木根さん。趣味の「映画鑑賞」はなんだか普通だけど、愛する映画のジャンルが「人がいっぱい死ぬ映画」だったり、ブログやツイッターでは悪口雑言は吐きまくりとかなりエキセントリック。周りの人には映画の魅力をわかってほしい、でも観るのは一人でいい…そんなめんどくさい映画好き・木根さんの映画談義は毎回、実在の映画を題材にしているのでその映画を見ている人も楽しめるし、見たことない人も、その映画を観たくなる程度には面白いと思います。

作者 アサイ
出版 白泉社
単行本 1 ~ 4巻
発売 2015年12月 ~
このマンガの主人公は30代の独身OL。趣味は映画鑑賞で、ブログにもその感想を綴っている……。 とだけ書くと、何だか文化系おしゃれ女子の物語のようだが、『木根さんの1人でキネマ』(アサイ/白泉社)はそんな話ではない! というのも、彼女が好きな映画のジャンルが、それなりに偏ったものだからだ。
要するに、彼女は趣味が偏っているうえに“こじらせている”わけだ。そのこじらせっぷりは、彼女のキャラクターとしての魅力でもあるし、物語を突き動かす原動力になっている。「趣味の押しつけはしたくないけど、好きな作品を人に見てほしい」「変な感想を言われるとムカつくけど、趣味について人と語り合いたい」という彼女の抱える葛藤は、多くの人が共感できるもののはずだ。

ハルロック

電子工作

大人向けのメジャー誌ではおそらく唯一にして最高峰の電子工作マンガであり、現代版「キテレツ大百科」言ってもいい作品。すみません言い過ぎました。高校時代の恩師がきっかけで電子工作に興味を持った女子大生が、周囲の悩みを電子工作で解決する…!?というお話。主人公のハルが作る、お悩み解決のために電子工作で作る機会がいちいち最高で、中でも猫の行動をツイートしてくれる「猫ツイッター」はネットでも大評判となり、実際に作られて展示会にも出典されたんだそうです。他にも残りの寿命をカウントしたり、世界中のぼっちの存在を教えてくれたり…気がついたらハンダごてを握りたくなること間違いなし。すみません言い過ぎました(2回目)。

作者 西餅
出版 講談社
単行本 全4巻
発売 2014年7月 ~

放課後さいころ倶楽部

アナログゲーム

ここ数年、ブームの兆しのある「アナログゲーム」。カードゲームやボードゲームなど、いわゆる「コンピュータゲームでないゲーム」を指すようですが、「人狼」や「テーブルトークRPG」のイベントや体験動画なんか、よく目にするようになりましたよね。実在するゲームをプレイする3人の女子高生、というだけでもう最高なんですが、ルール説明やゲーム描写も丁寧かつわかりやすいので、「アナログゲーム、ちょっとやってみようかな…」と思うかもしれませんよ。

作者 中道裕大
出版 小学館
単行本 1 ~ 10巻
発売 2014年2月 ~
「ごきぶりポーカー」「ミラーズホロウの人狼」など、ここ数年、欧米発祥のカード・ボードゲームが流行している。2月12日に2巻が刊行される『放課後さいころ倶楽部』は、そうしたゲームを一話完結型で紹介していくマンガだ。
本作はごく普通の3人の女子高生が主人公で、行きつけのアナログゲーム専門店や学校などで、ゆるりとゲームを楽しむだけだからだ。しかし、決して単調なわけではない。ともすれば複雑に描かれるゲームの説明も非常にシンプルで、初心者という設定の主人公らに、読者もすんなり寄り添える。一緒にプレイしている感覚になれるはずだ。

バーナード嬢曰く。

エア読書

「エア読書」ってなんじゃそら?と思うかもしれません。筆者も思いました。本には興味があるけど、読むのはめんどくさいという主人公・町田さわ子の本に関するうんちくがメインストーリー。つまり、読んでもいない本について語る話なわけです。毎回、テーマにしているのは村上春樹やフィリップ・K・ディック(ブレードランナーの原作者ですよ!)など実在する作家・作品。読んでないといいつつも意外と核心をつくところもあったりして、作品を読んでいる人にはより楽しめる内容となっていますが、読んでいない人も大丈夫、だって主人公も読んでいないのだから!作家や作品だけでなく、「読書あるある」としても楽しめるかも。昨年、まさかのアニメ化もされました。

作者 施川ユウキ
出版 一迅社
単行本 1 ~ 3巻
発売 2013年4月 ~
この『バーナード嬢曰く。』(施川ユウキ/一迅社)という漫画は、メインキャラの1人、町田さわ子が「読書家キャラ」になるべく奮闘するギャグコメディだ。
バーナード・ショーに影響され、自らのことを「バーナード嬢って呼んで」と提案してくる通称“ド嬢”は、「読書家」に憧れるけど読書はめんどくさい、という人間の1人。しかし彼女は、それでは終わらない。肝心の読書という過程をすっ飛ばして、「読書家キャラ」になろうと必死なのだ。

俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。

プロレス観戦

最近、再ブームとなりつつあるプロレス。そんなプロレス、それもプロレスが黄金時代と言われていた90年代のプロレスを愛してやまない、語らずにはいられない中学生男子の主人公と、クラスメイトでプロレスに興味があるようだけでそれを認めたくない、それでいてバックドロップやラリアートの切れ味は半端ない女子の物語。当時のプロレスを知る人にはたまらない内容だし、知らない人にも内容のわりにすっきりした絵柄と女の子がかわいいのでおすすめです。ちなみに下の引用記事で本作をおすすめしているのは、市川紗椰だったりしています。個人的にはさらにディープな「最狂 超プロレスファン烈伝」も最近電子書籍版で復刻したようなので、こちらもおすすめです。

作者 さかなこうじ
出版 新潮社
単行本 全2巻
発売 2014年8月 ~
最後が、『俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。』です。主人公のプロレス愛が清々しくて、何かに熱狂している人を見る楽しさと、各所にちりばめられたプロレスのうんちくで、へえ~と納得しながら楽しく読めます。

まとめ終わってから気づいたのですが、見事に主人公が女の子のマンガばかりになってしまいました。やはりマイナージャンルの趣味って、一般の人には「入り口」にも入ってもらえない、だから気づいてもらえないことが多いから、かわいい女の子に熱中する姿を描くことで、少しでも振り向いてもらいたい…ということなんでしょうか。それはともかく読んでもらえばその趣味の素晴らしさ・面白さの描写が素晴らしく、引き込まれることなしの作品ばかり集めたので、少しでも気になる作品があれば、手にとって頂きたいなと思います。そしてもしも気になった趣味があれば、そちらの方にも興味を向けてもらえれば、作品にとっても本望かもしれません。