特集2017年9月16日更新

スポーツの秋!ひと味違うスポーツはどう!?

先日、「チェイスタグ」と呼ばれる鬼ごっこのようなスポーツの動画がTwitter上で注目を集めました。そこで今回は、チェイスタグと同じような「新スポーツ」をいくつか紹介していきましょう!

目次

既存の競技に似たもの&組み合わせたもの

ヘディス

卓球×ヘディング

ヘディスは2006年にドイツの大学生だったレネ・ウェグナーが発案した新スポーツだ。卓球台をはさみ、専用ゴムボールをヘディングのみで打ち合う、いわば“ヘディング卓球”。台にボールがバウンドする前に打ち返したり、体を台に乗せてのプレーも可能である。

卓球に近いルール 見どころはダイビングヘッド

卓球台と専用ボールを使い、ネットの代わりにバーを用いる。実際、ルールに関しても卓球から取り入れられており、1セット11ポイント制や自身のコートでワンバウンドさせるようにサーブを打つ、などは卓球と同一だ。
卓球と異なるヘディス最大の特徴はノーバウンドでボールを直接返すことが認められている点と台への接触が可能な点。ふわりとしたボールやバウンドの低いボールへ台に乗り出してのダイビングヘッドはこのスポーツ最大の見所と言える。

世界の競技人口は約8万人

2017年現在、正式に競技として取り入れている国はドイツ、ベルギー、スイス、オランダ、チェコ、スロバキア、スペイン、ドミニカ、中国、そして日本の全10ヵ国。全世界の競技人口は約8万人と、徐々に盛り上がりを見せている。

8月には初の全国大会を開催

今年の夏には日本初の公式大会「第1回全日本ヘディス選手権」が開かれ、7月から関東、関西、東海、九州、北信越の各エリアで予選を実施。8月20日に東京で決勝大会が開催されました。
試合の主導権を握るための「サーブのレベル向上」が目立ったという大会を制して、栄えある初代日本王者に輝いたのは平野伸幸選手。平野選手は、今冬にドイツで開催される国際大会に日本代表選手として派遣されることが決定しているとのこと。

ジャンプで漫画化もされた「ヘディス」

2016年12月12日発売の週刊少年ジャンプに「テニスの王子様」の作者、許斐剛さんによるヘディスを題材にした読み切り「頭突け‼横浜謳歌高校生XXxX部」が掲載されました。「XXxX部」は「ヘディス部」だったんですね。「テニスの王子様」でも破天荒なテニスのバトルシーンが多かった許斐さんだけに、頭突きと卓球を組み合わたこのスポーツが彼のオリジナルだと思っていた読者も多かったようで、実在すると知って驚いたという声がネットを賑わせました。この漫画でヘディスの存在を知った方も多いのでは。

許斐さんはその年の2月、「へディスが気になっています」とツイート。調べてみたところ、2月初旬に行われたヘディスの大会を日本のテレビ局各社が報道したようで、それで知ったのかもしれません。

パデル

テニス×スカッシュ? 史上最も急激に競技人口が伸びたスポーツ

パデルを紹介する記事の多くに「テニスと似たスポーツ」「要素の8割はテニスと同じ」といった表現が用いられていますが、一番しっくりきたのは「テニスとスカッシュを合わせたような」という表現。上の動画を見てもらえば「なるほど」と納得してもらえるかと思います。

パデルはスペインで1970年代に誕生した、テニスとスカッシュを合わせたようなラケット競技。スポーツ史上、最も急激に競技人口が伸びたスポーツでもあり、スペインでは400万人を突破している。コートはテニスコートの約半分のサイズで、周囲が強化ガラスと金網に囲まれており、その壁にバウンドさせてラリーを続けるのが特徴だ。

コートを囲う強化ガラスと金網によりラリーが長く続く

ポイントの数え方はテニスと同じで、2人対2人のダブルスのみでプレーする、といった特徴を持つパデルは、簡単にプレーできるスポーツ性と戦略を必要とするゲーム性が同居する奥深さが魅力だといいます。頭脳プレーが必要となる理由は、「テニスに比べてラリーが長く続きやすい」からだといい、その秘密はコートの“壁”にあります。

パデルのコートは約20メートル×10メートルの長方形型で、周囲は強化ガラスと金網により囲まれています。一番の特徴は、この周囲のガラスと金網を使ってプレーできるところです。パデルならではの特殊ルールは以下の通りです。
1、コートに入ったボールが1バウンドし、ガラスまたは金網にあたった際、ボールが空中に浮いている間は相手コートに打ち返すことが可能
2、壁を利用し、相手コートに打ち返すことが可能
3、スマッシュを打たれても大丈夫!壁にあたった球を打ち返せばOK
4、コートの側面や上部空間からボールが出た場合、選手はコート外に出て、ボールを返球できる
壁に跳ねかえったボールも打てるので、強く打ち返したボールでも簡単にポイントを奪うことができません。ポイントを取るために、頭を使うことが必要です。初心者には簡単ですが上級者には難しい、奥の深いスポーツだとも言えます。

子供からシニア層まで楽しめる

上でも紹介した“壁”に加え、打ち返しやすいラケットといった要素もあり、テニスと比べて体力面の負担が少なく、子供からシニア層まで生涯楽しめる点も魅力とされています。

コートはテニスコートよりも狭く、強化ガラスと金網の壁で囲まれているので、走り回らなくてもプレイできます。また、壁に跳ねかえったボールも打球可能なのが大きな特徴です。
パデルのラケットはテニスラケットより短く、ガット(あみ)ではないので、ボールを打ち返すことが簡単です。スポーツが苦手な方や体力に自信のない方でも楽しんでいただける球技です。

日本には2013年に上陸 競技人口は約1万人

パデルは2013年に日本に上陸し、翌14年には普及などを行う団体「日本パデル協会」が設立され、現在、日本のパデル競技人口は約1万人と予想されています。今のところ全国7カ所にパデルコート施設が建設されていて、協会では「2030年に競技人口100万人」を目指して普及を急速に進めているようです。

バブルサッカー

自分もボールのように…ノルウェー生まれの新型サッカー

バブルサッカーは、巨大なビニールボール(バブルボール)を身に付けてプレイする新しいサッカーです。

バブルサッカーはノルウェーのサッカーバラエティTV番組で誕生した新しいスポーツです。現在、ヨーロッパではトーナメントなども開始され、技術の有無に関わらず楽しめるサッカーとしてEUで広がっています。
自分もボールのように転がり、爆笑しながら楽しめます。運動神経やスポーツ経験はあまり関係ありません。バブルサッカーは「みんなのスポーツ」なのです。

統一ルールはナシ!

バブルフットボールはヨーロッパ各国、北アメリカ、オーストラリアなどで次々とチームが結成されていますが、ルールは統一されておらず、各国の好みで柔軟にプレーされています。

ただ、1チーム5人(うち1人は「バブルキーパー」)といった、フットサルに準じたルールで行われることが多いようです。
また、バブルボールの頭の空洞部分にボールが入った場合の「ヘッドイン」など、独特の反則がある点は特徴的と言えます。

運動神経はあまり関係ない?

運動の得意、不得意に関係なく楽しめる点も魅力だといいます。

<バブルサッカーの特徴>
1.怪我が少ない!
→バブルボールを身にまといサッカーをするため怪我が少ないスポーツです。
2.男性はもちろん、女性でも楽しめる!
→通常のサッカーに比べ、サッカーレベルの差が出にくく、女性や普段スポーツをしない方でも楽しめます。
3.観戦しても楽しい!
→バブルボールを着用しているため、転んだり、1回転したりすることもあり、サッカーでは見られない試合風景も必見!
実際に対戦してみて感じたのは、確かにこのバブルサッカーは、「全身がバブルボールに包まれている」という共通のハンデからか運動神経があまり関係なく、小柄な女性がキックした何気ないシュートがゴールに入ったり、サッカー経験者の男性がシュートを外すということも度々あったりと、かなり“運が左右する”スポーツのようです。

2018年にバブルサッカーW杯開催?

世界における急激な競技人口の増加を背景に、IBFA(国際バブルフットボール協会)が設立されるといった動きをみせるバブルサッカー界。日本バブルサッカー連盟の公式サイトによると、バブルサッカーワールドカップが「2018年1月頃開催(予定)」とのことですが、果たして開催されるのでしょうか?

アメフトの「バブルフットボール」も誕生

つい先日には「バブルフットボール」を開発した、というリリース記事も届いていて、現在、体験会が開かれています。

株式会社おさるの森は、関西学生アメリカンフットボール連盟と提携し「バブルフットボール」という新スポーツを開発しました。
本競技は「バブルサッカー」でおなじみのバブルボールを使用したアメリカンフットボールで、コンタクトスポーツの醍醐味である「人との接触」をよりダイナミックに行える競技です。

ビリッカー

ビリヤード×サッカー

フランス生まれのBillcceR(ビリッカー)
現地では「スヌークボール(Snook Ball)」と呼ばれるこのゲーム、やることはビリヤードと同じです。ビリヤード台をそのまま大きくしたようなものが競技場。球は小型のサッカーボール10個+手球1個が1組で、それぞれにビリヤードの球と同じデザインが施されています。プレイヤーは、キューで手球を撞く代わりに、足で蹴ったり頭で手玉をヘディングしたりします。

遊び方もビリヤードと同じ

遊び方には「ナインボール」や「エイトボール」というビリヤードと名前もルールも同じものがあり、「ノーヒット」「ノークッション」といったファウルもビリヤードと同じです。
ただ、ビリッカー独特の用語も存在していて、「シュート」「ゴール」「フリーキック」といった通常のサッカーで聞き慣れた用語も、ビリッカーでは意味が少し異なるようです(何となく通じそうな気はしますが…)。

2015年に日本上陸

ビリッカーは2015年に日本へ上陸。同年6月に東京で大会が開かれ、8月には「日本ビリッカー協会」が設立されています。
また、今年5月にはセイコーウオッチのWEB限定ムービーでビリッカーが取り上げられるなど、人気が高まりつつあるようです。

フットダーツ

サッカー×ダーツ

フットダーツは昨年7月に生まれ、今年5月に日本に上陸したばかりという、かなり新しめのスポーツです。

フットダーツは、面ファスナーで覆われたボールを蹴って、高さ4mのビニール製エアーダーツボードに当てて得点を競うサッカーとダーツをミックスした新スポーツだ。ダーツ発祥の地であるイギリスのスポーツ施設運営団体によって2016年7月に発表された。

8月5日に日本初の大会を開催

上陸間もないフットダーツですが、8月5日にはさっそく大会が開かれています。

海外ではトップサッカー選手のプレー動画が注目浴びる

イギリスで生まれた新スポーツだけに、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティやアーセナルの選手などがプレーしている動画が多く再生され、世界的にも注目が増しているようです。

古くからある「遊び」を競技にしたもの

チェイスタグ

ガチすぎる「鬼ごっこ」

9月初旬、ハイレベルな「鬼ごっこ」世界大会の模様を収めた動画が「ガチすぎる」と話題となりました。
この本気の鬼ごっこは、「チェイスタグ」と呼ばれる新スポーツです。

チェイスタグは、鬼役と子役に分かれて行われる。子役は制限時間20秒まで、障害物が所狭しと置かれたエリア内を駆け回り、鬼役の猛追を振り切れば勝ち。子役の体に触れれば、鬼役の勝ちとなる。
障害物の上を飛び越えたり、下をかいくぐったりする身体能力は必要不可欠で、相手の一歩先を読む能力も求められる。

すでに世界大会を2回開催

チェイスタグの世界大会は昨年12月に初開催され、今年の7月には第2回大会も開催されています。上のYouTubeの動画は第1回大会、冒頭のTwitterで紹介されている動画は第2回大会のハイライト動画です。
なお、世界大会を主催する団体「World Chase Tag」は、2018年開催予定の大会に向けて現在アスリートを募集しています、

基礎となったのは「パルクール」

チェイスタグは「パルクール」を応用したスポーツとされています。
そのパルクールとは…

人が持つ本来の身体能力を極限まで追求し、引き出し、難解な壁や地形や街を活かし、走る、跳ぶ、登るなどの動作を高次元で実践する新たなカルチャーであり、ヨーロッパを中心にニューウェーブスポーツとして世界で大流行中である。

チェイスタグで必要とされる能力は、「トレーサー」と呼ばれるパルクールの実践者が持つ能力と共通するため、チェイスタグの選手の9割はトレーサーが占めているといいます。
また、パルクールについてはよく「スポーツ」と表現されているものの、「移動するための技術」や「芸術」、果ては「哲学」と捉える人もいるため、チェイスタグはパルクールの競技としての側面を抽出したスポーツと言えそうです。

スラックライン

ダイエットにも最適な「綱渡り」スポーツ

スラックライン(slackline 綱渡り)は、幅5cmのベルトの上を綱渡りのように歩いたり、飛び跳ねて楽しむバランス感覚をフルに使ったスポーツです。また、体幹を鍛えながらバランス感覚を養うことができ、ダイエットにも最適であることから、近年、女性人気も高まっています。

なお、スラックライン(slackline)の「slack」は「ゆるい」「たるんだ」「いいかげん」といった意味を持ちます。

競技としては「綱渡り×トランポリン×ダンス」

木や柱の間に張った伸縮性のあるベルト状のものの上を歩いたり、飛び跳ねたりなど、綱渡り・トランポリン・ダンスを融合させたヨーロッパ発祥のスポーツです。
中でも一番の醍醐味はトリックラインと言われる、幅5cmのラインを高い位置に設置しそのラインの上をトランポリンのように飛び跳ね技を繰り出すスポーツです。

上の解説にあるように、競技としては主に「トリックライン」と呼ばれれるトランポリンに似た種目で競われます。このほか、本来の「綱渡り」として単純にバランスを取りながら距離を競う「ロングライン」、足がすくむような岩峰の間など高い場所にラインを張って渡る「ハイライン」、海や池などの水上にラインを張って行う「ウォーターライン」といった種目があり、日本ではトリックラインの競技者が最も多く、2015年の大会を皮切りにロングラインの競技も行われているようです。
また、スラックラインの普及啓蒙活動や大会の主催、施設の認定などを行う団体「日本スラックライン連盟(JSFed)」も設立されていて、大会成績に応じたランキングも発表されています。

スラックラインが有名になったきっかけは「ハイライン」

スラックラインが注目を浴びるようになったきっかけは、とにかく高いところを渡ってアピールするハイラインといわれ、気球の間に張ったラインを渡る映像などに見覚えがある人もいるのでは?

スポーツチャンバラ

“チャンバラごっこ”から生まれたスポーツ

子どもの遊び“チャンバラごっこ”から生まれたスポーツチャンバラ(愛称:スポチャン)は、エアーソフト剣を使い、老若男女を問わず、誰もが安全に楽しめるスポーツ。負けたと思ったら自ら申し出る“自心審判”の精神に則って行われるのが特徴です。

国体でも実施される歴史ある新スポーツ

新スポーツのイメージがあるスポーツチャンバラですが、その発祥は1971年とされ、世界大会も昨年で第42回を数えるという、ある程度の歴史を積み重ねてきたスポーツです。国体にもデモンストレーションスポーツとして毎年採用されています。
「自分の武器(得物)が相手に当たったら勝ち」というシンプルなルールが特徴ですが、さすがに歴史があるだけに、得物だけで小太刀、長剣フリー、二刀、棒、杖、槍、盾小太刀、長剣両手、短刀など多くのバリエーションがあり、種目が細かく分かれています。


紹介するスポーツのチョイスに偏りを持たせた気はないのですが、最後に見返すとサッカーの要素を含む新スポーツが多い印象を受けるかもしれません。サッカーが人気スポーツであることと、普通は「手でやる」ものを「足や頭でやる」という発想が浮かびやすいからでしょうかね。
チェイスタグのようなガチな競技を除き、基本的には「誰でも気軽にできる」というハードルの低さが新スポーツの特徴のひとつですので、スポーツの秋に合わせて、興味がわいたスポーツにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?