容積8Lの小型PCでRyzen 5 8600G&GeForce RTX 4060を運用、温度と性能は大丈夫?
ASCII.jp / 2024年4月23日 10時30分
サイコムの「Radiant SDM3300X600A」は、容積8Lと圧倒的に省スペースな小型PCだ。サイズは168(W)×219.3(D)×218.3(H)mm(突起部を含まず)で、ビデオカードもBTOで追加できる。机のスペースの都合でゲーミングPCの設置をあきらめていた人でも、本機なら一考の価値があるはずだ。
小型PCゆえの高熱をどうさばいているのか?
前回は外観や内部をメインに紹介したが、今回は性能面を探っていく。ポイントは高負荷時における挙動。小型PCはどうしてもエアフローが弱くなりがちのため、発熱のせいで性能が犠牲になるパターンが多いからだ。
そこで、本稿では定番ベンチマークを用い、温度と性能の関係を主軸にレビューしようと思う。
なお、CPUは内蔵GPU性能が高いRyzen 5 8600Gを採用。しかし、試用機ではGeForce RTX 4060搭載ビデオカードを装備しているので、CPU内蔵GPU機能は使わない。
ほぼ期待通りのCPU性能を発揮!
CPUクーラーの「NH-L9a-AM5」はロープロファイルタイプなので、背が低く、ファンは薄型。そのため、CPUが冷却不足にならないか心配だ。冷やしきれないと動作クロックが落ちるため、本来の性能が発揮できなくなる。
CPUのRyzen 5 5600Gは6コア/12スレッドで、最大動作クロックは5GHz、ベースクロックが4.3GHz、TDPは65W。ミドルタワーPCなら熱を簡単にさばけるスペックだが、Radiant SDM3300X600Aでは果たしてどうなるのか……。
ベンチマークソフトは、CGレンダリング性能をスコアー化してくれる「CINEBENCH 2024」を使用。Multi Coreテストでは全コアに高い負荷がかかるので、CPUの温度チェックに適している。
結果は「pts」という単位の独自スコアーで表示。このスコアーが高ければ高いほど高性能ということになる。では、CINEBENCH 2024の結果を見てみよう。
Multi Coreテストの結果は750pts。メモリーの動作速度(DDR5-4800)などを考慮すれば、想定に近い妥当なスコアーと言える。Single Coreはテストの結果も106ptsと、期待通りの性能が発揮できている。
90度まで上昇するもサーマルスロットリングはなし
では、気になるCPU温度について見てみよう。CINEBENCH 2024のMulti Coreテスト実行時のCPU情報をモニタリングツール「HWiNFO64 Pro」で取得。テスト終了間際の状態がこちらだ。
CPU温度は「CPU Core」の値を参照。最大90度で、平均温度は88.8度とかなり高温だったにもかかわらず、3種類の「Thermal Throttling」(HTC、PROCHOT CPU、PROCHOT EXT)はいずれも「No」。つまり、サーマルスロットリングには入らなかった。
しかし、CPUの消費電力を示す「CPU Package Power」は平均65.181Wと、TDPの値(65W)にほど近いが、最大は73.152Wと若干低めに感じる。では、その推移を見てみよう。
中央で一瞬下がっている部分は、1周目のテストと2周目のテストの隙間というだけで、通常の挙動だ。CPU温度は1週目の序盤で90度に達し、CPU Package Poweは70W台前半から徐々に下がり、2周目は63~65Wで安定していた。
つまり、Ryzen 5 8600Gのリミット温度(TjMax=95度)でサーマルスロットリングに入って、急激に動作クロックが落ちないように、あえて90度で制限をかけているのだろう。それゆえに、妥当なスコアーが得られたと考えれば、冷却性能としては十分バランスが取れている。
もちろん、さらに冷えるクーラーを用意すれば、もっと性能が伸びる可能性はある。しかし、そもそもRyzen 5 8600Gはヘビーな作業には向かないCPUだ。CGレンダリングや動画編集など、長時間全コアに負荷がかかるような用途では使わないだろう。 メイン用途のゲーミングであれば、ここまでの高負荷がかかるることはないため、Radiant SDM3300X600Aの設定は実用的と言える。
3DMarkは順当な結果
ここからはゲームで重要な3Dグラフィックス性能をチェックしていこう。まずは定番の「3DMark」のテスト「Speed Way」から。DirectX 12 Ultimateに対応し、リアルタイムのグローバルイルミネーションや、レイトレーシングなどでかなり重い試験だ。
結果は2644スコアー。GeForce RTX 4060搭載ビデオカードを採用したPCとしては、十分優秀と言える。この点からもRyzen 5 8600Gはきっちり仕事をこなしており、発熱で足を引っ張っている印象はない。
続いて、現在多くのゲームが採用すているDirectX 12世代のテスト「Time Spy」。一般的なゲームなら、こちらのスコアーが参考になる。
10229スコアーは順当で、ミドルクラスのゲーミングPCとして十分な実力があると言っていい。CPUスコアーは若干低めだが、これは発熱ではなく純粋に地力の問題だ。6コア/12スレッドのRyzen 5という点を考えれば、健闘しているほうだろう。
ほかのテストも試したので下記にまとめる。比較の参考にしてほしい。
FFXIV・FFXV・SF6公式ベンチならWQHDでも快適判定
実際のゲーム寄りのテストも実行した。まずは、重量級のアクションRPG「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」の公式ベンチマークソフト(以下、FFXVベンチマーク)から。画質は「高品質」、表示はフルスクリーン、解像度別に試してみた。
フルHD(1920×1080ドット)時のスコアーは10102で、評価は「とても快適」。この結果なら十分快適に遊べるだろう。WQHD(2560×1440ドット)にすると、スコアーは7310で評価は「快適」まで低下するが、プレイ自体に支障はない。 ちなみに、4K(3840×2160ドット)では、4259スコアーで評価は「普通」になる。ここまで落ちると快適とは言えなくなるので、解像度か画質を下げたいところだ。
続いては、人気のMMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」の公式ベンチマークソフト(以下、FFXIVベンチマーク)。画質は「最高品質」、表示は「フルスクリーン」。こちらはフルHDだと軽すぎるため、WQHD以上で試した。
WQHD時のスコアーは15469、評価は「非常に快適」と、かなり余裕がある。4Kでも7749スコアー、評価は「やや快適」と優秀な成績だった。このゲームなら4Kプレイも現実的だろう。
人気の対戦格闘ゲーム「STREET FIGHTER 6」の公式ベンチマークツール(以下、SF6ベンチマーク)も試してみた。画質は「GRAPHICS SETTING」で、最高画質の「HIGHEST」を選択した。
3つのシーンにおいて、平均フレームレート約60fpsを維持。トータルスコアーは100点満点中100と、文句なしで快適に遊べるレベルだ。解像度をWQHDに上げてもトータルスコアーは100だったので、余裕でプレイできるはず。
とはいえ、さすがに4Kではトータルスコアーが60まで落ちてしまうため、現実的ではない。解像度を変更するなら、WQHDまでにしておこう。
まとめ:動作音は玉に瑕だが性能は大満足! 省スペースなゲーミングPCの新定番か
以上のように、Radiant SDM3300X600Aはビデオカードを積めば、多くのゲームを安定して快適にプレイできる。ただし、高負荷時の動作音はやや大きめだ。ゲーム中はヘッドフォンをかけたほうがいいかもしれない。
もちろん、アイドル時を含む一般的な作業中なら、動作音はそこまで目立たない。スピーカー派でも気にならないはずだ。この挙動に納得できるなら、本機は満足できるゲーミングPCになる。無論、ビデオカードなしの標準構成でも、省スペースPCの新定番になりそうだ。
最後に、つい先日リリースされた、PCの総合性能を計測できるベンチマークソフト「CrystalMark Retro」も試してみた。簡単に使えるので、今使っているPCとどの部分が違うのか、といった性能比較に活用してほしい。
この記事に関連するニュース
-
レノボ「Legion Go」の“強さ”はどれだけ変わる? 電源モードごとにパフォーマンスをチェック!【レビュー後編】
ITmedia PC USER / 2024年5月3日 12時5分
-
14900KF&RTX 4070 SUPERの静音ゲーミングPCはFFXIV: 黄金のレガシーでも快適4Kプレイ!?
ASCII.jp / 2024年5月3日 10時0分
-
16型で1.4kgを実現した究極の2in1モバイルノートPC = 「LG gram Pro 2in1」レビュー
ASCII.jp / 2024年4月23日 10時0分
-
DeskMeet X600ベースの小型BTO PC、容積8LでRTX 4060の欲張りゲーミング構成を実現
ASCII.jp / 2024年4月21日 10時30分
-
8コア16スレッドのRyzen 9 7940HS×Radeon 780M搭載! 片手で握れるミニデスクトップPC「GEEKOM A7」の“強さ”をチェック!
ITmedia PC USER / 2024年4月10日 18時0分
ランキング
-
1「そっち使うの?!」「これは天才」 さびだらけの鉄くぎをぐつぐつ煮込むと……? DIYに役立つ“まさかの使い道”が200万再生
ねとらぼ / 2024年5月2日 12時15分
-
2Xの生成AI「Grok」で話題を要約、「Stories on X」提供開始
マイナビニュース / 2024年5月4日 9時45分
-
3ジョージア大使、松屋にポーランド風ハンバーグ登場で心配「国際情勢に影響しかねない熾烈な戦いになりそう」
iza(イザ!) / 2024年5月1日 13時55分
-
4『ポケモンGO』普段、日本じゃゲットできないポケモンに会える!48時間の“激レア色違い”が熱い「ライバルイベント」ポイントまとめ
インサイド / 2024年5月4日 0時0分
-
5「PSVR2」を自腹で買って1年2ヶ月……プレイ感や不満、足りない点を忖度抜きで語る! 現状を変える“2つのポイント”にも注目
インサイド / 2024年5月4日 12時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください