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疲れている人はチェックして。本来の自分に近づく「本当の休み方」の話。

東京バーゲンマニア / 2024年5月17日 6時0分

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「元気?」と聞かれたら「うん」と答えはするものの、そんな元気じゃないんだよな......ということ、ありませんか? 実際、8割弱の人が慢性的な疲労を感じているといいます。寝る、ダラダラ、スマホ。そんなふうに休日を過ごしても「気持ちが休まらない」「なかなか疲れがとれない」としたら、休み方を間違えているのかもしれません。

知ると知らないとで生きやすさが変わってくる、心と身体を癒やす34のことを教えてくれる一冊があります。心療内科医・鈴木裕介さんの『心療内科医が教える本当の休み方』(アスコム)です。

休み方に正解・不正解があるの? と気になりますよね。「本当の休み方」とは、「自らの『身体のニーズ』を把握し、それに応えることで自分自身とのつながりを取り戻し、心身が安全・安心を感じられる状態にすること」だといいます。いまより元気になるための、「休む」にまつわる話を本からご紹介します。

そもそも「休む」は難しい

まず、うまく休むための3つのプロセスがあります。1つ目は、休みが必要な状態だと自覚すること。2つ目は、休むことができる環境を確保すること。3つ目は、自分の状態にとって適切な休養活動を選択すること。しかし、すべてをクリアすることは難しいといいます。

たとえば、ストレスがかかる環境では、副腎から抗ストレスホルモンが放出され、身体は戦闘モードに。このモードは3か月ほど続くため、むしろ調子がいいと勘違いしてストレスに気づきづらい。また、真面目な人ほど「期待されている」「やらなければ」と思い、自分のニーズより他人のニーズを重視しすぎる「過剰適応」になりやすい。こうしたさまざまな要因が、きちんと休むことを難しくしているのです。

意外なことに、ストレスはかかりすぎてもかからなさすぎてもNGで、適度なストレスがあるときに人は最もパフォーマンスを発揮できるそうです。適度なストレス状態を保つには、自律神経のバランスを良好に保つこと。そして自律神経のバランスを良好に保つには、自分に合った本当の休みをとることだといいます。

次に、「本当の休み」に欠かせない「自律神経」について見ていきましょう。

カギとなる自律神経

自律神経は、「交感神経(アクセル)」と「副交感神経(ブレーキ)」がシーソーのようにバランスをとることで生命を維持しています。交感神経が優位になるとバトルモード、副交感神経が優位になると休息モードというように、身体は環境に合わせてモードを切り替えています。

しかし、「交感神経」と「副交感神経」という二元論では説明できないケース(ストレスへの「凍りつき反応」など)が、近年増えてきているといいます。本書でページを割いて紹介されているのが、新しい自律神経理論です。ちょっと複雑な話になりますが、ポイントをかいつまんで紹介します。

新しい自律神経理論では、「副交感神経」は「腹側迷走(ふくそくめいそう)神経」と「背側迷走(はいそくめいそう)神経」の2つに分かれる、とされています。つまり、自律神経のモードには「交感神経」「副交感神経(腹側迷走神経)」「副交感神経(背側迷走神経)」の3段階があるというのです。

■炎のモード
アッパー系。怒り、パニック
交感神経優位の状態/過覚醒/危機に対して闘う、または逃げるで反応
切羽詰まった表情、険しい声、注意力過剰 など

■リラックスモード
腹側迷走神経優位の状態/最適覚醒/癒やしとつながりを確保
穏やかで余裕のある表情、柔らかい声 など

■氷のモード
ダウナー系。フリーズ
背側迷走神経優位の状態/低覚醒/省エネで自分を守る
ボーっとした表情、平板な声、注意力低下(放心状態) など

ストレス反応には「炎のモード」と「氷のモード」の2通りがあり、どちらかに行ったまま戻れなくなったとき、そこから抜け出すには「腹側迷走神経」を刺激すること。この「腹側迷走神経」が優位になると、「安全・安心」を感じられるといいます。

いま何モード? 適切な回復行動を

「本当の休み方」=「腹側迷走神経」を活性化することだとわかってきました。具体的な方法を見ていきましょう。

まず、自分は「炎のモード」と「氷のモード」のどちらに入りやすいのか、いまどちらのモードにいるのかを見極めます。いまの状態に合う「コーピング」(自分を助けて回復に導こうとする行動)こそ、効果があるからです。

アッパー状態なら「落ち着かせるような」ダウナー方向のコーピング、ダウナー状態なら「興奮させるような」アッパー方向のコーピングというように、逆方向へアプローチします。

■「炎のモード」から抜け出す方法
ゆっくりと呼吸する/ラベンダーなど鎮静系のアロマを利用する/ハーブティーや漢方薬を利用する/静かな曲を聴く/温かい湯船につかる/部屋を暗くする

■「氷のモード」から抜け出す方法
早めの呼吸をする/レモングラスなど覚醒系のアロマを利用する/身体を動かして心拍数を高める/サウナや水風呂など、身体に温度刺激を与える/エキサイトするゲームをしたり音楽を聴いたりする/太陽の光を浴びる

また、穏やかな表情をつくったり首を傾げたりする、よく噛んだりものを飲み込んだりする、歌を聴いたり歌ったりする、抑揚をつけて会話を楽しむ、というコーピングは腹側迷走神経を刺激し、「安全・安心」を感じやすくなります。

安全・安心を感じたとき、人はようやく他者のニーズや自分自身を責める気持ちから解放され、本来の素直な自分に近い状態になり、本心を表現できるようになり、自分の本当の気持ち、自分の本当のニーズに気づくことができます。

休日の「ループ」から抜け出せそう

「休む」とひと口に言っても、奥が深いですね。疲れた→休むという漠然としたイメージを根本からひっくり返されました。疲れ果てると心身にこんな反応が出て、休日はこんな過ごし方をして、気づけばまた同じ反応が......というループによくはまっていましたが、そうか、こういう理由で「○○モード」になっていたのかと、神経レベルのしくみを知って納得。なんだかホッとしました。

まだまだ紹介したいところですが、最後に1つ。自分にとって「安全・安心」の種になるものを「リソース」と呼ぶそうです。友人、ぬいぐるみ、言葉、歌......人生の重大局面で支えられたものは何だろう? 自分に問いかけ、「リソース」をかき集めるのもいいそうです。

自分を大切に守るために知れてよかったことばかり。中身の濃い読書でした。真摯に、こちらの目を見て語りかけているかのような文章で、著者と同じ空間で話をしている感覚になりました。こんな読書時間も、「本当の休み方」の1つになりそうです。

(Yukako)

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