貴乃花親方引退騒動まとめ 引退後は何をする?

2018年10月12日更新

先月25日に突然、引退の意向を表明した貴乃花親方。紆余曲折ありながら日本相撲協会が今月1日に引退(退職)届を受理して、正式に引退が決定しました。引退を決意した背景や理由、そして“元”貴乃花親方の今後などについて、噂話も含めてまとめてみました。

突然の引退会見から現在までの動き

まずは、25日の引退届提出から現在までの動きを簡単に時系列でまとめてみます。

9月25日、引退届を提出 記者会見を開いて理由を説明

弟子らの所属先変更願いも提出

元横綱・貴乃花の貴乃花親方(46)=本名・花田光司=が25日、日本相撲協会に退職届を提出したことを発表した。
書面で「本日、公益財団法人日本相撲協会に対し、年寄を退職させていただく旨の退職届け及び、貴乃花部屋に所属する弟子、床山、世話人全員について所属先を変更させていただきたい旨の変更願いを提出いたしました」と明かした。

なお、正式には「退職届」ではなく「引退届」であったようです。

「真実曲げられない」 引退は「苦渋の決断」

問題となったのは、3月に元横綱日馬富士の傷害事件に関して協会の対応に問題があるとして、内閣府に出した告発状。その後取り下げたものの、「告発内容は、事実無根だった」と認めるよう、協会幹部から「要請」を受けたが、貴乃花は「事実無根ではない」として、応じることはできず、今回の決断に至ったという。
続けて貴乃花親方は「このままでは貴乃花部屋に所属する力士たちが相撲を取ることができない」とし、全員を千賀ノ浦部屋に移籍させ、
「私、貴乃花光司は年寄を引退することが最善の道であると、苦渋の決断に至った次第です」
と説明した。

会見の内容や引退の理由については、のちほど詳しくまとめます。

同日、相撲協会は届け出を「受理せず」

相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は、貴乃花親方から提出されたのは引退届で、親方が辞める場合に必要な退職届ではなかったため、受理していないと説明した。

会見前日にはブログで引退示唆

会見の前日、24日にはブログで引退を示唆する言葉をつづっていました。

貴乃花親方は秋場所千秋楽翌日の24日、ウェブサイト「貴乃花応援会」のブログを更新。ファンへの感謝をつづり、弟子たちの活躍を称えると、「皆様長らく貴乃花を応援してくださりありがとうございました。厚く御礼申し上げるとともに、弟子たちを今後、末永く応援賜りますように何卒宜しくお願い申し上げます」とつづった。自身が大相撲界から身を引くと表明したとも受け取れるような言葉だ。

26日、千賀ノ浦親方らと移籍や退職の手続き進める

大相撲の貴乃花親方(元横綱)が日本相撲協会に退職を届け出たことに関し、力士らを受け入れる意向を示した千賀ノ浦部屋の師匠、千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)や貴乃花親方の弁護士が26日、東京都江東区の貴乃花部屋を訪れ、力士らの移籍や親方の退職に向け手続きを進めることを確認した。

番付編成会議に貴乃花親方は出席せず

芝田山広報部長は26日の番付編成会議に現職の審判部として出席するように促しましたようですが…

貴乃花親方は26日午前、都内の部屋に姿を見せたが、両国国技館で行われた番付編成会議には出席しなかった。

「貴乃花部屋物件は『即入居可』」報道を応援会が否定

一部スポーツ紙が9月26日、「東京・江東区の貴乃花部屋が『即入居可』」の貸倉庫物件として賃貸に出されている」と報道しました。SNS上でも「不動産業者が公開している」とする物件情報が出回りましたが、貴乃花親方の支援者らでつくる「貴乃花応援会」の公式サイトは同日、「こうした情報は虚偽報道」と否定するコメントを発表しました。

27日、貴乃花親方が退職の翻意を否定

日本相撲協会に退職を届け出ている大相撲の貴乃花親方(元横綱)が27日、東京都江東区の貴乃花部屋前で取材に応じ、退職について考えを変えるつもりはないかとの問いに「はい」と答え、翻意の可能性を否定した。
25日に提出した届け出は書類上の問題でまだ受理されていないが、この日行われた協会の年寄総会を欠席した。

代理人が上申書を協会に提出

貴乃花親方の代理人弁護士は27日、引退届を退職届として扱うよう求める上申書を協会に提出。

なお、この日に提出した所属先変更願が原本のコピーだったことも伝えられました。

27日に貴乃花親方の代理人弁護士が、相撲協会に所属先変更願を提出したが、原本のコピーに千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が署名したものだったため、協会は原本を提出するように千賀ノ浦親方に求めた。

相撲協会では年寄総会が行われ「圧力」についての質問飛ぶ

日本相撲協会は2018年9月27日、東京・両国国技館で年寄総会を行った。総会に出席した関係者によると、会合の中で貴乃花親方の退職に関して協会側からの圧力があったのか、との質問が飛び、これに対して役員が「ないです」ときっぱり否定したという。貴乃花親方と協会の言い分に食い違いが見られ、いまだ真相が明かされていない中、ついに協会内からも疑問の声が噴出し出した。

28日、書類再提出されず

大相撲の貴乃花親方(元横綱)が日本相撲協会に退職を届け出た問題で、貴乃花部屋の力士らが千賀ノ浦部屋へ移籍するための所属先変更願などの書類は28日、同協会に再提出されなかった。
貴乃花親方は28日、東京都江東区の貴乃花部屋で報道陣に応対。書類について「今、準備している」と述べた。

ブログでファンへ感謝&自らの足跡を振り返る

日本相撲協会に退職届を提出した貴乃花親方(46=元横綱)が28日、「貴乃花応援会」のサイトでファンへの感謝をつづり、「慌ただしく過ごしながら、これまでの相撲人生を振り返ったりしています」とコメントした。
「祖父の遺影」「父と私」「入門した時の写真」「父の遺影」「貴景勝が子供の頃の写真」「私と村田選手の写真」の計6枚を順に並べ、自らの足跡を振り返った。

29日、所属先変更願を再提出

大相撲の貴乃花親方(元横綱)が日本相撲協会に退職を届け出た件で、千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)と貴乃花親方の代理人弁護士が29日、東京都江東区の貴乃花部屋を訪問し、力士らの千賀ノ浦部屋への所属先変更願を新たに作成し、相撲協会に提出した。協会の代理人弁護士の元に届き、協会の求める正式書式であることが確認された。

応援会が一部報道を否定

日本相撲協会に退職届を提出した貴乃花親方(46=元横綱)をめぐる報道について、「貴乃花応援会」が29日、公式サイトで一部を否定し、注意をうながした。
「弟子達との関係、手続きの不備、支援者との関係等の中傷報道について」と題し、「弟子達との関係について」「貴乃花親方の誤解、説得に応じなかったというような報道」「書類の不備に関して」「支援者との関係や孤立無援との報道」の4点について報道と事実の相違を説明した。

「お別れの会」の様子を応援会のサイトにアップ

貴乃花部屋ではおかみさんの景子さんの呼び掛けで力士、床山、世話人を集めた「お別れの会」を開き、29日に貴乃花応援会のサイトにアップした。弟子たちが親方、景子さんに感謝の言葉を伝え景子さんが涙ぐむ場面もあったという。

10月1日、貴乃花親方の退職が正式決定 部屋は消滅

大相撲で史上6位の優勝22度を誇り「平成の大横綱」と称された貴乃花親方(46)=本名花田光司、東京出身=が日本相撲協会を退職することが1日、決まった。このまま角界を去ることになる。9月25日に退職を届け出ていた。
1日の相撲協会臨時理事会で貴乃花部屋の力士らが千賀ノ浦部屋へ移籍することが承認され、貴乃花部屋が消滅した。

「大相撲は不滅です」ブログで感謝や大相撲への思いつづる

日本相撲協会に引退届を提出した貴乃花親方(46=元横綱)が1日、貴乃花応援会公式サイトで、「皆様への感謝と、貴ノ岩の思い出」と題し、ファンへのメッセージや大相撲への思いをつづった。

八角理事長「残念でなりません」

八角理事長は、高砂一門で受け入れる用意があることを、協会の顧問弁護士を通じて貴乃花親方の代理人弁護士に伝えていたという。だがその後、親方本人からは結局連絡がないまま今日を迎えた。八角理事長は「色々ありましたが、いつか協会を一緒に引っ張っていくと思っていただけに残念でなりません」と心境を明かした。

2日、旧貴乃花部屋が引っ越し

涙を流す力士も

1日付で日本相撲協会を退職した大相撲の元貴乃花親方(元横綱)が師匠を務めた旧貴乃花部屋の力士らが2日、東京都江東区の同部屋から台東区にある移籍先の千賀ノ浦部屋への引っ越しを開始した。作業の際には涙を流す力士もいた。

千賀ノ浦部屋近隣住民は拍手でエール

千賀ノ浦部屋に到着すると、地域住民から拍手が起き「頑張れ、負けるな」とエール。迎え入れた力士は、荷物を運ぶなど引っ越し作業を手伝った。旧貴乃花部屋を出る際には涙を見せていた力士もいたが、引っ越し後は笑顔を交わす場面も。

相撲協会の公式サイトから“貴乃花”消える

2日午後、日本相撲協会の公式サイトから1日付で協会を退職した元貴乃花親方(元横綱)の名前が消えた。
この日の午前中まで「協会員のご紹介」の「年寄一覧」にあった名前がなくなり、「相撲部屋のご紹介」からも「貴乃花部屋」のページが削除された。

4日、馳元文科相を訪問

噂される参院選出馬の打診は否定

日本相撲協会を1日付で退職した大相撲の元貴乃花親方(元横綱)が馳浩元文部科学相の東京都千代田区にある事務所を訪問し、退職を報告した。報道陣に来夏の参院選出馬の可能性を聞かれると「次、何をしようとするかとか、その余裕はなくしております。これから自分にできることを模索しながらやっていきたい」と語り、打診の話はなかったという。

首相との極秘会談も否定

一部の週刊誌で安倍首相と極秘で会談したと報じられたことについては「全くございません。お会いできるような立場ではありません」と否定した。

スポニチは「馳氏が参院選への出馬を打診」と報道

スポニチ本紙の取材では、馳氏が来年7月予定の参院選への出馬を打診。本人次第で自民党は正式に出馬要請する構えで、希代の名横綱が政界に転身するか注目される。
相撲関係者は本紙に「実は面会で馳氏から“(参院選に)出てみたらどう?”というような話がありました」と話した。その際に元貴乃花親方は「自分はいけませんから」と恐れ多そうに返答したという。

貴ノ岩が元日馬富士を提訴

一連の貴乃花親方引退騒動の本筋からは外れますが、連日のニュースに合わせて大きく報道されました。

大相撲の元横綱日馬富士による傷害事件をめぐり、被害者の貴ノ岩関は4日、元日馬富士に約2400万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。貴ノ岩関の代理人によると、事件でけがをしたほか、精神的苦痛を受け、春巡業の休場を余儀なくされたなどと主張している。

5日、花田景子さんが応援会サイトにコメント寄せる

同サイトでの景子さんのメッセージ掲載は初

元貴乃花親方(46=元横綱)の妻で元フジテレビアナウンサーの花田景子さん(53)が5日、貴乃花応援会の公式サイトにコメントを寄せた。
「私の宝物」と題したエントリーで、「元貴乃花部屋の弟子たちと最後もとても良い時間を過ごしました。それぞれと語り合い写真を撮って、涙して笑い、見送りました」と景子さんのコメントを掲載。
これまで同サイトでは元貴乃花親方のメッセージが何度も更新されてきたが、景子さんのメッセージが掲載されたのは初めて。

引退に至った背景とは

続いては、今回の騒動の発端となった元横綱・日馬富士の傷害事件からの流れや、引退理由の背景を整理しておきます。

騒動の発端は元横綱・日馬富士の傷害事件

相撲協会と対立 1月に理事を解任

日馬富士は昨年10月、秋巡業中の鳥取市内での酒席で貴ノ岩に暴行し、負傷させた。その事実が同11月に明るみになり、責任を取って引退した。貴ノ岩の師匠である貴乃花親方は、この問題に絡み日本相撲協会と対立する形になり、今月になって相撲協会を退職する意向を固めた。
昨年の元横綱・日馬富士による弟子の幕内・貴ノ岩への傷害事件の対応を巡り相撲協会と対立し、今年1月に理事を解任されていた。

ちなみに、元日馬富士は貴乃花親方の騒動の渦中、9月30日に引退相撲を行っています。

3月、内閣府に告発状を提出するも…

貴乃花親方は、今年3月に一連の事件において協会の対応に問題があったとして内閣府に告発状を提出。これに協会内から強い反発を受け、3月28日付で告発状を取り下げた。

弟子の不祥事で告発状取り下げ&“ヒラ”の年寄への降格処分

3月の春場所で弟子の幕下(当時十両)、貴公俊が支度部屋で付け人に暴行し、その責任を取って告発状を取り下げ、一兵卒から再出発することを表明。一方で、相撲協会からは師匠としての責任を問われ平の年寄への降格処分を受けていた。3カ月で相撲協会のNo.3から、序列で88番目への5階級降格だった。

協会内で孤立していった貴乃花親方

この元日馬富士の傷害事件をめぐる一連の騒動で貴乃花親方を排除しようとする動きが生まれ、さらに、親しい親方衆も離れていったと相撲関係者が語っています。

今年3月、内閣府に告発状を提出しました。いわば協会に反旗を翻したかたちです。このことがきっかけとなり、彼を角界から排除しようと考える派閥が生まれました。理事たちは『お前のせいで公益団体じゃなくなったらどうするんだ!俺たちが飯を食えなくなるだろ!』と貴乃花親方を罵っていたそうです
「村社会の相撲界は、和を乱す存在を徹底的に嫌います。親方は協会と事あるごとに対立し、日馬富士の暴行事件で溝は修復不可能なところまで深まりました。あまりに突っ走るので、最終的には貴乃花親方を支持してきた親方衆まで離れていき、協会からの情報は一切入ってこなくなりました」

元日馬富士の傷害事件に端を発した相撲協会との対立。これが今回の電撃引退に至った根底とされています。
そして引退を決定付けたのが、新しく決まった「一門に属さないと親方をできない」ルールと「有形無形の圧力」です。

「親方は一門に属さなければならない」ルールが7月に決定

貴乃花親方だけ所属先が未定だった

日本相撲協会は7月の理事会で、各部屋が協会内にある5つの一門(出羽海、二所ノ関、高砂、時津風、伊勢ケ浜)のいずれかに所属することを決めた。すでに6月に貴乃花一門は消滅しており、貴乃花を含む同一門の8人の親方衆は、5つのいずれかの一門に「転籍」する必要性に迫られていた。
貴乃花親方以外の7人は秋場所中に所属先を決めており、貴乃花親方だけが未定だった。9月27日の理事会までに所属先が決まらなければ、協会員の資格を満たさないため、部屋が取り潰される。そんな矢先の退職届提出だった。

一門加入強制の理由は?

芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は25日夜に開いた会見で、一門加入強制の理由について「一門に支給する補助金の使途を確認する必要があり、無所属だと透明性の確保が難しい」などと説明した
ガバナンスの問題もある。一門を協会と各部屋をつなぐ機関と位置づけ、ガバナンスを強化する。そのためには全親方が一門に所属し、一致団結することが協会の総意です

「貴乃花潰し」を念頭に入れたルールか

このルール(取り決め)は引退決断の直接的な引き金となったことから、「貴乃花潰し」「追放」が狙いではないかという見方もあるようです。

取り決めについては一門を解消したあとに決定されており、「貴乃花潰し」を念頭に入れたもののように思える。
協会は「一門の位置づけを明確にし、ガバナンスを強化するため」と説明していますが、貴乃花一門の消滅が6月で、理事会が7月だったことから、SNS上では「貴乃花を狙い撃ちにしたいじめ」「強烈なパワハラ」と疑念の声が上がっています。

貴乃花親方が会見で語った引退理由

ここまで挙げてきた告発状の話と「一門に属する」ルールの話を踏まえたうえで、再び9月25日に行われた貴乃花親方の会見を振り返っていきます。

告発状について「事実無根な理由でなされた」と協会側が結論

貴乃花親方は記者会見で退職する理由について、
「今年3月に内閣府に提出し、後に撤回した告発状について、協会サイドから書面が届き、事実無根な理由に基づいてなされたものと結論付けられていた」
ことを明かす。

「全てにおいて事実無根であるということでした」

告発状のうちどういった箇所が「事実無根」と指摘されたのか。具体的な指摘は「ありました」というが、「個別の指摘よりも、全てにおいて事実無根であるということでしたので、どう考えても私自身が認められなかったということです」と詳細は明かさない。

事実無根を認めないと廃業せざるを得ない「有形無形の圧力があった」

「このままでは貴乃花部屋の力士は相撲を続けられなくなる」

貴乃花親方は引退に至った理由を、「相撲協会から有形無形の圧力があった」と、こう説明した。
「5つある一門に所属していないと部屋を持てないと、協会が決定した。同時に、いずれかの部屋に入る条件として、(今年3月に内閣府に提出した)告発状は事実無根と認めるよう、要請があった。9月場所の後半戦で、(協会)役員のある方から、初めてその話をされた。でも、告発状を事実無根と認めることはできない。一方、このままではどの一門にも所属できず、貴乃花部屋の力士は相撲を続けられなくなる。このような状況において、断腸の思いで力士、床山、世話人は千賀ノ浦部屋に所属を変更し、貴乃花光司は引退が最善と、苦渋の決断となりました」

「真実を曲げて事実無根だと認めることはできない」

「真実を曲げて、告発は事実無根だと認めることは、私にはできません」とした上で、「一方でこのままでは、私はどの一門にも属することができません。これでは貴乃花部屋に所属する力士たちは相撲を続けることが困難」になるため、引退を決意したと語った。

「役員」の名前は明かさず

事実無根と認めるよう要請した「役員のある方」の実名は明かされませんでした。

新たな一門に入る条件とは、告発の理由を事実無根の内容に基づくものだと認めること。25日の会見では「正式な通達、書類や文章がございません。名前は控えさせていただくが、役員のある方から、今場所後半戦に入り、はじめてそのような話を聞いた」と実名こそ避けたが、協会幹部から圧力がかかったと説明した。

ちなみに、「圧力をかけたのは元貴乃花一門の阿武松親方ではないか」という記事も。これらの記事では阿武松親方の「魂を込めた説得」が圧力と受け取られた可能性を指摘しています。

協会側は「圧力の事実なし」と貴乃花親方の主張を否定

貴乃花の会見を受け、同日、相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)がマスコミの取材に応じ、「告発状が事実無根であることを認めないと一門には入れない、というわけではありませんし、そういったことを言って貴乃花親方に圧力をかけた事実はありません」と否定した。

話し合いはできなかったのか?

要請をめぐって「八角理事長らと話し合いの場を持とうとしなかったのか?」と問われると、「正式な通達が理事長からあれば話せたかもしれないが、現在まで直接の通達はない」と返答。協会執行部に直接確認はしてなかったと見られる。

「第三者委員会が立ち上げられなかったのは残念」

元日馬富士の事件の対応をめぐっては、「暴行事件で、第三者委員会が立ち上げられなかったのは私にとって残念なことです。外部の方々の目で相撲協会を見てほしいと思います」と今なお納得していない。

会見内容や騒動に対する各方面の反応

八代弁護士「これはもうただのイジメ」

所属先が見つかる見込みがない貴乃花親方にとっては退職届を出さざるを得ない状況となっていたことについて、『ひるおび!』(TBS系)に出演した八代英輝弁護士が協会を痛烈に批判しました。

八代弁護士は、「(相撲協会が)任意団体ならいざ知らず、公益財団法人なのに、『どこかの派閥に属していないとクビです』というのはやっていいわけがない」と協会を非難。
さらに、所属先がなくなる力士たちを絡めつつ、「阿武松グループの皆さんは受け入れて、貴乃花親方を受け入れないとしたら、これはもうただのイジメじゃないですか」とバッサリ。

デーブ・スペクター「駄々っ子みたい」

デーブ・スペクターは『とくダネ!』(フジテレビ系)にて、親方と協会の双方を「大人げない」と指摘。

「(貴乃花親方が)この若さで辞めるのはあまりにも惜しいし、もったいない。告発状は取り下げたのだから、相撲協会も、みみっちいですよ。事実無根とそこまで言い張るのは」
と協会を批判。
一方でデーブさんは「お互いまったく大人げない」として貴乃花親方にも苦言。会見で芝田山親方が「圧力」の事実を否定したことなどから、
「話し合いはできるのに匙を投げて、駄々っ子みたいに辞める貴乃花親方も、本当の心境が何なのか分からない」

母・藤田紀子「見事な引き際、散り際だと思う」

大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)の母でタレントの藤田紀子(71)が28日、テレビ朝日の情報番組「ワイド!スクランブル」(月~金曜前10・25)に出演し、日本相撲協会に引退届を提出した息子について語った。
貴乃花親方の引退決断については「自分の意志を貫き通して、現役時代の土俵そのままで、見事な引き際、散り際だと思う」とコメントした。

兄・花田虎上「肝心なことを言っていない」と苦言

元横綱・若乃花でタレントの花田虎上(47)が30日放送の読売テレビ「上沼・高田のクギズケ!」(日曜前11・40)に出演。日本相撲協会に引退届を提出した弟の貴乃花親方(46=元横綱)について語った。
「自分が相撲一筋を貫き通すって言っていたのにこういうこと(引退)になってしまったのは、ちょっと残念だなって思います」と語った花田。弟の引退会見については「肝心なことを言っていない。有形の証拠を提出して皆さんに納得してもらう。そして、最後に今後の自分がこれからどういう道を進むのか、ファンに伝えないといけない」と苦言を呈した。

白鵬「えっ!」 初めて知った時は絶句

大相撲の横綱・白鵬が29日、一時帰国していたモンゴルから再来日し、成田空港で取材に応じた。
帰国している間に、貴乃花親方(元横綱)が日本相撲協会に引退届を提出。そのことを初めて知った時の印象を聞かれ、「ちょっと、えっ!ていう感じかね」と答えた。
貴乃花親方が角界からいなくなることについて問われた白鵬は「先輩横綱ですからね。いろいろね。指導もあって、そういうこともしてもらいたい。自分自身もね」と神妙な面持ちで話した。

ビートたけし「孤立無援だからね」と同情する一面も

タレントのビートたけしは『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)で貴乃花親方の引退について言及。

貴乃花を取り巻く状況についてたけしは「貴乃花に寄る年寄(親方)がいないってのは困ったね。普通は寄るじゃん、何人か。何人か集まって協会に文句言うならいいけど、孤立無援だからね」と、同情する一面も見せた。

テリー伊藤「我慢がない」「生き方が下手」と猛批判

テリー伊藤は『サンデージャポン』(TBS系)で貴乃花親方と母・憲子さんに激しい怒りをぶつけて炎上した模様です。

テリーは貴乃花親方について花田憲子さんに対し、
「貴ノ岩の問題(元日馬富士が暴行)があって、自分の弟子が不祥事を起こしたときに『一兵卒になってやりたい』と言いましたよね。あの我慢がなかったと思う」
と指摘。
「大横綱のまま親方になっちゃって一兵卒になれない。仲間を作っていって自分が上に行ったときに改革してけいけばいい。生き方が下手」
とまたも激しい口調で断罪した。

市川海老蔵「相撲を愛する一人として ただただ悲しい」

相撲好きと知られ、自身のブログでも力士の取り組みをアップして一喜一憂している市川海老蔵も、同日ブログを更新し「私は詳しくわかりませんが、こんな事があって良いのでしょうか 相撲を愛する一人として ただただ悲しい」と綴った。

やくみつる氏「何か先走ったのでなければよいが」

かつて力士暴行死事件後の再発防止検討委員会で外部委員を務めた、やくみつる氏は『プライムニュース イブニング』(フジテレビ系)で…

「何か先走ってしまったのでなければよいがな...というのが第一印象です」とし、懸念を示した。
「協会側として、『告発状の内容の全否定』と『一門への所属』は、直接リンクした話ではないと思う。必要条件のようには言わないだろう。ただ貴乃花親方にしてみれば、それ(告発状の内容の全否定)があたかも(一門に所属するための)必要条件のように感じられて、態度を硬化させてしまったというところではないか」

東京相撲記者クラブ会友の大見氏「ガマンしてほしかった」

『Nスタ』(TBS系)に出演した東京相撲記者クラブ会友の大見信昭氏は次のようにコメント。

大見氏は、貴乃花親方について「協会を変えるつもりがあるなら、(辞めるのを)ガマンしてほしかった」「独り相撲をとって混乱させて」「中途半端な指導」「弟子を放り出した」「途中で逃げ出した」などと発言。

これらのコメントに対し、視聴者からは「ディスりまくって不快極まりない」「この方の徹底した協会擁護と貴乃花親方批判の姿勢に驚愕」といったブーイングが多数寄せられたとか。
また大見氏は、退職決定後にも「協会は試練をクリアした」と一件落着とでも言うような発言をしたため、ネット上で疑問の声があがりました。

“協会寄り”の人物は叩かれる傾向に

大見氏に限らず、世論は圧倒的に「貴乃花が可哀想」という判官びいきの風潮だっただけに、“協会寄り”の発言や貴乃花親方に対して批判的なコメントをした人物は総じて叩かれる流れになっていた印象があります。

“元”貴乃花親方の今後は?

最後に、気になる「元貴乃花親方の今後」について、さまざまな噂話を中心にまとめてみました。
噂の前に、まずは本人が語っている“今後”を紹介します。

引退会見では「入門する子供を増やしていければ」

引退会見では「少年たちに相撲を教えて、入門する子を増やしていければと思っている」と口にしていた
今後の相撲への関わり方を問われ「私は、土俵に育てられたので、土俵には携わっていきたい。住まいでもある相撲部屋に土俵はあるので、できる限り存続のままいきたい」と語る一方で、「協会に残る考えはあったか?」との声には「ありません。相撲には携わっていきたいが、弟子たちがかわいいですので、これからも柔らかな気持ちで見守ってあげたいという思いが強くある」。

引退会見の2日後にも…

貴乃花親方はこの日、都内で2分ほど報道陣の取材に応じ、「これから別の形で(相撲に)貢献していければいいかな。小さなわんぱく力士もいるので、(角界に)入門していってくれる子を少しでも増やしていければ」と語った。

10月10日のテレビ朝日の直撃取材では…

10月10日、後援会の役員会に出席するために訪れていた福岡県田川市でテレビ朝日の単独取材に応じ、「土俵には携わっていきたい」「(政界進出は)ありません」などと答えています。
突然の直撃取材にも関わらず、終始笑顔で対応している姿が印象的です。

本人の口から語られている“今後”はこんなところ。ここからは複数のメディアで言及されている噂話を紹介していきます。

「政界進出」説

来年の参院選に出馬か

政治家への転身、そして来年の参院選出馬については多くのメディアが伝えています。

貴乃花の「参院選出馬説」は、25日、本人が“引退会見”を開いた直後から流れはじめた。
「貴の出馬話は、政界と相撲界の両方から流れています。『安倍官邸が直接関わっている安倍案件だ』ともっともらしく解説され、『二階幹事長の周辺が貴のタニマチに接触した』という情報もあります。たしかに、貴が相撲界との縁切りに踏み切れたのも、政界進出という次のステージが用意されているからだと考えればわかりやすい」

この記事では「安倍自民党は、喉から手が出るほど参院選の目玉候補が欲しい」とし、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「貴乃花の擁立に動く可能性は十分にある」としています。

国会議員として相撲協会にメスを入れられる

上で紹介した日刊ゲンダイDIGITALの記事をはじめ、多くの記事で政界進出の根拠として指摘されているのは…

貴乃花にとっても、政界進出は悪い話じゃない。安定した収入と名誉と地位を手に入れられ、国会議員として憎き相撲協会にメスを入れられるからだ。

この点については、今回の騒動でワイドショーに引っ張りだことなっている貴乃花親方の兄弟子・元貴闘力や、ダウンタウンの松本人志などが賛同するコメントをしています。

騒動後も連絡を取っているという元貴闘力は「俺は国会議員に出てほしいんですけどね」と来年の参院選出馬を勧めることを明かした。その理由として「(相撲協会に)いじめられて、いじめ返すっていうのが一番面白いパターン。納得がいかないなら徹底的にいけばいいんですよ」と話していた。

与野党で争奪戦?

「自民党から出馬」とする記事が多い中、野党からの出馬の可能性を指摘する記事も。

立憲民主党議員は「参院選に向け、党執行部が幅広い候補者をそろえたいことは間違いない」と話し、別の同党関係者は「親方本人にその気があれば、争奪戦になるだろう。比例代表候補として全国区の注目を集める潜在力を持っている」と語った。
改革実現には、与党に所属した方が断然有利といえる。
自民党関係者は「知名度も国民的人気も抜群だ」と語る一方、「これまでの急進的な言動を踏まえると、わが党での活動は難しいのではないか」と話す。

この夕刊フジの記事では、「日本維新の会や希望の党などが擁立に意欲を見せれば、面白くなりそう」という政治評論家の伊藤達美氏の声も伝えています。
また、貴乃花親方の政治スタンスは野党寄りと推測して、「野党統一候補の目玉」と論じる記事もありました。

得票数は100万票?

比例区で出馬した際の得票数予想では、「50万票は堅い」と伝える記事や、中には「100万票」という声も。

過去にスポーツ選手では、プロレスラーのアントニオ猪木氏が1989年参院選で99万票を、柔道の谷亮子選手が2010年参院選で35万票を獲得して当選した。
政治評論家の伊藤達美氏は「自民党から出馬すれば、常識的には100万票はいくだろう。ただ、政治には妥協も必要だ。退職した日本相撲協会では、歩み寄りが欠落していた。元横綱には信念に加え、多様な意見に耳を傾けることが必要だ」と語った。

「馳元文科相と面会」で噂がヒートアップ

先述の時系列でも触れたとおり、10月4日に馳元文部科学相と面会したことで「出馬要請したのでは?」と政界進出の噂がヒートアップしました。
『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ系)で木村太郎氏は、面会したことについて「あれは出馬宣言。今が一番いいタイミングだ」とコメントしています。

米国大統領選で早くからトランプ氏の当選を予想していた木村太郎氏(80)に至っては「あれは出馬宣言ですね。並みのタレントではない。マスコミを躍らせている。今が一番いいタイミングだ」と言い切った。

また、先述の元貴闘力をはじめ、政界進出を後押しする声も複数届いています。

馳氏は「簡単に考える問題ではない」としながら今後の展開に含み残す

面会した馳氏は10月7日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS系)に出演。「貴乃花親方の政界進出は期待されますか」との質問に対し、次のように答えています。

馳氏は「そういう風に簡単に考える問題ではないと思います」と応じた。その上で「もし貴乃花さんに国政であろうと、政治の道であろうと、思いがあるのなら、改めて話を聞く必要がある」として、今後の展開に含みを残した。

「新団体設立」説

「政界進出」説に次いで多く言及されているのが「新団体を設立するのでは」という噂。

一説には貴乃花親方が新たな相撲団体を設立し、協会の対抗馬として自分の理想を追求していくのではないかとも見られている。ネット上でも騒がれているが、かつてプロレス界でアントニオ猪木が老舗の日本プロレスを追放されて新日本プロレスを設立し、日本のトップ団体にまで伸し上げたような流れを貴乃花親方に期待する向きがあるのは多くの格闘技ファンも知っているだろう。

良質なスポンサーがついている?

「新団体設立」説の根拠として、スポンサーの存在が挙げられています。

貴乃花親方の今後について全国スポーツ紙のデスクは次のように指摘する。
「以前から貴乃花親方は協会の改革を叫んできた。廃業という道を選んだ貴乃花親方は、間違いなく新しい相撲団体を立ち上げるでしょう。資金面では少し苦労するかもしれいが、貴乃花親方には良質なスポンサーがついていることだし、映像はインターネットで放映すれば問題ない。実際、日本相撲協会もNHKとは別にインターネットメディアを通じてライブ放送に乗り出している。あとはどれだけ貴乃花親方に賛同して付いてくる親方、力士がいるかどうかですね」
「インターネット系の新興企業が支援に回ったという情報がある。何か相撲絡みの別団体を立ち上げるつもりではないのか。さすがに『第2相撲協会』では、伝統ある相撲道を極めるという本人の持論とあまりに違うので、弟子も“シンパ”もついていくとは思えないが、数年前から貴乃花親方が相撲絡みの新ビジネスに興味を持っているという話は聞いたことがある」(協会関係者)

ガチンコの世界大会を企画?

日刊ゲンダイDIGITALはイベント関係者の話として次のように伝えています。

話を総合すると、貴乃花がこだわっているのは「ガチンコ」「インターナショナル」「女性への土俵の開放」の3つだという。
貴乃花は自身の相撲道、相撲観を体現する場をつくりたい。相撲協会ではそれが不可能となったので新団体となったようです。後援者やらイベンターに熱心に誘われ、いまや本人が一番やる気です。具体的な組織構成や設立予定日などは、まだ固まっていない。それでも将来的にはサッカーのクラブW杯のように、欧州相撲チャンピオンとか南米相撲チャンピオンなんかを集めて、日本で世界相撲大会を……と、構想だけはある。

おぎやはぎ矢作「10億くらい集まるんじゃない?」

お笑いコンビ・おぎやはぎの矢作兼は、自身のラジオ番組で新団体を立ち上げることを提案しつつ、次のように語りました。

「キングコングの西野(亮廣)とかに、クラウドファンディングのやり方とか聞いてさ。今、貴乃花が『新大相撲』を立ち上げるってクラウドファンディングやったら、マジで10億くらい集まるんじゃないの?」と語った。
この提案に小木も、「集まると思う。貴乃花がやっている相撲も面白そう」と賛成の様子。

「暴露本出版」説

「こういうときにお決まりの“暴露本”の動きが出ていますね。親方は相撲界のすべてを知っていますし、一部で彼は“爆弾”とも呼ばれています(笑)。彼ほどの人物だったら説得力がありますから、本が出たら大騒動になることは間違いないです」

ただ、この記事では「彼の性格からすればその可能性は少ないだろう」とも。
また、貴乃花親方が抱えている“爆弾”についても複数の記事が言及しています。

ちなみに、兄弟子の元貴闘力は暴露本を執筆中だとか。

「NHK相撲解説者」説

夕刊フジの記事では、「最も安定的な活躍が確約される」「人気解説者の北の富士勝昭氏の後任に最適」としてNHKの相撲解説者を挙げています。

「少しずつ、人生を取り戻せています」

引退会見から3日後に貴乃花親方が漏らした本音

最後の最後に、引退会見から3日後、旧知のスポーツジャーナリスト・二宮清純氏に貴乃花親方が吐露していたという言葉を紹介しておきます。

「少しずつ、人生を取り戻せています。ご飯の味、お酒の味……。おいしさを感じるようになったんです。それまではただ寝て、起きてという日々でしたから……」
二宮氏は1990年代前半の「若貴フィーバー」全盛期の頃から、藤島部屋に足を運んでいた。1994年に22歳で横綱に昇進した貴乃花親方に対し、「これからの希望は?」と尋ねるとこんな答えが返ってきたという。
「……早く老人になりたいです」