特集2016年11月26日更新

卑劣な犯罪に巻き込まれないために~リベンジポルノ特集

近年増えている「リベンジポルノ」。かつての恋人、あるいは他人の裸や性的な行為に関する画像や動画をばらまくという卑劣な行為です。スマートフォンなど写真や動画が容易に撮れる機器の進化、そしてそれをウェブ上にばらまくSNSなどウェブツールの普及により、リベンジポルノ被害は誰にでも起こりうる可能性があります。そもそもリベンジポルノの定義とは?被害に合わないためにはどうすればいいのか?また万が一被害者となった場合は?などについてまとめました。

リベンジポルノとは?

交際中に撮った恋人の裸の画像や性行為中の動画などを、別れた腹いせに無断でインターネット上に投稿する「リベンジポルノ」。スマホが普及し、写真や動画を手軽に撮影できるようになったぶん、被害に遭うリスクも高まっています。

SNSの普及で増加

最近では、SNSの拡大もあり、“リベンジポルノ”と言われる、裸の画像など他人に絶対に見られたくない写真を復讐や嫌がらせとしてネットにバラまく人も増えています。

リベンジポルノにあたるものは

・性交又は性交類似行為に係る人の姿態
・他人が人の性器・肛門・乳首を触る行為や人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
・衣服の全部又は一部を着けない人の姿態で、殊更に人の性器・肛門・乳首やその周辺部、臀部、胸部が露出されたり強調されているもので、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの

下着や水着はリベンジポルノになる?

単に下着や水着で写っているだけの状態では、リベンジポルノにあたりません。下着や水着姿の場合、性的な部分が強調されており、性的に興奮させるような画像や動画の場合には該当します。

動画や写真を「持っているだけ」だと?

◎ 配信された後でなくては適用されない
私人の性的な画像、動画を「提供したもの」を処罰する法律であるため、配信される前にはこの法律を利用することはできません。たとえ元交際相手が性的な画像や動画を削除せず持っていたとしても、それらをネットなどに配信して初めて効果を発揮する法律であることを知っておきましょう。

配信に「同意」していたら?

◎ 撮影に同意すると適用されないかも
撮影時に、撮影者や撮影対象者が画像を提供した者以外の第三者が見ることに同意していた場合、リベンジポルノ防止法は適用されません。一度同意をしてしまうと取り返しがつかなくなることもありえます。

動画や画像以外は?

◎ 画像や動画以外は適用されない
リベンジポルノ防止法は「画像、動画」の提供者を処罰する法律なので、性交時の音声や性交時の内容を文書化したものなどには適用されません。「画像、動画」以外の方法でリベンジポルノを行われた場合には利用できないことが問題です。

リベンジポルノはどういう罪になる?

リベンジポルノは、それ自体、名誉棄損罪(刑法230条)、わいせつ物頒布罪(175条)に該当するほか、ケースによっては、脅迫罪(222条)、強要罪(223条)に該当する可能性があります。また、被害者が18歳未満の場合には、児童ポルノ禁止法違反となります。
公表目的提供罪にあたり、1年以下の懲役または30万円以下の罰金となるそうです。

著名人のリベンジポルノ

桂文枝と紫艶

20年間にわたって文枝に愛人関係を強制されていたという紫艶は、3月初旬に突如としてFacebookに文枝の全裸写真をアップ。文枝が全裸でソファに座っており、その横には司会を務める『新婚さんいらっしゃい!』(テレビ朝日系)のロゴが入ったクッションが写り込んでいるという衝撃の一枚だった。

週刊誌の「女子アナ全裸写真」にリベンジポルノの指摘

写真は、顔にモザイクが施された女子アナと男性が全裸で性行為の最中という衝撃的なもので、このアナウンサーについては「日本を代表するテレビ局勤務」「看板番組のキャスター」など、断片的な情報だけ伝えられていた。
「発売後、ネット上で『リベンジポルノに該当するのでは?』という指摘が殺到したためか、『フライデー』はウェブサイト上からこの記事を削除。

リベンジポルノ?でアイドル解雇

ネット上では大場と思われる人物が、彼氏と思しき同年代の男性と親密にしている動画が流出したためではないかという説が濃厚になっている。元の動画は削除されてしまったが、Twitterなどではその後も拡散され続けている。
大場の公式Twitterアカウントも既に削除されており、大場自らの公式コメントも発表されていないため、その真偽は定かではない。昨今なにかと話題になっている「リベンジポルノ」が絡んでいるのではという声がある一方で、ファンの間では「完全アウト」「やっちまったな」「アイドルとしてもダメだけど、一般人としてもダメでしょ」などという声も多数あがっている。

俳優・伊藤英明の「プレイ写真」が掲載

記事によると、伊藤は約2年半前にハワイのオアフ島を訪れ、そこでナンパした日本人女性2人と「3P」を楽しんだという。伊藤と女性のキス写真、さらにはTシャツ1枚を身にまとい下半身を晒した伊藤の局部にモザイクがかけられているカット、引き締まったお尻をカメラに向け女性に愛撫させているようなショットまで公開されている。誰がどう見ても、明らかに最中の現場である。

本物かどうかは不明だが、元アイドルの「ベッド写真」も

件の画像は、菅本と思われる女性がLINEのビデオ通話中に上半身裸になっているようなものと服を着ているものの2枚があった。その背景に写る花柄の布地が以前菅本がSNSで公開した自身のベッドのカバーと酷似しており、着ていた服も過去に彼女が着用していたものと同じで、なおかつ耳の形までもが本人とそっくりであったことから、ネットでは「これでもう本人じゃないとは言えないだろう」「明確に否定してないんだから事実なんだろうな」との声が相次いでいる。

リベンジポルノ法成立の契機となった2013年10月の「三鷹ストーカー殺人」

リベンジポルノを一躍知らしめたのは、『三鷹ストーカー殺人事件』がきっかけだろう。その後、リベンジポルノ防止法が制定され、15年1月、鳥取県の男性が交際していた女性の裸の画像をネット上に広めたとして、初めての逮捕者となった。
東京・三鷹市の閑静な住宅街に住む私立高校3年の女子生徒(18)が、かつての交際相手だった池永チャールストーマス容疑者(21)に襲われた事件。発生6日前の10月2日、女子生徒の写真計67枚がインターネット上にバラまかれた。写真は女子生徒自身の手によっての撮影、いわゆる「自画撮り」されたものだった。

2014年8月、懲役22年の判決

「今回の判決では、『リベンジポルノ』の流出も糾弾しています。ただ、裁判所はリベンジポルノの流出自体は『起訴されていても名誉毀損罪にとどまる』ことから、『無期懲役刑の選択を基礎付けるものとまでは言い難い』と判断しています。最終的な結論にどれだけ影響を与えたのかは疑問です」
殺人と直接的な関係はない「リベンジポルノ」自体が、どこまで影響したのかは不透明なようだ。

2015年2月、判決を破棄し「やり直し」

男性は、交際中に撮影した被害者の画像をインターネットで拡散させる「リベンジポルノ」行為をしたとして、大きく注目された。1審判決は、このリベンジポルノ行為について、「殺害行為に密接に関連し、被告人に対する非難を高める事情として考慮する必要がある」と指摘したうえで、懲役22年の判決を下していた。
これに対し、2審の東京高裁は「1審の裁判官の審理手続きに誤りがあった」「起訴されていない名誉毀損罪を実質的に処罰しており、違法だ」として1審判決を破棄。審理を差し戻したと報じられている。

いまだに続く裁判

14年8月の裁判では、リベンジポルノでは起訴されず、犯行の悪質さを訴えるための資料とされていたが、判決ではその悪質さを認めた上で「無期懲役刑の選択を基礎づけるものとまではいいがたい」と判断している。15年8月、児童ポルノ禁止法違反とわいせつ電磁的記録媒体陳列罪で追起訴。これはリベンジポルノに関する証拠が今後の裁判で採用されなくなることを懸念しての対処だったが、被告側は追起訴したのは違法だと公訴棄却を求めた。判決では追起訴は違法ではないの判断に。2016年の3月の裁判では1審と同じ懲役22年の判決となった。この判決に被告と検察側双方が控訴、11月29日に控訴審が開始される。

リベンジポルノの被害を受けないために

写真や動画を「撮らせないこと」しかない

リベンジポルノに使われてしまいそうなわいせつな画像や動画を撮らせないことしか方法はないと思います。
そのような被害に遭わないためには、どんなに幸せなときでも恥ずかしい写真や動画を撮らせないことが第一です。

リベンジポルノ対策のアプリが人気

米国発の写真共有プラットフォーム『Snapchat(スナップチャット)』。メッセージや画像、動画を相手に共有することができるアプリケーションで、相手がデータを開封したすぐ後に、その内容が消失するという点が特徴だ。

写真や動画を撮られたら?

脅しには絶対に屈さずに証拠を集める

わいせつな画像を所持する者が「言うことを聞かなければ画像をばらまく」と脅迫してくることもありますが、脅しに乗るのは最悪のパターンだといいます。加害者の狙いは自分の欲求を通すことだけですので、脅しに応じればますます調子づかせ、事態はエスカレートするだけです。
画像をたてに金品や面会を要求してくるのは、脅迫罪やストーカー規制法違反に当たる可能性が高いので、脅しの録音やメールの保存などで証拠を集め、すぐに警察に相談しましょう。

写真や動画を流出されたら?

まずは、画像がどのサイトに投稿されているかを調べて、それからサーバー会社に削除依頼を出します。早ければ1日で削除してもらえます。削除すること自体は簡単なのですが、海外のサイトに流出していることもあり、画像や動画を全て見つけ出すのは難しいです。ダウンロードしている人がまたアップすることもあるので、見つけ次第消していくしかないのが現状です。

まず警察に相談を

■まず、警察に相談
警視庁のホームページでは、ネット上に個人情報を記載されて誹謗中傷されたり辱めを受けた場合の対応としてまず最寄りの警察署への相談を勧めています。
その他にも、以下の窓口も電話相談を受付けているそうです。
<サイバー犯罪に係る電話相談窓口
電話相談 03 – 3431 – 8109
平日午前8時30分から午後5時15分まで
警視庁 サイバー犯罪対策課>
削除ポリシーのページの一番下に“個人情報の削除をリクエストする”という項目があるので、それをクリックすると削除申請の画面に移ります。「ウェブマスター(サイト管理者)への連絡はしましたか?」といった質問がいくつか表示されるので、それらの質問に回答して削除申請を行いましょう。

早急な対応を

すでにリベンジポルノの被害に遭っている方は、画像などが拡散してしまう前に、掲載先のサイト運営者に削除を求めるなど、早急に対応を進めましょう。自分で削除することが難しければ、弁護士のほか、法務局の人権擁護局などに相談してみてもよいと思います。