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「警察に結婚詐欺を訴えた」新宿タワマン殺人事件の犯人・実父が明かす“ストーカー中年”の怒り

週刊女性PRIME / 2024年5月14日 6時0分

和久井学容疑者(本人SNSより)

「助けて! 誰か助けて!」

 逃げる女性を中年男が執拗に追いかけ……。切迫した叫び声は約5分間続いた。

 5月8日午前3時10分ごろ、東京都新宿区西新宿の60階建てタワーマンション敷地内でのこと。声に気づいた複数の周辺住民から「女性が助けてと叫んでいる」「男が女性に一方的に暴力を振るっている」などと110番通報が相次いだ。警視庁新宿署の警察官が現場に駆けつけると、血を流して倒れている女性と、近くで刃渡り約10センチの果物ナイフを持った男を発見した。

 女性は意識不明の状態で病院に救急搬送。殺人未遂の現行犯で逮捕されたのが、その場で犯行を認めた川崎市川崎区の和久井学容疑者(51)だ。

「騒ぎにいち早く気づいた住人によると、小柄な女性が心臓マッサージを受け、返り血を浴びた男がパトカーで連行されていったそうです。現場には女性が履いていたとみられる厚底サンダルが残されていました。私はぐっすり眠っていましたが、パトカーなどのけたたましいサイレンで飛び起きてしまいました」(マンションの住人)

 女性は腹部や首付近などをナイフで突き刺されるなど傷口は数十か所にのぼり、約1時間後に搬送先の病院で死亡が確認された。新宿署は容疑を殺人に切り替えて詳しい経緯などを調べている。

ガールズバーの常連客だった容疑者

「日付が変わる前からマンション近くに軽自動車を止めて待ち伏せし、女性がコンビニに行くため外出したタイミングを狙ったとみられる。果物ナイフを2本用意していて、1本は犯行で刃こぼれしたため2本目も使っていた」(全国紙社会部記者)

 亡くなったのは、このマンションに住む無職・平沢俊乃さん(25)。都内でかつてガールズバーを経営し、和久井容疑者は店の客だった。

 和久井容疑者は警察の取り調べに対し、

「身体を傷だらけにしてやろうと思って刺した」

 などと供述。

 犯行時には「金返せ!」「俺はストーカーじゃねえぞ!」などと叫んで女性を蹴飛ばすこともあったという。

 地元・川崎市の出身。高校卒業後、自動車の修理工や運送・配達業を転々としながら、一戸建ての実家で両親と暮らしていた。

 自宅玄関口で取材に応じた容疑者の父親は、平沢さんとのトラブルについて「そもそもは3〜4年前の秋ごろ始まった」と打ち明ける。

結婚する気があるならお金を持ってきて

「息子が、長年愛用してきたバイクと車を売ることを決めた。“近いうちに家を出る”と言うので理由を尋ねると、“結婚するかもしれないから”って。交際中の女性から“本気で結婚する気があるならお金を持ってきて”と言われ売却に踏み切ったらしい。家に連れてきたこともない女性だし、そんな話はおかしいよと口を出したが、聞かなかった。息子は30代半ばのころ、同年配の子持ちの女性と結婚し、5年で離婚している。原因は性格の不一致だった。今度の相手はずっと年下で“かわいくて、やさしくて、おとなしくて、いい子だよ”とかばう。2度目の結婚につながればよかったんだけど、心配は的中した……」(和久井容疑者の父親、以下同)

 愛車のスポーツカー『アキュラNSX』はマニア垂涎の希少車で、中古販売価格で1400万円の値がつくことも。同じく希少モデルのバイク『ホンダNR』は中古市場にもめったに出ず、買い取り額は新車価格520万円を上回るケースが目立つ。容疑者は2021年末にいずれも売却している。

車とバイクを売却して得た1000万円以上の金を渡した途端、女性とケンカになり、冷たくされるようになって別れ話になったという。それまでは女性のほうから“店に来て”などと連絡があったのに、連絡が取れなくなった。最初から金目的だったんじゃないかと話したら、息子は“いや、いい子だから”と認めなかった。結婚を前提に、息子は十何年も大事に乗っていた車やバイクを売って金を工面したわけだから、別れるならば金を返してもらおうとしたらストーカー呼ばわりされたんだ

 平沢さんは2021年12月、和久井容疑者について「しつこく言い寄られ自宅前で待ち伏せされた」などと警察に相談。容疑者は口頭注意を受けてもつきまといを繰り返し、翌2022年5月にストーカー規制法違反容疑で逮捕された

被疑者とのきっかけは人気ガールズグループ

 前出の記者によると、起訴猶予処分で釈放されたが、昨年6月まで接近禁止命令が出ていた。その後はつきまといなどは確認されず、平沢さん側からも相談はなかったため落ち着いたかのようだった。

 和久井容疑者は逮捕後の取り調べに「1000万円以上渡しており、金を返してもらうつもりだった」などと話している。金は貸したのか、それとも店で使ったのか。

「息子は貸したと言っている。店で飲み食いした費用を返せと言っているわけではない」

 それにしても年の差がありすぎる。平沢さんと親密になったのは、韓国の人気ガールズグループ『TWICE』の“推し活”がきっかけだったという。

「ファンクラブの集まりを通じて知り合い、彼女に会うために働いているガールズバーに行くようになった。息子は酒が弱く、今も500ミリリットルの缶ビール1本が限界。彼女がいなければそういう店には行かない。別れたあとは恋愛感情は冷め、結婚詐欺で訴えようとしたが警察に取り合ってもらえなかった

 貯金はなく、車もバイクも売り、配達などの仕事で使う軽自動車だけが残った。

「休日にドライブやツーリングはできなくなり、やることがないから一日中自宅にいた。小学生のころから乗り物が好きでね。“レーサーになりたい”と夢を持っていたので、子ども用のゴーカートを買ってあげ、休みにはそのゴーカートをバンに積んでミニサーキットに連れて行った。腕はよかったんだ」

 車とバイクは、半生を伴走してきた存在だった。

愛車の売却時につぶやいた“愛の言葉”

 車の売却時はSNSで、

《20年9ヶ月乗ったNSXを手放しました。今までありがとう、新しいオーナーさんに大事にしてもらうんだよ》

 などと綴り、引き取り業者の運転する愛車の姿を見るため、こっそりと後をつけたことを明かした。

 バイクも同様で、

《16年間大事にしてきたNRの嫁ぎ先が決まりました。次のオーナーさんも良い人だからきっと大事にしてくれるからね。元気でね》と投稿。

 パーキングエリアでモータージャーナリストから取材を受け、「一般道を走っているのを初めて見た」と言われるなど自尊心をくすぐられてきた。マニアから車もバイクもよく写真を撮られたという。

 犯行の前日、容疑者はいつものように「行ってくるよ」と声をかけ、父親は「おう」と答えたのが最後になった。

 交際の事実関係をはじめ、容疑者がどこまで父親に真実を話しているか疑問は残る。もちろん凶行の言い訳にはならない。

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