特集2017年7月5日更新

東京・上野動物園のジャイアントパンダ「シンシン」が、6月12日に赤ちゃん1頭を出産しました。シンシンの出産、および上野動物園でのパンダ誕生は5年ぶりです。

赤ちゃんパンダの父はリーリー。母シンシンと同じく、2005年に中国・臥龍保護センターで生まれたジャイアントパンダで、2頭は2011年2月に中国から初のレンタル方式で上野動物園にやってきました。

シンシンとリーリーの間に生まれた子供は2012年以来で、この出産は上野動物園では24年ぶり、同園で初めてとなる自然交配（交尾）による出産ということで大きな話題となりました。
…しかし、周囲の喜びも虚しく、生後6日で肺炎によって急死していました。

昨年末からリーリーに発情の兆候が見られるようになり、繁殖に向けて2月22日から2頭の展示が中止され、同27日には約4年ぶりとなる交尾を確認。3月2日から展示が再開されていましたが、シンシンに妊娠の兆候が見られたため、5月25日からは再びシンシンの展示が中止されていました。
こういった情報が連続していたため今回の出産のニュースは、「本物の妊娠か、また偽妊娠か…？」とパンダファンが気を揉んでいた中での朗報となりました。

赤ちゃんの3回目の身体検査が6月22日に行われ、性別がメスと判明しました。
また、母シンシンもタケの茎や葉を主に食べるようになり、元気とのこと。母子とも状態は安定しているものの、上野動物園では引き続き24時間態勢で見守り続けていくということです。

赤ちゃんパンダの様子は、上野動物園から逐一公式サイトやTwitterなどで報告されています。生後2週間の時点で、白黒のいわゆる「パンダカラー」もかなりはっきりしてきました。また7月2日に行われた4回目の身体測定では体重600グラム、体重は23.4センチと順調に成長しているようです。また7月5日現在はまだ目が開いておらず、目が開くのは生後40日頃とのことなので7月20日前後でしょうか。

上野動物園では、赤ちゃんの成長の様子を総合案内所の前で放映開始するとアナウンスしています。一般公開はもう少し先ですので、それまではこの案内状前のモニターや、上記のTwitter、公式サイトで見守っていきましょう。

東京都の小池百合子知事は赤ちゃんが誕生した当日、「いい名前を考えてください」と語り、名前を公募する考えを示しています。

「パンダ出産」のニュースを受けて、中華料理レストラン「東天紅」とフランス料理の老舗「精養軒」の株価が急騰したことが話題になりました。

東天紅と精養軒はともに上野動物園の近隣に店を構えていて、パンダ目当ての来園客増に伴う集客の伸びを期待して買い注文が入ったようです。

東天紅と精養軒の株は「パンダ株」として知られていて、1月17日に「パンダ発情」、5月23日に「妊娠の兆候」が報じられた際にも株価が上昇していました。

上野動物園に近い上野の商店街や百貨店もお祝いムードに包まれました。
松坂屋上野店では、パンダ柄の金太郎飴やパンダのお面を配布し、子パンダ付きのアドバルーンと「赤ちゃんパンダ誕生おめでとう！」の垂れ幕を掲出。商店街「アメ横」でも誕生記念セールが多くの店舗で開催されました。

関西大学の宮本勝浩名誉教授がパンダの赤ちゃん誕生による経済効果を試算したニュースも話題に。プロ野球で楽天がパ・リーグを初制覇した際に推計した額、約230億円を上回る数字となりました。

今回の出産が「5年ぶり」で、その5年前の赤ちゃんは「生後6日で死亡」というふうに、妊娠・出産、その後の成長に至るまで、パンダの繁殖は難しいとされています。

この「パンダの赤ちゃんは簡単に“ポコポコ”生まれて育つわけではない」という印象が、今回のようなフィーバーを生んだ一因になっているのは間違いないでしょう。
しかし、“ポコポコ”生まれている動物園もあるんです。

そのパンダが“ポコポコ”生まれている場所は、和歌山県白浜町にある「アドベンチャーワールド」です。アドベンチャーワールドは動物園も備えたテーマパークで、ここでは1～2年に1回のペースでパンダが生まれています。

それゆえ、シンシン出産報道直後から日本中が祝福フィーバーに包まれる中、和歌山県民を中心に「騒ぎすぎなんじゃ…」という声も出ています。

今から20数年前、アドベンチャーワールドにパンダを連れてくる際、通産省の担当課長としてワシントン条約の輸入許可を出したというエピソードを持つ和歌山県知事の仁坂吉伸氏は、6月13日に公開した「知事からのメッセージ」で、「パンダ誕生おめでとう」と祝福しつつ、NHKをはじめとしたマスコミに対して以下のように苦言を呈しています。

こうしてクローズアップされたアドベンチャーワールドですが、実は「シンシン出産」の数日前、3頭のパンダがアドベンチャーワールドから中国へ「返還」されたというニュースが報じられていました。

「返還」という言葉を用いましたが、それは日本のパンダが中国から貸与された動物であるからです。日本にいるすべてのジャイアントパンダの所有権は中国にあり、それは日本で生まれた赤ちゃんであっても同様です。
上野動物園のリーリーとシンシンも貸与されているパンダで、東京都は年間95万ドル（約1億円）を中国側に支払っているといいます。この「1億円のレンタル料」をめぐっては、2008年の石原慎太郎都知事時代に「高い」と批判の声が寄せられました。

「パンダ外交」という言葉で知られる中国によるパンダの貸与。先月24日にはドイツに夢夢（メンメン）、嬌慶（チアオチン）の2頭が到着したこともニュースになっていました。
7月5日にベルリン動物園でお披露目される予定だといい、ドイツから中国側に年間100万ドル（約1億1000万円）が支払われる模様です。

今回シンシンが産んだ赤ちゃんの所有権も中国にあり、将来的には中国へ返還されます。時期については協定で「満24カ月」となっていて、都と中国側の協議で決められるということです。赤ちゃんパンダは特に「かわいい」とされて人気が高いので、この協議の行方にも注目が集まりそうですね。

芸能界随一…どころか日本随一の「パンダ好き」として知られ、日本パンダ保護協会の名誉会長も務めている黒柳徹子。6月12日の出産当日には「徹子の部屋」の収録が行われていて、本番中に多くのメディアからコメントを求める電話が事務所に殺到したとのこと。そこで急遽、「徹子の部屋」の収録直後に会見を開き、パンダの赤ちゃん誕生に対する喜びを語りました。
急な会見にも関わらず、パンダ風の白黒のジャケット、パンダのブローチとパンダの指輪を着けて登場するあたりはさすがです。ちなみに、パンダの指輪はいつも身に着けているそうです。

毒舌キャラの印象が強い有吉弘行ですが、「本当に心が疲れた時は、一人で上野動物園にパンダを見にいく」といい、パンダのかわいさに癒やしを求めているようです。
「猿岩石」時代のヒッチハイクで訪れたインドで、有名な世界遺産タージマハルでも1分しか見続けることができなかったという有吉も、上野動物園で初めてパンダを見た時は見惚れてしまって30分以上もその場から動けなかったといいます。

ちなみにこちらは前回出産時のツイート。

ほかにも、TBSの安住紳一郎アナウンサーや元AKB48の篠田麻里子、「芸能界随一のパンダ通」と称されるタレントの藤岡みなみ…といった面々がパンダ好きとして知られています。

「目の周りが黒くてタレ目っぽいからかわいく見えるだけで、実はクマ科で牙があって爪も鋭くて…」などと言われることもあるパンダですが、そんなことはどうでも良くなるほど、人間の本能に訴えてくるかわいさがあります。
「かわいく感じる理由は、人間に似ているから」…といった能書きも、もはや不要。ここからはかわいいパンダたちの映像を紹介していきます！

2016年9月18日生まれでまだ1歳にもなっていない結浜は、好奇心旺盛な行動で人気者になっています。結浜の生まれた頃からの写真や動画はアドベンチャーワールドのパンダ公式サイトやTwitterにたくさんアップされていますので、時間がある時にでも一気に見て癒やされてみては？