平昌五輪のピックアップテーマ2018年2月12日更新

フィギュア日本勢に立ちはだかるライバルたち

ソチ金メダリスト・羽生結弦を筆頭にメダルへの期待が高いフィギュアスケート。彼らに立ちはだかるライバルたちを紹介します。

男子シングルのライバル

金メダルの本命に推される“4回転の申し子”ネーサン・チェン

生年月日 1999年5月5日(18歳)
アメリカ
主な実績2017四大陸選手権 優勝
2017グランプリファイナル 優勝
2017グランプリアメリカ大会 優勝
2017グランプリロシア大会 優勝
2017全米選手権 優勝(2連覇)

男子シングルの一番人気に。

絶対王者と目されていた羽生の負傷で、一気に金メダルの大本命を目されるようになったのがアメリカのネーサン・チェンです。今シーズンはグランプリファイナルや四大陸選手権の優勝をはじめとして5勝するなど絶好調。スポーツ系の専門誌やサイト、またブックメーカーなどで金メダル候補として羽生や宇野を抑えて一番人気に推されてています。「英国最大のブックメーカーのひとつ「ウィリアムヒル」の男子シングル金メダル予想は羽生・宇野の2.25倍を抑えてトップの1.875倍。スポーツ専門誌「スポーツ・イラストレイテッド」もネーサン金、羽生銀、宇野銅と予想しています。フィギュアとスピードスケートの専門サイト「アイスネットワーク」も金ネーサン、銀ハビエル・フェルナンデス、銅宇野の予想です。長野五輪女子シングル金メダリストのタラ・リピンスキーさんもネーサンの金メダルを予想していました。

「男子フィギュアのネイサン・チェンは見るべき選手の1人。金メダル最有力の1人です。信じられないほど素晴らしく、彼は、演技の中に難易度の高い4回転ジャンプを加えることで米国の男子スケートに革命をもたらしました。今では世界中の選手が彼に追いつこうとしています。4回転ループを初めて取り入れました。4回転キングと呼ばれるゆえんです。彼は平昌五輪で他選手の脅威となることは間違いありません。2年前に『ネイサン・チェンが表彰台に立つだろう』と、考えていた人は多くなかったけれど、今では、表彰台のみならず、金メダルを狙っています。あれほど難しいジャンプをこなすのだからプレッシャーもかかっているはずなのですが」

平昌でも「5本の4回転」を宣言

ネーサン・チェンの最大の武器は何と言っても4回転ジャンプ。「トウループ」「サルコー」「ループ」「フリップ」「ルッツ」と5種類の4回転ジャンプを世界で初めて成功させ、昨年の四大陸選手権では5つの4回転ジャンプに成功し優勝。彼の4回転の技術は羽生も認めるところで、「4回転の申し子」と言われる所以です。この平昌でもフリーでは最大で5つの4回転を入れると明言しています。

 会場となる江陵アイスアリーナ(Gangneung Ice Arena)で最初の練習に臨んだチェンは7日、「氷の感触は最高だ」と笑顔をみせると、来週行われる本番を思い浮かべながら、「ショートプログラム(SP)では、やはり2本の4回転でいく。フリーについては、おそらく4本か5本になるだろう。練習の状況次第だ。成功の確率と自分の感触で決める」とコメントした。

これは余談ですが、ユナイテッド航空のキャラクターCMに出演したネーサン、「King Quad(4回転王)」への変身シーンを披露しています。やっぱりネーサンと言えば4回転なんですね。

「人生のすべてを掛ける」今大会への思い

18歳にして人生最大のチャンスが訪れたネーサン。並々ならぬ平昌への意気込みを語っています。

米国メディアのインタビューに、「年齢を考えれば4年後の冬季五輪も目標にできるが、平昌では金メダルを取る喜びのために人生のすべてを掛ける」と語ったという。

羽生結弦に感じる「恩義」

そのネーサンが最も超えなくてはいけない“壁”が羽生結弦。羽生に対し、こんな思いを語っています。

チェン選手は、羽生選手の難易度の高いプログラムに勝った時には、自分が目的に向かって正しい道に進んでいると感じたと話していました。さらにチェン選手は、フィギュアスケート選手は皆、羽生選手に大きな恩義を感じていると語ったのです。羽生選手がどう滑り、どんな仕事をし、どれほど競技に没頭しているか。また、フィギュアスケート競技自体がどうあらねばならないのかを見ることによって、もっと羽生選手のようになろう、もっとよくなって前進しようという新しいモチベーションが生まれるというのです

羽生に勝って気まずい思い!?

グランプリシリーズのロシア大会で羽生に勝利したネーサンですが、その際にちょっと奇妙な感慨を抱いたそうです。

「もちろん、試合で勝利したことで喜びや幸福感も感じたと言いますが、それと同時に、観客に対する、なんともいえない気まずさを感じたのだそうです。そんな相反する感情を味わったのは初めてだったと語っていました」(スポーツライター)

しかし、今回ばかりは全力で羽生を倒すと宣言しました。

平昌五輪での金メダル争いについて、記事は強力なライバルである日本の羽生結弦についても言及せざるを得ないと指摘。この点についてネイサン・チェンは、成績や経験の面で羽生に及ばないことは認めつつも、「平昌では挑戦者の立場で戦えることは自分の大きなアドバンテージで、彼に対抗できる自信はあるよ」と語ったという。

団体戦ではSPに出場したものの4回転トーループは2回転となり0点、さらにトリプルアクセルでも転倒と不本意な演技で4位となったチェン。しかし、個人シングルでは日本勢の最大のライバルとして巻き返しを図ってくることでしょう。
最後にこれまた余談ですが、団体SPで出番前にトイレに行こうとして男子トイレと女子トイレを間違えたオチャメなネーサンを紹介します。

「ヨーロッパの帝王」ハビエル・フェルナンデス

男子のメダル予想はネーサンと羽生&宇野に集中している感があるとは言え、ハビエル・フェルナンデスはいまだその実力は衰えず、金メダルの有力候補の一人であることは間違いありません。

元世界王者、ヨーロッパ選手権は6連覇中

生年月日1991年4月15日(26歳)
スペイン
主な実績2015~206世界選手権 優勝(2連覇)
2013~2018欧州選手権 優勝(6連覇)
2016~2017グランプリフランス大会 優勝(2連覇)
2015~2016グランプリロシア大会 優勝(3連覇)
2011~2017スペイン選手権 優勝(7連覇)

元日本王者の2人も金メダル候補に

英国最大のブックメーカーのひとつ「ウィリアムヒル」の金メダル予想ではネーサン・チェン、羽生結弦、宇野昌磨に続く5.5倍で4番人気のハビエル。。フィギュアとスピードスケートの専門サイト「アイスネットワーク」は銀メダルと予想しています。また織田信成、本田武史の元日本王者の2人も、フェルナンデスはメダル争いの中心だと予想しています。まずは織田信成。

織田:男子は、ネイサン・チェン(アメリカ)、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)、ミハイル・コリヤダ(ロシア)、宇野昌磨の4選手に加えて、ぶっつけ本番で臨む羽生結弦選手がどう仕上げてくるか。メダル争いは5人に絞られるでしょう。

続いて本田武史の予想は…

メダル候補に、彼をはじめ、ネイサン・チェン、宇野昌磨、ハビエル・フェルナンデス、ミハイル・コリヤダ選手たちが並ぶ。
「実績のあるフェルナンデス選手と羽生選手は、PCS(演技構成点)でも高い得点を叩き出します。若い選手は対抗するために、4回転の種類や本数を増やしてくると思いますが、そこでGOEのマイナスをつけないことが肝心。チェン選手は4回転の成功率が高く、滑りの姿勢も、体の動かし方もいいですから、一番難しいルッツを確実に跳べば強いと思います」

羽生結弦が尊敬する人格者

ハビエルというとどうしても「安藤美姫」元恋人という記事ばかりで、そういったイメージが先行するかもしれませんが、スケートの技術だけでなく、その人格も素晴らしく、羽生にとって強敵であると同時に、尊敬すべき人物として見られているそうです。

2015年3月の世界選手権ではフェルナンデスが優勝、羽生が2位。その時、羽生は当初、勝者を心から称えられなかったというが、《ハビエル(フェルナンデス)が来て「僕はユヅに負けたと思ったし、ユヅがどんな演技でも僕は二位だから」っていってくれたときに、もう、うゎ~って泣きました》(『家庭画報』インタビューより)。
そして、会見では「悔しいけどうれしい。優勝がハビエルでよかった」とコメントした。

ハビエルと羽生にはコーチが同じブライアン・オーサーという共通点もあり、ライバルかつ性格は正反対でありながら仲が良かったようで、2015年ころには2人のコンビをファンに「ゆづハビ」と呼ばれている…という記事もありました。

たとえば昨年のソチ五輪では、朝の公式練習を同時に終える羽生とフェルナンデスが、互いに向き合いお辞儀をして微笑み合う写真に「一緒にペコリと最後のエヘヘが可愛すぎる」。本戦の際にも、演技を終えた羽生がキス・アンド・クライから次の演技者であるフェルナンデスに拍手を送って激励、その熱い友情にファンも感動した。
かつて、羽生は3歳年上のフェルナンデスについて「ホントに仲間思い。僕にとっては心優しいお兄さんという感覚です」と語っていた。
そんな二人の共通のコーチであるブライアン・オーサーは、羽生とフェルナンデスについて「人として性格は正反対。結弦はリンクの時間を大切にしているのに対し、ハビエルは社交的で自由に生きている。ただ、2人は友人としてよい関係を築いている」と話している。
ファンの間では「ゆづハビ」とも呼ばれている二人。今後も良きライバルでありながら、さらなる友情を深めていってもらいたいものだ。

“超新星”ミハイル・コリヤダ

日本の一般メディアにほとんど取り上げられることがないため、記事はありませんが、今シーズン急成長を見せているのがロシアのミハイル・コリヤダです。グランプリシリーズの中国大会のショートプログラムで4回転ルッツ、そして4回転トウループ+3回転トウループを成功させ史上6人目となる100点越えで一気に注目されることになりました。羽生と同じ年の22歳、この勢いで一気にメダル獲得となっても、不思議でない存在です。その高さのあるジャンプに注目してみてください。

生年月日 1995年2月18日(22歳)
ロシア
主な実績2017世界選手権 3位
2017グランプリファイナル 3位
2017グランプリ中国大会 優勝
2016~2017ロシア選手権 優勝(2連覇)
2017オンドレイネペラトロフィー 優勝

女子シングルのライバルたち

日本大好き“異次元の女王”エフゲニア・メドベージェワ

現在の女子シングルの頂点に立つのが、今回はOAR(ロシアからの個人参加)となるエフゲニア・メドベージェワです。シニアデビューするやいなや世界選手権2連覇、グランプリファイナル2連覇、欧州選手権2連覇などなど、数々のタイトルを手中にしただけでなく、得点も滑るたびに歴代最高を塗り替えるなど、まさに異次元といっていい存在です。昨年はケガもありましたが、それでもなお金メダルの最有力候補であることに異論を挟む人はいないでしょう。何度か例に出しているブックメーカーの平昌五輪の金メダル予想オッズはなんと「1倍」つまり払い戻し。もはや賭けにならない存在というわけです。日本のアニメが大好きで、SNSでは趣味全開ツイートをしていたり、エキシビジョンではアニメ「セーラームーン」のコスプレを披露して、日本での知名度も高い選手です。

生年月日 1999年11月19日(18歳)
ロシア
主な実績2015~2016世界選手権 優勝(2連覇)
205~2016グランプリファイナル 優勝(2連覇)
2017グランプリNHK杯 優勝
2017グランプリロシア大会 優勝
2015~2016ロシア選手権 優勝(2連覇)
2017オンドレイネペラトロフィー 優勝
2017欧州選手権 2位

団体SPで早速「歴代最高」を更新

「ロシアからの五輪選手」(OAR)のエフゲニア・メドベージェワが81・06点で1位となり、自身が持つ女子SPの世界歴代最高得点も更新した。
メドベージェワは「結果はうれしいけど、ちょっと難しい演技だった。もしかしたら初めての五輪だったからかもしれない」と語った。

日本の新潟で最終調整

コーチ、スタッフら約20人とともに来日した世界選手権女王のメドベージェワは「大歓迎を受けて気分が高まっています。家にいるような温かい気持ちです」と話した。
合宿は2月19日までの予定で、主に新潟市内のスケートリンクで行う。

「世界の美しい顔100人」に選ばれご満悦

小ネタですが、インフォシークニュースでも特集した「世界の美しい顔100人」で85位に選ばれました。ちなみに84位が丹羽仁希です。エントリーされたときに、本人もまんざらでもない反応を見せていました。ちなみにその後の投稿では、織田信成と変顔を披露しています。

メドベージェワの“妹分”アリーナ・ザギトワ

メドベージェワに続く存在が、彼女と同じコーチに師事するアリーナ・ザギトワ。なんとまだ15歳ですが、メドベージェワがそうであったように、ジュニアから鳴り物入りでシニアに転向すると同時にグランプリファイナルをはじめとするタイトルを総なめ。その勢いはメドベージェワを上回るものがあります。抜群のスタイルから繰り出される3回転ルッツ+3回転ループが決まれば、一気に頂点を取る可能性は十分にあるでしょう。

生年月日2002年5月18日(15歳)
ロシア
主な実績2017欧州選手権 優勝
2017グランプリファイナル 優勝
2017グランプリフランス大会 優勝
2017グランプリ中国大会 優勝
2017ロンバルディアトロフィー 優勝

躍進の影に「鉄の女」の存在

メドベージェワとザギトワは同じコーチに師事しています。その名もエテリ・トゥトベリーゼコーチ(43)。別名「鉄の女」とも呼ばれるほどで、その厳しさぶりには定評があるようです。

「エテリ組」の強さはどこにあるのか。第一に、「鉄の女」と呼ばれるほどの厳しさだろう。過去のインタビューで「コーチは(選手を)いつも賞賛すべきではない」「練習では150%、本番では110%」と発言している。限界を超えた練習によって、選手たちは技術のみならず精神的に鍛えられていく。

当然ながら厳しいだけでなく「ジャンプの指導力」「勝てるプログラム作り」といった要素で常勝軍団を作り上げていっているようです。詳しくは上記の記事をご覧ください。

フィギュアの日程は…

フィギュアスケートの日程はこちらのリンクで確認ください。こういった強豪たちを相手に、羽生結弦、宇野昌磨、田中刑事、宮原知子、坂本花織の5選手がどんな滑りをみせるのか、楽しみですね。