特集2017年10月24日更新

憎めない“暴言ジジイ”梅沢富美男が大人気

情報番組やバラエティ番組で歯に衣着せぬトークでひっぱりだこの梅沢富美男。言いたい事は何でも言うという信念のもと、その発言が炎上することもしばしば。今回はその暴言ぶりと、しかしどこか憎めない(?)そのキャラクターの魅力にせまります。

“芸能界のご意見番”としてブレーク中

初のトーク番組ホストに

ワイドショーやバラエティ番組で過激な発言や若者世代への説教を連発。炎上することもしばしばで“老害タレント”と批判されることもあった梅沢富美男。しかし最近はちょっと角がとれてきたせいかその端に衣着せぬ発言が受けてテレビ出演も大幅に増加し、CM出演やトーク番組のMCを務めるまでになっています。9月にBS日テレで2時間スペシャルのトーク番組「梅沢富美男のおこごと酒場」、10月にはテレビ東京系の特番「アッパレ!日本の縁の下さま~隠れたスゴい職業応援バラエティー~」でそれぞれMCをつとめました。

収録を振り返り、「テレ東はよく俺をMCに使ったよね! MCっていう柄じゃないから、ずっと断ってたんだけど、結構お願いしに来るんで、OKしちゃったけど、てんやわんやになっちゃったね」と、笑いつつも「レギュラー化、きっといけるんじゃないかなと思います」と、手応えをにじませた。

出版、CM、番組出演にと引っ張りだこ

エッセイ本を出版

9月25日にはエッセイ「富美男の乱」を出版。28日にサイン会&お渡し会を開始しました。

32年ぶりのCM出演

「CMの仕事が決まらない」が持ちネタだったこともある梅沢ですが、8月には念願のCMも決定。なんとプレイステーションの「みんなのGOLF」という意外な組み合わせでしたが、実はプレイ歴20年を誇るみんゴルファーである梅沢自ら熱望しての出演なんだとか。

しかし、事情はちょっと異なった模様。『みんなのGOLF』(以下、『みんGOL』)歴20年を誇る梅沢さんが、自ら「俺にインタビューしろ!」「俺をCMに出せ!」と逆オファーしてきたそうだ。
その模様は『みんGOL』の特設サイトが詳しいのだが、掲載されているインタビューでは、とにかく梅沢さんの話が長いこと長いこと。
提案されたCM企画にもいちいち文句をつける始末。これも梅沢さんの『みんGOL』愛が故なのか。『みんGOL』好きな方は、ぜひその愛を受け止めてあげてください。

RIZAPのCMキャラクターに就任

続いて今度はなんとRIZAPのCM出演も決定。フジテレビとのコラボ番組で、「まず太れと言われた」と通常ではあり得ない裏話を暴露。この辺りが梅沢富美男たるゆえんなんでしょうか。このRIZAP、前述のみんGOLに加えて「阪九フェリー」のCMにも出演しています。

坂上忍を始め出演者らが予想以上に“ポッコリ”な梅沢のお腹に驚きの声を上げると、「太れ、太れって、うるさいんだよッ」と、「RIZAP」CMの“裏側”を暴露。ビフォー&アフターを劇的なものにするため、まず、「RIZAP」側から、たくさん食べるよう求められたというのだ。

テレビ出演は上半期だけで154本

コメンテーターとしてだけではなく、料理の腕もプロ級、『プレバト!!』(毎日放送)で俳句を詠めば名人となり、昨年のテレビ出演本数158本に対し、今年は上半期だけですでに154本。かつて「下町の玉三郎」と呼ばれた大衆演劇のスターが、66歳にして再ブレーク中。

かつては「暴言・老害」のイメージもあったが…

「老害芸能人」にランクインしたことも

かつてはコンビニの成人確認ボタンにケチをつけるなどの理不尽な言動や、年長者であることを若者世代におしつけるかのような暴言でたびたび炎上。「老害ジジイ」と揶揄されることもあり、「老害だと思う芸能人は誰ですか?」ランキングにに入ったこともありました。

ちなみに彼はネットで「老害ジジイ」と言われているのも把握しているようです。

それでいて現実の世界では言いたいことが言えず、SNSで鬱憤を晴らす。ちょっと失敗した人間を魔女狩りのようにSNSで集中攻撃して世の中から引きずり下ろすことに達成感を感じて、自分たちが何か大きなことをやったような気になっている輩も多い。おれのことを「老害ジジイ」って書き込むなら、匿名ではなく、ちゃんと名前を出して自分の責任で発言しろって言いたい。

ただ、その風潮も最近変わりつつあり、それが上記のような活躍につながっていると言えそうです。ではなぜ変わったのか、みていきましょう。

梅沢富美男が評価されるようになったワケ

そもそも、梅沢富美男ってどういう人なの?

そもそも梅沢富美男がなぜ暴言を吐くのか、そしてそれがなぜ許されるのか。それは、彼が大衆演劇のスターであるというバックボーンにあります。

【PROFILE】うめざわ・とみお/1950年11月9日、福島市生まれ。本名・池田富美男。俳優・歌手・タレント。フィトセラピストの妻と2人の娘がいる。初舞台は1歳5か月、15歳で本格的に役者スタート。“下町の玉三郎”として女形でブレイクした。現在は「梅沢劇団」三代目座長として、年間180日舞台に立つ傍ら、コメンテーター、エンターテイナーとしてバラエティ番組で活躍中。9月25日発売の著書『富美男の乱』では、役者人生、家族や故郷への思い、今の世の中から不倫の真相までを告白している。

大衆演劇の座長として多忙な日々

「梅沢は今、テレビで見ない日がないくらい大忙しですが、本業の大衆演劇も座長として定期的に公演を行っています。もちろん、顔見せ程度の出演ではなく、主役として出ずっぱり。やはり梅沢目当てのファンが多いですから、芝居に歌謡ショーと1日2回公演もザラ。月の休みは1日か2日あるかどうかだそうです」

TV出演は「レギュラー契約はしない」

こう語る本人は、恬淡としている。「いつクビになってもいいように、レギュラー契約はしないんだ。1回ごとの出演契約。言いたいことを言うから、スポンサーに迷惑をかけることもあるかもしれない。そしたら遠慮なく切ってくれよって言ってあるの」

この発言は、レギュラー契約しないことで思い切ったことを言える、という以外に「まず劇団ありき」という彼の誇りもあります。劇団で全国を飛び回っているからこそ、TVの契約に縛られたくないのです。ですから一連の発言も、下記の「しがらみのなさ」に加えて、「仮にテレビをクビになっても、帰るところがある」という思いもあってではないでしょうか。

奔放な発言も「個人事務所」だからできる

梅沢は個人事務所ゆえに、芸能人が事件を起こした際にも、しがらみなくコメントができるというところに、同じく個人事務所の坂上も共感。さらに「“打ち合わせ大っ嫌い”って言いながら、その番組の趣旨って、絶対分かってらっしゃる」と梅沢のやり方を絶賛し、浜田も「ちゃんと分かってしゃべってるから、たち悪い」と評価していた。

暴言だけじゃない、憎めない破天荒キャラ

暴言キャラは「演じている」?

「バラエティーは番組によってそれぞれの色がある。俺は役者だから、その色に合わせて演じ切ってる感覚なんだ。それが嫌なら出なきゃいいわけで、出る限りはその番組が面白くなるように力を尽くさなきゃ。この前も、ファストフード店でスタッフ40人分の昼飯を注文したら、店員のお姉ちゃんに『店内でお召し上がりですか? お持ち帰りですか?』って聞かれた、という笑い話があってね、ある番組で話したんだけど、本当は俺、『お姉ちゃん、店内はおかしいだろ』って普通に言っただけなのに、話を面白くしようとして『店内で食えるもんなら、てめえが食ってみろ!』って怒鳴った、っていうオチにしたの。それでまたネットが炎上したらしいけどね(笑)」

この発言は、いかにも大衆演劇の座長らしい、サービス精神に溢れたものと捉えられなくもないです。どこまで本音かわかりませんが(笑)。また、梅沢富美男といえば無類の「女性好き」という一面もあります。

浮気の回数は「80回」

安住アナにこれまでにした浮気の回数を聞かれた梅沢は、「80回」と申し訳なさそうな様子。「バレなかったんですか?」という質問には「全部バレた! もう全部!」と打ち明けた。
近々の浮気事情では、ゴルフに行ってくるとウソをついて青山にある彼女の家に向かったは良いものの、夕方ごろ帰ってきた梅沢に妻が「青山3丁目にゴルフ場ってあるんだね」とバレたと明かした。梅沢の車に取り付けてあったGPSから発覚したそうだ。

もはや鉄板ネタ「娘の友達をナンパ」

次は「娘の友達ナンパ事件」。梅沢が麻布で飲んでいたところ、かわいい女性3人に「梅沢富美男さんですか?」と声をかけられたので「一緒に飲もう!」と飲んで騒ぎ、写真も一緒に撮影。自宅に帰ると娘に「友達ナンパしてんじゃねーよ」と言われてしまった。実は女性の1人が梅沢の娘の友人で、一緒に撮った写真とともに「パパとデート中」とメールをしていたという。梅沢はその女性について、「小さかった頃、家に遊びに来てたのよ。きれいになったな~!」と振り返っていた。

上の記事で梅沢は浮気がバレたときの対処法として、「奥さんが攻めて来ても、絶対に黙らずに冗談などを言って笑わせるまで我慢」「長くつきあわない。スパッと短く」などとあっけらかんと語っています。「ゲス不倫」が徹底的に嫌われる昨今、ここまであけすけにあっけらかんと語られると、こちらも容赦なく突っ込めるし、いじっても大丈夫…となって嫌われなくなる秘訣なのかもしれません。ただし真似しないほうがいいと思います。

「良い父親ぶり」も評判に

女性好きキャラの一方で家庭的、というより親バカな一面も。「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」に出演した際に、2人の娘のために毎朝お弁当を作っているエピソードを披露、中居をはじめ、彼のイメージとかなりのギャップを感じる人も多かったようです。

梅沢は特に二人の娘を溺愛しており、名津美さんによると「ほんとにすごい優しいよね、テレビであんな感じだけど。私のお弁当は、お父さんが暇があれば、ずっと作ってる」とのことで、名津美さんが高校生だった当時は、流行っていたキャラ弁も作っていたのだという。

また8月に「徹子の部屋」に奥さんと一緒に出演したときにも「良きパパ」梅沢をアピール。違和感と同時に、好感度もぐっと上がったようです。

いつものバラエティ番組では見られない、“父親”としての梅沢の表情に、好感を持った視聴者が多かったようだ。ネットには「娘をものすごい溺愛してるんだろうなぁ」「孫にデレデレする姿が目に浮かぶ。いつもこんな感じなら良いのに」「バラエティでの発言はやっぱり“キャラ”で、ふだんは良いお父さんやってそう」といったコメントが並んでいた。

芸能界からの評価は

制作スタッフから絶大な支持

「番組のキャスティング会議で、今いちばん名前が挙がるのが梅沢富美男さんです。ひな壇なら毒舌が期待できるだけでなく、イジられ役も担ってくれる。頑固親父なイメージですが、共演者の情報もしっかり予習してきてくれるので、とにかく現場がスムーズに進むんですよ。冠番組を持つ直前の有吉弘行さんや坂上忍さんと同じような空気を感じますね」
「梅沢富美男さんは、視聴者が感じている疑問をズバズバと指摘してくれるので、現在の情報番組に欠かせない存在です。こびない姿勢が感じられるから、発言に緊張感があるんですよね」(放送作家)

梅沢富美男をリスペクトする人々

武田鉄矢「繊細で礼儀正しいかた」

武田鉄矢は芝居の舞台公演を行うたびに、梅沢から毎回お花が届くのだそう。それほど親しい間柄なのかと思いきや…。

梅沢さんとはバラエティーで何回か共演しただけで、それほど親しい関係ではありません。それでも贈ってくださるお花は「お互い、大衆演劇を盛り上げましょう!」という意味が込められた熱いエールだと思っています。
ブラウン管での梅沢さんは毒舌、豪放磊落というイメージですが、実際は繊細で礼儀正しいかただと感じています。

宮根誠司「筋を通すために自分を律してる」

「ミヤネ屋」で梅沢と共演している宮根誠司。なんでも、梅沢をコメンテーターに推薦したのは彼なんだとか。

梅沢さんと初めてお会いしたのは『ミヤネ屋』に出演してもらった2008年。ぼくの方から「梅沢さんをコメンテーターに」とプロデューサーに提案したんです。以来、ずっと仲よくさせてもらっていますが、実は番組以外では、いまだにお互い敬語で話しています。
挨拶も、「おぉー」って感じではなくて、深々と頭を下げる。本当に礼節を重んじるかたで、筋が通った生き方をするために、常に自分を律してる。「誰かに媚びたら、それができなくなる」という大切なことを知っている人なのです。だからこそ、言わなくちゃいけないことをズバズバ言えるんです。

綾野剛「(梅沢を)リスペクトしている」

俳優の綾野剛は「櫻井・有吉THE夜会」に出演の際、梅沢を尊敬していると語っています。その理由は…。

どんなところをリスペクトしているのかを問われた綾野は、コメンテーターとしての梅沢の言葉に感銘を受けているといい、「コメンテーターは客観と主観のバランスが大事だと思うけど、梅沢さんは徹底して主観で言葉を選ぶ。主観が強いという事は批判も大きいと思うけど、その覚悟もできた上で言葉をちゃんと届けている」と梅沢を称賛した。

藤田ニコル「年上も年下も関係なく受け止めてくれる」

梅沢が「にこるん」と呼ぶ、47歳下の「お友達」藤田ニコルは梅沢に対し「見た目で判断せずに真剣に向き合ってくれた」のが嬉しかったと言います。

初めて梅沢さんと共演したとき、派手な格好で、言うことも派手(笑い)。でも、梅沢さんは私を見た目で判断せずに真剣に私と向き合ってくれたんです。嬉しかったな。
著書の〈ふるさとの子から教わる義理人情〉という話には、中学2年生の女の子から純粋な心を教わったって書いてありましたけど、梅沢さんには、年上も年下も関係ない。興味のあることや感心したことは、ちゃんと素直に受け止めてくださるかたなんです。
みんな、梅沢さんを「キレキャラ」とか言ってるけど、私は全然違うと思う。キレているように聞こえるかもしれないけど、相手のことを全否定はしないんです。相手をちゃんと見ようとしてくれる。私はまだ梅沢さんに怒られたことはないけど、もしそういう機会が訪れたら、それは梅沢さんが真剣に私のことを考えてくれてのことだと思う。

夏井いつき「オッちゃんは有言実行の人」

梅沢が出演する「プレバト!!」でのやりとりが名物となっている俳人・夏井いつき氏は彼は「努力の人」であり、同時に「有言実行の人」そして「義理と人情、愛の人」であるとして尊敬していると語っています。

私が運営にかかわる『俳句甲子園』は今年が第二十回記念大会でした。『プレバト!!』の撮影スタジオの片隅で、予算繰りの苦悩を誰にともなく呟いたことがあります。すると、その夜、オッちゃんのマネジャーさんから電話。「寄付します」の一言に驚きました。まさに、オッちゃんは有言実行の人でもあるのです。

突拍子もない発言や暴言っぷりの中にも、どこか人間としての人情にあふれた真意があるように思います。辛辣にニュースを切り、トーク番組をかき回してくれる存在として、これからも梅沢富美男の活躍に期待です。