関川夏央のニュース

【書評】自衛隊員の囁きを拾い集め「周りに漂う匂い」を記述

NEWSポストセブン / 2017年06月09日07時00分

【書評】『兵士に聞け 最終章』/杉山隆男・著/新潮社/1600円+税 【評者】関川夏央(作家) 杉山隆男が自衛隊の取材に着手したのは、自衛隊初の海外派遣、カンボジアPKOが実施された一九九二年十一月だった。九五年に『兵士に聞け』として刊行されたその本は、はじめて自衛官を職業としてとらえた記念碑的作品となった。 以来、『兵士を見よ』(九八年)、『兵士を追え』 [全文を読む]

【書評】文学を紙とインクのにおいとともに美しく包む人々

NEWSポストセブン / 2017年04月14日07時00分

【書評】『「本をつくる」という仕事』/稲泉連・著/筑摩書房/1600円+税 【評者】関川夏央(作家) 「本をつくる」仕事に従う人々を著者は仕事場に訪ね、インタビューした。「書体」製作者、製紙技術者、活版印刷屋、製本屋、校閲者、装幀家、本の版権を世界相手に売買をするエージェント、それに書き手である。 近代日本で木版から活版への転換は急速だった。その初期の一八 [全文を読む]

【書評】本を「一本の道」にたとえて道草の楽しみを説く

NEWSポストセブン / 2017年02月14日16時00分

【書評】『本を読む』/安野光雅・著/山川出版社/1800円+税 【評者】関川夏央(作家) 安野光雅は高名な画家だ。司馬遼太郎『街道をゆく』の挿画でも知られる。一九二六年、大正最後の年生まれの彼は兵隊にとられた最後の世代で、今年九十一歳。以前はヨーロッパを車で走り回っておられたが、免許は返納したという。そんな人が「本」をめぐるエッセイを書いた。 ただし安野さ [全文を読む]

【書評】「法治国家」であることを証明できない韓国の甘え

NEWSポストセブン / 2016年12月31日07時00分

作家の関川夏央氏は、韓国の混迷を読み解く書として『キャプテン・コリア』(荒山徹・著/光文社/1700円+税)を推す。関川氏が同書を解説する。 * * * 韓国の混迷は、他人事ながらひどい。大韓民国成立以来六十九年、十一人の大統領が誕生したが、全員「畳の上で」死ねなかった。 初代李承晩をはじめ七〇年代までの大統領たちが、亡命、クーデター、暗殺などで去ったのは [全文を読む]

【書評】1922年測量の地図と92年の衛星写真の情報で択捉へ

NEWSポストセブン / 2016年12月09日07時00分

【書評】『地図マニア 空想の旅』/今尾恵介・著/集英社インターナショナル/1300円+税 【書評】関川夏央(作家) 択捉島は全長二百キロ、神奈川県の三割増しという日本最大の離島である。その中部太平洋岸の天寧プレヴェストニク空港へ、著者は新千歳空港から小型機で飛んだ。択捉は人口過疎、天寧集落もロシア人世帯七軒、日本人世帯二軒があるばかりだ。集落が面した単冠湾 [全文を読む]

【書評】阿川弘之氏は短気と暴言だけの人ではなかった

NEWSポストセブン / 2016年10月05日16時00分

【書評】『強父論』/阿川佐和子・著/文藝春秋/1300円+税 【評者】関川夏央(作家) 「養われているかぎり子供に人権はないと思え。文句があるなら出ていけ。のたれ死のうが女郎屋に行こうが、俺の知ったこっちゃない」 こういう言葉を著者は父親から何度も投げつけられた。それも「歴史的仮名遣い」の感じで。 父親は作家の阿川弘之、『山本五十六』などの評伝でも知られる [全文を読む]

【書評】人の意見を聞き成長する超能力者が活躍する伝奇小説

NEWSポストセブン / 2016年08月12日07時00分

【書評】『キャプテン・コリア』荒山徹著/光文社/1700円+税 【評者】関川夏央(作家) 一九〇九年十月二十六日朝、安重根は満洲・哈爾浜(ハルビン)駅頭で伊藤博文を暗殺した。 百余年の歳月が流れた。彼を「義士」として称揚する韓国のために中国は、高さ三百メートルの安重根像を哈爾浜に建てた。国家主席はその竣工式の朝、巨大像の頭部で、哈爾浜市を安重根市と改称して [全文を読む]

【書評】無趣味で亭主関白だった父が認知症に……

NEWSポストセブン / 2016年06月18日16時00分

【書評】『父よ、ロング・グッドバイ 男の介護日誌』盛田隆二・著/双葉社/1400円+税 【評者】関川夏央(作家) まさに他人事ではない。盛田隆二が十八年間勤めた会社を辞めて作家専業となって間もない頃、わざわざ母が会いたいといってきた。そのとき六十代後半、看護師長から川越市の訪問看護ステーションの設立責任者になっていた母は、四十代前半の息子に、自分が遺伝性パ [全文を読む]

みなもと太郎「風雲児たち〜幕末編〜」最新単行本第27巻発刊のお知らせ

@Press / 2016年04月28日19時00分

ワイド版 1巻 推薦文なしワイド版 2巻 推薦文なしワイド版 3巻 タレント ラ・サール石井ワイド版 4巻 漫画家 平田弘史ワイド版 5巻 作家 夢枕貘ワイド版 6巻 マンガ・コラムニスト 夏目房之介ワイド版 7巻 作家 小松左京ワイド版 8巻 東京大学大学院教授(日本史専攻) 三谷博ワイド版 9巻 マンガ評論家 米澤嘉博ワイド版 10巻 作家 藤本由香里 [全文を読む]

【書評】自己都合と独善の夢を見続ける韓国には沈黙で報いよ

NEWSポストセブン / 2016年04月14日07時00分

【書評】『韓国はどこへ? その「国のかたち」の変質と行方』/黒田勝弘・著/海竜社/1500円+税 【評者】関川夏央(作家) 読みとおすのがつらい本である。それはこの本と著者の責任ではない。自己都合による「歴史歪曲」を「正しい歴史認識」「あるべき歴史観」として国民に植えつけ、日本に押しつける現代韓国のあり方の責任である。 その源には、韓国の「解放」「独立」が [全文を読む]

【書評】「死を銘記」した中年作家の悲しくも爽やかな再出発

NEWSポストセブン / 2016年02月13日16時00分

【書評】『メメント・モリ』原田宗典/新潮社/1500円+税 【評者】関川夏央(作家) 「メメント・モリ」は「死を銘記せよ」。人生の折り返し点を過ぎたと実感したとき心に響く。二〇一三年九月、原田宗典は渋谷区の路上で、「ただいまの時刻、十九時四十六分。覚醒剤および大麻の所持で貴方を逮捕します」と警察官にいわれた。イラン人の「売人」から買った直後だった。 「生ま [全文を読む]

【書評2015年の1冊】「景気上昇」よりはるかに重要な課題は

NEWSポストセブン / 2015年12月25日07時00分

【書評】『検証 日本の「失われた20年」日本はなぜ停滞から抜け出せなかったのか』船橋洋一・編著/東洋経済新報社/2800円+税 【評者】関川夏央(作家) 2015年はバブル崩壊と冷戦終了から25年、阪神大震災とオウムのサリン・テロからなら20年、「アベノミクス」にもかかわらず景気拡大の印象はなかった。 だが安くておいしい食べ物屋は満員、お昼から飲める居酒 [全文を読む]

【書評】注文はきつく男言葉で怒鳴る山崎豊子さんとの半世紀

NEWSポストセブン / 2015年11月09日07時00分

【書評】『山崎豊子先生の素顔』/野上孝子著/文藝春秋/1500円+税 【評者】関川夏央(作家) 大阪・船場の老舗昆布問屋「小倉屋山本」の娘・山崎豊子は一九四四(昭和十九)年、二十歳で京都女専(現京都女子大)を卒業すると毎日新聞大阪本社に入社、五七年、三十三歳で、実家の歴史をえがいた『暖簾』を発表した。五八年、吉本興業創業者・吉本せいの人生を『花のれん』で書 [全文を読む]

【書評】経済発展の動力であった人の多さを“敵視”したツケ

NEWSポストセブン / 2015年09月12日07時00分

【書評】『人口蒸発「5000万人 国家」日本の衝撃 人口問題民間臨調 調査・報告書』一般財団法人 日本再建イニシアティブ著/新潮社/1500円+税 【評者】関川夏央(作家) 日航機が墜落し、不倫ドラマ「金曜日の妻たちへ」が放映された一九八五年頃から、日本のTFR(合計特殊出生率=ひとりの女性が生涯に産む子供の数)は急速に低下した。しかし「バブル経済」に向か [全文を読む]

【書評】「年だから無理もない」がひょっとしたら…になったら

NEWSポストセブン / 2015年03月26日16時00分

【書評】『ボケてたまるか! 62歳記者認知症早期治療実体験ルポ』山本朋史著/朝日新聞出版/1200円+税 【評者】関川夏央(作家) 著者・山本朋史は「週刊朝日」の超ベテラン記者で六十二歳、司馬遼太郎『街道をゆく』の担当だった。定年になったが、一年ごとの契約で記者をつづけている。 人の名前が思い出せない。へんに怒りっぽくなった。加齢したんだから無理もないと考 [全文を読む]

キャラクターが無頼過ぎ!? 異色の“純文学作家“マンガ『響 ~小説家になる方法~』

おたぽる / 2015年03月03日21時30分

小説家が主人公として描かれるマンガというのはとても新鮮で、希薄な知識をひり出してみるも、思い出せるのは、夏目漱石や森鴎外らを描いた関川夏央氏と谷口ジロー氏の「『坊っちゃん』の時代」(双葉社)、あるいは、いしいひさいち氏の『女には向かない職業』(東京創元社)。つまり、あまり類似作品のないジャンルといえるだろう。 芥川賞・直木賞は、今でも受賞が大きく報道され [全文を読む]

SPコミックス『柳生秘帖 〜柳生十兵衛 風の抄〜』(画:谷口ジロー原作:古山寛)刊行のお知らせ

@Press / 2015年01月27日10時30分

著書に『「坊っちゃん」の時代』(原作:関川夏央)、『歩くひと』、『犬を飼う』、『父の暦』、『孤独のグルメ』(原作:久住昌之)、『イカル』(原作:メビウス)』、『遥かな町へ』、『神々の山嶺』(原作:夢枕獏)、『ふらり。』など。各国の画家とともに高級ブランド「カルティエ」のブックレットや「ルイ・ヴィトン」の『トラベルブック』コレクションにも作品を寄せている。 [全文を読む]

【書評】 介護文学の傑作であると同時に地方語文学の到達点

NEWSポストセブン / 2014年11月23日16時00分

【書評】『ペコロスの母の玉手箱』岡野雄一著/朝日新聞出版/1200円+税 【評者】関川夏央(作家) 「ペコロス」は小タマネギ。すっかりハゲてそっくりと著者・岡野雄一の、やや自嘲的な自称だ。「ペコロスの母」みつえは一九二三年生まれ、天草の農家の長女で、子守と牛の世話ばかりの少女時代を送った。戦争中、三菱造船勤めの青年に嫁いで長崎に住んだが、「よか人やったが、 [全文を読む]

インドネシア「9・30クーデター」の黒幕を解き明かした本

NEWSポストセブン / 2013年12月10日07時00分

【書評】『インドネシア9・30 クーデターの謎を解く』千野境子/草思社/2205円 【評者】関川夏央(作家) インドネシア「9・30クーデター」はスカルノ「終身大統領」末期の一九六五年に起きた。正確には十月一日未明である。だが約二十八時間で失敗、逃亡した軍とPKI(インドネシア共産党)の首謀者は逮捕または射殺された。その後、PKIや華僑を中心に、五十万人と [全文を読む]

朝日新聞の記者が実証的アプローチで北朝鮮の内実を描いた本

NEWSポストセブン / 2013年08月19日16時00分

【書評】『北朝鮮秘録 軍・経済・世襲権力の内幕』牧野愛博著/文春新書/872円 【評者】関川夏央(作家) 二〇〇八年八月、金正日は脳出血で倒れた。外国人医師団の手術で回復したものの、不摂生を重ねた体は多病であった。翌年から金正日は「安心して死ぬための準備」に入った。もっとも若く、もっとも粗暴な息子、金正恩を後継者に選んでの権力世襲である。「百発百中の射撃の [全文を読む]

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