NY市場サマリー(2日)
ロイター / 2020年3月3日 7時51分
[2日 ロイター] - <為替> ドルが主要通貨に対して6週間ぶり水準に下落した。市場では、米連邦準備理事会(FRB)が新型コロナウイルスの影響に対処するため緩和策に踏み切るとの観測が高まっている。
主要6通貨に対するドル指数<=USD>は0.53%安の97.448.一時は1月16日以来の97.176まで下げた。
FRBのパウエル議長は先週2月28日、米経済は引き続き底堅いものの、新型ウイルスの感染拡大が経済へのリスクになっており、景気の下支えに向けFRBとして適切に対応すると表明した。[nL4N2AV4MN]
市場ではこの発言が今月17─18日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを示唆したもので、各国中銀が同様の措置を取る後押しになると受け止められた。金融市場では、今月のFOMCで0.5%の利下げを行う確率が完全に織り込まている。[nL4N2AV4GC]
ウエスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ジョー・マニンボ氏は「ドルにネガティブなのは、FRBが他の中銀より衝撃に対する対応の余地が大きいことだ」と述べた。
この日の指標では、米供給管理協会(ISM)が公表した2月の製造業景気指数が50.1と、前月の50.9から低下し、ロイターがまとめたエコノミスト予想の50.5も下回った。新型コロナウイルスの急速な感染拡大に伴う供給網の混乱に関する懸念を反映した。[nL4N2AV4NV]
新型ウイルスによる世界経済への影響を受け、世界の金融当局の協調対応に期待が高まっているが、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は現行マイナス0.5%からの金利引き下げには否定的な見解を示している。
ユーロは対ドルで1.13%高。
円は対ドルで0.1%高。日銀の黒田東彦総裁は2日に談話を発表し、「最近の内外金融資本市場では、新型コロナウイルス感染拡大により、経済の先行きに対する不透明感が強まるもとで、不安定な動きが続いている」と指摘。その上で、日銀として「今後の動向を注視しつつ、適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく方針である」とした。
<債券> 国債利回りが低下。新型コロナウイルスへの対策として米連邦準備理事会(FRB)など各国の中央銀行が金融緩和に乗り出すとの期待が後押しした。
2年債利回りは約4年ぶりの水準に低下。FRBによる利下げが織り込まれる中、長短金利差は拡大した。中銀の政策対応を巡っては、FRB、日銀、英中銀がそろって対策を講じる用意を表明した。
CMEグループのFEDウオッチによると、短期金利先物はFRBが3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利下げを行う確率を完全に織り込んだほか、7月までにさらに0.5%の利下げを見込んでいる。[nL4N2AV4GC]
この日はダウ平均株価<.DJI>が引けにかけて1200ドル以上値上がりしたが、BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の米金利戦略部長、イアン・リンゲン氏は「リスク資産に対する不安は根強く、国債への質への逃避の流れが継続している」と指摘した。
10年債利回り
30年債利回り
2年債利回り
2年債と10年債の利回り格差
<株式> 米国株式市場は大幅上昇して取引を終えた。前週の株価急落を受け、安値拾いの買いが入った。主要中銀が新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響に対応する用意があると表明したことで、安心感が広がった。
主要株価3指数は取引終了の数分前に上げ幅を拡大。ダウ工業株30種<.DJI>は5%超、S&P総合500種<.SPX>とナスダック総合<.IXIC>は4%超、それぞれ値上がりした。上昇率はダウが2009年以来の大きさ。S&Pとナスダックは18年12月以来の大きさとなった。
前週には新型ウイルス流行による経済への影響を巡る懸念から、週間で08年の金融危機以来の大幅な下げを記録し、27日には調整局面入りしていた。
S&Pは2月19日に付けた終値ベースでの最高値を依然として8.7%下回っている。
この日はアップル
日銀が2日発表した黒田東彦総裁の談話によると、同総裁は、日銀として「今後の動向を注視しつつ、適切な金融市場調節や資産買い入れの実施を通じて、潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく方針」を示した。[nT9N2AQ00K]
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も前週28日、声明を発表し、米経済は引き続き底堅いものの、新型コロナウイルスの感染拡大が経済へのリスクになっており、景気の下支えに向けFRBとして適切に対応すると表明した。[nL3N2AS592]
クレセット・ウエルス・アドバイザーズのジャック・アブリン最高投資責任者(CIO)は「景気悪化は気にしなくていいが、企業の債務返済能力に影響が波及し始めた場合、問題は深刻化する」と指摘。その上で「しかし、中銀は景気先行き不透明感からクレジット市場を守る方策を模索するため協調しているようだ」と語った。
CMEグループのFEDウオッチによると、短期金利先物はFRBが3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利下げを行う確率を完全に織り込んでいる。[nL4N2AV4GC]
米取引所の合算出来高は140億株と、直近20営業日の平均95億株を大幅に上回り、大商いとなった。
S&Pの情報技術セクター<.SPLRCT>は5.7%高と2018年12月以来最大の上昇率を記録した。
チャールズ・シュワブのトレーディング・デリバティブ担当バイスプレジデント、ランディー・フレデリック氏は「FRBは好きなだけ利下げすることが可能だが、検疫を受けている工場の従業員を職場に復帰させることはできない」と指摘。「(金融政策が)問題を解決するとは思わない。これは特に需要と供給の問題で、金融政策は支援にはなるものの、問題解決にはつながらないだろう」と語った。
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ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を4.32対1の比率で上回った。ナスダックでは2.69対1で値上がり銘柄数が多かった。
<金先物> 米追加利下げ期待が強まる中で買われ、5日ぶりに反発した。
中心限月4月物の 清算値は前週末比28.10ドル(1.79%)高の1オンス=1594.80ドル。
FRBのパウエル議長は前週末、新型コロナウイルスの感染拡大を懸念した市場の混乱を受けて緊急声明を発表し、「景気を下支えするために適切に 行動する」と表明した。これを受けて、FRBの利下げ観測が広がり、金利を生まない資 産である金に買いが入った。また、前週末に1カ月ぶりの安値水準となったことで持ち高調整や安値拾いの買いも入りやすかった。
外国為替市場では対ユーロでドル安が進行。ドル建てで取引される金塊などの商品に割 安感が生じたことも追い風になった。
金塊現物相場は午後1時40分現在、16.285ドル高の1592.030ドル。
<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)主導による追加減産期待や米利下げ観測などを背景 に買い戻しが活発化し、7営業日ぶりに反発した。
米国産標準油種WTI4月物の清算値 は前週末比1.99ドル(4.45%)高の1バレル=46.75ドル。5月物の清算値 は1.98ドル高の46.92ドル。
先週は、中国以外での新型コロナウイルスの感染拡大を受けて投資家心理が急速に悪化してリスク資産が売り込まれ、ダウ工業株30種平均の週間の下げ幅は過去最大を記録、 原油相場は1年2カ月ぶりの安値となっていた。
ただ、週末から原油の買い戻しが活発化。OPECとロシアなど非加盟産油国が5、6両日にウィーンで開く会合で、最近の原油価格の急落に歯止めをかけるため、減産拡大で合意するとの期待が相場を押し上げ、この日は一時47.30ドルまで上昇した。
FRBのパウエル議長が28日に緊急声明を出して利下げを示唆し、米株価が値を持ち直していることも原油買いを後押しした。
ドル/円 NY終値 108.30/108.33
始値 107.55
高値 108.46
安値 107.41
ユーロ/ドル NY終値 1.1132/1.1136
始値 1.1117
高値 1.1185
安値 1.1101
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 106*28.00 1.7059%
前営業日終値 107*26.00 1.6680%
10年債(指標銘柄) 17時05分 103*08.50 1.1518%
前営業日終値 103*16.50 1.1260%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*30.25 0.9308%
前営業日終値 101*01.25 0.9120%
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*14.50 0.8950%
前営業日終値 100*15.63 0.8780%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 26703.32 +1,293.96 +5.09 <.DJI>
前営業日終値 25409.36
ナスダック総合 8952.17 +384.80 +4.49 <.IXIC>
前営業日終値 8567.37
S&P総合500種 3090.23 +136.01 +4.60 <.SPX>
前営業日終値 2954.22
COMEX金 4月限 1594.8 +28.1
前営業日終値 1566.7
COMEX銀 5月限 1673.9 +28.2
前営業日終値 1645.7
北海ブレント 5月限 51.90 +2.23
前営業日終値 49.67
米WTI先物 4月限 46.75 +1.99
前営業日終値 44.76
CRB商品指数 163.4973 +4.0514 <.TRCCRB>
前営業日終値 159.4459
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