特集2017年7月4日更新

2017年上半期重大事件~海外編

昨日公開した「国内編」に続き、本日は「海外編」。今年の上半期に海外で起きた重大事件やムーブメントを振り返っていきます。

目次

ドナルド・トランプ新大統領が就任

1月20日、就任式を経て第45代米国大統領に

「アメリカ第一主義」の姿勢を強調

1月20日、アメリカ大統領の就任式が開催され、ドナルド・トランプ氏が第45代大統領に就任。トランプ氏は就任演説で「この日から、アメリカ第一主義になります」と述べ、自国の利益を最優先する「アメリカ第一主義」を掲げました。

トランプ氏が大統領選期間中から強調してきた「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」の考えを改めて強調した。
「新しい信条をすべての国民に広めていきたい。新しいビジョンが、これから私たちの国を率いていきます、この日から『アメリカ・ファースト』という信条が、私たちを導いてくれるのです。貿易、税金、移民、外交に関するすべての決定は、アメリカの労働者に、アメリカの家族にとって有利になるようにします。私たちの国境を守る必要があります。私たちの製品、私たちの雇用を奪われてはならないのです。保護することで繁栄を遂げることができるでしょう」

就任直後にTPP離脱を表明

就任式で演説を終えたあとすぐに、大統領選挙中からの公約でもあったTPP(環太平洋パートナーシップ協定)からの離脱を表明しました。

トランプ新政権はホワイトハウスのホームページを通じて通商戦略を発表し、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)からの離脱を表明。
また、カナダ、メキシコと結んだNAFTA(北米自由貿易協定)についても再交渉を求めており、両国が応じない場合は離脱する意向を示した。

TPPへの「復帰はない」

日本を含めたTPP合意国はアメリカに対してTPPへの復帰を呼びかけていますが、アメリカ側は復帰を明確に否定しています。

TPP閣僚会議と同時にAPEC貿易相会合が開かれ、そこには、米国を代表して米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表が登場した。同代表はTPP復帰を明確に否定したうえで、今後の通商政策は「多国間の貿易協定よりも2国間のほうがいい」とするトランプ政権の方針を改めて強調した。

1月27日、「イスラム教国」7カ国出身者の入国禁止措置

トランプ大統領は1月27日、テロ対策の一環として、イスラム教徒が多い7カ国の国民がアメリカに入国することを禁止する命令を出しました。

トランプは27日の大統領令で、入国審査の厳格化を進める間の暫定的な措置として、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの7か国からの渡航者の米国への入国を90日間停止した。

現在も続く騒動…6月29日に条件付きで執行

この突然の大統領令によってアメリカのみならず、世界各地の空港などが大混乱に陥りました。中東各国は反発し、アメリカ国内でも抗議デモが起き、裁判所は大統領令の執行停止を決定しました。こういった動きに対してトランプ大統領は3月6日、対象を「6カ国」「新規ビザ取得」に絞った新たな大統領令に署名。ただ、この新しい大統領令に対しても連邦地裁は一時差し止めを決定し、連邦高裁もこの決定を支持していました。
そして、事態は最近になって新たな動きを見せています。6月26日に連邦最高裁が大統領令に対して一部容認の判断を下し、この判断を踏まえて29日には条件付きで大統領令が執行されました。

ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が出したイスラム圏6か国からの入国禁止令が米東部時間29日午後8時(日本時間30日午前9時)に条件付きで執行された。家族のつながりがどこまで認められるかなどの議論が続く中、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンからの渡航者に対するビザの発給にはより厳格な制限が設けられる。

6月1日、「パリ協定」離脱表明

トランプ大統領は6月1日、ホワイトハウスにおける演説で地球温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」からアメリカが離脱すると正式に発表しました。

アメリカのトランプ大統領が「パリ協定」からの離脱を表明しました。パリ協定とは、「京都議定書」に代わる温暖化対策の新たな国際的枠組みで、2020年以降の取り組みを定めたものです。2015年12月の「COP21」と呼ばれる国際会議で採択され、6月6日現在、148か国・地域が締結しています。

各方面から失望や反発の声

パリ協定からの離脱表明に対しては、イタリア、フランス、ドイツのEU諸国をはじめ、日本、カナダなどの同盟国からも相次いで「遺憾の意」が表明され、アメリカ国内や経済界からも反発の声が上がっています。

「ロシアゲート」で揺らぐトランプ政権

現在、ロシアとのつながりを疑われている「ロシアゲート」でトランプ大統領が追い込まれつつあります。
この疑惑は、昨年の大統領選でロシア政府がトランプ陣営に有利な働きかけを行ったとされる問題を発端にしていますが、5月9日に連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官をトランプ大統領が電撃的に解任したことから疑惑が一気に再燃しました。
ちなみに「ロシアゲート」の呼び名は、ニクソン大統領が辞任に追い込まれ、アメリカ大統領史上最大のスキャンダルとされる「ウォーターゲート」事件から来ています。

ロシアとトランプ陣営が癒着していたという「ロシアゲート」疑惑で、FBI(米連邦捜査局)のコミー前FBI長官が「トランプ大統領から圧力を受けた」と米上院で証言した。トランプ氏の言動は司法妨害であり、弾劾による罷免の可能性もある。コミー氏の証言でトランプ大統領は最大のピンチに追い込まれた。

プーチン大統領と初の直接会談へ

シリア情勢をめぐる関係悪化やロシアゲート疑惑を抱える中、7月7~8日にドイツで開かれるG20首脳会議に合わせ、ロシアのプーチン大統領とトランプ大統領が初の直接会談を行うことが明らかにされています。

マクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)は29日、トランプ大統領が来週ドイツ・ハンブルクで開催される20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する際、ロシアのプーチン大統領と会談することを明らかにした。

終焉近づくISの“あがき”

欧州でも相次ぐテロ

年明け早々、トルコで銃乱射テロ

1月1日、トルコのイスタンブールで銃乱射テロが発生。後日、過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行を認め、「キリスト教徒が背教的な祝日を祝っていたナイトクラブを襲撃した」との声明を出しました。

トルコのイスタンブールで1日未明(現地時間)、ナイトクラブで銃乱射テロが発生し、少なくとも35人が死亡し、40人以上が負傷した

ISが声明を出した主なテロ

イスタンブールの事件を皮切りに、今年も中東を中心に世界各地でテロが相次ぎました。その中でISが声明を出したテロをまとめてみました。

日付 場所 人的被害
1月1日 トルコ・イスタンブール 39人が死亡、69人が負傷
1月2日 イラク・バグダッド 少なくとも36人が死亡、52人が負傷
1月17日 イラク・サラーハッディー 少なくとも11人が死亡、8人が負傷
2月7日 アフガニスタン・カブール 22人が死亡、40人以上が負傷
2月16日 イラク・バグダッド 59人が死亡、66人が負傷
2月16日 パキスタン・セーワン 少なくとも88人が死亡、200人以上が負傷
3月8日 アフガニスタン・カブール 少なくとも50人が死亡、30人以上が負傷
3月20日 イラク・バグダッド 少なくとも23人が死亡、45人が負傷
3月29日 イラク・バグダッド 17人が死亡、60人以上が負傷
4月5日 イラク・ティクリート 31人が死亡、40人が負傷
5月2日 シリア・ハサカ 少なくとも53人が死亡
5月12日 パキスタン・バルチスタン 少なくとも25人が死亡、35人が負傷
5月22日 イギリス・マンチェスター 22人が死亡、120人が負傷
5月26日 エジプト・ミニヤ 29人が死亡
5月30日 イラク・バグダッド 少なくとも27人が死亡、100人以上が負傷
6月7日 イラン・テヘラン 13人が死亡、46人が負傷
6月9日 イラク・ムサイブ 少なくとも31人が死亡、35人が負傷

ISの関与は不明ながら、上表でまとめた以外にも、3月18日フランス・パリ、同22日イギリス・ロンドン、4月3日ロシア・サンクトペテルブルク、同7日スウェーデン・ストックホルム、同11日ドイツ・ドルトムント、同20日パリ、6月3日ロンドン、同6日パリ、同19日ロンドンと、欧州でテロと思われる事件が相次ぎ、「欧州は危ない」という印象が広がった2017年上半期といえます。

「第2ステージ」に入ったISによるテロ

以下の記事では、元公安調査庁東北公安調査局長の安部川元伸氏が「ISによるテロの新しい傾向」を指摘。IS最大の拠点であったシリアのアレッポに続き、イラクのモスルも陥落目前といわれる中で、ISはテロの実行場所を欧州、米州、豪州、東南アジアなどに移し始めているといいます。

ISは明らかに戦闘方針を転換してきており、テロの矛先を帰還戦士たちの「出身国」にシフトしていると考えられます。したがって、ISをめぐるテロ情勢は、いよいよ「第2ステージ」に入ったと考えられ、先進国、特に有志連合の加盟国では厳重な注意が必要になるでしょう。

イラク最大の拠点モスル陥落は「時間の問題」か

上でも触れたように、ISのイラク側の拠点であるモスルの奪還作戦が最終局面を迎えていて、その模様が6月に入ってから連日報じられています。さらにこの1週間は、ISの象徴だった「ヌーリ・モスク」を取り戻したこともあり、「いよいよ制圧」といった内容の記事が大勢です。

イラク軍は5月27日、旧市街などIS支配地区での掃討作戦に着手すると表明。IS指導者のバグダーディ容疑者が2014年夏に自らを「カリフ」(預言者ムハンマドの後継者)だと宣言し、6月21日にIS側が爆破したとみられる「ヌーリ・モスク」について、アバディ首相が同月29日に奪還を声明で明らかにするなど、完全制圧は時間の問題とみられてきた。

東南アジアで拠点構築を進めるIS

シリアとイラクで拠点を失いつつあるISは、新しい拠点を求めてアジアに進出してきています。現在、フィリピン南部のミンダナオ島でIS系武装勢力とフィリピン軍との戦闘が膠着状態に陥っていて、自治権をめぐって政権との交渉が続いています。

ISがフィリピンの政治的混乱に乗じ、イスラム教徒が多く居住し、しかも、ISの最高指導者のアブ・バクル・アル・バグダディ(6月にロシア軍機の爆撃で死亡したとの説がある)に忠誠を誓っているイスラム過激派組織が複数存在しているフィリピンは、ISにとって新たな拠点を作るにはもってこいの場所と言えるでしょう。

世界から孤立深める北朝鮮

11回のミサイル実験

金日成主席生誕105周年、朝鮮人民軍創建85周年といった記念日が連続した4月を中心にミサイル発射を繰り返した北朝鮮。2月12日の弾道ミサイル発射から7月4日の弾道ミサイル発射まで、今年はすでに計11回のミサイル発射を行っています。
また、核実験を強行するのではないかとも見られていて、国連安全保障理事会が制裁決議を採択するなど国際社会は圧力を強めています。

国連安全保障理事会は2日、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮を強く非難し、北朝鮮の核やミサイル開発にかかわる4団体と14個人を資産凍結や渡航禁止の対象に追加する決議案を全会一致で採択した。

2月13日、金正男氏を「暗殺」か

北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男氏が「殺害された」というニュースをKBS(韓国放送公社)や聯合ニュースが報じた。「北朝鮮の女性工作員による暗殺」との報道も見られる。

金正男氏の死の真相はいまだ解明されておらず、正男氏の遺体が北朝鮮に渡ったこともあり、今後も事件の全容が明らかにされる可能性は低そうです。
またこの問題では、事件が起きたマレーシアと北朝鮮の関係悪化も話題に。伝統的友好国であるマレーシアの捜査に非協力的であったり、遺体引き渡しに関して北朝鮮にいる“人質”との交換を突き付けるなど、北朝鮮の身勝手な振る舞いも話題となりました。

分裂か再結束か…欧州の未来は?

5月7日、フランス新大統領にマクロン氏

2017年5月7日投票のフランス大統領選は、無所属で中道のエマニュエル・マクロン前経済相(39)が得票率66%で当選し、極右国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首(48)を大差で退けた。

6月18日の下院議会選でもマクロン新党が勝利

大統領選挙に続いて行われた議会選挙でもマクロン氏が立ち上げた新党が過半数を確保する勝利を収め、政権の安定的な運営に必要な議会基盤を固めることに成功しました。

18日投開票したフランス国民議会(下院、定数577)選の決選(第2回)投票は、マクロン大統領率いる新党「共和国前進」が過半数を確保した。

EUは大きく変わらない?

大統領選挙でフランスのEU離脱を訴えた極右政党のマリーヌ・ルペン氏を退けたマクロン氏。「右でも左でもない」中道のマクロン大統領誕生は、EUを大きく変えることにはならないという見方が大勢のようです。

マクロン大統領の唱える多文化主義・弱者保護・欧州統合推進といった政策は、EUが目指す方向性とおおむね一致しており、非常に保守的な色合いが濃い。
共和党のブルーノ・バーナード議員 は、「これまでの仏大統領がそうであったように、マクロン大統領もEU内で突出した権力を得る可能性はない」「フランスはEUに反旗を翻せるほど強くはない」と、実質上EUを牛耳るメルケル独首相と対等に意見を戦わせるような強さが、自国の新大統領に備わっていない点を指摘した。

イギリスでは与党が過半数割れ

イギリスでは6月8日に議会下院の選挙が行われ、与党・保守党の過半数割れという事態になりました。

8日に行われたイギリスの総選挙では、選挙前に議会下院で過半数を占めていた与党の保守党が13議席を失い、単独過半数に達しないというまさかの結果に終わった。女性の選挙資格が男性と同等になった1929年以降、イギリスではいずれの政党も議会で過半数を制することができなかった事例がこれまでに3度あったが、今回の選挙でも保守党が議席の過半数を獲得できなかったため、4度目の「宙づり国会(ハング・パーラメント)」が誕生した。

メイ首相が掲げる「ハードブレグジット」に暗雲

そもそもこの選挙は、2020年に実施される予定だった総選挙をわざわざ前倒しして、EU離脱交渉に備えて政権基盤を強化するという狙いのもと、メイ首相が仕掛けた選挙。つまり、仕掛けた当初は保守党の「圧勝」が見込まれていた選挙でした。しかし、メイ首相の狙いは失敗に終わり、EUから完全に離脱する「ハードブレグジット」に暗雲が立ち込めてきています。

反EU勢力に衰え

オランダでも極右勢力の勝利ならず

3月15日にはオランダの下院選挙が行われ、旋風が伝えられていた「オランダのトランプ」ヘルト・ウィルダース氏が率いる極右政党・自由党は伸び悩みました。

選挙が相次ぐ欧州政界の動向を占うオランダ下院選挙(定数150)は、ルッテ首相率いる中道右派の自由民主党(VVD)が第1党の地位を死守した。台風の目となったウィルダース氏の極右政党、自由党(PVV)は伸び悩んだ。ルッテ氏は「民主主義の勝利」を宣言し、ドイツ、フランスなど現政権も安堵した。

ポピュリズム失速で息を吹き返すEU

オランダ総選挙やフランス大統領選の結果から見られるように、2017年を迎える前に懸念されていた「ポピュリズム(大衆迎合主義)の台頭」は失速してきた感があります。この点について、トゥスクEU大統領は「反EU勢力が衰え始めた」と指摘し、EUの支持率も大幅に回復しています。

調査会社ピュー・リサーチ・センターが今月公表した調査では、昨年、急落が顕著だったEUの支持率は今年、対象10加盟国中8カ国で大幅改善した。英離脱やトランプ米政権誕生に伴う国際情勢の不透明感で「多くの人々が実験を恐れた」(独メディア)ともいわれる。

ドイツでは9月に総選挙

なお、EUの行く末を占う流れとして、9月に行われるドイツの連邦議会選挙も注目を集めています。

新大統領就任でどうなる韓国情勢

「韓国の状況は日本よりも複雑だ」

下に紹介する記事では、韓国の専門家が自国が現在置かれている状況について「非常に複雑な状況に陥っている。日本よりも複雑だ」と述べています。
これは高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備でアメリカと中国に挟まれている状況を指していますが、昨年から続いていた朴槿恵前大統領のスキャンダル、それに伴う罷免とサムスン経営トップの逮捕、そして文在寅大統領の誕生、さらに慰安婦を象徴する少女像の設置をめぐる日韓関係の悪化など、現在の韓国は多くの問題を抱えています。
そんな隣国・韓国の2017年上半期の主な動きを軽く振り返っていきましょう。

1月6日、日本の駐韓大使らが一時帰国

2017年1月6日、日本政府は、韓国・釜山の日本領事館前に慰安婦問題を象徴する少女像が設置されたことに抗議し、長嶺安政駐韓大使、森本康敬釜山総領事を一時帰国させるなどの措置を取ると明らかにした。

現在も続く対抗措置

長嶺駐韓大使は4月4日に帰任しましたが、日本がとった4つの対抗措置のうち、「日韓通貨スワップ協議の中断」「日韓ハイレベル経済協議の延期」「釜山総領事館職員による釜山市関連行事への参加見合わせ」という残り3件は現在も続いています。

2月17日、サムスントップ逮捕

サムスン電子の李在鎔(イ・ジェヨン)副会長(49)が2月17日早朝、朴槿恵(パク・クネ)大統領側に数百億ウォン台(数十億円)の賄賂を送った容疑などで逮捕された。
1938年に李副会長の祖父となる李秉喆(イ・ビョンチョル)氏が創業して以来、同グループのトップが逮捕されたのは今回が初めてだ。

3月10日、朴槿恵大統領の罷免決定

2017年3月10日午前、韓国の憲法裁判所は全員一致で朴槿恵大統領の罷免を認める決定を言い渡した。韓国憲政史上初めて弾劾により失職した大統領となった。

3月31日には逮捕

韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領は31日未明、収賄容疑などにより逮捕された。ソウル中央地裁の逮捕状発付を受け、検察は直ちに朴前大統領の身柄を拘束。韓国の大統領経験者の逮捕は全斗煥(チョン・ドゥファン)氏、盧泰愚(ノ・テウ)氏に次ぎ朴前大統領が3人目となった。
検察は、「大統領の強大な地位を利用した職権乱用という事案の重大性」、「容疑をすべて否認していることから憂慮される証拠隠滅の怖れ」、「すでに逮捕した崔順実氏やサムスンの李在鎔副会長など事件に関連した人物との公平性」の3点を挙げ、ソウル中央地方裁判所に逮捕状の発付を請求していた。

4月26日、米軍がTHAAD配備開始

2017年4月26日、中韓の間で問題となっている高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備が電撃的に開始された。25日夜に装備搬入の事実が知らされると配備地周辺の住民らによる搬入阻止の座り込みが行われたが、警察5000人と対峙(たいじ)の末、26日午前4時40分ごろ、装備は敷地内に入った。

「費用は韓国が払って」トランプ氏発言で騒動

27日にはアメリカのトランプ大統領がTHAADの費用について「韓国に支払ってほしい」と発言し、韓国で大騒ぎに発展。この騒動は、アメリカが設置、運用、保守のコストを負担することで決着しました。

これが報じられると、韓国はまさに上を下への大騒ぎとなった。韓国の報道によると、韓国軍関係者は28日午前、「トランプ大統領の(発言の)意図と背景など、各方面に当たり事実関係を把握中」と表明、追って国防部が「在韓米軍地位協定(SOFA)の規定により『韓国政府は敷地やインフラ施設などを提供し、THAADの展開および運営・維持費用は米国側が負担する』という基本的立場に変わりはない」とのコメントを出した。

中国で広がる「反韓」

中国本土も探知範囲に入るTHAAD。それだけに、韓国のTHAAD配備に対して中国からの反発が広がっていて、中国人観光客の大幅減、韓流コンテンツ締め出しや韓国製品の不買運動など、韓国の経済に大きな影響が出ています。

2017年5月3日、高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に対する中国の各種経済報復による被害額が、今年だけで、韓国は8兆5000億ウォン(約8500億円)、中国では1兆1000億ウォン(約1100億円)に達するという分析が出された。

5月10日、文在寅氏が韓国大統領に就任

韓国の第19代大統領に革新系「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏が就任した。
5月9日に行われた大統領選挙において、文氏は1342万3800票(得票率41.08%)を獲得。保守系「自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏(785万2849票/同24.03%)、中道系「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)氏(699万8342票/同21.41%)に大差で勝利した。

慰安婦問題で日本に「公式謝罪」要求

竹島への上陸経験もあり、「反日」とも称される文氏。ただ、選挙でも「日韓合意を無効にし、再交渉を推進」と掲げて戦っていたわりには、就任以降、慰安婦問題をめぐる発言は目立ちませんでした。
しかし最近になって、ワシントン・ポストやロイター通信のインタビューに応じて、「日本は謝罪すべき」「日本は努力していない」といった考えを主張しています。

韓国の文在寅大統領は米紙ワシントン・ポストとの単独インタビューで、慰安婦問題をめぐる2015年12月の日韓合意に関し、「問題解決のための核心は日本が法的責任を認め、公式謝罪をすることだ」と主張するとともに、この理由について、「韓国国民が合意を受け入れておらず、特に被害者が合意に反対している」と指摘した。

まだまだあった上半期の重大ニュース

ここまで紹介していない2017年上半期の海外重大ニュースを一気に紹介していきます。

南スーダンやソマリアで拡大する飢餓

2月20日、南スーダンの北部ユニティ州のレール郡そしてメヤンディット郡で「飢きん(飢饉)」が宣言されました。しかし、その被害はソマリア、ナイジェリア、イエメンにも拡大する危険があります。

3月23日、反プーチン派の亡命ロシア下院議員が射殺される

3月23日、ウクライナに亡命していた元ロシア下院議員デニス・ボロネンコフ氏が、ウクライナの首都キエフにあるプレミア・パレス・ホテルから出てきたところで銃撃を受け、死亡した。かねてよりプーチン大統領批判を繰り返してきたことへの報復とみられ、事件後、ウクライナ政府は、国家的テロであるとしてロシア政府を非難した。

4月6日、米軍がシリアにミサイル攻撃

米軍は6日夜、シリア・アサド政権の空軍基地を、約50発の巡航ミサイルで攻撃した。6年前にシリア内戦が始まって以来、米軍が直接アサド政権の軍事施設を攻撃するのはこれが初めて。
(中略)
ミサイル攻撃は、今週アサド政権が反体制派の拠点であるイドリブ県で空爆を行い、化学兵器を使用して多数の住民を殺害したと見られることへの対抗措置。

4月15日、世界最高齢の女性が死去 19世紀生まれ最後の一人

イタリアのエマ・モラノさんは、存命する最高齢の人として117年の長い人生を終えました。1899年11月29日生まれ。そう、地球で最後の19世紀生まれの人だったのです。

「WannaCry」による大規模なサイバー攻撃

欧州を中心に5月12日から14日朝までに、世界の104カ国で相次いでかつてない大規模なサイバー攻撃が発生した。マイクロソフトはウィンドウズを保護するため、3月に続いて改めて防御措置を講じたとの声明を出した。

チェルノブイリ原発も被害 現在も続く大規模攻撃

身代金要求型ウイルス(ランサムウエア)を使ったサイバー攻撃は現在でも続いています。つい先日も、チェルノブイリ原発のシステムが被害に遭ってニュースになっていました。

ウクライナやロシア、欧米など世界各地で、2017年6月27日(現地時間)、身代金要求型ウイルス(ランサムウエア)を使ったサイバー攻撃が起きた。
(中略)
チェルノブイリ原発周辺の放射線自動監視システムの一部が27日に接続不能となり、手動に切り替えられた。現在は正常に機能しているという。

6月5日、中東6カ国がカタールと国交断絶

中東のカタールに対して、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、イエメン、エジプト、モルディブの6か国が2017年6月5日、国交断絶を表明した。6か国は、カタールがテロ組織を支援しているなどと主張している。

6月14日、ロンドンの高層マンションで大規模火災

6月14日深夜、ロンドンの24階建ての高層マンションで火災が発生。火元は4階だったが、炎は外壁を伝って瞬く間に上階へ広がった。
スプリンクラーも火災報知器も作動せず、多くの住人が逃げ遅れ、80人の死者を出す大惨事になった。(6月26日現在)

いろんな出来事があった中で、今年上半期の海外ニュースといえば、テロ事件、もしくはテロと思われる攻撃の多さが印象に残っている方は多いのではないでしょうか。特にイギリスで頻発しているイメージがあるものの、イギリスの観光の予約状況は好調であるという記事もあって、こちらも印象的でした。「テロには屈しない」という強い意思に感心するとともに、テロが起きない未来が来ることを願わずにはいられません。