ノーベル賞2018特集 受賞者と日本人候補者まとめ

2018年10月9日更新

今年のノーベル賞の発表は10月1日の医学・生理学賞から始まり、8日の経済学賞で受賞者が出そろいました。各賞の受賞者を紹介するとともに、有力とされていた日本人候補者とその研究内容も紹介していきます。

ノーベル賞に関する最新ニュース

キャンベル米国務副長官「岸田、尹両氏はノーベル平和賞に値」 日米韓連携、インド太平洋安定に貢献

産経ニュース / 2024年4月25日 13時18分

【ワシントン=大内清】キャンベル米国務副長官は24日、ワシントンの有力シンクタンク「ハドソン研究所」のイベントに参加し、日米韓3カ国による連携構築を通じてインド太平洋地域の平和と安定に多大な貢献をしているとして、岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「ノーベル平和賞の共同受賞に値する」と語った。両氏が「困難な歴史問題やそれぞれの国内での抵抗を乗り越えて(協力に向けて)強い決意を示し [全文を読む]

医学・生理学賞

本庶佑・京都大学特別教授と米国のジェームズ・アリソン氏が受賞

授賞理由は「免疫抑制の阻害によるがん治療法の発見」

スウェーデンのカロリンスカ研究所は1日、2018年のノーベル医学生理学賞を京都大高等研究院の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授(76)と米テキサス大のジェームズ・アリソン教授(70)の両氏に授与すると発表した。本庶氏は免疫の働きにブレーキをかけるたんぱく質「PD-1」を発見し、このブレーキを取り除くことでがん細胞を攻撃する新しいタイプの「がん免疫療法」を実現した。
授賞理由は「免疫抑制の阻害によるがん治療法の発見」。

「サイエンスは未来への投資だ」

ノーベル医学生理学賞に選ばれた本庶佑京都大特別教授(76)が、受賞決定から一夜明けた2日、妻の滋子さん(75)と京大(京都市左京区)で記者会見し、「基礎研究が応用につながることは決してまれではないと実証できた。サイエンスは未来への投資だ」と強調した。
また本庶氏は「落ち着いていろいろ考えると、幸運な人生を歩いてきたと思う」と晴れ晴れとした表情で語った。
特筆されるのは、本庶氏が、基礎研究にとどまらず、画期的な治療薬として普及した「オプジーボ」の開発まで主導した点にある。
本庶氏は記者会見で、「回復した患者から感謝されて、うれしい。今後も多くの患者を救うために研究を続けたい」と喜びを語った。研究成果を実際の臨床に結び付けるモデルとなるだろう。

医学・生理学賞では近年、2012年に山中伸弥氏、15年に大村智氏、16年に大隅良典氏と、2年連続を含めて立て続けに日本人が受賞している実績があり、今年も受賞に期待が高まっていました。
また、今年は「免疫」の分野に注目が集まっているとされ、「日本のお家芸」とも言われるこの分野には、本命視されていた本庶氏をはじめ日本人有力候補者として複数の名前が挙がっていました。その方々を紹介しておきます。

主な日本人の候補者

本庶佑 京都大学特別教授

本庶佑氏はここ数年、候補者予想に名前が挙がり、今年も多くのメディアが「本命」と予想しています。
評価されているのは、免疫細胞の働きを抑制するタンパク質「PD-1」を発見し、画期的ながん治療薬として話題の「オプジーボ」の開発につなげ、がん免疫療法の発展に貢献した点です。オプジーボは、がん細胞によって活動を制御されていた免疫細胞のブレーキを解除し、免疫力を高めることによってがん細胞を攻撃する新しいタイプの抗がん剤として注目されています。

坂口志文 大阪大学特任教授

本庶氏と同じくらい多く名前が挙げられて期待されているのは、免疫が過剰に働くのを抑える「制御性T細胞」を発見した坂口志文氏です。
花粉症治療法として注目を集めている「舌下免疫療法」などとも関係し、研究が進めばアレルギーの予防・治療が可能になるかもしれないとして評価されています。

舌下免疫療法が根治につながる理由は、免疫細胞の一種である「制御性T細胞(通称・Tレグ)」の働きを活発にすることにある。Tレグは1995年に大阪大学の坂口志文教授が発見したもので、「世紀の発見」といわれている。
「Tレグ細胞はその名の通り、免疫細胞の司令塔として“外敵撃退”の命令を発する『T細胞』の暴走を抑えるブレーキ役となります。Tレグ細胞が“攻撃を中止せよ”というメッセージを出すことで、免疫細胞の攻撃がストップしてアレルギー症状が治まります」

森和俊 京都大学教授

細胞生物学からは「小胞体ストレス応答」の仕組みを解明した森和俊氏の名前も挙がっていて、本庶氏、坂口氏と並び有力候補のひとりとされています。森氏は、ガードナー国際賞、ラスカー賞、トムソン・ロイター引用栄誉賞(現クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞)という、ノーベル賞受賞者予想でよく引き合いに出される賞の「三冠」を達成している点からも期待されています。
小胞体ストレス応答とは、細胞の中で作られる不良なタンパク質の蓄積を防ぐ仕組みのこと。このタンパク質の“品質管理”の仕組みが解明されたことで、パーキンソン病などの治療開発が期待されているといいます。

遠藤章 東京農工大学特別栄誉教授

世界的な医学賞のガードナー国際賞を昨年受賞した遠藤章氏も有力候補とされていて、毎年各メディアに取り上げられる日本科学未来館の昨年の予想でも名前が挙がっています。ガードナー賞は大隅氏や大村氏、iPS細胞を開発した山中氏など、過去のノーベル生理・医学賞受賞者も数多く獲得していて「ノーベル賞の登竜門」と称される賞。また、08年には同じく「登竜門」とされるラスカー賞も受賞しているということもあり、ノーベル賞受賞の期待も高まっています。
遠藤氏は、コレステロールの血中濃度を下げる物質「スタチン」を発見し、世界中で推計4000万人が使っているという動脈硬化の治療薬の開発へとつなげました。

石野良純 九州大学教授

日本人以外に目を向けると、遺伝子組み換えよりも正確に遺伝子を操作できる「ゲノム編集」の開発で海外研究者の受賞が有力視されていています(特に昨年の予想記事では)。その研究者が開発した技術は「CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)」と呼ばれ、その根底にあるクリスパーという遺伝子配列を発見したのは日本の石野良純氏です。
ノーベル賞は研究の第一発見者を評価する傾向にあるため、予想通り海外研究者の受賞となれば、石野氏が共同受賞する可能性もあると指摘されています。また、「化学賞の受賞が期待される」という記事もありました。

九州大学の石野良純教授らによって2013年に発見された細菌の免疫防御システムが「CRISPR/Cas9」である。この免疫防御システムを簡単に言ってしまうと、細菌は過去に侵入を許したウイルスを記録しており、再び侵入してきた際には過去の記録と照合して見つけ出し、入り込んでいるウイルスのDNAを切断して排除するという働きである。
切断された後にDNAは修復されるのだが、この切断箇所に人為的にDNAを挿入して一部DNA情報を書き換えることもできるのだ。必ず成功するとは限らず修復エラーも発生するのだが、この「CRISPR/Cas9」の発見によって、ゲノム編集技術が格段に進歩したのである。

金久實 京都大学特任教授

前述の森氏のところでも軽く触れた「クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞」の今年の受賞者17名が今月20日に発表され、その中に京都大学化学研究所の金久實特任教授が日本人として唯一選ばれました。

米情報会社クラリベイト・アナリティクスは20日、ノーベル賞を受賞する可能性が高い研究者として、ゲノム(全遺伝情報)のデータベースを開発した金久実京都大特任教授(70)と海外の16人を選んだと発表した。
金久氏は1995年に独自のデータベース「KEGG」の運用を開始。生物の体内で行われる代謝などの化学反応と遺伝子の関係といった複雑な仕組みを示す、斬新な情報が盛り込まれたことから、世界中で利用されるようになった。

クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞は2016年まで「トムソン・ロイター引用栄誉賞」と呼ばれていた賞で、今年で第17回目。ノーベル賞の直前に発表され、17年までの受賞者のうち46名がノーベル賞を受賞していることから、引用栄誉賞受賞者が「ノーベル賞候補」として報道されることが定例化しています。
なお、過去の日本人受賞者26名のうち、山中伸弥氏が12年に医学・生理学賞、中村修二氏が14年に物理学賞、大隅氏が16年に医学・生理学賞をそれぞれ受賞しています。

物理学賞

米・仏・カナダの3氏が受賞

授賞理由は「レーザー物理学の分野における画期的な発明」

スウェーデン王立科学アカデミーは2日、2018年のノーベル物理学賞を米国のアーサー・アシュキン博士、フランス理工科学校のジェラール・ムル博士、カナダ・ウォータールー大のドナ・ストリックランド博士に授与すると発表した。高密度に集めた光を扱う「レーザー物理学」の分野で、これまでになかった手法を1980年代に切り開き、産業や医学分野への応用を広げたことが評価された。
アシュキン氏は原子やウイルスまでつかめる「光ピンセット」を開発した。ムル氏、ストリックランド氏らはレーザーの強度を増幅する技術を開発、レーザーによる視力回復手術などにも応用されている。

ノーベル物理学賞の受賞分野には法則性があるといわれていて、物性(物質の示す物理的性質)の分野と宇宙・素粒子分野が交互に受賞する傾向があります。近年を振り返ると、2013年は素粒子(ヒッグス粒子)、14年は物性(青色LED)、15年は素粒子(ニュートリノ振動)、16年は物性(トポロジカル相転移)、17年は宇宙(重力波)ときていたことから、今年は物性分野からの選出が有力とされていました。
そして日本は物性分野の層が厚いため、受賞分野の法則どおりにいけば受賞に期待できるとして、以下のような有力候補が挙げられていました。

主な日本人の候補者

十倉好紀 東京大学卓越教授

理化学研究所創発物性科学研究センター長で、昨年3月に東京大学初の「卓越教授」となった十倉好紀氏は、電子の特殊な性質を巧みに操って新素材開発に取り組み、磁石と誘電体の性質を併せ持つ「マルチフェロイック物質」を開発。この物質は電気と磁気の性質を併せ持つため、メモリーデバイスへの応用が期待されています。

十倉さんは高温超電導物質の研究でも新型の超電動物質を発見し、十倉ルールというのを提唱するなど、高い評価を受けている人です。いつ受賞してもおかしくない人なんですね。今年はどうでございましょう。

細野秀雄 東京工業大学教授

リニア新幹線でもよく聞く「超電導」は、一部の物質をある温度まで冷やすと電気抵抗がゼロになる現象のことで、鉄は超電導との相性が悪いとされていました。細野秀雄氏はそんな従来の常識を覆し、鉄を主成分とした化合物(鉄系物質)でも“高温”で超電導になることを発見。鉄系物質は、それまで研究されてきた銅系物質より加工しやすいため、新たな国際競争の扉を開いたとして評価されています。

佐川眞人 大同特殊鋼顧問

佐川眞人氏は、1982年に「史上最強の磁石」ネオジム磁石を発明。ネオジム磁石は30年以上「最強」の座に君臨し続けていて、この磁石のおかげで産業用ロボットが油圧から電動に切り替わったほか、ハードディスクの読み出し装置や電気自動車、風力発電などに幅広く応用され、「ネオジム磁石がなければ世界中の産業が成り立たなくなる」といわれるほどの発明です。なお佐川氏は、記事によっては化学賞の候補に挙げられています。

香取秀俊 東京大学教授

香取氏は300億年に1秒しかずれないという、超精密な「光格子時計」を発明。現在、世界の「秒」を定義しているセシウム原子時計が3000万年に1秒ほどずれるといわれ、これでも十分な精度ですが、光格子時計はその精度を大幅に上回っています。
この超精密な光格子時計を使うことにより、「重力の大きさによって時間の進む速さが変わる」という、アインシュタインの相対性理論の検証が可能になりました。重力の大きさを測る「超高感度センサー」として、さまざまな観測への応用も期待されています。

近藤淳 産業技術総合研究所名誉フェロー

通常、金属の電気抵抗は温度が下がるとともに減少していくものの、不純物を含む金属ではある温度から逆に抵抗が上昇します。これは「抵抗極小現象」と呼ばれ、上で少し紹介した超電導と並び、1930年代から長年にわたって物理学における未解決問題でした。そんな中、近藤淳氏は抵抗極小現象を量子力学の理論により解明。その功績から抵抗極小現象などを含めた抵抗極小物質が示す異常現象は「近藤効果」と呼ばれています。

化学賞

米英の研究者3氏が受賞

たんぱく質を人工的に改変する技術などを開発

スウェーデン王立科学アカデミーは3日、2018年のノーベル化学賞を米カリフォルニア工科大のフランシス・アーノルド博士、米ミズーリ大のジョージ・スミス博士、英医学研究会議(MRC)のグレゴリー・ウィンター博士に授与すると発表した。3氏は生物が進化する過程を参考に、有用なたんぱく質を人工的に合成し、バイオ燃料や医薬品などを作る新たな手法を開発したことが評価された。
アーノルド氏は生物の進化の仕組みを利用して新しい酵素を生み出す方法を開発。スミス氏はウイルスを使ってタンパク質と遺伝子の関係を調べる手法を編み出した。ウインター氏はこの手法で新薬探索を効率化。

化学賞は有機化学や生化学、分析化学、物質材料など分野が幅広く、また日本は有機化学分野に強いといった特徴もあってか、有力候補として名前が挙がっていた日本人研究者の数は多めでした。それら発表前に挙げられていた化学賞の有力候補者を比較的簡潔に紹介しておきます。

主な日本人の候補者

吉野彰 旭化成名誉フェロー

ノートパソコンやスマートフォンなどのバッテリーとして現在の日常生活に欠かせないリチウムイオン電池の開発に貢献。リチウムイオン電池の市場規模は2兆円とされ、ノーベル賞では「市場」をつくることができたかも評価ポイントになるということから、有力候補のひとりに挙げられています。

宮坂力 桐蔭横浜大学特任教授

宮坂力氏は次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」を発明し、昨年のクラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞を受賞。ペロブスカイト太陽電池は、現在主流のシリコン系太陽電池と化合物系太陽電池よりも低コストである上に、曲げられる、軽量といった特長があるため世界で最も注目されていて、実用化が視野に入りつつあるといいます。

藤嶋昭 東京理科大学栄誉教授

水の中に浸した酸化チタンに光を当てると水が水素と酸素に分解する「光触媒反応」を発見。汚れがつきにくくなる性質を利用して建物の外壁や自動車のミラーなどに応用されています。

神谷信夫 大阪市立大学教授

光合成研究で豊富な実績があり、岡山大学教授で中国籍の沈建仁氏と共同で、光を受けて水を分解するタンパク質複合体の構造を解明。

山本尚 中部大学教授

触媒の研究に取り組み、目的の物質を効率的に取り出せる「分子性酸触媒」を開発。有機化学分野で最も権威ある賞「ロジャー・アダムス賞」の17年受賞者としても期待が高まっています。

向山光昭 東京大学名誉教授

長きに渡り独自の発想で有機合成化学の新しい合成方法を次々と開拓し、「日本の有機合成化学の父」などと称される日本の有機化学界の第一人者。有機物同士をつないでより複雑な有機物を作る「向山アルドール反応」を開発したことで有名です。

柴崎正勝 東京大学名誉教授

炭素同士を結合する効率的な合成法を開発。

村井眞二 大阪大学名誉教授

効率よく切断するのは困難とされてきた炭素と水素の結合を切断して別の有機物とつなぐ実用的な合成法を開拓。

平和賞

コンゴの医師と「イスラム国」元奴隷の女性が受賞

紛争下で性暴力と闘う2人

今年のノーベル平和賞はコンゴ(旧ザイール)のデニ・ムクウェゲ氏とイラクのナディア・ムラド氏に決まった。2人は戦火の中での女性への人権侵害、特に性暴力を非難する活動を続けてきた。授賞は、世界各地で戦闘に伴う抑圧にさらされる女性たちに光を当てるものだ。
ムクウェゲ氏は、1990年代から戦乱が続くコンゴ東部の主要都市ブカブに病院を創設。レイプの被害に遭った女性ら、年間数千人の治療に尽力してきた。
ムラドさんはイラクのクルド民族少数派、ヤジド教徒。2014年にISに拉致され、性奴隷として何度も売り飛ばされた実態を著書や国際会議での演説を通じて告発した。

平和賞候補に名前が挙がっていたのは…

日本からは「高校生平和大使」が候補に

1974年に「非核三原則」で受賞した佐藤栄作元首相以来、日本人受賞者が出ていない平和賞。今年は日本から「高校生平和大使」が正式にノミネートされていました。高校生平和大使は1998年から毎年、核兵器廃絶を目指して署名を集め国連機関へ届ける活動をしているそうです。

「高校生平和大使」は、核兵器の廃絶を目指して署名を集め、それを国連機関に届ける活動を続けている高校生が主体の団体です。1998年、長崎の2人の高校生が地元の平和運動家たちと、ニューヨークの国連本部を訪ねたのが始まりです。大使のメンバーは被爆地を中心に毎年公募で選ばれ、2017年夏までに17都道府県の高校から計約200人が就任しています。

トランプ大統領や金正恩委員長も?

世界に目を向けると、正式にノミネートされていたかは定かではありませんが、アメリカのドナルド・トランプ大統領や北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長、韓国の文在寅大統領といった名前が浮上していました。
そのほか、ドイツのアンゲラ・メルケル首相やフランシスコ・ローマ法王、セクハラ告発運動「#MeToo(私も)」運動の創始者タラナ・バーク氏といった名前も候補に挙げられていました。

経済学賞

米国人の2氏が受賞

気候変動や技術革新が経済に与える影響を研究

スウェーデン王立科学アカデミーは8日、2018年のノーベル経済学賞を米エール大教授のウィリアム・ノードハウス氏(77)と米ニューヨーク大教授のポール・ローマー氏(62)に授与すると発表した。気候変動や技術革新が経済成長に与える影響についての研究を評価した。
ノードハウス氏は気候変動と経済成長に関する計量分析の第一人者。二酸化炭素に代表される温室効果ガスを削減する最も効果的な対策として「炭素税」の導入を提唱するなど、気候変動問題の大家として知られる。一方、ローマー氏は技術革新が長期的な経済成長を生み出す仕組みを分析した「内生的成長理論」の発展に貢献した。

今年も日本人の受賞ならず…

正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」で、賞金はノーベル基金からではなくスウェーデン国立銀行から出されているため、日本ではこの賞の賞金のみ課税対象になるというノーベル経済学賞。ただし、課税の心配は無用とばかりに、日本人受賞者は過去に1人も出ていません。
近年では米プリンストン大教授の清滝信宏氏の名が候補として毎年のように挙がっているものの、清滝氏に匹敵する業績の経済学者は米国人を中心に50人規模いるとされていて、受賞は厳しいという記事も散見されます。

経済の小さなショックが生産性低下の循環を招くという「清滝=ムーアモデル」を構築した米プリンストン大の清滝信宏教授は経済学賞の候補だ。

文学賞は…

今年はスキャンダルの影響で発表中止

来年に2年まとめて発表

文学賞を選考する「スウェーデン・アカデミー」メンバーの性的暴行疑惑や情報漏洩疑惑によって今年の文学賞の発表は見送られ、来年に2年分をまとめて発表する予定となっています。

ノーベル文学賞の選考主体、スウェーデン・アカデミーのアンデシュ・オルソン事務局長は22日までに共同通信と会見し、アカデミー関係者の性的暴行疑惑で今年は見送られた受賞者発表を、来年は予定通り行うことに「自信がある」と述べた。
アカデミーは失墜した信頼の回復を図り、来年10月に今年の分も含めて発表できるよう組織の立て直しを進めている。

代替の文学賞が新設され村上春樹氏がノミネート

ノーベル文学賞といえば、例年のこの時期の風物詩と化してきた「村上春樹氏の受賞なるか?」で今年も盛り上がるはずでしたが…

スウェーデンのジャーナリストや作家などが新団体「ニュー・アカデミー」を設立し、今年限りのノーベル文学賞に代わる文学賞を新設することとなった。
「ニュー・アカデミー」の公式サイトでは新文学賞の最終候補となった4名を発表。村上氏のほかに、カリブ海フランス領グアドループ出身のマリーズ・コンデ氏、ベトナム出身のキム・チュイ氏、イギリス出身のニール・ゲイマン氏がノミネートされた。

しかし村上氏は候補を辞退

今年の発表が見送りになったノーベル文学賞の代わりとなる新たな文学賞の候補となっていた村上春樹さん(69)が16日までに候補を辞退した。選考主体「ニュー・アカデミー」がフェイスブックで明らかにした。「執筆に専念したいため」と説明したという。

ネット投票では村上氏がトップだった

1回限りの市民文学賞を創設したスウェーデンの「ニュー・アカデミー」のポールソン審査委員長は、最終候補を辞退した村上春樹氏が選考過程でのネット一般投票でトップ人気だったと明らかにし、辞退がなければ「受賞していただろう」と述べた。

近年の日本人ノーベル賞受賞者

過去6年の日本人受賞者を簡単に振り返ります。

2016年

大隅良典氏(医学・生理学賞)

「オートファジー」(自食作用)の仕組みを解明。

2015年

梶田隆章氏(物理学賞)

素粒子「ニュートリノ」の質量を実証。

大村智氏(医学・生理学賞)

寄生虫やマラリアなど、寄生虫感染症の治療薬開発。

2014年

赤崎勇氏・天野浩氏・中村修二氏(物理学賞)

青色の発光ダイオード(LED)の発明、開発。

※中村氏は米国籍

2012年

山中伸弥氏(医学・生理学賞)

「iPS細胞」(人工多能性幹細胞)の作製。

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