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「生きた証しを残せた」 24歳で急逝した息子の短歌255首を歌集に タイトルは「残光」

沖縄タイムス+プラス / 2024年5月19日 11時29分

発刊された歌集「残光」

 沖縄県読谷村瀬名波の新城研雄(けんゆう)さん(75)、初枝さん(75)夫妻はこのほど、2006年1月に24歳で急逝した息子、研瞬(けんしゅん)さんの歌集「残光」を発刊した。4月20日には同村文化センター中ホールに新城さん夫妻や研瞬さんの知人友人ら80人が集い、発刊を祝いながら故人をしのんで思い出を語りあった。(翁長良勝通信員)

 新城さん夫妻の趣味は短歌を詠むこと。若い頃から倫理研究所の「しきなみ短歌会」会員で地域や学校で短歌の指導をしている。その影響を受けた研瞬さんも同会の青少年が参加する会に所属して、中学時代から短歌作りに励み着実に力を付けていった。

 地元新聞社の歌壇の投稿の常連で、沖縄タイムスの歌壇で「天賞」に輝いた実績がある。高校を卒業し、大阪芸術大学に合格。将来、沖縄を背負う歌人に成長する期待を一身に受けたが、大学に通うことなく急逝した。

 打ちひしがれていた夫妻が落ち着きを取り戻した頃、知人友人らから「研瞬が生きていた証しを残そう」と歌集発刊を求める声が相次いだ。その声に背中を押され、新城さん夫妻は研瞬さんが詠んだ255首の整理を始めた。

 「蛇行する満員モノレールの箱の中もやしのごとく人らは傾(かし)ぐ」

 (06年4月タイムス歌壇天賞受賞作)

 歌集には、研瞬さんの中学、高校時代の友人らがメッセージを寄せた。表紙の絵は研瞬さんが描いたものを掲載、題字は書家でもある初枝さんが揮毫(きごう)した。

 新城さん夫妻が研瞬さんを詠んだ歌も収録した。

 「四キロを減量すれば穿けるかと今も取り置く亡き子のズボン」(研雄さん)

 「封印を解かれしごとく三年忌すぎて亡き息子(こ)の歌あふれ出ず」(初枝さん)

 研雄さんは歌集のあとがきに「短い命ではあったが、息子の生きた証しとしての短歌を埋もれさせるに忍びず念願の歌集に残せたことを息子も喜んでいると思います」とつづった。

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