特集2017年6月22日更新

狭い!深い!ディープな専門誌特集 第二弾

昨年12月、ユニークで変わった雑誌、面白い雑誌を「ディープな専門誌」として特集しました。今回はその第2弾です。半年ぶりの今回の特集では、さらにニッチでマニアックな専門誌の世界にご招待していきます。

目次

月刊住職月刊下水道鱗光月刊 自動認識野宿野郎月刊 秘伝月刊 コンビニ食品包装月刊 細胞郵趣月刊油脂養豚の友月刊タニシ

ご興味ある方は前回行いました第一弾の特集についても、ぜひご覧ください。
狭い!深い!「専門誌」のディープな世界特集

月刊住職

発行興山舎
発行ペース毎月1日発売
定価1,300円(税抜)
公式サイト1974年創刊住職の実務誌『月刊住職』

住職の4人に1人が購読する「攻めすぎ」な雑誌

一番手に紹介するのは、前回の特集でも取り上げた「月刊住職」。もはや「ディープな専門誌」の代名詞的存在ともいえ、今月も「見出しが攻めすぎ」という記事が新たに配信されてきています。

仏教関係者向けの情報誌「月刊住職」が新聞1面下に出した広告の見出しがインパクトあると、ツイッター上で話題になっている。いずれも、週刊誌顔負けな「攻めすぎ」の内容だからだ。
(中略)
月刊住職の新聞広告は、これまでも度々ネット上で話題になっている。
2015年12月号では、「肉親の骨をゆうパックで寺に送るな!」との見出しがインパクトありすぎると反響を呼んだ。また、16年9月号には、「ポケモンGO来山に寺院の対処法」といった特集が載り、「下手な一般紙より面白そう」といった声が出ていた。

月刊下水道

発行環境新聞社
発行ペース毎月15日発売
定価1,500円(税抜)
公式サイト月刊下水道

読者の多くが公務員

「下水道普及を真剣に見つめ、その意義をわかりやすく一般に認識づけるために、官民一体となって編集される」という専門誌。東日本大震災の際には各地の下水道の被害状況を報じるなど専門業界誌として大きな役割を果たしたといいます。

「読者で一番多いのが公務員。中央官庁や地方自治体とその関連団体が読者の約35%を占めています。その他にも下水道の設計や維持管理に携わる方などにお読みいただいています」

最近、ご当地マンホール巡りなどマンホールマニアがメディアで取り上げられていますが、今年の2月号ではマンホールの蓋を特集してコアな層をざわつかせたようです。

鱗光

発行新日本教育図書
発行ペース月刊
定価1,200円(税抜)
公式サイト錦鯉の専門雑誌『鱗光』

間もなく600号…錦鯉界で最も歴史ある月刊誌

読みは「りんこう」。最新の6月号が594号で、今年中に600号を迎えるという錦鯉界の重鎮的雑誌です。初心者から高レベルの鯉の愛好家まで必読の雑誌といいます。
なお錦鯉界には、錦鯉の愛好家団体・全日本愛鱗会の機関誌「日鱗」、錦鯉生産者の情報が満載の錦鯉情報誌「月刊錦鯉」(錦彩出版)と、専門誌が豊富です。

完全に余談ですが、錦鯉に全く詳しくない素人の目から見ると、毎号同じ表紙に見えてしまい、「あれ、この号買ったかな?」と買う前に毎回確認が必要になりそうです…。

月刊 自動認識

発行日本工業出版
発行ペース月刊
定価2,138円(税込)
公式サイト自動認識

内容がディープすぎて一切わからない「ザ・専門誌」

磁気、ICカードなど自動認識技術の専門誌。自動認識技術を扱う企業では、この雑誌を読むことで新入社員は基礎技術を学び、ベテラン社員は最新情報を把握できるという、業界にはなくてはならない雑誌だといいます。

「自動認識」とは、機器を使ってバーコードやICカード、RFID(RFタグのデータを読み書きする非接触システム)などのデータを取り込み、内容を認識することだ。
しかし、非常に専門的な分野だけに、雑誌を手に取って記事を読んでも、内容がディープすぎて一切わからない。しかも、掲載されているのはあくまでも専門的なニュースや情報だけで、写真も少なく、いわゆる読み物などはまったく見当たらない。まさに「ザ・専門誌」といった感じだ。

野宿野郎

発行野宿野郎
発行ペース不定期
価格300~500円(税込)
公式サイトオフィシャル公式「野宿野郎」ホームページウェブサイト

「人生をより低迷させる」旅コミ誌

2004年10月に発売された創刊号(1号)を皮切りに「7号」まで発売中で、昨年から電子書籍化に踏み出しているようです。一時期、その斬新な内容と方向性から多くのメディアで取り上げられていました。しばらく新刊は発売されていませんが、さまざまな雑誌への寄稿やメディア露出などは現在でも積極的に行っていて、ホームページやTwitterは頻繁に更新されています。

月刊 秘伝

発行BABジャパン
発行ペース月刊
定価917円(税抜)
公式サイトWEB秘伝

1000円以下で「秘伝」を伝授する雑誌

いにしえの時代より伝わる「身体の叡智」を今に伝える武道・武術専門誌。「秘伝」というタイトルに惹かれます。また、販売価格の安さにも注目です。

武道/武術系専門誌。秘伝なのに、毎月教えてもらえる!しかも、1000円以下!(2014年11月号は税込990円)。秘伝の魅惑さに加え、きっぷの良さにもグッときます。

月刊 コンビニ

発行アール・アイ・シー
発行ペース月刊
定価1,132円(税込)
公式サイト月刊コンビニ~Magazine of the Convenience store industry~

コンビニエンスストア経営専門誌

「加盟店オーナーとチェーン本部のための専門誌」と銘打たれた、コンビニエンスストアの経営全般を対象とした月刊誌。最新6月号の特集は「脱『一食完結型』弁当の売場づくり」と題して、「ビュッフェ型」売場のつくり方、時間帯・客層別の攻略法などなど、客に訴求する売場づくりを徹底的に解説しています。

食品包装

発行日報ビジネス
発行ペース月刊
定価1,619円(税抜)
公式サイト月刊食品包装2017最新号

前身雑誌の創刊は1957年

瓶や缶、ペットボトル、お菓子の袋、醤油のパッケージなどなど、食品包装全般を取り扱う専門誌。現在のタイトルになったのは2006年からで、前身雑誌「新しい包装」の創刊は今から60年前の1957年。「蓋の裏側にヨーグルトがくっつかない技術」といった情報をいち早く報じる雑誌だといいます。

「ヨーグルトを開けたとき、蓋の裏側にヨーグルトがくっつかないような技術を開発した会社がありました。蓮の葉が雨を弾くように、高い撥水性のある蓋材を開発したわけです。乳業会社では蓋の裏に付着する分を見越して多めにヨーグルトを入れているところもあるといいますし、何より食品の無駄を省けるとあって、いち早く報じました」

月刊 細胞

発行ニュー・サイエンス社
発行ペース月刊
定価1,944円(税抜)
公式サイト細胞 - 北隆館/ニュー・サイエンス社

驚異的に発展する細胞学…細胞を探求

近年電子顕微鏡の進歩に伴って脅威的な発展を示す細胞学を背景として、細胞の形態と機能を探求する学術雑誌。最近では発達の著しい内視鏡関連にも焦点をあてているとのこと。非常にお堅い感じがする医学系専門誌ですが、その簡潔かつ直球すぎるタイトルが魅力的です。

郵趣

発行日本郵趣協会
発行ペース月刊
定価700円(税込)
公式サイト切手を楽しむ雑誌「郵趣(ゆうしゅ)」

切手収集には欠かせない日本随一の郵趣月刊誌

「郵趣(ゆうしゅ)」とは、切手収集をはじめとした郵便を対象とする趣味、郵便趣味の略語。この言葉をそのままをタイトルした雑誌「郵趣」は、切手収集の楽しみを広げる多くの情報が得られる雑誌として1946年11月に創刊し、長く親しまれているそうです。
なお、日本郵趣協会からは「スタンプマガジン」や「郵趣研究」といった、これまたディープな雑誌も刊行されています。

月刊油脂

発行幸書房
発行ペース毎月20日発売
定価2,365円(税込)
公式サイト月刊油脂

嵐が表紙に登場することも…日本唯一の油脂関係専門誌

油脂、油糧、加工油脂、石けん洗剤、トイレタリー、界面活性剤などなど、油脂に関連する情報を幅広く網羅。最新の6月号では高値推移のバターやエチケットアイテム化する柔軟剤などを特集しています。今年だけでも「成長軌道を歩む台所用洗剤」「危機感高まる業務用食用油」「オリーブオイル市場継続拡大への挑戦」など、とにかく油脂関連の特集が目白押しです。
最近、5月号の二宮和也、6月号の大野智と、アイドルグループ嵐のメンバーが連続して表紙を飾っているあたりに「攻めてる」感を受けます。嵐ファンの中には、2365円という値段に「買おうかどうか悩む」などとSNSでつぶやいている人が数名ほどいました。

養豚の友

発行日本畜産振興会
発行ペース月刊
定価1,543円(税込)
公式サイト養豚の友

養豚家の明日をサポート

日本畜産振興会からは「養豚の友」のほかに「養牛の友」「養鶏の友」も発行されています。6月号ではそれぞれ「夏到来! 暑熱ストレスを考える」(養豚)、「牛を猛暑から守ろう!」(養牛)、「暑さに負けない飼養管理」(養鶏)と、これからの季節に備えた巻頭特集を組んでいて、農家の経営をフォローする情報誌として役立っているようです。

月刊タニシ

発行GOCCO
発行ペース月刊?
定価700円(税込)?
公式サイト月刊タニシ編集部

「創刊50年」世にも珍しいタニシ専門誌

誌名を見る限り、タニシの養殖業者向けの専門誌と思うかもしれない。確かに、同誌も「業界団体に属するタニシ養殖業者向けに発刊してきた」と謳っている。
しかし、雑誌を手に入れて読んでみると、巻頭は「夏休み絵画コンテスト」なるタニシをテーマにしたイラストを表彰するほのぼの企画で、その次に「タニシの増えるBGM」という音楽レビュー、「タニシ体験談」という意味不明の読者投稿が続く。

…ということですが、タニシの養殖業者向けの専門誌というのは単なるネタで、実際はサブカル系の面白ミニコミ誌だそうです。


個人的に気になったのは、表紙にこだわりを感じる「鱗光」と、表紙に嵐メンバーがいて驚いた「月刊油脂」。皆さんも、同じように興味がそそられたものがあれば、ぜひ書店で手に取ってみたり、公式サイトからの購入や定期購読などを検討してみてはいかがでしょうか。