抗血小板薬を使っている人が「出血」で注意すべきポイント
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月18日 9時26分
【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】
血をサラサラにするクスリのうち、「抗血小板薬」を使用している場合の一番の注意点は、「出血した場合に血が止まりにくくなっている」ということです。使っている人の中には、もしかしたら「ケガをしないように注意してください」という指導を受けたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、この指導は少し間違っていると思っています。ケガは基本的に突然予測できないところで発生するものだからです。そのため私は、①ケガの恐れのある作業をする場合は十分に注意すること②万が一、ケガをしたとしても慌てずにティッシュなどでしっかり圧迫すること……の2点を指導しています。
中には「血が止まらなくなる」と勘違いされている方もいらっしゃいますが、こういったクスリを使用していると血が止まらないのではなく「血が止まりにくくなっている」だけなので、しっかり圧迫していれば時間はかかりますがちゃんと止血できます。慌ててパニックを起こす方がよほど深刻なので、まずは慌てないということを覚えておきましょう。
もうひとつ、これは以前もお話ししましたが、他の病院や歯科を受診する際には、血をサラサラにするクスリを使用していることを必ず伝えてください。出血を伴う治療や検査がある場合にこういった情報が伝わっていないと、予想外の大出血につながってしまう可能性があるのです。意外と見落とされがちなのが歯科での抜歯なので、注意しましょう。
出血を伴う治療や検査を受ける場合、担当医から「○日前から抗血小板を休薬してください」という指示があると思いますので、それに従ってください。また、抗血小板薬再開の時期についても医師や歯科医師に確認しておくといいでしょう。
治療や検査に伴い抗血小板薬を休薬しなければならない場合、どのくらいの期間が必要となるのかも重要です。抗血小板薬は血小板に作用する薬です。クスリが血小板に作用した際、効果が可逆的なのか不可逆的なのかがポイントとなります。
可逆的とは、クスリが作用している間は効果を発揮して、クスリが体内からなくなると効果もなくなることを意味します。この場合、クスリの効果持続期間はクスリの性質に依存します。一方、不可逆的とは、クスリが体内からなくなっても効果が持続することを意味します。クスリの効果を受けている血小板が体内に存在する限り効果は続くため、効果持続期間は血小板の寿命(7~10日)に依存します。
こういった特徴から、可逆的な効果を持つ抗血小板薬の休薬期間は2~3日程度と短めになりますし、不可逆的な効果をもつ抗血小板薬の休薬期間は長くなります。
(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)
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