ノーベル賞2016特集

物理学、化学、生理学・医学、文学、平和、経済学の分野において人類に貢献した人物に贈られる「ノーベル賞」。1901年から続くこの賞は、日本人もここ2年連続受賞していて3年連続の期待がもたれています。ノーベル賞は10月3日から順次発表される予定です。ノーベル賞の歴史、そして受賞の期待のかかる日本人の情報をお伝えします。またおまけとして?「裏ノーベル賞」こと「イグ・ノーベル賞」についてもご紹介。こちらは日本人が10年連続で受賞しました! (2016年10月3日更新)

[写真] ノーベル賞大隅氏「受賞につながると思ったことない」基礎研究の重要性強調 / THE PAGE

今年の各賞、日本人の候補は?

ノーベル賞各賞の発表日程

10月3日(月) 医学生理学賞

10月4日(火) 物理学賞

10月5日(水) 化学賞

10月7日(金) 平和賞

10月10日(月) 経済学賞

10月13日(木) 文学賞

ノーベル医学・生理学賞を大隅良典東工大栄誉教授が受賞!

大隅良典氏(京都大学大学院理学研究科教授)

大隅教授の経歴

受賞コメント

「インパクトのある賞。私のような基礎的な(分野の)研究者も運が良ければ、こういう機会に恵まれると知ってほしい」

早急な結果を求めがちな風潮にチクリ

「“役に立つ”という言葉が、とても社会をダメにしていると思う。本当に役にたつのは、10年後か20年後か、あるいは100年後かもしれない。社会が将来を見据えて科学を一つの文化として認めてくれるようにならないかと強く願っている」

オートファジーとは

生物の体内では、古くなった細胞や外部から侵入した細菌などを食べるお掃除細胞、マクロファージがよく知られているが、人体に数十兆個あると言われる細胞ひとつひとつの中でも、古くなったタンパク質や異物などのゴミを集めて分解し、分解してできたアミノ酸を新たなタンパク質合成に使うリサイクルシステムが働いている。このリサイクルシステムのうち分解に関わる重要な機能がオートファジーだ。

受賞前の予想では

日本人では大隅良典東京工業大栄誉教授(71)が有望視される。飢餓状態に陥った細胞が自分自身のタンパク質を分解して栄養源にする自食作用「オートファジー」の仕組みを解明し、この分野の研究を飛躍的に発展させた。

「オートファジー(自食作用)の分子基盤を世界で初めて発見」


トムソン・ロイターによるノーベル賞クラスと予測される研究者を称える「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を、今年は日本人では医学・生理学で本庶佑氏、化学で前田浩氏と松村保広氏と、がん治療研究に功績のあった3氏が受賞している。


本庶佑氏(京都大学客員教授)

(写真:Digital PR Platform )

「プログラム細胞死1(PD-1)およびその経路の解明により、がん免疫療法の発展に貢献」


森和俊氏(京都大学大学院理学研究科教授)

細胞生物学では森和俊京都大教授(58)も有力だ。細胞内の小胞体という小器官で異常なタンパク質が増えるのを防ぐ品質管理の仕組みを明らかにした。

「小胞体ストレス応答のしくみを解明」


石坂公成氏(ラホイヤアレルギー免疫研究所名誉所長)

アレルギーを起こす原因である免疫グロブリンE(IgE)の発見

ちなみに2月20日は石坂公成・照子夫妻がこの「 IgE抗体」を発見し発表した日にちなんで「アレルギーの日」に制定されている


坂口志文氏(大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授)

「アレルギー反応機構の解明と制御性T細胞の発見」

「医学生理学賞が期待されているのは、今年9月発表の予想受賞者リスト"トムソン・ロイター引用栄誉賞"に名前が出た2人。坂口志文氏(大阪大学免疫学フロンティア研究センター特別教授)と森和俊氏(京都大学大学院理学研究科教授)です。森氏は"アメリカのノーベル賞"といわれる"ラスカー賞"を受賞しており、期待値は高いです」(生物学研究者)

物理学賞は英国出身の米研究者3人に

(写真:AFPBB News)

受賞理由は「物質のトポロジカル相とトポロジカル相転移の理論的発見」

英国出身のデビッド・J・サウレス (David J. Thouless)氏と、同じく英国のF・ダンカン・M・ホールデン(F. Duncan M. Haldane)、J・マイケル・コステリッツ(J. Michael Kosterlitz)両氏の2組に授与すると発表した。
3人は、凝縮系物理学の研究に貢献し、原子、電子や核子からなる拡張系の理解に多くの理論的貢献を果たし、個体物質が完全に予期せぬ行動を行うことを解明し、これらの数奇な特性を幾何学など数理的な構造で明らかにした。

受賞前の予想では重力波の検出が本命視されていたが…

「今年は厳しいかもしれません。というのも、昨年9月、アメリカの研究チームが、重力波を検出したと発表したからです。アインシュタインの相対性理論によって予測されたものが実証されたわけですから、そのインパクトは強い。」

候補として名前があがっているのは十倉好紀氏(理化学研究所創発物性科学研究センター長)、細野秀雄氏(東京工業大教授)、佐川真人氏(インターメタリックス社最高技術顧問)、大野英男氏(東北大学教授)、飯島澄男氏(名古屋大学特別招聘教授)など。

ノーベル化学賞は米・仏・オランダの3氏が受賞

(写真:AFPBB News)

受賞理由は「分子マシーンの設計と合計」

受賞するのは仏ストラスブール大のジャンピエール・ソバージュ名誉教授(71)、米ノースウエスタン大のフレーザー・ストッタード教授(74)、オランダ・フローニンゲン大のバーナード・フェリンガ教授(65)。
身の回りの機械は、可動部品の組み合わせで物を挟んだり、回転したりすることで機能する。分子機械は分子の組み合わせで同様の機能を実現。新たな素材やナノサイズのセンサー、エネルギー貯蔵システムなどの開発に役立つと期待されている。
受賞前の予想では日本人の前評判も高かったが…

前田浩氏(崇城大学DDS研究所特任教授/熊本大学名誉教授)

(写真:Digital PR Platform )

「がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果の発見」


松村保広氏(国立がん研究センター先端医療開発センター新薬開発分野分野長)

「がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果の発見」


藤田誠氏(東京大学大学院教授)

「自己組織化分子システムの創出と応用」


藤嶋昭氏(東京理科大学学長)

「光触媒(酸化チタン)の開発」

その他に名前があがっていたのはリチウムイオン電池を開発に関わった吉野彰氏(旭化成顧問)、西美緒氏(西美緒技術研究所)、水島公一氏(東芝リサーチ・コンサルティング)、「ロジャー・アダムス賞」の17年受賞者に決まった山本尚氏(中部大学教授)、分子機械の新海征治氏(九州大学名誉教授)、多孔質材料を研究する北川進氏(京都大学教授)、有機合成化学・触媒化学分野における世界ト的権威の村井真二氏(大阪大名誉教授)、不斉触媒の柴崎正勝氏(微生物化学研究所長)、日本の有機合成化学の父と呼ばれる向山光昭氏(東京大名誉教授)など

「デジカメやテレビのディスプレイに使われる有機ELを開発した山形大学の城戸淳二教授や、電気自動車やスマホの電源として現代生活に浸透しているリチウムイオン電池を発明した吉野彰(旭化成顧問)は、可能性が大いにある。ただ研究は横断的で、物理学賞か、化学賞かは読みにくいですが」

平和賞はコロンビア大統領に

(写真:AFPBB News)

コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領が受賞。
受賞理由は「50年以上に及んだ内戦の終結に向けた大胆な努力」

受賞前の予想では

日本からは「憲法9条を保持している日本国民」と「日本被団協」が平和賞への推薦を受理されているが、有力候補は難民支援団体「ギリシャ島民」やシリアの救済活動を行う団体など。

過去最多の376の団体・個人が推薦され、難民支援に携わる「ギリシャ島民」、シリアの紛争地で救済活動を行う「シリア民間防衛隊(ホワイト・ヘルメッツ)」など草の根組織が有力候補に挙がっている。

経済学賞は契約理論の米大学2教授に

(写真:ロイター)

2016年のノーベル経済学賞を、契約理論に貢献したとして、米ハーバード大学教授のオリバー・ハート氏と、米マサチューセッツ工科大のベント・ホルムストローム氏に授与すると発表した。

過去に日本人の受賞がない経済学賞だが発表前の予想では…

清滝信宏氏(プリンストン大学教授)

日本人で最も有力視されるのは、やはり主流派の考え方を基礎に議論を展開している米プリンストン大の清滝信宏教授だ。最近、経済学賞の候補として必ず名前が挙がる“常連”となっている。
文学賞は歌手のボブ・ディラン氏

(写真:AFPBB News)

村上春樹は“11度目の正直”ならず

 2006年、ノーベル賞の登竜門とされるフランツ・カフカ賞を受賞して以来、有力候補として名前が挙がってきた村上さんだが、“11度目の正直”はならなかった。英ブックメーカー「ラドブロークス」の最新賭け率では、ケニアのグギ・ワ・ジオンゴ氏(78)に次ぎ、シリアのアドニス氏(86)と並ぶ2位だったが、またしてもおあずけになった。

過去の経緯はこちら



2年連続受賞中。近年の日本人受賞例

(写真:Smartザテレビジョン )


2015年

2015年には、ノーベル物理学賞をニュートリノ研究の東京大学宇宙線研究所所長・梶田隆章氏が、ノーベル医学生理学賞を寄生虫やマラリア研究の大村智・北里大特別栄誉教授がそれぞれ受賞した。


2014年

(写真:サライ.jp )

2014年のノーベル物理学賞は、青色発光ダイオード(LED)を発明した、名城大学の赤崎勇教授、名古屋大学の天野浩教授、カリフォルニア大学の中村修二教授の3人が受賞。


日本人が10年連続受賞!「裏ノーベル賞」ことイグ・ノーベル賞

(写真:産経ニュース )

ユニークな研究をたたえるがイグ・ノーベル賞。今年も9月22日に発表され、10年連続で日本人研究者が受賞した。

同研究は、「股のぞき」によって視野と上体を逆さまにすると、視野が平面的に見え、遠くの物が小さく接近して見えるという現象を対象としたもの。京都府の天の橋立で砂嘴を股のぞきすると、砂嘴が橋のように空にかかっているように見える現象がその代表例として挙げられる。実験の結果、この「股のぞき効果」は網膜像の上下ではなく上体の逆転が原因で視覚世界が変化することによって生じることがわかった。
今回の受賞の喜びは「あんまりない。こんな研究に『えー、なんで?』という感じで驚きやった」と語り、集まった関係者を笑わせた。

今年の受賞者はこんな感じ。

イグ・ノーベル賞の目的は、「人を笑わせ、考えさせる研究活動」をたたえることにあります。今回受賞した10の研究や作品、活動も、ネズミにズボンをはかせるとか、石の性格調査とか、笑いを取りに来ているのか? と思わせるものがあります。でもよくよく見ると、じつはちゃんとした意図と斬新なアイデアがあって成り立っているんです

今年こそ…村上春樹は文学賞を受賞出来るのか?

(写真:NewSphere )

毎年この時期になると、村上春樹氏のノーベル文学賞受賞受賞に期待が集まる。ファンにとっては村上氏が2006年に「フランツ・カフカ賞」を受賞して以来の“恒例行事”ともなっている。

毎年、有力候補には上がるのだが…


2015年

昨年も前評判は高かったものの…

「え、え?」「なんて言った?」「なんか違う名前だぞ」。静かに騒然とした中、ヤクルトおじさんの肩が落ちるのを確認した。このあいだは、すぐ近くの神宮で14年ぶりに歓喜したであろうおじさん。結局、後方にいる私は誰が受賞したかわからないまま「受賞者は村上春樹ではない」ことだけはわかった。しかし会場がすごかったのはここからだ。すぐに司会者が「来年の受賞を願って、先ほどお渡ししたクラッカーを鳴らしてください」。ハルキストはタフだった。
しかし、結果は落選。毎年盛り上がっては落胆を繰り返しているだけに、『万年候補で終わるのでは?』と、ハルキスト達にも諦めムードが漂い始めているようです」(芸能関係者)
ここで改めて確認しておきたいのは、芥川賞が「ただ面白い小説」に与えられる賞ではないように、ノーベル文学賞も「ただ優れた小説家」に授与される賞ではない、ということだ。

2014年

この時も1番人気だった模様

スウェーデンメディアの評論家は「村上氏は読者に人気があるが、文学界では彼の作品には深みがないと指摘されている」としている
そもそも論ですが、村上春樹はノーベル賞を欲しいと思っているのかという件が、私は大変に気になっています。もちろん、彼に聞いてみなければわかりませんけどね。

多分今年も。書店員の切実な叫び

「ノーベル賞文学賞選考委員会様、もう七回も候補になっているって本当ですか。早く村上さんを選んでくださいね、もし一〇年以上経ってしまったら、世の中は電子書籍の時代になっていて、書店は、絶滅しているとは思いたくないけれど、ちょっとさびしい場所になっているかもしれません、考えたくないけれど。そうなると、テレビはアマゾンに押し掛けて、『電子書籍村上春樹本』の買い注文がドンドン伸びていく画面(そんなのあるのかな?)などというのを撮るのでしょうか。 本当に急いでくださいね。」

2013年

「村上が今回文藝春秋から新作を出したのは、同社の海外著作権室を使って、ノーベル文学賞選考委員にアピールしたかったからと、もっぱらのうわさです。彼が今まで書き下ろしの長編小説を出版してきた新潮社や講談社も翻訳物が強い会社ですが、今回は新しいラインを構築するべく、文藝春秋からの出版となったわけです」(別の出版社社員)
「川端康成、大江健三郎ならこれほど熱中しませんよ。純文学界から“大衆的すぎる”と批判される村上さんだからこそ、ノーベル文学賞を獲ってほしい。いずれは必ず受賞するはずです」(「6次元」オーナーであり村上春樹研究者のナカムラクニオ氏)

2012年

この年も1番人気だったが…受賞者が同じアジアの中国人作家だっただけに、ショックは大きかった