特集2017年8月3日更新

防衛相辞任…“異名”から読み解く稲田氏の人物像

7月28日、稲田朋美防衛相が南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報をめぐる問題の責任を取り、安倍晋三首相に辞表を提出し、受理されました。辞任に至った経緯と、これまでにつけられた数々の異名から浮かび上がる稲田氏の人物像などをまとめました。

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安倍政権が福井国体を明治日本=大日本帝国賛美に利用! 来年の福井国体に「明治150年」の冠称をつけよと

リテラ / 2017年8月23日 17時8分

 来年秋に開催される福井国体に「明治150年」という冠称をつけようという動きがあり、これに福井県労連など7団体が反対を申し入れたことが報じられた。  この「明治150年」という冠称は、スポーツ庁からの求めによるもの。 [全文を読む]

7月28日、稲田朋美防衛相が辞任を表明

PKOの日報問題をめぐり引責辞任

稲田朋美防衛大臣が28日に辞任を表明した。稲田氏は同日午前に記者会見を開き、防衛省と自衛隊に関わる南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊の日報の隠蔽問題、およびこれによって引き起こされた一連の混乱の責任を取って辞任するとし、「記者会見に先立ち、安倍晋三首相に辞意を伝えた」と述べた。

8月3日の内閣改造までもたず…

稲田氏は「8月3日に予定されている内閣改造で交代」という見方が大勢でしたが、その日を待たずしての辞任となりました。

当初、首相は8月3日の内閣改造で稲田氏を交代させるという「逃げ切り」を考えていたとされる。しかし、「日報電子データ」が陸上自衛隊で見つかったことへの省全体の対応を解明するため稲田氏自身が指示した「特別防衛監察」でも、稲田氏と陸上自衛隊幹部の見解が対立した。陸自が出所とみられる「情報漏洩」も相次ぎ、稲田氏が防衛省を統率できない姿を国民の前に露呈したことで、首相も決断を余儀なくされた。

“事務方トップ”と“陸自トップ”も辞任へ

日報問題をめぐる特別防衛監察の結果を受け、防衛省は“事務方トップ”の黒江哲郎事務次官や“陸自トップ”の岡部俊哉陸上幕僚長ら5人の処分を発表しましたが、黒江、岡部の両氏は処分発表前に辞意を表明していることが報じられていました。

監察結果を受け、防衛省は黒江哲郎事務次官を停職4日、岡部俊哉陸上幕僚長を減給1カ月(10分の1)などとする関係者の処分を発表。
(中略)
黒江氏は28日付、岡部氏は8月8日付でそれぞれ辞任。後任の次官に豊田硬官房長、陸幕長には山崎幸二北部方面総監が就く。

後任には小野寺五典氏を起用へ

3日夕方発足する第3次改造内閣の防衛相に、小野寺五典政調会長代理(57)が起用される見込みです。

日報隠蔽問題の経緯

日報隠蔽問題の経緯
2016年
10月3日
日報の開示請求を受付
12月2日 「陸自で破棄済み」として不開示決定
12月26日 統合幕僚監部において日報の存在を確認
2017年
1月27日
統幕総括官は稲田防衛相に統幕における日報の存在を報告
2月7日 日報を公表
2月13日 統幕総括官と陸幕副長が稲田氏に対し陸自における日報の取り扱いを説明
2月15日 事務次官、陸幕長、官房長、統幕総括官が稲田氏に対し陸自における日報の情報公開業務の流れなどを説明
3月15日 報道で陸自の保管が判明。稲田氏が特別防衛監察の実施を指示
7月18日 特別防衛監察の結果を公表。稲田氏が辞任表明

特別監察の報告は「玉虫色」の表現に

日報隠蔽問題では、「もう破棄した」「データで保管されていた」の裏でどんなやり取りや決定がされてきたのかが注目されていたわけですが、特別監察の結果公表が迫った中で浮上してきた最大の焦点は、稲田氏が日報隠蔽に関わっていたのかどうか、という点。
この点について7月28日に公表された特別監察の報告は非常にあいまいなものになり、ほとんど全てのメディアが「玉虫色」という言葉で伝えていました。

特別防衛監察の報告では、「幹部から日報の存在に関する何らかの発言があった可能性は否定できないものの、 書面による報告や非公表を了承した事実はなかった」となっていたが、これは、陸自幹部が稲田防衛相が隠蔽を了承したと証言していたのに、稲田防衛相が強硬に否定したため、玉虫色の表現をとらざるをえなかったということらしい。

焦点は2月13日、15日のやり取りだったが…

特別防衛監察の焦点は、衆院予算委員会で日報問題をめぐる集中審議が行われた2月14日を挟み、防衛官僚や陸自側と稲田氏の間で交わされた同13日と15日のやりとりだ。
政府関係者への取材で、「陸自側から稲田氏にデータの存在が報告された」「稲田氏が了承した」といった複数の証言が確認されている。
ところが、防衛監察本部は、この両日とも陸自内の日報データの存在について、出席者から「何らかの発言があった可能性は否定できない」と指摘するだけ

辞任会見でも隠蔽への関与は否定

稲田氏は、7月28日の記者会見でも
「私自身、報告を受けたという認識は今でもない」 「そうした報告があれば、必ず公表するように指導したはず」
などと従来通りの主張を展開した。

日報を全て公表していると強調

会見の最後には、日報を全て公表していると強調し、「国民の皆さまに日報を隠蔽したという事実はなかった。防衛省・自衛隊の名誉にかけてこのことは申し上げたい」と述べ、足早に会見室を後にした。

「稲田氏も関与か」報道が直接の引き金?

今回、辞任に至った直接の引き金とされているのは、上でも紹介した隠蔽への関与疑惑だとされています。

失言などが相次いだ稲田氏は、日報問題の一連の経緯について報告を受けていないなどと繰り返し国会で答弁してきたが、データ発見後の対応を協議し「非公開」を決めた場に稲田氏も出席していたと報道されたことが「ダメ押し」になった。

度重なる失態で「代えたほうがよい閣僚」断トツだった

森友学園問題、「自衛隊としてお願いしたい」発言問題、日報問題など、度重なる失態で保守層からの支持も失った。産経新聞とFNNが今月22日、23日に行った合同世論調査では、内閣改造で「代えたほうがよい閣僚」という項目で、稲田氏が断トツの63.1%に上っている(産経ニュース 7月28日)。

辞任に対する周囲や世間の反応

野党「遅きに失した」

民進党の山井和則国対委員長は記者団に「辞任があまりにも遅すぎる」と批判。
共産党の小池晃書記局長も記者会見で「(稲田氏は)自己弁護に終始し、非常に見苦しい。これで一件落着とすることはできない」と酷評した。

自民党の防衛相経験者「歴代で一番ひどい」

「遅すぎる。もっと早く辞めさせるべきだった。稲田氏は歴代で一番ひどい」。自民党の防衛相経験者は27日、吐き捨てるようにこう語った。
首相周辺は「都議選で失言したときに辞めさせておけばよかった」と語る。

陸自幹部「予想通り」 監察結果に不満の声も

陸自幹部も「日報問題だけではなく都議選での発言もあり辞任は当然。現場の隊員はそのたびに対応に追われた」と指摘。別の幹部も「部隊査閲の際の奇抜な服装や日報問題をめぐる対応で、大臣の求心力はなかった。このタイミングで辞めるのは予想通り」と言い切った。
陸自幹部は、「陸自の問題点は真摯(しんし)に受け止めなくてはならない」と話す一方、陸自の日報の存在が大臣へ報告されたか結論が出されなかったことは、「疑問が残る。何のための監察か」と不満を漏らす。

世間の声「辞任は当然」

突然の辞意が伝えられた27日夜。JR新宿駅(東京都新宿区)近くでは、「辞任は当然」との声が上がった。
会社員小杉夏美さん(39)は「発言内容が変わったりして、大臣の責任を感じられない。辞めるのは仕方がない」。女性活躍を掲げる安倍内閣の看板大臣の辞意に、「女性政治家全体のイメージまで下がらないといいが」と不安を口にした。

「仕方ない」地元・福井からはあきらめの声

地元・福井では残念がる声とともに、仕方ないとのあきらめの声も聞かれた。
「お辞めになるのは寂しいけれど仕方ない」と話すのは福井市内のパートの女性(67)。

中国では日本以上にビッグニュース扱い

稲田氏の辞任報道は中国でもトップニュースとして取り上げられたそうです。
中国はかねてより、「森友」や「加計」といった安倍政権の問題を日本よりも深掘りして伝えていたようで、特に稲田氏の問題は「尋常ではない頻度」で逐一報道されていたといいます。日本では今回の問題に対して特に事件名をつけていないのに(ゆるめに「日報問題」程度?)、中国では「瞞報門」という事件名が付けられているというエピソードからも、その関心の高さがうかがえます。

中国ではこの日報問題に対して「瞞報門」(日報欺瞞ゲート)という事件名が付いており、テレビの音から聞こえてくる「マン-バオ-メン」という発音は「瞞(man)報(bao)門(men)」のことである。「門」(ゲート)は「ウォーターゲート」以来、大きな事件に付ける名称である。 それくらい、稲田大臣の日報問題が中国では大きく扱われてきた証拠だ。

「失言の女王」「網タイツの女王」「ゴジラ」…数々の異名

稲田氏が辞任に至った経緯や周囲の反応をまとめたところで、ここからは今回の辞任劇の遠因になったといわれる稲田氏の人物像を見ていこうと思います。
その人物像を探るヒントとなるのは、「失言の女王」「網タイツの女王」「ゴジラ」といった稲田氏につけられた多くの異名。これらの異名を軸に、人物像に迫っていきます。

まずは「失言の女王」から。辞任の間接的な引き金ともなった、これまでの失言や騒動を振り返ります。

これまでの失言&騒動

「自衛隊としてもお願いしたい」…6月27日、都議選の応援演説で

稲田朋美防衛大臣が6月27日、東京都議選の自民党候補への応援演説で発した「2期目の当選、本当に大変ですから、お願いをしたいと。防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたいと、このように思っているところだ」という失言が批判を浴びている。

稲田氏は「誤解を招きかねない発言があった」とすぐに発言を撤回しましたが、自衛隊法や公職選挙法などに抵触する発言だとして問題となり、野党が罷免を求めるなど余波は大きなものとなりました。

「森友学園」の裁判に代理人として出廷…3月14日に発言訂正

稲田朋美防衛相は13日の参院予算委員会で、「(森友学園関連の)裁判を行ったことはない」と答弁していたが、14日午後の衆院本会議で一転、「今朝の報道において、13年前の裁判所の出廷記録が掲載されました。平成16年12月9日、夫の代わりに出廷したことを確認できましたので、訂正し、お詫びいたします」と謝罪した。

この時期、ネット上で「森友学園の顧問弁護士だった」という噂が広まるなど、稲田氏と森友学園の関係をめぐる報道が連日のようにメディアを賑わせていました。

稲田防衛相は先月末、防衛省が森友学園の籠池理事長に感謝状を送っていた問題を国会で取り上げられた際、籠池氏と面識があるか問われ、「面識はありますが、ここ10年お会いしておりません」「か、ご、い、け?やすのり?さん」とたどたどしく読み、「面識はあるが、どういった機会で会ったか定かではない」などと曖昧な答弁をしていた。塚本幼稚園を知っていたかについても、「聞いたことはありますけれど、その程度でございます」と答えていた。

災害対応時に40分間「不在」

7月6日には、九州北部で自衛隊が台風による豪雨の災害対応にあたっていたにもかかわらず、稲田大臣が「不在」になっていたことが報じられました。お昼の約40分にわたって「政務として民間の方々との防衛政策に関する勉強会に出席」していて、要するに、その間は連絡が取れない状態だったということです。

この行動に対し、石破茂氏や中谷元氏といった防衛相経験者が「あるまじき事」「とても信じられない」と批判するコメントをしています。

国際会議で自らを「グッドルッキング(美人)」

6月3日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で稲田氏が行った講演中の言葉が、「ジョークになっていない」などと波紋を呼びました。

シンガポールで開かれた「アジア安全保障会議」で、オーストラリアとフランスの国防担当大臣と並んで演説。
「見たら分かるように、(私たち3人には)共通点がある。同じ性別で、同じ世代で、一番大切なのは全員がグッドルッキング(美人)」

ついたあだ名は「失言の女王」

このほか、「子ども手当分を防衛費にそっくり回せば、軍事費の国際水準に近づく」と発言して話題になるなど失言を連発したため、メディアでは「失言の女王」などと呼ばれています。

自衛隊視察時にハイヒール…場違いな服装なども話題に

昨年8月に海上自衛隊の基地を視察した際、ヒールのある靴で護衛艦内を歩き回ったとして話題に。
また、同じ月にはシブチに外遊した際のファッションも注目を浴びました。

稲田氏は昨年8月の防衛相就任以来、省内に混乱を引き起こし続けた。外遊時に派手なサングラスと野球帽というリゾートルックで現れたり、部隊視察時のハイヒールなど、奇抜で場違いな服装だけではない。

トレードマークは「網タイツ」と「伊達メガネ」

トレードマークはカラフルな眼鏡と網タイツ。永田町ではやっかみを込めて「稲田姫」あるいは「網タイツの女王」の異名もある。実はいずれも稲田氏の地元・福井の特産品で、ご本人にいわせると伊達眼鏡をかけて網タイツをはくのは「一億総活躍社会」の実践のためらしい。
稲田氏といえば網タイツ姿がトレードマークになっているが、愛用するタイツは、イッセイミヤケ出身のデザイナーが手がける「ソマルタ」というブランドのもの。タイツ一足につき7000円から1万円超という高級品である。

「ネット右翼のアイドル」「永田町のオシャレ番長」

今では定番となった地元産のメガネと網タイツを身に着け、萌え人気で男たちのハートをキャッチ。
(中略)
特にネット放送「ニコニコ動画」に、メガネ姿の稲田氏の動画が上がると、視聴者から「萌え~」「ハァハァ」の文字で画面が埋まるほど。いわゆる「ネトウヨ」人気はきわめて高い。
10代の頃からファッション好きで、私生活では「ティファニー」のサングラスや、高級腕時計「フランク・ミュラー」を愛用するなど、永田町のオシャレ番長の一面も持っている。

“まつ毛エクステ”も大きな話題に

7月23日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS系)でも、『稲田さんは何本エクステをつけているか』で議論になり、『片方に80本』『140本』と予測が飛んだほど、本数が話題になっています。

まつ毛エクステンションの施術には長時間を要するので、同番組では女優の広田レオナが「もし施術中に国家の一大事が起きたらどうするんだろう」と疑問を投げかけていたといいます。
こういった話のほかにも「オシャレ番長」エピソードを伝える記事は多くあり、稲田氏に対する批判の高まりを受けて「毎日、黒系の服ばっかり」「好きな服も着られない」と知人に不満漏らしていたらしいという記事も注目を集めていました。

「嫌われる女」の原点

WEB女性自身では、「空気の読めなさに“イラッと”する」という防衛省関係者のエピソードを紹介しつつ、「空気が読めず、なぜか周囲をイラッとさせる」ルーツを探るため、高校の同級生に話を聞いています。

「試験前に、『勉強した?』と聞いても、必ず『全然してない。もう早くに寝たわ。睡眠時間、ちゃんと取らなあかんしね』って、絶対そんなことないのに。そのくせ先生に『昨日、復習してて、ここわからなかったんですけど』と聞きに行くんです。普段はおとなしいんですけど、先生とかには媚を売るのが結構、上手だった」

「初の女性首相」を期待された安倍首相の“秘蔵っ子”

稲田大臣とは、どんな人物なのか。国会議員秘書は語る。
「稲田さんは、安倍晋三首相の秘蔵っ子といわれ、もし女性の首相が誕生することがあれば彼女だろうと、ずっといわれてきました。自民党の政調会長だった時、NHKの公開討論会で民主党(現民進党)の蓮舫氏に圧倒的に勝利して、すごく評価が高かったのです。しかし防衛大臣になってから、永田町では『この人は、本当は政策を知らないのではないか』と言われ始めたのです」

部下にすぐ激高「ブチ切れの女王」

弁護士としての自負が強く、報告では法的根拠の説明を求めた。部下にすぐ激高して、「あなたたちは司法試験にも受かっていない」と言い放たれた幹部もいた。「最悪の防衛相」「最も上司にしたくない女性」と吐き捨てる幹部もいた。
防衛庁・自衛隊OBである評論家の潮匡人氏は「稲田氏はいつも威張って、周囲を怒鳴り散らしていたと聞く。これは日報隠蔽問題というよりも、『稲田朋美問題』というべきだ」

防衛省職員や自衛隊員に嫌われていた?

「ハイヒールで視察」「高圧的な態度」といった面で防衛省内や自衛隊員からの評判は悪かったといわれています。

防衛省での評判は非常に悪い。防衛大臣は、防衛省内の背広組には嫌われるけど制服組には好かれたり、その逆の場合もありますが、彼女の場合は両方から嫌われているのです。護衛艦の視察にハイヒールで来たりするから、制服組からしたら『現場を舐めている』という目で見る。
(中略)
彼女の理解の間違いを正そうとすると、『自分は大臣だ、あなた誰に向かってものを言ってんの』という態度になる。それで国会答弁はしどろもどろなんだから、背広組からしたら『ふざけるな』という話になりますよね。

“自衛隊の敵” あだ名は「ゴジラ」

大臣周辺の陸上自衛隊(陸自)幹部は、稲田氏に「ゴジラ」というあだ名をつけていたという。巨大不明生物「ゴジラ」は自衛隊発足以来の敵であり、破壊者であるから、その辟易ぶりがうかがわれる。

信頼関係のなさも辞任の一因?

省内職員や自衛隊員から嫌われたことで信頼関係が築けず、不適切な言動につながった面があるようです。

防衛省幹部との信頼関係ができていないからです。幹部は稲田さんに保管しておく必要はないという運用上のルールだけを説明して、それでちぐはぐな国会答弁になってしまった面があると思います。

また、日報問題で浮上した疑惑などは自衛隊関係者からのリークであることが濃厚とされていて、こういった部分にも信頼関係のなさが見て取れ、結果、辞任につながったという分析がされています。

8月3日の内閣改造まで居座るとみられていた稲田朋美防衛相が28日、正式に大臣を辞任した。自衛隊内部から追い落としの“リーク”が頻発し、追い詰められた末の辞任だった。稲田大臣の嫌われ方はハンパじゃない。
「稲田大臣を守れなかった」
防衛省のある内局官僚(背広組)は、そういう風な感想を力なく抱いたという。そして、「これは敗北だ。明らかに陸幕(陸上幕僚監部)の一部が策謀したクーデターだ。今後、一部のリークによって大臣、事務次官、陸幕長を排除できるような前例が残ってしまった。本来なら、日報などの日々の部隊活動に関する報告をどうするか、稲田大臣には責任をもって決めていただくべきだったのに」とも嘆いた。

笑顔で退場…離任式も「KY」だと話題に

7月31日には稲田氏の離任式が防衛省で行われましたが、この離任式も各方面で物議を醸しているようです。

反省や謝罪の言葉はナシ

幹部を前にした挨拶で稲田氏は、日報隠蔽問題について「国民の信頼を揺るがし、隊員の士気を低下させかねず、極めて重大かつ深刻だった」「危機感をもって再発防止策を実施していかなければならない」「風通しのよい組織文化を醸成してもらいたい」などと述べ、自らの反省や謝罪の言葉は一切なかった。

離任式を辞退せず…防衛省幹部「驚き」

防衛省・自衛隊は、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受けて高度な警戒態勢を続けており、省内からは「稲田氏は離任式を辞退すると思った。驚きだ」(幹部)との声も出た。

突然のヘアカットも注目浴びる

背中まであった長い髪をバッサリ切ってボブスタイルにしていた点も情報番組やネット上で注目され、「もうちょっと時と場合を選べないのか」といった批判の声もあがっているようです。

安倍首相の“秘蔵っ子”として守られてきた「えこひいきの女王」

こうして稲田氏の人物像に迫っていくと、そのエキセントリックな面が浮かび上がってきます。これまでも問題や騒動が起きるたびに「なんでこんな人物を閣僚に?」といった疑問の声もあがっていたようですが、それでも今まで大臣の座に留まり続けることができたのには、「安倍首相の秘蔵っ子」として守られてきた背景があったようです。

安倍首相のスカウトで政界入り

稲田氏は出自からして安倍首相肝いり。政界入りしたのは、安倍首相本人からスカウトされたのがきっかけだった。「国防」スタンスに齟齬のない安倍チルドレンの筆頭、そして将来の女性首相候補として、そのキャリアや政界内の人望に比して過保護なまでに守られてきたとの感がある。

「今のうちに経験を」で防衛大臣に

そもそも稲田朋美が防衛大臣になったのは、「今のうちに経験を」との首相の意向によるところであった。
おそらく稲田氏本人さえも、防衛大臣というポストには力量としてまだ未達ではあるが成長の伸びしろ込みで任命されたと認識していただろう。

しかし最後は、かばいきれず…

1年足らずの防衛相在任中、失点を重ね続けても稲田氏を擁護し続けた安倍首相――。だが、さすがに「堪忍袋の緒が切れて」(側近)、改造人事直前に"更迭"せざるを得なかったのが実態だろう。
「泣いて馬謖(ばしょく)を切った」(同)というよりも、「これ以上かばったら、首相の任命責任が倍加する」(長老)との危機感から「首相が自ら引導を渡した」のが実情だろう。

保守系メディアにも見捨てられた?

先月の後半になると、稲田氏を持ち上げていた保守系メディアも批判に転じました。その理由を、ジャーナリストの大谷昭宏氏は次のように話しています。

「改憲賛成論を掲げる保守系メディアにとって安倍政権の支持率急落は由々しき事態。そこで稲田氏をスケープゴートにすることで、政権批判をすりかえたい。稲田氏は保守系メディアからさえ“政権維持のために出て行ってくれ”と見捨てられたわけです」

今回の稲田氏の辞任劇は、ちぐはぐな答弁や失言といった不適切な言動の積み重ね、防衛省・自衛隊との信頼関係のなさといったところが原因とされ、「稲田氏の資質にそもそも問題があったのでは」という論調が目立ちます。ただ、その資質問題だけが過剰にクローズアップされ、文書公開のあり方や文書の管理体制のほか、リークが起きる体質といった「文民統制(シビリアン・コントロール)」の問題など、ほかの問題が見落とされているのではないか、と懸念する記事もあります。
8月3日の内閣改造では防衛相経験者が新たに大臣の椅子に座ると見られていますが、新大臣には防衛省内や自衛隊との信頼関係の再構築、さらに綱紀粛正や人心掌握といった課題をクリアしてもらい、危機感が増している北朝鮮ミサイル問題などにしっかりと対処してくれることを期待したいところです。

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