一流ピアニストが指南! 角野隼斗の「Apple Music Classical活用術」
ASCII.jp / 2024年3月26日 12時0分
Apple 表参道で3月22日に開催されたToday at Appleでは、クラシック・ピアニストの角野隼人氏による特別なイベントが開催されました。1月24日にサービスが始まったクラシック音楽専門の配信アプリ「Apple Music Classical」のアンバサダーを務める角野氏がアプリの楽しみ方を解説。日々の音楽創作について語るトークセッションも実施されました。
今をときめくピアニスト、角野隼斗がToday at Appleに登場
ピアニスト・作曲家である角野氏は、登録者数が130万を超えるチャンネルのユーチューバー・Cateen(かてぃん)としても多彩な才能を発揮しているアーティストです。2018年、東京大学大学院在学中にピティナピアノコンペティションで特級グランプリを受賞したことをきっかけにプロへ転向。2023年の春からは東京のほかに、米ニューヨーク・マンハッタンにも活動拠点を広げました。
今春には全国22の公演を巡るコンサートツアー「鍵盤-KEYS-」を成功させ、またツアー中にはベルリンに本拠を置くSony Classicalと角野氏が専属レコーディングのワールドワイド契約を結んだことも発表されました。
この日はApple 表参道のイベントステージにグランドピアノが用意され、角野氏による4曲の演奏が披露されました。角野氏が演奏する鮮やかで力強いピアノの音色が、Apple 表参道を埋め尽くした大勢の来場者を魅了しました。
当日のセットリストに含まれる、角野氏の作曲による楽曲『追憶』はApple Musicなどの音楽配信サービスで聴くことができます。
Apple Music Classicalでしか聴けない 限定セッションをリリース
クラシック音楽専門の定額制音楽配信、Apple Music Classicalにはクラシック音楽の最新リリースから、誰もが知っている名曲など国内外500万を超える作品が揃っています。ロックにポップス、ジャズなどクラシック以外の音楽も充実する月額1080円のApple Musicにサブスクリプション登録を済ませれば、追加費用を払うことなくApple Music Classicalも楽しめます。
クラシック音楽に詳しい方からあまり馴染みがない方も、Apple Music Classicalのサービスに触れることで良質な音楽を「聴き」、様々な新しい音楽と「出会い」、クラシック音楽の魅力を深く「識る」ことができます。
良質なクラシック音楽の最新作品といえば、Apple Music Classicalでは独自企画による「ここでしか聴けない作品」を配信しています。3月22日には角野隼斗氏が新規に録音した「Classical Session」の楽曲が公開されました。
角野氏がスタインウェイのアップライトピアノを弾いて、ロンドンのスタジオでレコーディングした楽曲は全3曲です。
・バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」(『カンタータ第147番』の終曲) ・スカルラッティ「鍵盤ソナタ ニ短調 K. 9」 ・「追憶」/作曲・演奏 角野隼斗氏
3曲ともにハイレゾロスレス/ロスレスの高音質録音です。またiPhoneにiPad、Mac、HomePodなどAppleデバイスで再生すると、360度全方位から音楽に包み込まれるような空間オーディオ体験に触れることができます。
Classical Sessionに収録された楽曲について、空間オーディオ再生で楽しむ際の聴きどころになるポイントを角野氏に聞きました。
「『追憶』という作品には、ショパンの創作とその姿を追憶するという意志を込めています。この楽曲には、ショパンによる様々な作品のフラグメンツ(断片)が現れます。イントロでは進行する主旋律を取り囲むようにして、遠くから様々な音が聞こえてくるような音場感を描いてみました。空間オーディオで聴いていただければ、音楽の中に深く入り込めるような体験を楽しんでもらえると思います」
もう1曲、バッハの作曲による「主よ、人の望みの喜びよ」については、ある楽器を角野氏が独自のインスピレーションを込めて演奏しています。
「楽曲の終盤に低いG(=ソ)の音を、オルガンで弾いた音のように持続的に響かせるためにオーバーダビング(多重録音)を使って収録しました。僕が演奏者としてこだわりを込めたポイントです」
「見つける」タブから出会いが広がる
500万を超えるクラシックの楽曲が揃うApple Music Classicalでは、任意のアーティストによる楽曲やアルバムを選択すると、作曲家や演奏家、楽器、時代など関連するアーティストの作品リストが表示されます。
例えば角野氏のアルバム『HAYATOSM』のページを下にスクロールすると、「このアルバムには」というリストの中に、角野氏が演奏した楽曲の作曲者が並びます。フレデリック・ショパンを選択すると、Apple Music Classicalのエディターがおすすめするショパンの楽曲を集めたプレイリストや、ショパンの楽曲を演奏したアーティストによる最新アルバムが参照できます。
Today at Appleのトークセッションで、角野氏はApple Music Classicalの入門的な活用術として「見つける」タブの楽しみ方を紹介しました。
アプリの画面の下に並ぶ「見つける」タブを選択すると、Apple Music Classicalのカタログに収録されている作品を「作曲者」「ジャンル」「楽器」などのカテゴリごとに探せます。角野氏も「時代」タブの中の「21世紀」に並ぶ新しい作品に注目しているといいます。
また「指揮者」のタブに入ると、リストに並ぶ指揮者たちが同時に「作曲者」や「楽器の演奏家」でもあることが、名前の下に表示されている属性タグから見分けることができます。角野氏も日ごろからアーティストの才能を多面的に知るために、「見つける」タブによる楽曲検索を活用しているそうです。
偉大なクラシックの先人たちが残した作品の巨大なアーカイブ
クラシック音楽に馴染みのない方は、Apple Music Classicalに多数収録されている映画音楽や、坂本龍一氏のようにクラシックを含む幅広い音楽創作に携わったアーティストの作品から触れてみるのが良いと思います。
気になるアーティストの創作活動についても、Apple Music Classicalは専任のエディターが編集した「バイオグラフィー」や「関連する作曲家」のリストなどを辿って、様々な情報が深掘りできます。
イベントでは、角野氏が来場者から寄せられた質問に答えるQ&Aセッションの時間が設けられました。「今までに演奏したことのない楽曲に挑戦するときの準備」について訊かれた角野氏は「最初に楽曲の構造と意味を把握することに時間をかけている」と切り出しました。
続いて表現方法や楽器の弾き方を突き詰めていく段階では、先人による演奏からヒントをもらい、自身の表現として洗練させる創作工程につなげていくのだと、角野氏は丁寧な解説を交えながら質問に対して真心を込めて答えを返しました。
クラシックの演奏家にとって、過去の偉大な作曲家と徹底的に向き合うことが創作におけるとても大事なプロセスなのだと角野氏は語っています。これまでに記録されてきた沢山の演奏を参照する時に、もはやApple Music Classicalが欠かせないそうです。トップアーティストも愛用するクラシック専門の音楽配信が、今後も音楽を愛するファンのための巨大なアーカイブに成長することを期待しましょう。
筆者紹介――山本 敦 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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