野村HD、2030年度の税前利益5000億円超目標 23年度比約1.8倍
ロイター / 2024年5月14日 16時10分
5月14日、野村ホールディングスは、投資家向けIRイベントを開き、2031年3月期に5000億円超の税前利益を目指す方針を明らかにした。写真は都内で2015年12月撮影(2024年 ロイター/Toru Hanai)
Miho Uranaka
[東京 14日 ロイター] - 野村ホールディングス <8604.T>は14日、投資家向けIRイベントで2031年3月期に5000億円超の税前利益を目指す方針を明らかにした。主力3部門のウェルス・マネジメント、インベストメント・マネジメント、ホールセールの伸長に加えて、バンキングなど新たに強化するビジネスで、24年3月期から約1.8倍に伸ばしたい考え。
31年3月期の自己資本利益率(ROE)目標は8―10%超とした。これまで掲げてきた25年3月期目標の8―10%は維持した。24年3月期末の実績は5.1%で、目標値から乖離している。特にホールセールは、税前ROEが3%未満だった。
奥田健太郎グループCEO(最高経営責任者)は「戦略キーワードはセルフファンディング」と説明。ビジネスごとのROEを意識して事業運営することで、財務規律を働かせつつ、自律的な成長を実現する。25年3月期の目標は十分達成できる範囲と述べた。
資本をあまり使わない資産管理や運用などのビジネスについては着実な拡大を図る一方で、ホールセールなどの資本が必要とされるビジネスについては、セルフファンディングに取り組む。事業拡大や新規ビジネスなどは、部門内の財務資源の再配分により実施する。これにより生み出される余力をインベストメント・マネジメントやバンキングのビジネスに生かす。
ホールセール部門は特にボラティリティーの高いグローバルマーケッツで商品構成を多様化しリスクも低減する。資本の消費が少ない海外富裕層ビジネス、アドバイザリー、スプレッドプロダクト、エクイティなどに注力する。
2030年に向けた経営ビジョンの中では、新たに強化する分野として、バンキングビジネスを挙げた。奥田CEOは「富裕層ビジネスで、銀行機能を有するのは大変重要」との認識を示し、主要3部門に加えて、第4の部門とすることも視野にグループ内の連携を強めるという。
国内のプラットフォーム戦略の構想も打ち出し、野村からプラットフォームを提供し、システムで課金する仕組みを構築する。証券業やアセットマネジメント業では、ミドル・バックオフィスの業務を自社で抱えることが大きな負担となっている。グループで保有するインフラ機能を他社でも活用できるようにし、金融立国を目指す日本で、貢献できるような体制を整えるとした。
ウェルス・マネジメント部門は、これまで戦略的に取り組んできた資産管理ビジネスを通じて成長を目指し、顧客基盤の拡大を図るという。30年度末のストック資産残高を前期末の23兆円から35兆円まで伸ばす。
インベストメント・マネジメント部門では、オルタナティブ中心に伸ばすことに加えてインオーガニック(提携や買収など)の成長により、30年度の税前利益1000億円規模を目指す。
一方で、これまで掲げてきた25年3月期の計画については、据え置いた。25年3月期の税前利益で、ウェルス・マネジメントは950億円、インベストメント・マネジメントは630億円、ホールセールでは1300億円を目指すとしている。
24年3月期の決算では、営業(現ウェルス・マネジメント、4月1日改称)やインベストメント・マネジメントについては25年3月期の目標値水準の利益を計上したものの、ホールセール部門は目標値の1300億円を大きく下回る539億円で着地した。
クリストファー・ウィルコックス・ホールセール部門長は、グローバルマーケッツについて、フィクスト・インカムが収益の継続的な改善をけん引すると予想。エクイティにおいては引き続き欧州とアジアで拡大する。インベストメント・バンキングについては、海外アドバイザリー事業が成長をけん引するとした。
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