特集2017年11月7日更新
神奈川県座間市のアパートから9人の遺体発見
神奈川県座間市のアパートの一室で9人の遺体が発見されたというニュースが日本列島に衝撃を与えています。死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者の人物像や事件の概要など、現時点で判明している事柄をまとめました。
■ 遺体発見のきっかけは行方不明女性の捜査
■ 白石隆浩容疑者の人物像
■ 容疑者の供述などから見える犯行の概要
■ SNSを駆使して自殺志願者をターゲットに
10月30日、座間市のアパート室内で複数の遺体が見つかる
クーラーボックスなどから大量の骨を発見
神奈川県座間市のアパートで30日、行方不明となっていた東京都八王子市の無職女性(23)とみられる遺体を含む複数の遺体が見つかった。
捜査関係者によると、複数の遺体が見つかったのは座間市緑ケ丘の2階建てアパートの2階の一室。
アパートは築29年の2階建てで約6畳と4畳のロフト。室内にクーラーボックスと工具用の箱が計8つあり、うち7つから遺体が見つかった。室内からは切断に使ったとみられるノコギリも見つかった。
遺体は9人…内訳は女性8人、男性1人
【#きょう読まれているニュース】【座間9遺体】アパートに足を踏み入れた捜査員は異様さに絶句した「ドラマの世界だ」 容疑者から謝罪なくhttps://t.co/VkJnsY8Fv0 pic.twitter.com/xslYpZ5mTc
— 産経ニュース (@Sankei_news) 2017年11月2日
捜査関係者によると、頭部が入ったクーラーボックスが男の自宅玄関のたたきに置かれていた。室内にはほかにもクーラーボックスや収納容器が複数あり、警視庁が中身を調べたところ、9人分の遺体が見つかったという。
現場からは9人の遺体の一部が見つかっており、女性が8人、男性が1人だった。
10月31日、遺体が見つかった部屋に住む男を逮捕
座間市アパート男女9人の遺体 2カ月間で9人殺害か https://t.co/G4JnBfhGfw
— テレ朝news (@tv_asahi_news) 2017年10月31日
死体遺棄容疑で逮捕されたのは27歳の白石隆浩容疑者
警視庁捜査1課は31日、死体遺棄の疑いで、この部屋に住む職業不詳、白石隆浩容疑者(27)を逮捕したと発表した。
「私が殺害して証拠隠滅を図ったことに間違いありません」容疑認める供述
白石容疑者は「私が殺害して証拠隠滅を図ったことに間違いありません」などと供述し、容疑を認めているという。
白石容疑者は容疑を認め「8月下旬以降で9人を殺害し、遺体を証拠隠滅しようとした。浴室で遺体を解体した」と供述している。
「下水のような臭いが」アパート近隣住民の反応
転居当初(2カ月前)から異臭
白石隆浩容疑者(27)の神奈川県座間市の自宅の近所では、転居してきた8月以降、異臭がするとささやかれていたという。
白石容疑者の部屋の2軒隣に住む40代の男性会社員によると、同容疑者が引っ越してきた8月ごろから、部屋の前を通ると異臭がするようになった。「嗅いだことのない臭いだった。下水の臭いかと思っていた」と振り返った。
近くに住む男性会社員(19)も「4~5日前の朝、通勤途中にアパートの前の路上で肉が腐ったような異臭がした。かいだことがない臭いだった」と話した。
市職員「市民から異臭の情報は寄せられなかった」
事件のあった部屋からは「異臭を感じた」との声が近隣住民から上がっているが、保健衛生を担当する健康づくり課の職員は「苦情や情報は市には寄せられていなかった」とした。
遺体発見のきっかけは行方不明女性の捜査
今回の事件が発覚したきっかけは、10月下旬から行方不明になっていた東京都八王子市に住む女性の捜査でした。この経緯を振り返ります。
妹を思う兄の執念と勇気ある女性の協力で容疑者を誘い出す
八王子市在住の23歳の女性が10月下旬から行方不明に
事件発覚のきっかけとなったのは、今月下旬から行方不明になった東京都八王子市の女性(23)の捜査だった。
女性は福祉作業所に通っており、21日午後6時半に作業所の職員が女性宅を訪れ、面接したのを最後に、行方が分からなくなっていた。
10月23日午前9時以降、女性と連絡が取れなくなったといい、「ラインをいくら送っても既読はつかず、電話で連絡しても反応がない」とつづっていた。24日ごろには、女性の携帯の電池が切れてつながらなくなったという。
「死にたいけど一人だと怖い」とTwitterに投稿していた
女性は行方不明になる前の9月20日、Twitterに次のように書き込んでいました。
《死にたいけど一人だと怖い。だれか一緒に死んでくれる方いましたらdm(注:ダイレクトメール)ください。 こちら23の東京です。車ある方だと嬉しいです。》
10月24日、女性の兄が捜索願を提出するも一緒にいた男を特定できず
兄が3日後の同24日、同庁高尾署に捜索願を提出。警視庁が捜査を進めると、妹が男(後に白石容疑者と判明)と一緒に歩いている姿が防犯カメラに映っていたが、同庁は、この男を特定することはできなかった。
兄が女性のTwitterにログインして履歴を調べる
投稿を見た兄がツイッターにログインすると、妹と連絡を取っていたあるハンドルネーム(ネット上の仮名)が浮上した。
この白石容疑者とみられるアカウントは9月26日午前1時ころ、妹のアカウントに「現状はどんな感じですか?」と返信。約20分後には自殺をほのめかす別の書き込みに「どんな感じ?」と書き込んでいた。
10月26日、兄がTwitterで情報提供を求める
座間 9人遺体 逮捕は被害者の兄の情報がきっかけ #nhk_news https://t.co/CI9bLIRc84
— NHKニュース (@nhk_news) 2017年11月1日
10月26日、兄を名乗る人物が同アカウントで「とあるユーザーに妹がDM(ダイレクトメッセージ)で連絡しました」「首つりを提案した人でした」と明かし、警察に捜索願を出したことも報告していた。
ツイッターなどで情報提供を呼びかけたところ、別の女性が「相手の男に心当たりがある」と兄に名乗り出た。ツイッターで自殺を持ちかける手口などが男と酷似していたからだという。
兄に名乗り出た女性が捜査に協力 白石容疑者をおびき出す
兄から「こんな情報提供をしてくれた女性がいる」と相談を受けた高尾署の捜査員は30日、この女性の協力を得て男をおびき寄せることにした。
そして10月30日、待ち合わせ場所に現れた男が白石容疑者だった
30日、指定した東京都町田市内の駅に白石容疑者が現れる。尾行した捜査員がたどり着いたのが、異臭漂う部屋だった。
先月30日午後4時過ぎ。警視庁高尾署員は東京・町田駅前から若い男の追尾を続けていた。
男がたどり着いたのは、神奈川県座間市内の2階建てアパートだった。署員は205号室に入るのを見届けるとドアをたたいた。
「女性の行方を知りませんか」
男は否定したが、追及を続けると程なく、「ここにいます」と玄関先に置かれたクーラーボックスを指さした。
兄の執念がさらなる犠牲を防いだか
白石容疑者は「約1週間で1人」という異常なペースで殺害を繰り返していたとされているため、「この不明女性の兄の執念と協力女性の勇気ある行動がなければ、あと何人が犠牲になっていたのか…」という声もあります。
実際、白石容疑者は「次」も視野に入れていたようです。
室内の箱には空き箱が
事件発覚時、室内には八つの箱が置かれていた。うち七つの箱には9人分の頭部やあばら骨など約240本の骨が入っていたが、ベランダ側に置かれた二つのうちの一つに空き箱が積まれていた。同課は、白石容疑者がさらに事件を重ねようとしていたとみている。
最後の被害者襲撃の翌日、別の女性を自宅に誘う
白石隆浩容疑者(27)が、最後の被害者とみられる東京都八王子市の女性(23)を襲撃した翌日に、別の女性を自宅に連れ込もうとしていたことが捜査関係者への取材で分かった。
この女性は被害を免れたが、警視庁捜査1課は白石容疑者が女性を殺害しようとしていたとみている。
白石隆浩容疑者の人物像
今年初めごろまで歌舞伎町のスカウトマン
白石容疑者は少なくとも今年初めごろまで、東京都豊島区東池袋に住み、新宿・歌舞伎町の職業紹介会社で働いていたという。
歌舞伎町にある職業紹介会社で、風俗店などに女性を派遣する業務を担当していた。
悪評をネットに書き込まれるほどの「悪徳スカウトマン」
その仕事ぶりを知る人たちは「ツイッター」に容疑者の悪評を投稿していた。
日本一の歓楽街と言われ、飲食店や風俗店が建ち並ぶ東京・歌舞伎町(新宿区)。この街で白石容疑者を見かけると書き込んだ人は、容疑者の実名と顔写真を投稿し、「色々な人を裏切ってます」「裏でいろいろやってます」などと非難。今年1月から5月まで、同じ内容を繰り返し書き込んでいた。
白石容疑者は昨年、風俗店に紹介した女性と金銭トラブルを起こしている。
「約200万円の給料が支払われなかったので店に問い合わせたところ『白石に渡した』と言われたそうです。そこで知り合いの男性と白石容疑者を呼び出し、訴訟をチラつかせたら、しぶしぶ支払った」(風俗店関係者)
当時の白石容疑者を知る風俗嬢のツイッターには〈個人情報とか話す悪徳スカウト〉などと書き込まれる一方で、〈死にたいって言ってたら、そばにいてくれた〉とも。
今年2月にも逮捕 執行猶予中の事件
白石容疑者は今年1〜2月、売春行為を行っていた風俗店に女性を紹介していたなどとして、茨城県警に職業安定法違反容疑で逮捕され、5月29日に水戸地裁土浦支部で懲役1年2月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡され、6月13日に確定している。
6月ごろから周囲に自殺をほのめかすなど精神が不安定に?
上記の有罪判決が確定した6月ごろ、白石容疑者は父親に「生きていても意味がない」などと話したり、周囲に自殺をほのめかしていたといいます。
父親やキャバクラ嬢に「生きていても意味がない」と話す
捜査関係者によると、白石容疑者は今年6月ごろ、自身の父親に「生きていても意味がない」「何のために生きているのか分からない」などと打ち明けていたという。
8月に座間市のアパートに入居した後も、都内のキャバクラ店に通っては接客した女性に「俺って生きてる意味あんのかな」と笑みを浮かべてつぶやいた。
実際に飛び降り自殺をしようとしたことも?
精神的に不安定な様子がうかがえるようになり、周囲に「死にたい」「生きていても意味がない」などと語っていた。実際に飛び降り自殺をしようとしたこともあったという。
現場のアパートに引っ越してきたのは2カ月前
容疑者の父「割引はいいから早く入居させたい」…入居を急いでいた?
アパートの関係者の男性によると、同容疑者は8月22日に契約して入居した。父親から不動産会社に「すぐに入居したい」と電話があり、同容疑者が来店して契約した。
同容疑者は契約時は無職だったが、「就職先は決まっている」と説明し、契約を急いでいる様子だったという。
この物件には、契約した月の家賃が無料になる「フリーレント」というサービスがあった。不動産会社が「月が変わってから契約した方が得ですよ」と説明したが、「割引を受けられなくてもいいから早く入居したい」と急いだ様子だったという。
いつもシャッターが閉まっていた容疑者の部屋
入居した2階の部屋はロフト付きのワンルームで、家賃は管理費込みで2万2000円だった。
アパートは12部屋あるが空室が目立ち、男性ばかり5~6人が居住。
住人同士の交流はほとんどなく、同容疑者の部屋の窓はいつもシャッターが閉まっていたという。
アパート近隣住民「会えばあいさつ」「はきはきとした印象」
白石容疑者は会えばはきはきとあいさつし、人の叫び声や大きな物音を聞いたことはなかったという。
主婦は「きちんとした身なりで悪い印象はなかった。ニュースを見てびっくりしている」と話した。
アパートの近くに住む女性がこう言う。
「(白石容疑者は)生ゴミの日になると決まって朝7時ごろに、スーパーのレジ袋に入れたゴミを出していたので、よく覚えているんです。整髪料できちんと頭を整えて、小ざっぱりした印象でした」
歌舞伎町のビルで働く女性「会えばあいさつ。普通の人という印象」
勤務先の職業紹介会社は今春ごろまで、歌舞伎町の雑居ビルに入居していた。このビルで働く女性は容疑者の姿を何度か目にしていた。「事務所の前でたばこを吸い、いつもスマホをいじっていた。会えばあいさつもするし、普通の人という印象」と振り返る。
容疑者の実家も座間市内
地元中学を卒業後、県内の高校に進学
白石隆浩容疑者は、神奈川県座間市の出身。
遺体が発見されたアパートから約2キロ離れた同市内の実家で小中学校時代を過ごした。
地元の中学校を卒業後、県内の高校に進学した。部活はせず、2008年1月下旬から約1年2か月間、スーパーの総菜コーナーで週に2回、アルバイトをしていた。
白石容疑者は中学時代、野球部と陸上部に所属。卒業文集では、部活を通じて友だちができたことを喜ぶ記述があった。
両親と妹の4人家族 数年前に母親と妹が別居
実家近くの住民らによると、白石容疑者は両親と妹と4人家族。数年前に母親と妹が別居し、実家には父親が1人で暮らしていた。近所の男性(83)は「父親は自動車関連の自営業で(容疑者が)時々戻って手伝いをしており、2カ月ほど前にも帰ってきていた。きちんとあいさつするいい子だったのに」と驚く。
生活の転機として10年ぐらい前に母親が都内の学校に進学した妹と一緒に座間の自宅を離れた証言を紹介。母と妹は都内で暮らし、白石容疑者は父と2人で暮らすようになったという。
実家近隣住民「明るくていい子」「飛び抜けて頭がいい」
近所の男性(84)は1年ほど前、白石容疑者の父親が「息子に彼女ができた」と話していたのを覚えている。子供の頃、雪だるまを作って遊ぶ姿を見かけたという。5年ほど前にも見かけたことがあり、「明るくていい子だったのに」と驚いていた。
別の30代男性は8月以降、深夜に実家の玄関先に座り込む白石容疑者を何度か見たという。「携帯をいじっているのかと思った。地味な感じだった」と言う。
実家近くの女性は幼少期の容疑者を「かわいいし、飛び抜けて頭がいい」と明かし、小学校時代の同級生は「家族関係も良好だった」などと証言していた。
座間市の実家周辺では「当時はおとなしく目立たない人だった」「こんな事件を起こすなんて信じられない」と驚く声が少なくない。
小学生時代の担任「素直で何の問題もなかった」
小学校の担任だった女性教諭は「素直で何の問題もなかった。平凡で普通という印象しかない」と振り返った。算数が得意で「自分から手を上げるタイプではないが、指すと答えた」という。
元同級生「影の薄い生徒」「どちらかというと優しい印象」
幼稚園、小中学校ともに同級生だった会社員の男性(27)は「おとなしく、影の薄い生徒で、ほとんど記憶に残っていない」と話す。
中学で同じ部活だった男性や高校の同級生は報道で事件を知り、学生時代の写真を見るまで顔も思い出せなかった。白石容疑者の妹の友人も「家に遊びに行っても、お兄さんは部屋にこもっていた」と振り返る。
女性は「少し変わっていたが、どちらかというと優しい印象だった」と振り返る。
高校時代に自殺未遂も
TBS系の情報番組「ビビット」も白石容疑者の高校時代の同級生を取材し、同容疑者には自殺未遂をした過去があることを報じています。
白石容疑者は突然失踪し、学校を1~2週間休んだこともあったという。その理由について、女性は証言。白石容疑者自ら「自殺するため、どこかのホテルで睡眠薬を大量にのんだ」と淡々と話していたという。原因を語ることはなかったが、自殺未遂は一人ではなく集団で行ったと明かしていたという。
高校卒業後に就職 スカウトマンになるまで職を転々
高校2年の冬から地元スーパーでアルバイトを始め、卒業後、そのまま就職した。総菜の調理やレジなどを任された。無断欠勤やトラブルもなかったが、2年3カ月で退職。その後はパチンコ店や工場など職を転々とした。
白石容疑者は東京・池袋に転居し、風俗店に女性を紹介する仕事に就く。
今年夏ごろに池袋から座間に帰ってきていた
今年夏頃に白石容疑者はそれまで住んでいた池袋のアパートを引き払い、地元・座間に帰ってきた。
「実家でお父さんがダックスフンドを飼っていたそうですが、この夏、その犬が体調を崩してしまったそうです。お父さんは“長男が面倒を見てくれて本当に助かっている”と周囲に話していましたよ」(前出・近隣住民)
一時は派遣の仕事をしていたが無職状態に
白石容疑者は今年5月、職業安定法違反で執行猶予付き判決を受けた後は、座間市内の実家に身を寄せた。一時は派遣の仕事をしたが、辞めた後は無職状態だったという。
最近は「あやしい感じ」「顔の印象が変わった」
実家近くでは8月以降も容疑者の姿が目撃されていた。30代の男性は、深夜に実家の玄関前に座り込む姿を何度か見かけた。「携帯電話をいじっていて、あやしい感じがした」と振り返った。
小中学校で同級生だった息子を持つ女性(58)によると
(中略)
「家に遊びに来たこともある。ニュースで写真を見たが、顔の印象が変わった」
同棲していた女性「温厚で優しい。異常なほどの優しさが怖かった」
日本テレビ系の情報番組「スッキリ」では、スカウトマン時代の白石容疑者と2、3カ月一緒に暮らしたという女性が証言。
性格は「温厚で優しい。ずっとニコニコしていた」と明かし「普通の人より異常に優しい。優しすぎて怖かった」と証言していた。
容疑者の供述などから見える犯行の概要
ここからは、白石容疑者の供述や警察の捜査情報から犯行の態様に迫ります。ただ、逮捕当初は「(弁護士の意に反しても)ちゃんとしゃべります」としてしっかり供述していた印象もあった白石容疑者ですが、時間が経つにつれて供述はあやふやな言い方になっているとも伝えられています。このことを念頭に置いて読み進めてください。
犯行の動機は「金銭目的」か
8月下旬、カップルの女性を初めて殺害…座間9遺体、白石隆浩容疑者を巡る経過 https://t.co/1q0s1mi5sj pic.twitter.com/jLxUwBBNV0
— 産経ニュース (@Sankei_news) 2017年11月1日
「金銭目的で女性を襲い、乱暴して殺した」
男は容疑を認め、一部の遺体について、「金銭目的で女性を襲い、乱暴して殺した」と供述しているという。
「多い人からは約50万円を奪った。500円しか持っていない人もいた」とも供述している。
最初に「50万円」で味をしめた?
警視庁の調べに対し、最初に殺害したカップルの女性について、「殺害後、50万円を奪った」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。
白石容疑者はその後、殺害した女性らからも現金を奪ったと供述しており、同庁は、最初の事件で多額の現金を手にしたため、その後も現金を狙ったとみている。
計画的な犯行だった可能性も
自宅から押収したロープや結束バンド、遺体を保管していたクーラーボックスなどについて、白石容疑者が「事前に購入した」という趣旨の供述をしていることも分かった。捜査本部は白石容疑者が被害者の拘束や遺体の処理方法を事前に検討するなど、計画的な犯行だった可能性もあるとみて、購入場所や時期などの裏付けを急ぐ。
9人とも首を絞めて気絶させたあとに殺害か
白石容疑者は逮捕直後の同庁の調べに対し、「いずれも首を絞めて気を失わせた後で殺害し、遺体を切断した」と供述した。
司法解剖の結果は供述と一致 死因は不明
一部の遺体に首を絞められたような形跡があることが2日、捜査関係者への取材で分かった。
司法解剖の結果、一部の遺体の首の前部の骨が折れていたほか、窒息した場合などに生じる出血点が確認された。一方、9人の死因は分かっておらず、解剖結果を踏まえて慎重に解析を進めている。
「睡眠薬を飲ませた」とも供述
当初は調べに対し「部屋に入って、いきなり襲った」と説明していたが、その後に「被害者をリラックスさせるため、酒や睡眠薬、精神安定剤を飲ませた」などと供述を変えた。それを裏付けるように部屋から睡眠薬が見つかったという。
「ロフトにくくりつけたロープに首をかけて殺した」
いまだ死因は明らかになっていませんが、5日の記事では殺害方法についての供述が伝えられています。
白石容疑者宅は6畳一間で、床から約2・4メートルの高さにロフトがあった。白石容疑者は、一部の女性は睡眠薬や精神安定剤、酒を飲ませ、くつろいでいるところを、首を絞め気絶させたと説明。ロフトの下まで運び、ロフトからぶら下がったロープに首をかけたという。
2カ月で「9人殺した」…約1週間に1人のペースで殺害か
座間9遺体 白石隆浩容疑者、手で口ふさぎ襲撃か 周囲で叫び声や物音に気付いた人なく https://t.co/fU4gD8Whww pic.twitter.com/cq4LnahG4A
— 産経ニュース (@Sankei_news) 2017年11月2日
白石隆浩容疑者(27)は、1人暮らしを始めた直後の8月末に最初の1人を殺害したと話していることが31日、警視庁捜査1課への取材で分かった。
捜査1課によると、白石容疑者は「8月22日にアパートに引っ越して来てから9人を殺害した」と供述している。約1週間に1人のペースで殺害を続けたとみられる。
事件の時期については「8月に1人、9月に4人、10月に4人を殺害した」という趣旨の供述をしている。
司法解剖の結果は…
司法解剖の結果、9人の遺体のうち7人は死後1~数か月、2人は死後1~2週間と判明。
9人中、2人は知人カップル、7人はネットなどで知り合う
白石容疑者は調べに対し、発見された9人の遺体は、知人カップルと、ツイッターなどで知り合った7人の女性で、10歳代の少女も複数、含まれていたと説明している。
10代少女も複数人か 本名は1人も知らず
9人のうち「10歳代後半の少女が4人いた」と供述していることが捜査関係者への取材でわかった。
「17歳くらいの少女もいた」と説明する一方、被害者の本名は一人も知らなかったという。
「3~8人目についてはよく覚えていない」
最後に殺害した1人と、殺害前に接触のあった最初の2人については印象に残っているが、「3~8人目についてはよく覚えていない」と供述している。
最初にカップルを殺害か
8月末に最初に女性を殺害し、その後女性の交際相手の男性も殺害したと供述していることが1日、警視庁高尾署捜査本部への取材で分かった。
捜査本部によると、このカップルは20歳前後とみられる。白石容疑者は2人とツイッターを通じて知り合ったと話し、1度だけ3人で会食したことがあるという。
「最初に女性を殺害した」。だが女性を殺害後、交際相手の男性が「俺の彼女、知らない?」と安否を尋ねてきた。
白石容疑者は男性を部屋に呼び出し、「部屋で飲みましょう」と男性を招き入れた。「このままだと、警察に疑われるかもしれない。交際相手の男性も隙を見て殺した」
全員の身元情報が判明
神奈川県座間市のアパートの一室から9人の切断遺体が見つかった事件で、9人全員の身元が判明した。
「被害者の所持品、現金以外は全部捨てた」と供述していたが…
白石隆浩容疑者(27)が、被害者の所持品は現金以外全て捨てたと話していることが1日、捜査関係者への取材で分かった。
同容疑者は9人を殺害した後、衣類や所持品を廃棄。財布は現金だけを抜き、被害者の名前が刻印されているカード類には手を付けなかった。
部屋から複数女性の身分証やカード見つかる
当初、白石容疑者は上記のように供述していて、身元の確認は難航することが予想されていましたが、後日、身分証明書やキャッシュカードなどが見つかったといいます。
発表によると、白石容疑者宅からは、女性5人の身分証やキャッシュカード、医療機関の診察券、交通系ICカードのSuica(スイカ)のほか、女性用のバッグ5個や靴7足が見つかった。
女性7人はSNSで誘い出して犯行
座間9遺体 白石容疑者、自殺誘う投稿削除…証拠隠滅か 遺体「離れたごみ捨て場に捨てた」 https://t.co/DtbOwiVANK pic.twitter.com/w0uEOATd49
— 産経ニュース (@Sankei_news) 2017年11月3日
白石容疑者はその後、ツイッターなどのSNSを駆使して自殺志願者の若い女性7人を誘い出し、犯行を繰り返す。
「一緒に自殺しましょう」。複数のアカウントでメッセージを送信。自殺を手伝う名目で、自宅に連れ込んだ。
このあたりの詳しい手口は後述します。
「会ったその日に殺した」
最初に殺害したとされる男女とは一度だけ一緒に食事をしているが、そのほかは会ったその日に殺害したとみられている。
“白石容疑者以外の不審な男”目撃も…警察は単独犯行として捜査
大型収納ボックスを運ぶ姿を近所の住民が目撃
アパート周辺では白石容疑者以外の不審な男の姿が目撃されていた。
近所に住む主婦は「10月半ばの午後2〜3時ごろ、アパートに横付けしたワンボックスカーから黒っぽい服装の男3人が、部屋に衣装ケースのようなものを運んでいた」と話す。現時点では白石容疑者の単独犯行との見立てで、事件との関連は不明だ。
SNSを駆使して自殺志願者をターゲットに
複数のアカウントで自殺志願者と接触図る
白石容疑者はツイッターで自殺志願者を探していた。「自殺を手伝う」と誘い出しては、自宅に連れこむなどして殺害していたとみられる。
ツイッターのアカウントを複数使い分け、若者たちに接近していたとされる。捜査幹部は「被害者を物色していた白石容疑者にとってSNSは『格好の場』だったのではないか」と話す。
警察は「首吊り士」と「死にたい」のアカウントを確認
白石容疑者が使っていたのは「死にたい」と「首吊(つ)り士」というハンドルネームのアカウント。それぞれ8月と9月に開設された。同容疑者は複数のアカウントを使い分けていたとされ、その一部とみられる。
アカウントを3回変更?
フジテレビ系の情報番組「とくダネ!」では、Twitterアカウントを3回変更していたと報じています。
番組の取材では最初のアカウント名が「パチプロ~」で去年3月から今年9月下旬。次が「死にたい」で今年8月下旬から9月下旬。最後が「首吊り士」で今年9月下旬から逮捕される10月下旬までだったという。
特に「首吊り士」のアカウントが大きな話題に
今年9月に開設 「本当につらい方の力になりたい」
「首吊り士」は9月に開設。プロフィルには「首吊りの知識を広めたい。本当につらい方の力になりたい」と記載していた。ツイッターには、自殺や安楽死についての記事や犬や猫の動画をひんぱんにリツイートしていた。
プロフィール画像にはイケメン風なキャラクター
アカウントのプロフィール画像は、索条痕(首を絞めた痕)やリストカットの傷跡が描かれたイケメン風な男性のイラストが用いられている。
「本当に困っている方は、ご相談ください」などと連絡求める
「本当に困っている方は、ご相談ください」などと連絡するよう求め、自殺を示唆する書き込みをしている人には「首吊り自殺予定でしょうか?」とメッセージを送っていた。
紹介文には「お気軽にDM(ダイレクトメッセージ)へ連絡ください」との書き込みも。DMは相手と非公開でやり取りができる機能で、白石容疑者はDMで自殺志願者らと接触を図っていたとみられる。
「日本の闇」に言葉失う
「首吊り士」のフォロワーには自殺願望を抱えた人もいたようで、「日本社会の闇」を垣間見たとして言葉を失う人も。
ツイートを見てしまった人は、
「アカ見たけど、、フォロワーも、、」
「フォロワーさんのツイートをチラ見してしまった...」
と言葉を失っている。
11月2日、「非公開」に
ツイッターで自殺志願者と連絡を取る際に利用していた複数のアカウントの一つを「首吊り士」と説明したことが判明したが、午前11時台にこのツイッターは「このアカウントのツイートは非公開です」と表示された。
接触する手口とは
「ハッシュタグ」で検索か
「ハッシュタグ」と呼ばれる投稿内容の検索ワードを使って、検索していたとみられる。
ツイッターには、同じ言葉が入っている投稿を検索して一覧できる「ハッシュタグ」機能がある。この機能を使えば、自殺願望がある人たちが容易に接触できる仕組みだ。
「死にたい」のアカウントでは自殺志願者を装う
「首吊り士」以外にも「死にたい」名のアカウントも所持。開設日は事件現場となった自宅アパートに転居した8月22日だった。
「死にたい」のアカウントでは《消えてしまいたい 全部忘れたい》(8月25日)、《忘れたい 死にたい》(9月20日)などと吐露。これらの投稿は、白石容疑者と接触後に行方不明となった東京都八王子市の女性(23)が閲覧していた形跡も残っていた。
「死にたい」のアカウントでは「一緒に死にますか」などと自殺志願者を装い、「ご一緒しませんか」と連絡をしてきたユーザーに「お願い致します。Dm(ダイレクトメッセージ)ください」と応じていた。
返事をすると別の通信アプリに誘導
自殺の手助けをほのめかし、反応のあった相手に対して、「LINE(ライン)」や「カカオトーク」などの無料通信アプリでやりとりを続けていたとみられる。
年齢や性別を執拗に確認 若い女性を狙っていた?
ツイッターでは相手が性別などを詐称するケースがある。このため、白石容疑者は若い女性とみられる人物との接触に成功すると、電話機能のある無料通信アプリ「カカオトーク」など別のSNSに場を移し、相談に乗るふりをして電話。声で性別と年齢を改めて確認していたとみられる。
「自殺する前に友人、家族へ連絡するのはNG」関与発覚を防ぐ細工か
「自殺する前に友人、家族、SNSにこれから死にますや今までありがとうなど連絡を入れるのはNG」などと注意。自らが関与した場合の発覚を防ぐよう細工した可能性もある。
「ロフトで首がつれる」と勧誘
白石容疑者の自宅アパートは約13平方メートルのワンルーム。床から約2メートルの高さにロフトがあり、はしごで登る構造になっている。ロフトには転落防止の手すりがあり、白石容疑者は被害者に、「手すりにロープをかけて自殺する」などと提案して自宅に誘い込んでいたという。
女性が死ぬ場所はと問いかけると「場所は相武台前という神奈川県の駅の近くになります」と明かし「私が首吊りをする為だけに借りた部屋があります。ロフト付きで吊る場所に困らず家族や友人を呼んだ事もない為、間違いなく死ねます」と送ったという。
証拠隠滅目的で投稿削除か
白石隆浩容疑者(27)が、ツイッターの投稿のうち古いものは削除したと話していることが2日、捜査関係者への取材で分かった。被害者の多くとはツイッターを通じて接点があったとみられ、警視庁高尾署捜査本部は事件への関与が発覚するのを恐れて証拠隠滅を図ったとみて調べている。
「好きだ」と甘言も…心の隙につけ入る“悪魔の洗脳術”
部屋から不明女性のバッグ見つかる 座間市9人遺体 https://t.co/M8tBzTbqzW
— テレ朝news (@tv_asahi_news) 2017年11月3日
「あなたは殺人鬼なんかじゃない」と擁護するメッセージも
白石容疑者とやりとりしていたとみられる女性のTwitterには、同容疑者の逮捕直後、次のように擁護するメッセージが書き込まれていたといいます。
〈(白石容疑者が)いなくなったら確実に死ねるかわからないじゃん。沢山メールして、私が逝く(死ぬ)まで見届けたいって言ってくれたじゃん。私はまだ死ねないけど貴方がいれば逝けるんだって安心してたのに。助けられていたよ。今までの人達も絶対感謝してるよ。あなたは殺人鬼なんかじゃない〉
座間のシリアルキラーは、これほど女性を“洗脳”していたのだ。
スカウト時代もTwitterで勧誘
白石容疑者は風俗の求人用アカウントを使って、デリヘルやソープランドなどの募集を行っていたとみられる。ツイッターでは、風俗嬢とみられる女性が、白石容疑者にツイッターでスカウトされたことを明かし、「死にたいっていってたらそばにいてくれて、人の個人情報とか話す悪徳スカウトだったけど使ってたからほんとに鳥肌たった」と、事件に驚いた様子を記している。
歌舞伎町では路上でのスカウトが一般的だが、白石容疑者のやり方は違っていたという。
「SNSを通じて女の子を引っ張っていた。架空の女の子になりすまして“この誘いに乗って稼げました”という自作自演のサイトを作ったり、風俗業界に流しやすい自殺願望のある子が集まるサイトで狙い撃ちしたり。最近の風俗は身分証の確認が厳しいので、まともなところでは働けない未成年の女の子にも連絡を取りまくっていたようです」
「自分も被害者になっていたかも」実際にやり取りしていた女性の証言
座間9人遺体事件で、逮捕当日に容疑者と会う予定だった女性がいました。2カ月間にわたる容疑者とのやりとりとは? https://t.co/AUHPkLQSB4 pic.twitter.com/5i0SbmH7Us
— 朝日新聞デジタル編集部 (@asahicom) 2017年11月4日
「一緒に死にたい」から急に「殺したい」に
この女性は、今年の9月6日ごろからSNSでやり取りをはじめ、10月31日の逮捕2日前まで交流していたという。自殺願望があったという女性は「私が病んでいた時に一緒に死にたい方、募集しますとツイッターに書き込んだら、彼から反応が来て一緒にどうですか?クスリと車持ってますと送られてきて、そこから話をするようになった」という。
やり取りをはじめた中で「最初は本当に一緒に死にたいと言っていて、何度も早く死にたいと言っていた」が「途中から急に殺したいみたいなことを言い始めました」と証言した。
「殺してあげて処理もする」
ツイッターで知り合い、交流を続けていた千葉県の介護士の女性(21)は読売新聞の取材に応じ、「自分が被害者になっていたかもしれない」と語った。
当初は一緒に自殺すると話していたが、次第に白石容疑者は、「俺が殺してあげる」「金をくれたら殺してあげて、処理もする」と言うようになった。
「全財産をくれたら殺してあげる」
最初は自殺の相談だったが、10月に入り、「人を殺したことがある」「全財産をくれたら殺してあげる」などと告げられた。
「金が無い」とも
金が無いとも漏らしていた。10月下旬には、「全財産を俺にくれたら、今すぐにでも殺してあげるんだけど」と通話の際に笑っていた。女性はこの発言をきっかけに、距離を取るようになった。
「苦しかったらやめていいので試しに吊ってみますか?」
番組は、このうち「死にたい」のアカウント時に白石容疑者とやり取りしていた17歳少女のLINEでのメッセージを入手した。
それによると白石容疑者は「自殺をお考えですか?」と送り「はい」と応じると「実際に吊ってみて苦しかったらやめていいので、試しに吊ってみますか?」と回答。これに少女が「あのー本気で考えてますか?」と尋ねると「本気です」とし「私が用意するので責任持って安楽死させます」と送っていた。
「会いたいよ、、会いたくて死にそう」
女性が死ぬつもりはないと伝えると、「会いたいよ、、会いたくて死にそう」「○○の顔見たいな、、」などと誘うメッセージに変わっていったという。
「自分は自殺するつもりはなかった」
Twitterの「死にたい」アカウントなどでは「一緒に自殺」をほのめかしていた白石容疑者ですが、「自殺する気はなかった」と供述しています。
白石容疑者はツイッターで自殺願望があるかのように装って女性に接近。「一緒に死のう」などと若い女性を誘い出しては、自宅に招き入れていた。
「自分もツイッターに自殺願望の投稿をしていたが、その気はなかった。全部うそです」とも供述。動機については「金銭や乱暴目的だった」と話しているという。
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「前代未聞の猟奇殺人」とも言われる今回の事件。「アパートで複数の遺体発見」「自殺サイトが背景か」といった第一報を聞いた時、「一体、何が起きたんだ?」と誰もが感じたと思いますが、その後「遺体は9人」「8月下旬から殺害」「金銭目的」といった続報が入ってきても、現時点では「一体、何が」の疑問はすっきりとは解決していません。
犯行の動機や背景が特に気になるところで、容疑者は女性への乱暴や金銭が目的だったと供述しているものの、それがわずかな期間で9人も殺害する理由なのでしょうか。そんな気になる“真の動機”の解明も含めて、今後の捜査を見守りたいところです。