AF追従秒60コマに1憶画素が手持で撮れるLUMIX 「G9PROⅡ」実機レビュー
ASCII.jp / 2023年10月17日 10時0分
パナソニックがマイクロフォーサーズ「LUMIX Gシリーズ」のハイエンドモデル「G9PROⅡ」を発表した。
「Gシリーズ」といえば動画撮影に強い「GH6」がすでにハイエンドモデルとしてラインナップされているが、「G9PROⅡ」は像面位相差AFや高速連写など主に静止画撮影の性能が強化されたモデルだ。パナソニックから実機を借用できたので、果たしてどのようなカメラに仕上がっているのかチェックしていこう。
ボディーはGH6より小型軽量を実現 望遠レンズとの組み合わせでフルサイズより有利に
まずはボディー周りから。なによりの特徴はフルサイズ「LIMIX Sシリーズ」の「S5Ⅱ」と共通のデザインということだろう。
正面はマウント径やレンズ着脱ボタンの位置などが異なっているが、スペック上のサイズは寸分と違わない。ということはマイクロフォーサーズなのにデカくないい?と思うかもしれないが、実は強力な放熱構造やチルトフリーアングル液晶を搭載している「GH6」よりは小柄だ。
重量は「S5Ⅱ」が740gなのに対し「 G9PROⅡ」は 658g(ちなみに「GH6」は823g)なので、手にすると見た目よりは軽く感じる。
もちろん手に馴染み握りやすい細身のグリップや指先の感覚で確認できる「3連Fnボタン」も健在。独立した「AFモード」のレバー&スイッチに「ドライブモード」のダイヤル、8方向対応の「AFセレクター」など「S5Ⅱ」の優れた操作系はそのまま継承されている。
。ボディーサイズは同じでもフルサイズとの違いを実感するのはレンズを装着したときのトータルサイズだ。
マイクロフォーサーズの交換レンズは同じ画角ならフルサイズより小型軽量。特に同時に発売される「LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4-6.3 II」のような超望遠レンズでも重量は1kgを切っているので軽快に撮影することができる。
M4/3素子は2521万画素 像面位相差AFを初搭載
撮像素子は「GH6」に次いでマイクロフォーサーズ最高解像度の2521万画素。さらに「S5Ⅱ」と同様に像面位相差AFが採用された。
画質の傾向も「GH6」と同様で、初期設定のフォトスタイル「スタンダード」ではシャープネスは控えめだが細部はしっかり解像され、程度なコントラストや発色で自然な描写になっている。
高感度はノイズ除去が少し強めでISO3200くらいから影響が感じられる。ISO6400程度までは実用範囲だが、それ以上の感度では細部の解像感低下が気になる。
撮像素子サイズが小さいマイクロフォーサーズなので高感度は不利だが、最近ではAI処理で強力なノイズ処理をするRAW現像ソフトもあるので、試してみるといいだろう。
手ブレ補正も強化されキットレンズ「LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mmF2.8-4」との組み合わせでは約8段分の効果が得られ、遠景ならズーム全域で1/2秒程度までは高確率でブレを防止してくれた。
手持ち「ハイレゾ」で1億画素写真 AF追従で毎秒60コマの高速連写が可能
連写画像から1億画素相当の高解像度画像を生 成する「ハイレゾモード」では手持ち撮影にも対応した。
撮影後の処理時間が三脚モードより長く、動きの激しい被写体では合成に失敗することもあるのは変わらないが、手持ちでハイレゾが可能な機種は数少ないので貴重だ。
AFでは人物や動物にくわえ車とバイクの認識機能が追加された。本格的なレースで試したわけではないが、街中を走る車程度なら像面位相差AFのおかげもあってかスムーズに追随した。
ただ他のメーカーにはある電車や飛行機は非対応。確かに追尾AFでも十分撮影できる被写体ではあるが、街中の上空で見かける飛行機などは認識機能があったほうが素早く合焦してくれるので、今後ファームアップなどで対応を期待したい。
被写体認識は測距点から多少なら離れても追随してくれるので、個人的にはフルエリアよりゾーンエリアのほうが撮りやすく感じた。激しく動き回る野鳥などは追い付かないこともあったが、瞳さえ認識しれくれればバッチリとピントを合わせてくれた。
撮影機能でもっとも進化したのが連写性能だろう。電子シャッターならフル解像度のRAW+JPEG最高画質でAF追従秒60コマ(AF固定では秒75コマ)、連続200枚の高速撮影が可能だ。
電子シャッターの動体歪みもわずかで十分実用的だ。なおメカシャッターでの連写速度はAF追従秒10コマ、AF固定で秒14コマになる。
プリ連写復活で決定的瞬間も失敗なし フルサイズとの共用も相性抜群だ
シャッターボタンを押してから一定時間をさかのぼって記録できる「SHプリ連写」を搭載。鳥が飛び立つ瞬間などシャッターチャンスを狙うのが難しいシーンで活躍してくれる。
かつて「LUMIX」シリーズは“6K/4Kフォト“という機能でプリ撮影は可能だったが、何故か「S5Ⅱ」や「GH6」では省かれてしまったので、今回改めて搭載してくれたのは嬉しい。
「SHプリ連写」はシャッター半押し中にカメラ内のバッファに記録し続けるので、実際に撮影していなくても思いのほかバッテリーが消費する。予備の用意しておいたほうがいいだろう。
また200枚連写した後、バッファが完全に開放されるまでUHS-ⅡのSDカードでJPEG最高画質は約42秒、RAW+JPEG最高画質だと約1分43秒かかった。さらにUHS-Ⅰだとその倍以上の時間が必要なので連写撮影時にはUHS-Ⅱを推奨したい。
今回「G9PROⅡ」を試用してみて感じたのは、連写性能を引き出すために、できればメディアは高速かつ大容量のCFexpressにしてほしかった。それから、静止画重視とはいえ「GH6」には搭載していたストロボのシンクロ接点は省かないで欲しかった(自身ここ数年使っていないので文句は言えないけど)。とはいえ、一番のメリットは操作性が同じでバッテリーなどのアクセサリーも共用できる「S5Ⅱ」との親和性だろう。
常々マイクロフォーサーズとフルサイズの組み合わせは相性が良いと感じていて、例えば超望遠などのズームレンズは小型軽量マイクロフォーサーズ、ボケを活かすならフルサイズの単焦点レンズ、と使い分けることで撮影の幅が広がる。同じボディーを採用した「S5Ⅱ」と「G9PROⅡ」、きっと最良のパートナーになるだろう。
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