神すぎる!マックポテトが揚げたてに復活する バルミューダ「リベイカー」
ASCII.jp / 2024年2月1日 12時0分
ReBaker(リベイカー) 発売日 2024年2月20日 実売価格 2万4200円 バルミューダ https://www.balmuda.com/jp/rebaker/
Uber Eatsで買ったマックフライポテトが、お店みたいにできたてアツアツの旨さになったら神だと思いませんか。できるんですよ、“リベイカー”なら。
まるごとソーセージ、マックフライポテトが“激ウマ”に
バルミューダが2月1日に発表した「リベイカー(ReBaker)」は、大人気のトースター「BALMUDA The Toaster」シリーズのカジュアル版。特徴だったスチームトースト機能を省き、パンや揚げ物のあたためなおし(リベイク)に振った、三度の飯よりコンビニフードが好きな若者向けの新製品です。「スチームがないって、それはただのトースターでは?」と思ってしまいますが、そこにはしっかり工夫がされています。発表前に試作機を見てきました。
リベイカーの特徴となるのが、新たに設けられた2つのリベイクモード。パン向けの「リベイクモード」、揚げ物向けの「フライドモード」です。
リベイカーの強みとなるのが「完璧な温度制御」という、マイコンを使った温度制御技術。1秒に1回庫内の温度を測り、上下ヒーターの温度を1度単位で調整するというもの。これにより、外側は焦がさずに内側はアツアツに、外側はさっくりと、内側はふっくらな仕上がりにするというわけ。
温度制御技術はこれまでのバルミューダ製品にも搭載していたもの。新しいものではありませんが、リベイク向けに最適化した形です。
まず、リベイクモードで試食したのは山崎製パンの「まるごとソーセージ」。コッペパンの表面がパリッと仕上がり、ソーセージもジューシーにあたたまり、SNSの流儀にならえば“激ウマ”な味。デイリーヤマザキにリベイカーが置いてあったら皆さん並んでチンしてから食べることでしょう。
次に試したのは揚げものをあたためるフライドモード。揚げ物はアルミホイルかトレイにのせてあたためる仕様で、下のヒーターは強火、上のヒーターは弱火に設計されています。これにより、外側が焦げつかず、べったり感のない、揚げたてのような食感を再現するというわけ。
フライドモードで最初に試食したのは、唐揚げとコロッケ。バルミューダ本社がある武蔵境駅前のイトーヨーカドーで買ったものだそうですが、外側がサクッとして内側がアツアツの味わいに。コロッケは衣がしっかり立ちあがり、サクサク感が復活しています。我らがイトーヨーカドーの揚げものが駅ビルデパ地下おしゃれ総菜店レベルの仕上がりになりました。
そして最後に試したのがマクドナルドのマックフライポテト。これにめちゃ感動しました。リベイカーといえばマックポテトと言っていいのでは。
サクふわ食感が再現されるのは言うまでもなく、素晴らしいのは“マックポテトのにおい”が復活すること。ショートニングに使っている牛脂のにおいだそうですが、家にいながらあのにおいに包まれることが可能に。耳をすませば「ティロリ、ティロリ……」とメロディが聴こえてくるようです。
ただし、食感とにおいが再現できるのは買ってきてから4時間が限度ということ。そこからは水を吸いすぎてしまっておいしくなりません。
モードは全5種類、デザインはポップな仕上がりに
そのほか、普通のトースターとして使える「トーストモード」と「チーズトーストモード」、もちやグラタンを焼ける「オーブンモード」を備え、モードはすべてで5種類です。出力は最大1300W。
1.トーストモード 2.チーズトーストモード 3.リベイクモード 4.フライドモード 5.オーブンモード(240度のみ)
デザインはこれまでのクラシックなイメージから、よりカジュアルな仕上がりに。タイルをイメージしたという扉と取っ手に、光沢感のあるダイヤルがつけられました。内側はこれまでとほぼ同様ですが、スチームトースト機能が省かれたため、ボイラー部分がなくなっています。カラーはホワイトとブラックの2色になりました。
「Uber Eats」時代の新しいコンセプト
なぜBALMUDA The Toasterの妹分とも言える「リベイカー」を作ったのか。寺尾玄社長によれば、きっかけはまるごとソーセージです。
「私は1973年生まれ、茨城県育ち。中高生の頃、ほとんど毎日『まるごとソーセージ』を食べていて、体の5パーセントぐらいは“まるソー”とでできている。それくらい非常に重要な食べ物なので、これをあたためて食いたいなぁって前から思ってたんです。で、これを普通のトースターで何度も焼いてみたんですが、真っ黒焦げになって、内側を温めることができない。そういう長年の宿願みたいなものがあったんです。BALMUDA The Toasterを作ったときに『もしかしたら……』と思って、『フランスパンモード』で試したら、アツアツで外が焦げずにサックリになった。『クロワッサンモード』だと、上が少しだけ焦げておいしくなった。それで、クロワッサンモードとフランスパンモードの中間が一番いいっていう結論になったんですよ。で、作ったのがリベイカーです」
要するに「まるごとソーセージを一番おいしく焼けるトースターを作りたかったので」ということ。社長がそんな乱暴なストーリー語ってていいのかという話ですが、以前から16歳のころ学校に行かずにバイク乗り回して夜明けに食べてたカップヌードルがうまかったなどと話しているので平常運転です(「バルミューダ、おいしいコーヒーにこだわった電気ケトル『BALMUDA The Pot』」)。
そして、リベイカーを作るうえでのもうひとつのキーワードがマックポテト、Uber Eatsに代表される食文化です。
「うちの息子に『一番家でうまく食べたいものは?』って聞いたら『マックフライポテト』って言うんです。日本で一番Uber Eatsで配達されているのは、たぶんマックフライポテトなんですよ。日本でUber Eatsの利用率はマクドナルドが日本一なんで、何のセットにもついてくるから」
コロナ禍をはさみ、テイクアウトやデリバリーが当たり前になり、冷凍食品やお総菜、コンビニフードも“自炊”に入ってくるような食文化が定着しました。そこで「家の外」と「家の中」を軽やかに結ぶキーワードとして、“リベイク”をコンセプトにした新たな製品を作ったという流れです。
「そのときの食文化と衝突すると、ものすごくでかい輝きと熱量を持つので。その辺がいまは時代的に面白いところじゃないかなと思います」
そのため、リベイカーの販促イメージも背景は家ではなく街。リベイカーの足部分はこれまでのBALMUDA The Toasterよりもやや高く、より躍動感あるデザインになっています。
実際、BALMUDA The Toasterが売れたのは高級食パンブームまっただなか。時代に即した製品が実需を生むという読みは正しいのかもしれません。寺尾社長は「学生時代、喫茶店のおいしいトーストを知った世代」に当たったと分析していましたが、そういうところもあるかもしれません。
苦境のバルミューダをリベイカーが救う?
一方、会社としてのバルミューダにとってリベイカーは重要な戦略商品でもあります。同社一番人気のトースターシリーズのなかで「松・竹・梅」にあたるモデルを作って、顧客層の拡大を狙う作戦でしょう。どこかのブランドにならえば「Pro」「無印」「SE」ですかね。
Pro:BALMUDA The Toaster Pro 無印:BALMUDA The Toaster SE:ReBaker (※バルミューダではなく私が定義した位置づけ)
そもそもバルミューダがいわゆるラインアップ戦略をとるのは今回が初。「普通の会社がやっていること」(寺尾社長)を普通にやることになったのは、2023年が非常に苦しかったからです。
「まず、円安に一番影響を受けました。一時期に比べると原価が1.5倍くらいになっちゃってるので。もうひとつはコロナ明け。外向き需要の復活を逆に考えると、内向き需要をすごい先食いしたことになりますが、当時は売上がブーミーになっていたことに気がつけなかった。『やっぱブランド力だね』なんて笑ってたバチが当たったなと」(寺尾社長)
2023年にはスマートフォン事業からの撤退も負担になりました。
「まあこれは我々独自の出来事ですね。ただ個人的にはバルミューダっぽかったなと思ってて。バルミューダは(ひとつの製品ジャンルに)定住しないで、一個のところで何かできたら次に移動して、とやってきた。スマートフォンもその流れのひとつで、非常に大きなチャレンジだった。悪目立ちもしましたけど、非常に自分たちっぽかったと思ってるんです」(寺尾社長)
円安、コロナ明け、さらに新規事業の店じまいという3つのマイナス要因から、激しく落ち込んだバルミューダ。「数字や経営状況が痛んだあとに何をしていくかと言えば、まずはバランスを取ること」(寺尾社長)と考え、商品戦略として今回のリベイカーを作ったということです。今年度、国内向けにはリベイカーを含めて合計4つの新製品を発表する予定ということ。
さらに今年度から本格的に狙っているのは海外市場の売りのばし。これまでは日本で作った製品の一部を韓国やアメリカなどの海外販路に乗せていく形でしたが、今年後半からは初めから海外を狙った製品を出す計画もあるということ。円安状況下、国内企業で数字を出しているのは半導体などの輸出系メーカーなので、経営上はそこもやや期待がもてるのではないでしょうか。
今後は小型風力発電という新規事業にも挑戦して、再エネ市場を取っていきたいと熱く語る寺尾社長。そこは期待半分、心配半分という感じですが、まずはリベイカーです。家でマックポテトを食べるなら間違いなくこれだと確信できましたが、はたしてV字回復の立役者となれるでしょうか。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。6歳児と2歳児の保護者です。Facebookでおたより募集中。
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