特集2017年4月16日更新

韓国・セウォル号転覆事件から3年

画像 [SSphoto] 沈没するセウォル号… / スポーツソウルメディアジャパン

2014年4月16日、旅客船セウォル号が、珍島郡海上で沈没するという痛ましい事故が起きました。乗客・乗員の死者は合わせて295名にのぼり、行方不明者も9名という大惨事は、なぜ引き起こされたのでしょうか?これまでの経緯や、事件から3年経った今の状況についてまとめました。

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18日、北朝鮮による弾道ミサイルの発射が相次いでいる中、日本が新たな迎撃システムの導入を決定した。韓国では「日本の軍国主義の復活」に対する懸念の声が強まっている。写真は旭日旗。

日本が新たな迎撃システムの導入を表明、韓国では「軍国主義の復活」を懸念する声も=「見習うべき」「正直、日本がうらやましい」―韓国ネット

Record China / 2017年8月18日 23時40分

2017年8月18日、北朝鮮による弾道ミサイルの発射が相次いでいる中、日本が新たな迎撃システムの導入を決定した。韓国では「日本の軍国主義の復活」に対する懸念の声が強まっている。 [全文を読む]

3年前の今日…事件当日の経緯

4月15日午後9時頃

セウォル号、済州島へ出港開始。

4月16日午前8時50分頃

事故発生。(「衝撃とともに船が傾いた」等の乗客の証言あり)

15日午後9時、旅客船のセウォル号が仁川(インチョン)港から出発し、済州島(チェジュド)に向かっているところ、16日午前9時頃、珍島郡(チンド・グン)海上で原因が分からない事故が発生、沈没された。
船長と船員が我先にといち早く避難を試みていた時、乗客たちにはライフジャケットを着用しその場に座っているよう指示が出されていたという。その後50分の間、船が傾き浸水が始まっても、繰り返しその船内放送は続いていたとされる。

4月16日午前8時52分頃

乗客からの通報を消防が受け、海洋警察へと転送。 55分頃にセウォル号から済州島の海上交通管制センターへ遭難信号が入る。

4月16日午前9時30分頃

海上交通管制センターが乗客に対する脱出の最終決断を促す。その後、船長含む船員は脱出、9時50分頃に救助されている。船内放送では乗客に対する脱出の促しはなかったと多くの乗客がのちに証言。

4月16日午前10時10分頃

船内放送で海に飛び込むよう促す指示が出る。

4月17日

救助活動が悪天候で難航。

生存者と思われる高校生からのメッセージが公開された。ただし、生存者からのメッセージを偽装した偽メッセージも横行したというニュースも。

捜索作業を行っている韓国海洋警察は17日午前、「電話がつながらない」「今ここは船の中だ、人がいる」「何も見えない」「私はまだ死んでいないから、中に人がまだいると伝えて」という内容で、失踪されている高校生から送られたものと推定されるメッセージの発信地が、セウォル号の沈没事故の付近であると、発表した。
今回の事故では、事故直後から“船内からのSOS”と称するメッセージが、不明者の家族のもとに届き、韓国警察庁が、これらをすべて“偽メッセージ”と断定する騒ぎになっている。 

4月18日

韓国政府が派遣した海上クレーンが到着するも、引き続き救助活動は難航。同日午後、セウォル号完全に水没。

事故後からこれまで

2017年4月9日 セウォル号が陸揚げされる

300名近くの死者を出した大惨事、セウォル号沈没事故。当初は2014年の7月には引き揚げられる予定でしたが、3年経つ今年、ようやく陸に引き揚げられることとなりました。

事故後からこれまでの経緯

当初は不幸な事故だと思われていましたが、その後、乗客を置いて真っ先に逃げ出した船長らが殺人罪で起訴されたり、大統領が適切な指示を出さなかったことで国民の不信感が増し、最終的に罷免に至るなど、韓国全土を揺るがす大事件に発展。事故が起きてからこれまでの経緯をまとめました。

2014年 5月中旬 船長ら4人が5月中旬、「殺人罪」で韓国検察に起訴される 関連
11月 裁判で船長には死刑が求刑されたが、11月に下された判決は「懲役36年」。他の14人も5~30年の懲役刑に留まり、検察、船員の双方が控訴 関連
11月11日 行方不明者9名を残し、潜水による捜索が終了となる 参考
2015年 4月16日 朴槿恵大統領は事故海域近くの焼香所で献花を予定していたが、遺族らが拒否、献花できず 関連
2016年 1月12日 セウォル号で生き残った83人の子供たちが卒業を迎える 参考
4月16日 「セウォル号一般人犠牲者追慕館」開館 関連
2017年 1月24日 セウォル号犠牲者遺族が『空白の7時間』について朴大統領を特別検察チームに告発 関連
3月10日 韓国の憲法裁判所が朴槿恵大統領の罷免を認める 関連1
関連2
3月22日 セウォル号引き揚げ作業開始 関連
3月23日 船体の一部が浮上 関連
3月25日 船体全体が浮上 関連
3月27日 セウォル号引き揚げ時、油が流出 関連
3月28日 引き揚げ時、骨のようなものが見つかり、一時「行方不明者の遺骨と推定」と発表されたが、鑑定の結果、豚の骨と判明 関連
3月29日 乗客を捨てて逃げた船員の「獄中手紙」が公開 関連
3月31日 朴槿恵前大統領逮捕 関連
4月3日 韓国海洋水産部がセウォル号の船体内部の洗浄作業で犠牲者のものとみられる衣服、携帯電話など48点と動物の骨1点が見つかったと発表 関連

事故の原因は?

沈没事故の直接的な原因はまだ不明ですが、軍の潜水艦と衝突したという説がネットで浮上し、軍がこれを否定しました。多数の死者・行方不明者が出た原因としては、ずさんな安全管理や救助体制の不備をはじめとするさまざまな問題点を指摘する声があがっています。

さまざまな問題

安全面を無視した改造、新米航海士に任せられた操縦

世界各国のメディアの報道によると、日本の中古船である「セウォル号」は、韓国へと売却され、その後安全性を無視した改造が施されていたようだ。また、船の操縦業務が入社間もない新米航海士に任されており、事故発生後の船長は、乗客を見捨てて我先にと避難していたという。救助に向かう側も、費用の捻出をめぐるトラブルで出発が遅れた上、潜水士が溺れるなどしている。さらには乗客名簿などの誤報、行方不明者の家族の間に偽生存メールが出回るなど、さまざまな問題が重なり続けているのだ。

錯綜する情報

軍の潜水艦との衝突説が噂されるも、海軍はこれを否定

2016年12月25日、韓国・中央日報によると、「チャロ」と名乗る韓国の“ネットユーザー捜査隊”が、14年4月に韓国で起きた旅客船セウォル号沈没事故の原因について、「軍の潜水艦と衝突した可能性がある」と主張した。
旅客船セウォル号は潜水艦との衝突が原因で沈没したとのうわさが出ていることについて、韓国海軍が「事実でない」との立場を改めて示した。
海軍関係者は同日、国防部の定例会見で「セウォル号の船体が引き揚げられたが、潜水艦と衝突した痕はみられるか」との質問に対し、「当時のセウォル号の沈没海域に潜水艦の姿はなく、衝突説は事実でないという立場に変わりはない」と述べた。

虚偽ニュースも出回る

韓国では「メディアが報道した朴槿恵(パク・クネ)大統領の退陣を要求する集会(ろうそく集会)への参加者数はうそだったと判明した」「セウォル号沈没惨事は北朝鮮の指令だった」など、事実が確認されていない一方的な主張や出所が不明な内容が書かれた“虚偽ニュース”が出回った。
これらのニュースは単純にソーシャルメディアなどを通して広まったのではなく、新聞と同じ形式で全国の団地やアパートの郵便受けに配布されたという

相次ぐ引き揚げの延期

当初、引き揚げは2014年6月中に終わる予定でしたが、度重なる延期となり、陰謀論まで流れる事態に。結局、船体が完全に引き揚げられたのは3年後、2017年4月のことでした。

延期に次ぐ延期

「証拠を隠滅しようとしている」の声も

数々のトラブルで引き揚げが何度も延期、遺族だけでなく国民の不信感も煽ることに。
当初の予定では船体を極力破損せず引き揚げるはずでしたが、すでに130個もの穴が船体にあけられているという事実が判明し、「証拠隠滅」「真相究明の妨害行為」などという声が上がりました。

韓国政府が引き揚げ後に船体を切断せざるを得ないとの方針を固めた。これに、船体を維持した状態での保存を訴える遺族らが強く反発している。
引き揚げ作業が大詰めとなる中、セウォル号の船体を港に移す際に重要な役割を果たすフローティングドックが先週、試運転中に破損していたことが分かった。
今回破損した場所がセウォル号の長さに合わせるために延長した部分であったため、「延長設計にミスがあったのではないか」との指摘が出ている。
特調委は「今回穴を開ける船体の下部タンクと機関室は、セウォル号が正常に運航されていたかどうかを把握するための調査対象」とし、「今回の作業は事実上、セウォル号惨事の真相究明を妨害するもの」と主張した。
引き揚げを担当する中国企業は当初「船体を破損することなく、2個程度の穴を開けるのみで引き揚げる」としていたが、実際にはすでに130個余りの穴が船体に開けられているという。これには専門家も「バージ船での引き揚げには30以上の穴は不要。なぜこれほど多くの穴が開けられたのか」と首をかしげる。
開けられた穴は貨物室付近に集中しており、大きなものでは幅1メートルほどという。これについて番組は「貨物室に積んであった何かを取り出すには十分な大きさだ」とした。

大統領の罷免にも多大な影響

セウォル号沈没事故の対応で国民の反感を買った朴槿恵大統領(当時)が、民間人女性に機密文書を渡していたというニュースは、さらに国民の怒りを煽りました。同じく逮捕された民間人女性、崔順実氏は朴槿恵大統領の『空白の7時間』の原因とされる美容整形についても関与しており、国民の不信感は頂点に達し、ついに大統領罷免、そして逮捕に至ることとなりました。

反感、また反感

側近の民間人女性、崔順実(チェ・スンシル)氏が逮捕

韓国の朴槿恵大統領が崔順実という民間人女性に演説文など大統領関連文書を事前に流し、アドバイスを受けていた疑惑が発覚し、韓国検察は10月31日、崔順実(チェ・スンシル)容疑者を職権乱用の共犯と詐欺未遂の容疑で逮捕した。

民間人の国政介入事件についての報道が加熱する中、セウォル号沈没事故当時、大統領が美容整形の施術を受けていたのではないかという疑惑が持ち上がりました。

朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)氏による国政介入事件と関連し、「朴大統領は美容のために不法な幹細胞施術を受けていた」「朴大統領はセウォル号沈没事件当時にボトックス注射を受けていた」などの疑惑が浮上
聴聞会では「影の医師」と呼ばれるキム前大統領担当医と崔被告の美容整形の主治医で朴大統領の美容整形施術も担当したとの疑惑を受けているキム・ヨンジェ氏が、「セキュリティー客(大統領と面会する人物の中で、出入り証をつけずに別途出入りする人物)の資格」で大統領府を出入りしていた事実も明らかとなった。

国民の怒りが再燃

崔順実疑惑の前のセウォル号沈没事件へのまずい対応で、朴槿恵大統領株は急降下した。加えて韓国特有の国民感情もあって、支配層が失敗すると、いつも大衆とメディアがカサにかかって攻め立てる騒ぎになる。

相次ぐ不祥事に、国民の怒りは爆発し、その後、朴槿恵大統領は罷免されることとなったのは周知の事実です。

謎を呼ぶ『空白の7時間』

セウォル号沈没事故への怒りを再燃させることとなった美容整形疑惑ですが、かねてより事故当時の大統領の『空白の7時間』については、疑念が持たれていました。美容整形疑惑を始め、様々な憶測が飛び交っていますが、大統領はこれを否定。真相は3年経った今でも明らかになっていません。

『空白の7時間』とは

事故が起きたのは午前10時。大統領にはすぐに約300人が行方不明と連絡が入ったものの、対策本部に顔を出したのは午後5時を回っていた。

執務室にはいなかった?

2016年12月14日、韓国・ニューシスによると、韓国大統領府の金章洙(キム・ジャンス)元国家安保室長が、謎に包まれているセウォル号沈没事故当日の朴大統領の行動について、「執務室にはいないようだとの報告を補佐官から受けた」と明らかにした。

2時間20分、計8回の報告に無反応

秘書室と安保室は朴大統領に全部で18回の報告をし、朴大統領はセウォル号に関して6回の指示を出した。午前10時30分に海洋警察庁長に電話で救助を指示した朴大統領は、午後0時50分までの2時間20分間、8回も報告を受けたにもかかわらず、何の指示も出さなかった。また、8回のうち、午前11時23分の安保室のみ口頭で、残りの7回は全て書面で報告を受けた。さらに、午前10時30分以前に3回、午後2時11分以降に3回の計6回の指示も、直接ではなく電話で行っていたことが確認された。朴大統領の当日の行動に対する疑問の声がさらに広まるとみられている。

韓国大統領府の釈明や元大使の証言でも、不信感は拭えず

大統領府は19日、ホームページ上に「誤報・怪談を正す」コーナーを新設、「セウォル号7時間、大統領はどこで何をしたか。これが事実です」とのタイトルで、セウォル号惨事が起こった14年4月16日の大統領の執務内容を時間ごとに記録した資料を公開した

ただし、この資料では、朴大統領が平日なのに執務室ではなく官邸にとどまっていたことの説明がなされておらず、また、一般的な指示のみで具体的な指示を出していないことがわかるなど、不信感を払拭するものではなかったようです。

金大使は駐中韓国大使館で韓国の北京特派員らと面会、当時の状況について聞かれ、朴大統領が事故当日、数回にわたって直接経緯報告を受け「船窓を割ってでも子どもたちを救うよう」指示したと述べた。

空白の7時間について、事故当時の国家安全保障室長が証言するも、ネットの反応は冷ややかだったと記事は伝えています。

崔容疑者の元夫である鄭氏と会っていた?

鄭氏は14年のセウォル号沈没事故の当日、朴大統領の動向が一時不明となった「空白の7時間」に、大統領と面会していた可能性が指摘されている。

やはり美容整形?

2016年12月27日、韓国・JTBCは、セウォル号沈没事故(2014年4月16日)翌日の朴槿恵大統領の顔写真に、美容施術跡とみられる傷跡があることを発見した。
もし施術が実際にあったとすると、セウォル号沈没事故当日だった可能性が高いことになる。

『空白の7時間』についてはさまざまな憶測や疑惑が生まれ、それに対する釈明はあれど、世間が納得できるものではないようです。実際は何をしていたのか?真実が明かされる日は来るのでしょうか。


3年が経ち、ようやく陸揚げされたセウォル号。今後の調査で、9名の行方不明者の居場所特定につながる発見はあるのでしょうか。また、事故の原因は判明するのでしょうか。ご遺族の心が少しでも癒える日が来ることを願います。

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