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最もホットな相場テーマの1つ「宇宙ベンチャー」関連って有望なの?

MONEYPLUS / 2024年5月19日 7時30分

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最もホットな相場テーマの1つ「宇宙ベンチャー」関連って有望なの?

2024年1月から新NISA(少額投資非課税制度)がスタートしたこともあり、株式投資に関心を持つ人が増えています。定期的にきまった額を投資する積立投資によって、着実に資産を増やそうと考える投資家が増えたことは、株式相場にとってもプラスです。

そんな“着実に資産を増やす”という目的とは別に、一気に資産を増やす可能性があるのも、株式投資の魅力の1つ。多くの人々が注目する相場のテーマに乗った銘柄には、比較的短い時間で資産を数倍にできる「夢」があります。今回は、いま最もホットな相場テーマの1つとされる「宇宙関連」について触れましょう。


株式投資の「夢を買う」魅力

「夢を買う」。株式投資において、資産急拡大の期待がある銘柄を買う時に、よく用いられる言葉です。数多くある相場テーマの中でも、企業の業績拡大に直結するような銘柄を買う場合は、「夢を買う」には当たらないでしょう。夢を買う投資とは、まだ海のものとも山のものともわからないものの、将来的には企業の業容を一変させるようなテーマを狙って買うこと。これが中心になります。

データセンターをてがけるさくらインターネット(証券コード:3778)の例を見てみましょう。データセンターとは、企業のインターネットのネットワークを構築するための設備。サーバーや通信用の機器などがビル1棟などにまとめられています。近年はクラウドやビッグデータの普及など、企業のネットワーク整備の必要性を背景に需要が拡大していました。さらに、ここ1、2年で膨大なデータを扱う「生成AI」ブームが到来。データセンターの需要はうなぎのぼりです。

これを背景に、株式市場では「データセンター」が注目の相場テーマに急浮上。データセンターを主力事業に掲げている同銘柄は爆発的な人気を集め、株価は年初の2100円台から3月7日には1万980円の高値を記録します。もし、年初に1単位(約21万円)を購入していたら、わずか2カ月ほどで110万円になっていました。10単位なら、210万円が1100万円です。

「そんな銘柄、危なっかしくて買えっこない」と思う方もいるでしょう。というのも、株式投資のリスクとリターンは表裏一体。理論上、「株価が2倍に上がる期待がある」ということは、「株価が2分の1になるリスクがある」ということだからです。ただ、さくらインターネットに関しては、株価が急上昇していた期間が2カ月と比較的長かったため、株価の急騰が始まってから1カ月後に参戦し、急落が始まった後に売ったとしても、資産は1カ月で2倍程度にはなったはずです。

ちなみに、さくらインターネットの株価は3月7日に1万980円の高値を付けた後に急落し、1カ月後の4月4日には4240円まで値下がりしました。もっとも、データセンターはこれからも引き合いが強い情勢が続きます。同銘柄は折に触れて株価が“乱高下”する公算が大きいと思われるため、売買のタイミングによっては資産を大きく増やせるでしょう。ただし、繰り返しになりますが、これは「売買のタイミング次第では大損する」リスクがあるということです。

相場テーマは、将来性が大きければ大きいほど、またそのテーマに関連した銘柄への投資が早ければ早いほど、株価が大化けする夢が広がります。「早ければ早いほど」である理由は、そのテーマによる株価の上昇ステージの序盤に投資することで、その後の株価上昇の恩恵を大きく受けられるからです。

衛星ビジネスは「夢」ではなく実需の話

そのステージの序盤“かもしれない”テーマの1つに「宇宙ビジネス」があります。2024年2月17日、2023年3月には打ち上げに失敗した日本の主力ロケット「H3」の打ち上げが成功し、前回のリベンジを果たしたことは主要ニュースとして取り上げられていたので、この打ち上げに関するニュースを目にされた方は少なくないでしょう。

現在、宇宙ビジネスでは米国と中国を先頭グループとして、各国がしのぎを削っている状況です。米国のSIA(衛星産業協会)によると、2021年の宇宙産業の市場規模は前年比4.9%増の4690億ドル(2021年時点のドル/円相場換算で53兆円程度)。2017年の外資系証券会社のレポートでは、同ビジネスは2040年までに100兆円規模になると試算されていましたが、現在はさらに予測数字が増えているかもしれません。

とはいえ、日本の宇宙ビジネス市場の規模は、2018年時点で1兆2000億円程度と小さいのが現状。また、宇宙ビジネスと一口にいっても、人工衛星を活用した「衛星サービス」、衛星の製造、衛星の打ち上げに必要なインフラ整備、衛星情報の送受信に関する部品や機器などさまざま。この中で、株式市場においていまホットなのが、商用有人飛行などの「非・衛星サービス」です。

実は、「衛星サービス」に関しては、三菱重工やNECなどの有名企業を筆頭に、人工衛星に関連する部品や素材などを手掛ける企業が少なからず存在します。また、スカパーJSATホールディングスのように、衛星ビジネスを展開している企業もありますが、今のところ、これらの「衛星関連ビジネス」に、株価を大化けさせるようなエネルギー(夢)はありません。というのも、衛星ビジネスはすでに実需のビジネスとして成立しているため。どの程度業績に貢献するかを予測することが可能な分野だからです。もちろん、今後の衛星ビジネス業界の動向や政府の関わり方によっては、大きく飛躍する日本企業が出てくる可能性はあります。しかし、それはあくまで実需ベースのお話であり、「夢」ではありません。

2022年12月、民間では世界初となる月面着陸を目指し、スタートアップ企業ispace(アイスペース)の月面着陸船が打ち上げられました。結局、月面着陸の挑戦は失敗に終わりましたが、このニュースは株式市場でも話題になりました。それは、このispace社が、着陸へのトライの直前である4月12日に東証グロース市場に上場を果たしたからです。同銘柄の株価は、公開価格254円に対し、1週間で2373円まで買われました。

しかし、その月面着陸が失敗に終わったことで株価も急落。2024年の4月5日には705円まで値を下げました。ただ、同社は年内に2回目の打ち上げを実施する計画です。ここで着陸成功となれば、株価は再び噴き上がる可能性が高いでしょう。それ以前に、株価が動意付くかもしれません。「着陸が成功することで同社の業績が将来的にこうなる」といった憶測は二の次で、ひとまずは着陸の成否のみが焦点になりそうです。

「宇宙開発元年」はもう少し先か

現在、ispaceのような、いわゆる「宇宙ベンチャー」と呼ばれる企業は、ほかに小型衛星の開発・製造を手掛けるQPS研究所しかありません。ただ、スペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去ビジネスを手掛けるアストロスケール社が早ければ6月頃に上場予定とされるほか、ホリエモン(堀江貴文)氏が出資したロケット開発ベンチャー、インターステラテクノロジズが上場準備のための経理担当者を募集するなど、今後は後続組が続々と現れる可能性があります。

ホリエモン氏は「宇宙ビジネスは、僕の中では完全にビジネス」と発言していますが、株式投資という観点では、まだぼんやりとした夢に過ぎません。ispaceが月面着陸に挑んだ2023年、あるいは2024年を日本の「宇宙開発元年」などと銘打つメディアは見受けられますが、株式市場においては、有望な対象銘柄が少ないため、そう銘打つには時期尚早のように思われます。もっとも、今後数年のうちに、宇宙ベンチャーの数が増えて、それに関連するビジネスが次々と立ち上がる時期が訪れるはず。その時こそ「宇宙開発元年」と銘打つべきでしょう。

現状、「宇宙ベンチャー関連株」の数があまりにも少なく、些細なきっかけで株価が乱高下するケースが見られます。そのため、「投資」ではなく「投機」的な色が濃く、ハイリスクといわざるを得ません。現在は、宇宙開発に関する「夢」が、もう少しはっきり見えてくるまでの準備段階といえるでしょう。宇宙ベンチャーのIPO(株式の新規公開)が出た時に応募するか、あるいは材料が不足して株価が右肩下がりとなっている時の打診買い(試しに買ってみること)が現実的な投資戦略になりそうです。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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(新井奈央)

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