【NBA Rakuten解説者インタビュー】青木康平さん「ニコラ・ヨキッチは試合の展開を読む力が尋常じゃない」
NBA Rakuten / 2024年5月15日 12時0分
現在はバスケスクール「WATCH&Cアカデミー」の代表を務める
11年にわたってbjリーグで活躍し、現在はバスケスクール「WATCH&Cアカデミー」の代表を務める青木康平さんが、5月14日(火)に「NBA Rakuten」で配信したオクラホマシティ・サンダー対ダラス・マーベリックス戦で解説を務めた。現役時代はコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)の父ジョーの指導を受け、現在は後進の育成に尽力する青木さんに、解説の感想やジョーとの思い出などについて聞いた。※インタビューは解説後に実施。
ヨキッチは一緒にバスケできたら楽しそう
――本日はお疲れ様でした。NBAの解説は久々という事でしたがいかがでしたか?
青木:めちゃめちゃ緊張しました。この2日くらいで2チームの試合をしっかり見返したんですけどね……。普段はデンバー・ナゲッツとボストン・セルティックスが好きなのでよく見ています。
――ナゲッツとセルティックスが好きな理由は?
青木:ナゲッツのニコラ・ヨキッチを見るのが大好きなんです。もし自分が現役の時に一緒にバスケできたら楽しそうだなって思いますね。セルティックスは昔からハードワーカーがいる印象があって好きなんです。
――青木さんはNBA Rakutenの解説でもお馴染みの佐々木クリスさんと親交が深いです。
青木:今回の解説に向けて、めっちゃアドバイスもらいましたよ。クリスが自分のYouTubeでマーベリックスについて話しているエピソードがあるからって、そのリンクを2つくらい送ってもらいました。
――今日のサンダーとマーベリックスの戦いぶりはいかがでした?
青木:ルカ・ドンチッチは半端ないです。ただ終盤はファウルを気にしてアグレッシブに行けなかった印象がありました。一方でサンダーはシェイ・ギルジャス・アレクサンダーが凄かった。若さから来るエネルギーがあって、チームをずっと牽引していたなと。この試合ではなかなか点差が縮まらなかったなか、1人で繋いでいたのはさすがでした。
シェイはフットワークが素晴らしい。簡単に抜いているように見えますが、そこに彼の凄さがある。これはドンチッチにも共通していますが、そういうフットワークや身のこなしってプレイヤーにとって本当大事ですから。
ニックスは凄い魂を感じるゲームを展開している
――NBAプレイオフもカンファレンス準決勝です。ここまでの印象はいかがですか?
青木:僕の希望はナゲッツ対セルティックスのNBAファイナルなんです。ナゲッツはウルブズに対して2連敗スタートでしたけど、イーブンに持ち込みました。このまま勝ち切るんじゃないかっていう雰囲気がありますね。
――ナゲッツが2連敗から盛り返せた要因は?
青木:とにかくヨキッチですね。試合の展開を読む力が尋常じゃない。ミスマッチがどこにあるとか、どこに穴があって誰がどうなどというのを完全に把握している印象です。絶妙なタイミングでいろいろ指示も出しているし、もうチートっていう感じですよね。
――イーストはいかがでしょうか?
青木:セルティックスに勝ち上がってほしい一方で、ニックス対ペイサーズも気になります。大都市のチームということもあって、もしニックスが勝ち上がったら面白くなるんじゃないかな。ジェイレン・ブランソンを中心に、凄い魂を感じるゲームを展開していますしね。
ジョーは愛にあふれた人
――青木さんの現役時代の話も聞かせてください。プロになって初めてのコーチがコービー・ブライアントの父ジョーでした。彼はどんな人物でしたか?
青木:愛にあふれた人です。今でも誕生日や子どものことでメッセージを送ってくれるんです。そういうのがずっと途切れないんですよね。
自分は167㎝ですがスコアするのが好きだったんです。コーチに初めて会った時にも自分はそういうスタイルでプレイするのが好きで、ポイントガードという枠にはまりたくないっていう話をしました。そしたら彼は、「青木康平のプレイをしてくれ」って言ってくれて。ジョーを含めアメリカ人コーチはとても合理的で、愛にあふれている人が多かったですね。
――そういう方だったんですね。そして今NBAでは、八村塁選手がロサンゼルス・レイカーズで活躍しています。彼の活躍をどう見ていますか?
青木:僕たちの世代的には、あのレイカーズに日本人がいるっていう凄さがあります。しかもレブロン・ジェームズと一緒にプレイしてるっていう。彼しか経験できていないところで、何を学んでいるんだろうというのはとても興味深いです。
――もう1人の日本人選手である渡邊雄太選手は、来季から活躍の場を日本に移します。
青木:最初会ったのはNTCで、彼が高校生で代表入りした時。まだ坊主だったかな? むっちゃ細かったです。その後渡米して向こうの大学に行って、徐々に体格も良くなっていきましたね。
今の日本だと、プロキャリアが終わると生活が苦しいという人もいます。せっかくプロでやってきた経験があるのに、それを生かせる土壌がない。今回の渡邊選手が日本に復帰することで、そういった部分への影響もあるかもしれないと期待しています。そうすれば、日本のプロバスケットボール界は成長していけるはずです。
派手なプレイの裏側ではとても努力している
――ちなみに、冒頭でヨキッチとチームメイトになってみたいって話があったと思うんですが、自分がガードとしてヨキッチをコントロールしてみたいということですか?
青木:いや、彼がコントロールするチームに入ってみたいということです。これまで話に出してきたジョーも、ヨキッチみたいな動きをするんです。当時練習でハーフの5対5とかやっていると彼が入ってきて、いつもチームメイトになっていました。彼は膝が悪かったからそんなに動けないんですけど、とにかくバスケIQがむちゃくちゃ高い。アイコンタクトや身体の動きでこちらに意図を知らせてくる感じが、ヨキッチと本当そっくりなんです。
――そして今では若い世代を育成する立場になられたわけですが、そのなかでNBAを参考にすることはありますか?
青木:子どもたちは派手なハイライトとかを見るんですけど、そういうプレイはゲームの一部でしかない。なので、NBA選手のエピソードなどを伝えながらもっと大切なことがあるよねっていう話はします。こんな派手な世界でも、裏側ではとても努力しているんだよということですね。
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