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iPhoneで動画を撮るときの構図の決め方と撮影のセオリーを知っておこう

ASCII.jp / 2023年10月5日 9時0分

 動画を撮影するときに、常に意識しておく必要があるのが「構図」だ。何も考えないでただ動画を撮っても、締まりのない間の抜けた画になってしまう。構図がしっかりしていれば映像が引き締まり、クオリティは大きく上がる。

 構図というのは、さまざまな要素の組み合わせで選択肢が広がっていくので、構図の基本はしっかりと押さえておくようにしたい。今回は、iPhoneで動画を撮る際に重要となる基本のカメラアングルやポジション、構図の考え方、撮影に当たっての注意点などを解説していこう。

構図を決めるときはグリッド線を活用する

 構図とは、カメラのフレーム内で被写体や背景をどのように配置するかということ。これはとても重要な要素で、作品の品質や視聴者の受け取り方などにも大きな影響を与える。

 構図を決めるには、まず、動画のイメージとなる「主題」とメインの被写体となる「主被写体」を考える。そして、ここで重要になるのが「アングル」と「ポジション」だ。イメージどおりの映像を撮るには、どのアングルからカメラを向けるか、どのポジションでカメラを構えればいいかを決めてから撮影することが大切になる。

 とはいえ、構図は頭で考えていてもなかなか決まらない。実際に現場でカメラを配置して探っていくと、いい感じの構図が見つかってくるものだ。その際、画面に表示させたグリッド線を意識するといい。

 グリッド線の基本的な使い方としては、水平方向のグリッド線(横線)に地平線や水平線を合わせる。そして、垂直方向のグリッド線(縦線)に人物や建物などの被写体を合わせつつ、グリッド線が交わるポイントに配置すると、バランスのいい安定感のある映像にできる、といった感じだ。

構図を考える際は、グリッド線を基準にして決めていくと、いい感じの構図を決めやすい

基本のカメラアングルは「ハイ」「水平」「ロー」の3つ

 まず、アングルとは「角度」のことで、カメラアングルは被写体に対してカメラを構える角度のことを指す。アングルは、「ハイアングル」「水平アングル」「ローアングル」の3種類だ。

カメラアングルは、構える角度のこと。基本のカメラアングルはこの3種類

【ハイアングル】  ハイアングルは、カメラを被写体の上側から向けて撮影するアングル。対象を小さく、または愛らしく見せる効果がある。対象を客観的に見せたい場合や、状況の全体像を捉えたい場合にも有効だ。

【水平アングル】  被写体を水平の角度から撮影するアングル。被写体を歪みなく捉えられるため、見る人に安定したイメージを与える。客観的に情報を伝えるのにも適している。

【ローアングル】  ローアングルは、カメラを被写体の下側から向けて撮るアングル。見上げる形になるため、対象が大きく力強く見え、立体感も出るので威圧感や重要性などを強調できる。また、空を背景として大きく入れられるので、ドラマチックな雰囲気を出すのにも効果的だ。

基本のカメラポジションも「ハイ」「水平」「ロー」の3つ

 一方、カメラポジションは、カメラを構える位置(高さ)のことを指す。これも、基本的なものは「ハイポイジション」「アイラインマッチ(水平)」「ローポジション」の3つだ。カメラアングルとは異なるものなので、混同しないようにしよう。

カメラポジションは、構える位置(高さ)のこと。カメラアングルとは異なるものだ

【ハイポジション】  ハイポジションは、撮影者よりも高い位置からカメラを構えて撮影する。視点が高くなるので、奥行き感を出すのに効果的。また、普段の目線とは異なる感じを出すのにも有効。

【アイラインマッチ(アイレベル)】  アイラインマッチは、撮影者の目の高さで撮影する。見ている人にとって最も自然な視点で、被写体の目線とも合うので、現場にいるかのような感覚を得られる。特定の感情や意図が強調されにくいポジションだ。

【ローポジション】  ローポジションは、撮影者よりも低い位置でカメラを構えて撮影する。地面に近い位置や、通常の人の目線よりも下がった視点となる。迫力感のほか、違和感を与えるのにも効果的だ。

アングルとポジションを組み合わせて構図を考えよう

 構図を決めるときは、これらのカメラアングルとカメラポジションを組み合わせることで、さまざまな表現が可能になる。パターンはいくらでも考えられるので、アングルとポジションをいろいろと試して、しっくりくるものを探すようにしたい。ここでは、代表的な例を紹介しよう。

【ローアングル+ローポジション】  この組み合わせは、被写体を見上げるような構図になる。人物の場合は威圧感を出せたりする一方で、スタイルをよく見せたりすることができる。また、建物の場合は、より高さを強調できるなどの効果がある。

「ローアングル+ローポジション」では、被写体を見上げるような構図になる

【ハイアングル+ハイポジション】  この組み合わせは、上から見下ろすような構図になる。セルフィ(自撮り)の撮影でもよく用いられるように、かわいらしさや表情の豊かさを演出できる。また、自然や街並みなどを撮ると、全体感や客観性を表すことができる。

「ハイアングル+ハイポジション」の組み合わせは、上から見下ろすような構図になる

【水平アングル+ローポジション】  これは、小さい子供やペットなどと同じ目線での映像となる。街中のものを全体的に大きく見せるといった演出効果が得られる。

「水平アングル+ローポジション」は、小さな子供や動物などと同じ目線での映像となる

メインの被写体をどんなサイズで見せたいか、を考える

 人物を撮る場合は「ショットサイズ」も重要な要素となる。ショットサイズとは、画面の中で人物(メインの被写体)がどのくらいのサイズで映っているかを表すもの。これは何を見せたいかによって変わってくるものだが、例えば、背景を見せたいなら「ロングショット」、人物の表情を見せたいなら「バストショット」や「クローズアップ」となる。以下、基本的なショットサイズを紹介しよう。

【エクストリームワイドショット】  人物が非常に小さく映り、背景や周囲の環境が主になるショット。シーンの全体的な雰囲気を表現したいときに使う。

その場の全体的な雰囲気を表現したいときに使う「エクストリームワイドショット」

【ロングショット】  遠くから被写体を撮影するショット。人物の全体を映しつつ、その周辺の環境との関係性を示す際に使う。

遠くから撮って、人物全体と周辺状況を表現できる「ロングショット」

【フルショット】  被写体の全身がしっかりとフレーム内に収まるショット。被写体の動きや姿勢を強調したい場合に使う。

被写体の全身が画面に収まる「フルショット」

【ミディアムショット】  被写体の腰から上、または胸から上が映るショット。被写体の表情や動き、その背景との関係をバランスよく撮りたいときに使う。「バストショット」は、これに含まれる。

被写体の腰から上、または胸から上が映る「ミディアムショット」

【クローズアップ】  被写体の顔全体、あるいは特定の部分だけを映すショット。表情の細かな変化などを捉え、視聴者にその感情を強く伝えたいときに使う。

人物の顔や特定の部分だけを映すのが「クローズアップ」

「引きの画」と「寄りの画」をバランスよく配置するのがポイント

 このようにショットサイズにはいろいろとあるが、実際の撮影では、いわゆる「引きの画」と「寄りの画」の両方を押さえておくのが望ましい。「引き」と「寄り」とでは、それぞれ次のような役割がある。

●「引きの画」の役割とは

 引きの画は、場面の設定や背景を示すのに適していて、新しい場所や時間にシーンが移るとき、その変化を伝えるためによく使われる。また、複数の被写体が一緒に映っている場面では、位置関係や相互作用を示すこともできる。大きな動きを強調したい場合にも利用される。

引きの画は位置関係などが明確になる。多くの動画が、引きの画から始まることが多いはずだ

●「寄りの画」の役割とは

 寄りの画は、被写体を大きく切り取ることで、感情や反応などを見る人に強く伝えられるという特徴がある。また、特定の物や部分に焦点を当てることで、そのディテールや重要性を強調できる。多くのことが同時に進行しているシーンでは、寄りの画を使用することで視聴者の注意を特定のポイントに集中させられる。

寄りの画は特定の被写体に焦点を当てられる。ただ、意図的に操作する必要があるため、意識しておかないと撮り忘れてしまう

 動画を撮り慣れていないと、引きの画が多くなってしまいがち。そして、そういった映像を編集してみると、かなり単調な仕上がりになってしまうものなのだ。つまり、メリハリのある動画を作るには、引きの画と寄りの画がバランスよく配置されていることが重要になる。寄りの画も意識して撮るようにしよう。

1カットは短めにして、始まりと終わりには余白を入れる

 動画を長回しで撮るのではなく、カットを積み上げていく場合、1カットは短めに撮影したほうがいい。理由としては、編集が容易になるからだ。

 1つのカットが長いと、編集する際に必要な部分を見つけ出すのに時間がかかり、作業の効率が低下する。短いカットで多めに撮影しておけば、手軽に確認できて、最適なカットを探しやすい。また、編集時にさまざまな組み合わせができるので、編集の自由度も増す。つまり、作品の幅が広がる可能性が高くなる。

短めのカットを多く撮っておくと、編集時の確認も楽になるし、編集の幅も広がる

 なお、カットの前後は余白を多めに取るのがセオリーだ。録画を開始してすぐにアクション(演技)が始まると、編集時にカットをつなげにくくなることがある。また、撮影の開始時は、iPhoneの撮影ボタンをタップした際に振動で画面が揺れてしまうこともあるため、ボタンを押したら、少し待ってからアクションを起こすようにしたい。

 例えば、「よーい、スタート」で始める場合、「よーい」のタイミングで撮影ボタンを押し、「スタート」のタイミングで被写体がアクションを起こすといったイメージだ。また、カットの終わりでは、アクションが終わって、しばらくしてから録画を停止するようにしよう。

会話シーンを撮るときはイマジナリーラインを意識しよう

 では最後に、被写体とカメラの位置関係について考えてみよう。これは、例えばインタビューなど、2人が会話するようなシーンを撮るときに重要なポイントとなる。

 こういった場面を撮る場合は、まず「マスターショット」を撮ったうえで、必要なカットを押さえていくと編集がしやすくなる。マスターショットとは、シーンの基本となるショットのことで、会話シーンで言えば、2人の位置関係がわかるショットだ。

会話やインタビューなどのシーンを撮るときは、必ず双方の位置関係がわかる「マスターショット」を撮影しておく

 このマスターショットを基本として、2人それぞれの寄りの画や、両者の手前に別の被写体を入れて奥行きのある構図(「なめ」と呼ばれる)にすると、自然な会話シーンに仕上げられるだろう。

 そして、この撮影時に注意したいのが「イマジナリーライン」だ。これは、視聴者に混乱を感じさせないための基本的な原則で、2人の間に想像上のラインを引き、カメラはこのラインの一方の側から撮影をするというもの。ラインを超えて撮影すると、2人の位置関係がおかしくなり、見る人に違和感を与えてしまう。

「イマジナリーライン」は、2人を基準としてラインを引く。カメラは、そのラインを越えないように撮影する

 上の例の場合、A、B、Cのカメラで撮影したカットなら違和感なくつながるが、そこにDのカメラで撮ったカットが入ると、位置関係がおかしく見えてしまうのだ。

イマジナリーラインを守って撮影した場合の例。A→B→Cのカメラ順でつないでも違和感はない
イマジナリーラインを越えて撮影した場合の例。A→B→Dのカメラ順につないだところ、急に被写体の位置が入れ替わるので、違和感が生じる

 このように、イマジナリーラインを越えて撮影してしまうと、視聴者に余計な違和感を与えてしまうのだが、実は、この違和感を逆手に取って、あえて見る人に混乱を与えるという演出もある。そのため、シーンの狙いによっては有効な手段といえる。しかし、これはあくまでも特殊な演出。イマジナリーラインは動画撮影の基本なので、守ったほうが確実だ。

 動画を撮影するうえで、構図を決めることは非常に重要なことだ。今回紹介した内容はどれも基本的なものなので、まずはこれらをしっかりと理解したうえで撮影に臨むようにしよう。撮影を繰り返していくうちに、どんな構図にしたらいいかは自然とわかるようになっていくはずだ。

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