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トランスジェンダー団体が反対派女性を「過激派」扱い ドイツ性別変更法成立でバトルに

産経ニュース / 2024年5月9日 11時45分

ドイツで4月、トランスジェンダーの人たちが自己申告で性別変更できるようにする「自己決定法案」が連邦議会で可決成立した。トランスジェンダー団体は大きな勝利だとして沸く一方、法案に反対したフェミニストたちを「過激派」と喧伝するパンフレットを配布。反発した女性団体が、政府に抗議する騒ぎになっている。

性別変更にはこれまで、精神科の診断など煩雑な手続きが必要だった。新法が11月に施行されると、本人が役所に申請して3カ月で変更できるようになる。法案を主導した連立政権の第2与党、緑の党のパウス家族相は「人間の尊厳を守る法案です」と高らかに宣言した。

法案は、変更前の性別を暴くことを禁じている。このため、女性団体の一部は「女性の社会進出を促す『クオータ制』が悪用されるのでは」「男性の身体で女性トイレを使う人がいると、利用者が脅かされる」として反対してきた。

パンフレットは、こうした反対派の女性たちを「トランス排除の過激派フェミニスト(TERF)」と位置付ける内容。トランスジェンダー団体「連邦トランス協会」が新法成立に合わせて作成した。28ページの冊子で、「TERFとは何者か」が表題。「右翼の保守派」「西欧の白人思想」に傾倒して差別を助長していると批判的に説明した。TERFはTransーexclusionary radical feministの略語で、米国から広がった。

リベラル派、また裂きに

女性団体は反発し、パウス家族相にあてた公開書簡を発表した。TERFは「女性に対する攻撃を正当化する侮蔑表現」だとして、トランス協会に対する政府補助金の打ち切りを要求した。インターネット上の署名運動も始めた。

パウス氏はもともと女性の権利運動に熱心で、人工妊娠中絶などで自己決定権の推進を主張してきた。このため、「身内」だったはずの女性団体から突き上げられる形になった。政府はトランス協会に対し、民主主義促進事業の枠組みで補助金を支給している。

女性やLGBTなどマイノリティー(社会的少数派)の権利を進める団体は、ともに左派政党の支持基盤だったが、自己決定法は左派リベラルの分断を招いた。独紙ウェルトによると、政府報道官は「パンフレットには多くの支持もある」として、補助金打ち切り要求には応じていない。現政権はショルツ首相の中道左派与党、社会民主党(SPD)が主導する。

ドイツ政府によると、欧州ではベルギーやデンマーク、フィンランド、スペインなどが、ドイツと同様の自己決定法を施行している。(三井美奈)

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