特集2017年7月2日更新

東京都議会議員選挙

目次

2017年東京都議選

『日本の未来を占う』重要な選挙

都議選は、23区と多摩地区および島部を含めた市町村を42選挙区に分け、1人区の小選挙区と2~8人の中選挙区で計127人の都議を選出するもの。しかし、単なる地方選挙ではない。
1993年の都議選では日本新党が2議席から20議席を獲得し、直後の衆院選で細川護煕首相の非自民政権が誕生する飛躍台となった。さらに、2009年の都議選では民主党が第1党に躍進し、衆院選で政権交代を果たした。まさにニッポンの未来を占う前哨戦といえるのだ。

6月23日告示、7月2日投開票

東京都議選が23日告示される。定数127(42選挙区)に対し、21日現在で250人超が出馬を予定しており、前回2013年の253人を上回る見通しだ。地域政党「都民ファーストの会」を率いる小池百合子知事と、自民党が対決する構図で、投開票は7月2日。

以下が各選挙区の立候補状況になります。

東京都議会議員選挙 候補者一覧 / 政治山

選挙情勢は?

各政党の情勢

都議選の注目はやはり、小池百合子都知事が立ち上げた新党「都民ファーストの会」がどのくらい議席を伸ばせるか(小池都知事は過半数(64議席)を目標としていますが…)、そして最近、様々な問題で逆風が吹いていると言われる自民党が、現状の第1党の座を守れるかどうか、でしょうか。現在の都議会の会派の状況、また各党の動きをまとめてみました。

都議会は会派を結成している。その構成は5月10日現在以下のようになっている。
 自由民主党 56(うち女性3)人
 公明党 22(うち女性3)人
 東京改革議員団 18(うち女性2)人
 日本共産党東京都議会議員団 17(うち女性11)人
 都民ファーストの会 東京都議団 5(うち女性1)人
 生活者ネットワーク 3(うち女性3)人
 無所属(深呼吸のできる東京) 1(うち女性1)人
 無所属(東京みんなの改革) 1(うち女性1)人
 無所属(日本維新の会) 1人
 無所属(新風自民党) 1人
 無所属(都民塾の会) 1人

現議員は126(うち女性25)人で、定数に1人欠けている。 公明党の離脱で、自民党は公明党と併せて議会を支配する過半数を割っている。

まずは「知名度アップ」を目指す都民ファーストの会

都民ファーストは、人気が高い小池知事が陣頭に立ち、8割を占める新人候補の知名度アップを目指す。自民は徹底的な組織戦を展開するが、学校法人「加計学園」問題などによる安倍内閣の支持率急落が影を落としている。都民ファーストと連携する公明は7回連続の全員当選、共産は現有17議席の確保が目標。候補者の離党が相次いだ民進は、苦戦を強いられそうだ。 

都民ファーストの会は公明党と連携

1979年に誕生した鈴木俊一都政から続く都議会での自公連携を解消してまで、公明党が小池氏と手を組んだのには理由があった。
「国政選挙並みに都議選に力を入れ、過去6回連続で候補者を全員当選させています。しかし、7月の都議選については『2~7議席落とす』という厳しい調査結果が出たんです」(公明党関係者)
 小池陣営にとっても組織力のある公明党を味方にすることはプラスということで、利害が一致したようだ。

自民党vs都民ファーストの会

今回の選挙戦は小池陣営の「空中戦」に自民都連が「地上戦」で対抗する構図だ。「プロレスに例えれば、人気者のベビーフェース(善玉)と腕力自慢で憎まれ者のヒール(悪玉)の勝負」(自民幹部)だが、ここにきて"小池旋風は失速気味で、組織で対抗する自民都連軍団が息を吹き返し、双方が都議会第1党を目指しての「がっぷり四つ」の様相となっている。

内田氏との『代理戦争』は小池氏の圧勝

都議選の前哨戦である千代田区長選では、小池氏が支援する石川氏が圧勝という結果に。

「東京大改革」を目指す小池百合子東京都知事(64)と、抵抗勢力の代表格で“都議会のドン”こと内田茂都議(77)の戦いに、ひとつの決着がついた。両者の代理戦争ともいわれた千代田区長選が2月5日、投開票され、小池氏が支援する現職の石川雅己氏(71)が、自民党の推薦候補に圧勝を収めたのだ。

小池百合子氏と自民党の対立

6月1日、ついに自民党に離党届を提出し、地域政党『都民ファーストの会』の代表に就任した小池百合子都知事。「これで名実ともに自民党とは袂を分かち、7月の都議会議員選挙に向け、いよいよ全面対決の情勢です」(全国紙政治部記者)
都議会自民党への対立姿勢を、現在、首相官邸を揺るがしている言葉を持ち出して“都議会にも忖度政治が存在する”と手厳しく“口撃”。今後は子育て女性の社会参画やシングルマザー支援など、女性候補たちの政策をより取り上げて女性票を固める
小池知事が情報公開を政策の目玉に位置づけ、都議選の構図を「ブラックボックス化の自民党」対「情報公開(透明化)の都民ファーストの会」と強調したことで、自民党との“バトル”はさらに激化。小泉政権時代に環境大臣を務めた小池知事が2005年の郵政選挙と同様、「情報公開イエスか―ノーか」といった選挙を仕掛けてくるのは確実。加計問題をめぐる自民党への批判が小池新党躍進の追い風になるのか。都議選から目が離せない。

自民党の小池氏批判

自民党東京都連会長の下村博文幹事長代行は20日、外国特派員協会で会見し、7月の東京都議会議員選は「一言で表せば、脱小池劇場」だと述べた。小池百合子東京都知事が将来、自民党に戻りたいと言っても、それは認めないと強い対決姿勢を示した。
 「今、非常に危険なのは、小池氏が自分の言いなりになる議会構成にしようとしていることだ。まさに、これは独裁政治だ! 都民ファーストの候補は、市場移設問題でも自分の意見は言わない。『知事の決定に従う』という。これでは議会と行政のチェックアンドバランスがとれない」
 川井氏は今週初め、JR中野駅前でこう訴えた。激しい小池批判というしかない。
 6選を目指す川井氏は、1997年に都議に初当選した。今季限りで引退する「都議会のドン」こと内田茂都議の強い薫陶を受けた「4人組」の1人である。
昨夏の都知事選では、自民党が擁立した増田寛也元総務相の応援演説で石原慎太郎元都知事が放った「(小池氏は)厚化粧の大年増」との暴言が「百万票超の差での小池氏大勝の原因」(公明党幹部)となったのは記憶に新しい。テレビキャスターとして培った「当意即妙の発言」を駆使する"善玉"の小池氏に、"悪玉"然とした二階氏らがどう応戦するのか。双方の"口撃"や対メディア戦略が「真夏の首都決戦」の帰趨を決めることになるかもしれない。

過去には暴言が小池氏の追い風になったこともありました。言葉の扱いに長けており、好感度も高い小池氏に対しては、批判のやり方を間違えると大やけどにつながりかねません。自民党は今回、どう戦っていくのでしょうか。

ネット上では公明党vs共産党の争いが…

言葉の扱い、と言えば6月21日、Twitterでこんなツイートが話題になりました。

公明党は21日、党広報のツイッターで、共産党を「汚い!実績横取りのハイエナ政党」などと激しく罵倒した。23日告示の東京都議選をにらんだ「空中戦」の一環とみられるが、共産党は「事実無根で言語道断」と猛反発している。

このツイートに対しては、志位和夫氏も自身のTwitterアカウントで「劣化いちじるしい」攻撃であると発言しました。

公明党はホームページでも共産党を批判

5月10日にも公明党は公式サイトにて共産党の実績は公明党から横取りしたもの、と激しく批判していたようです。

民進党は惨敗?

「野党第一党」の民進党ですが、その立ち位置は極めて厳しいものになっているようで、“惨敗”を予測する識者・マスコミも少なくありません。既に離脱して都民ファーストの会に合流した候補もいるようです。

通常国会終盤、民進党は、共産党や自由党、社民党と連携して、内閣不信任案や閣僚複数の問責決議案を連発して徹底抗戦したが、国民世論の支持を集められていないことがよく分かる。
 政治評論家の小林吉弥氏は「通常なら、野党第一党の支持率はもっと上がってもいい。報道各社の世論調査を見る限り、民進党は国民から見放されている」といい、続けた。
 「蓮舫氏は昨年9月、党代表に就任した際、『提案路線』を提唱したが、聞こえてくるのは批判ばかりだ。党内もバラバラ。国民も『民進党政権はあり得ない』『蓮舫首相など無理』と思っているのだろう。都議選敗北の可能性も濃厚だ。

築地市場問題に対しても、党内をまとめられていない状態

小池百合子東京都知事が築地市場を豊洲に移転し、築地も再開発する方針を表明したことについて、民進党が党内の意見をまとめられずにいる。
告示が目前に迫った都議選で小池氏との対立を避けたい蓮舫氏は「(移転は)慎重にとの声を無視して決めたのは石原慎太郎元都知事だ。追随したのは自民党と公明党。そして去年、小池知事がちょっと待とうと判断した」と小池氏に配慮する姿勢をにじませた。

小池氏は協力を拒否、移籍者も

「不要」と判断されたのは、民進党である。都議会の民進系2会派は2月中旬に合流して、新会派「東京改革議員団」を結成。小池氏のキャッチフレーズである「東京大改革」に臆面もなくすり寄り、自民党との対決姿勢を強めた。しかし当の小池氏は協力について、
「まったく考えていない」
 と、にべもない。しかも、民進党の公認予定者だった元都議3人が「都民ファーストの会」に“移籍”した。

各党の公約

23日には「都民ファーストの会」の都議選公約を小池氏が発表した。「忖度だらけの古い都議会を新しく」「自分ファーストの議員から都民ファーストの議員へ」などの小池流のキャッチフレーズが並ぶが、最重要テーマの豊洲移転については「総合的に判断して結論を出す」と方針明示を避けた。 すでに出そろった各党の公約をみると、豊洲移転では自民、公明が早期移転を打ち出し、民進党も「汚染対策実施後の移転」を掲げる一方、共産党は築地市場の再整備を主張している。このため、「方針不明なのは都民ファーストだけ」(共産党)となり、「決められない都知事」(自民党)との批判にもつながっている。

「小池トーキョー」都民の採点は

人気は衰えず?

『世界で最も影響力のある100人』の一人に選出

2016年8月に東京都都知事に就任した小池百合子氏は、「小池フィーバー」を巻き起こすほどの圧倒的な支持を得、2017年4月にはアメリカの雑誌『TIME』の『世界で最も影響力のある100人』の一人に選ばれるほど、海外からも注目される時の人となりました。

『TIMES』掲載を受けて、まさかの写真集を出版。話題性はじゅうぶんのようで、写真集ランキングで1位を獲得するほどの人気に。ちなみに印税は小池氏には入らないそうです。

米誌『TIME』の特集「世界で最も影響力のある100人」で、小池都知事が日本人として唯一選出されたことにより企画された今作。1992年の議員当選から「東京都知事」就任後まで約25年間にわたる政治家としての姿のほか、秘蔵写真の炊事姿や病床でのノーメイク姿、多くの私服姿、世界のセレブとの交友録写真、さらに今作のために都内自宅で撮り下ろされた愛犬とのショットなど、プライベート中心に130枚が収められており、小池都知事の素顔や世の女性たちと同じ生活ぶりが初めてうかがい知れる内容となっている。

都民の評価は果たして?

就任依頼初めてとなる今回の選挙は、彼女が行ってきたパフォーマンスを都民がどう評価するかという一面もあります。

東京オリンピック予算問題

2016年8月に小池百合子氏が都知事に就任して以降、巨額にふくらんだ開催費用について検証するため「都政改革本部」に調査チームが設置され、これまで費用削減のためのさまざまな検討が行われてきました。
開催費用を削減するため、水泳競技場である「オリンピックアクアティクスセンター」、バレーボール・車椅子バスケットボール競技場である「有明アリーナ」、ボート・カヌー・スプリント競技場である「海の森水上競技場」を新設するのではなく、既存施設で代用することが検討されました。
しかし、会場としての適性や費用、立地などさまざまな理由から代用はせず、やはり当初の3施設を新しく建設する方針になりました。そのかわりに、2016年12月22日に開かれた都政改革本部会議(第5回)では当初の計画より整備規模を縮小することなどによって約400億円を削減できるとしました。

予算を400億円削減することには成功したものの、競技会場問題は解決せず、5月11日に小池氏は、都が仮設施設費を全額負担する意向を示しました。費用に関してはまだ多くの課題が残っています。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの費用負担をめぐり、東京都の小池百合子知事は安倍晋三首相と2017年5月11日に会談し、都以外の仮設施設の整備費用を都が全額負担する意向を伝えた。

絶大な人気を誇っていた小池氏への支持率に変化があらわれたのもこの頃です。

連休明けに東京五輪の都外仮設費問題で首相官邸や関係知事によって「小池包囲網」がつくられ、「都の全額負担」表明を余儀なくされたあたりから流れが変わった。豊洲移転問題での決断先延ばしへの都民の不満、不安の拡大などもあって、ピーク時には80%を超えた小池知事の支持率も、世論調査で軒並み60%台まで下降している。
都議選告示前1カ月に合わせて読売新聞が実施した世論調査によると政党別の投票先では自民党(25%)がトップで、2位の小池新党「都民ファーストの会」(22%)を上回った。小池新党は各選挙区で公明党(6%)と選挙協力するため、「小池・公明」の合計では自民党を超えるが、「選挙は足し算ではない」(公明選対)だけに小池氏も「心穏やかではない」(周辺)とされる。

築地市場の豊洲移転問題

状況が二転三転し、全く目処が立たなかったこの問題は、「決められない知事」と批判を浴びる事態に。小池氏への不信感が自民党の追い風になりつつあったこのタイミングで、小池氏が方針を発表しました。

小池知事は20日、築地市場(中央区)を豊洲市場(江東区)に移した上で、跡地を5年をめどに再開発し、市場機能を持たせる方針を発表した。豊洲と築地の二つの市場を併用する計画の是非や、小池都政の評価が都議選の争点となる。

この急な方針発表には、こんな狙いが…

「都議選の最大の争点は『築地市場の豊洲新市場への移転』問題になるはずだったが、小池氏が事前に豊洲移転の方針を固めたことで、大きな争点が消えてしまった」
自民党から“決められない知事”と批判されてきたため、都民ファーストの代表として危機感を抱いたのでしょう。告示前に会見を開いて“決められる知事”をアピールした。しかも推進派と反対派の両方が喜ぶような方針。

東京大改革

情報公開や、自らの報酬を削減するなどの改革は、世論から高い評価を得ています。

小池百合子東京都知事が「東京大改革」としてまず掲げたのが、自らの報酬削減だった。
小池旋風の原動力たる都政改革について。鈴木氏は、ここで「5」と最高点をつけた。「知事は今回の予算案で、200億円ともいわれる“政党復活予算”を廃止。これは、本予算から漏れた政策に各政党が予算を要求できるという東京都だけの慣習で、各政党の利権の温床とされてきました。代わりに、歴代都知事の予算案はほぼ100%通過。いわば、知事と都議会はもたれ合ってきた。小池氏はそれをやめ、知事に力を集めようとしているんです」
情報公開による都政の「見える化」を図り、山積する課題に対して、国民が見える形で次々と切り込む「東京大改革」への期待は、7割近い高支持率にもあらわれています。

支持率は?

一定の成果をあげていると評価されてか、小池氏人気は未だ健在のようです。ただし都民ファーストの会の支持率はあまり芳しい数字ではないようですね。

5月27~28日に行ったJNNの調査によると、小池都知事を支持すると答えた人が「63%」もいる一方で、都議選での投票先に都民Fを挙げた人はわずか11%……。17%の自民党に大きく水をあけられた格好だが、果たして、再び昨年夏の都知事選のような「小池旋風」を巻き起こすことができるのか? 

各党議席予測

都民ファーストが大幅増?自民党は微減か

政治ジャーナリスト、鈴木哲夫氏に議席予測を依頼したところ、「小池新党=46議席、自民党=42議席」との結果が出た。小池氏が告示直前にブチ上げるとされる「豊洲新市場移転、築地再活用」方針と、学校法人「加計学園」(岡山市)問題の影響とは。予測通りなら、小池新党が公明党などとの連携で、都議会の過半数を握ることになる。
週刊文春で連載している元小泉の秘書・飯島勲が都議選を予測している。自民党は50語席を超える。「都ファ」はマックスで47から48議席。公明党は13議席で、民進党はゼロか1議席と読んでいる。

離党組に絞った予測も

民進党からは17人もの公認候補が離党し、うち6人が小池新党の公認を受け、残り11人が無所属で推薦を受けた。19日時点で、小池新党は49人に公認、36人に推薦を出しており、約2割が「ヤメ民」(民進党離党組)といえる。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「『ヤメ民』候補は、民進党や連合東京に加え、小池新党の票を取り込むために離党に踏み切った。都議選では3つの組織の票をまとめられるだろうが、有権者の信頼は得られない。政策など、あってないようなものだ。次の次の都議選で別の政党に風が吹いていれば、また乗り換えるのではないか」と切り捨てた。

ちなみに今回の都議選は、選挙権が満18歳以上に与えられた公職選挙法の改正後、初の都議選です。若い世代もそうでない世代も、7月2日まであと2週間。東京、そして日本の未来のために、じっくりと考えて、貴重な一票を投じてくださいね。

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