春のヘッドフォン祭 2024で見つけた新製品、気になる製品
ASCII.jp / 2024年4月30日 17時0分
4月27日に開催された春のヘッドフォン祭 2024。会場で見つけた新製品・参考出品から、編集部でびびっと来たものをピックアップして紹介する。ゴールデンウィークの初日ということもあり、会場は人も多く非常に盛り上がっていた!!
FiiOはアクセサリーにもすごく力を入れていた
毎回多くの新製品、参考出品があるFiiO。日本初公開製品を中心に紹介する。
まずは「SP3 BT」。Rシリーズとも組みあわせられるアクティブスピーカーとして登場した「SP3」が、USB DACやBluetooth対応になったもの。QCC5124搭載で、LDACやaptX Adaptiveも使える。デジタル入力はUSBのほか同軸や光も備え、アンプ出力は30W。パソコンやスマホ直結でハイクオリティなサウンドが楽しめるようになった。
K19はUSB DAC内蔵のヘッドホンアンプKシリーズの新フラッグシップで、縦型筐体を採用(横置きも可能)。ES9039SPROをデュアル搭載する。THXと共同開発した「THX AAA-788+」を8ch分搭載し、最大8000mWの大出力。31バンドのプロ仕様高精度ロスレスPEQ機能を搭載したカスタマイズ性の高さも魅力だという。海外価格は1299.99ドルで、国内では夏の発売を予定。
イヤホン関連では参考出品の「FA19」と国内初公開の「FD15」に注目。
FA19は片側10基本のBA型ドライバーを搭載したフラッグシップ機。ルビコン社製クロスオーバー・コンデンサーによる高精度なネットワーク回路やレゾネーターを使ったヘルムホルツ共鳴で1~4kHzの中域の密度感、音の厚みをもたらす「ノッチフィルター・テクノロジー」、特許技術の音導管構造「S.Turboテクノロジー」などを使用している。また、モニターモードとHi-Fiモードの切り替えスイッチも持つ。夏の発売予定で、海外価格は999.99ドル。
FD15はシングルダイナミック機で「FD5」の後継。13.8mm口径のドライバーは新開発。マグネシウム-アルミ合金製の振動板を採用。1.5テスラの強力な磁気回路(8.6mm径)と特許技術(Tesla Valve)で効果的に振動板を制御できるという。筐体はステンレス製。
ちょっと面白いのがスマホやプレーヤーの充電スタンド「DK1 Pro」。USB端子につないで置けるものだが、背面を見ると「POWER IN」「HOST1」「HOST2」など複数の端子が用意されている。価格は29.99ドル
また、2020年代に登場するとは思わなかったポータブルカセットプレーヤー「CP13」や透明なハウジングがいい感じの「FF1 Clear」など、デザイン性の高いものも多く展示され、人目を引いていた。
ディスクリートDAC搭載に進化、デスクサイズの単品USB DAC
ティアックはデスクトップにも置けるほどコンパクトな「Reference 500」シリーズの最新モデル「UD-507」を参考出品。USB DACやヘッドホンアンプ機能を備えた単品コンポ。実売30万円弱で、夏ごろの発売を目指して開発中だという。
ポイントはブランド最上位機「UD-701N」と同様、オリジナル開発のDACを採用していること。従来は旭化成エレクトロニクス(AKM)製のチップを使用してきたが、音にこだわれる独自開発のディスクリートDACに変更している。構成は基本的にUD-701Nと同じで、抵抗を小さくしたり、共用部品を使用するなどしてフットプリントを小さくしているという。音場の奥行きや高さ、リニアリティの良さ、階調表現などにこだわりがあるとのこと。回路としては同じでも、電源やシャーシの規模感が音のスケールに関係するというが、このサイズの機種としてはかなり本格的なものと言える。
なお、以前のイベントでも展示されてきた「HA-507」との組み合わせも楽しめた。アナログヘッドホンアンプで、UD-507内蔵のアンプで聞くとダイレクト感が強いが、HA-507を通すとサウンドステージがより広く、高域から低域までのつながり感がよくなる。ワンランク上のサウンドが楽しめるという感想だ。クロックジェネレーターなども追加してシステムアップしていく楽しさもあるだろう。HA-507の発売も夏ごろを予定しており、価格的にも30万円弱と同程度になるそうだ。
Ferrumはデスクトップサイズで比類ない高機能を提供
Ferrum Audioの「WANDLA Golden Sound Edition」は、海外のレビューサイト・ゴールデンサウンドのキャメロン・オートリー氏とコラボした、WANDLAのバリエーションモデル。内蔵する「SERCE」の計算能力を活用して、複数の新機能を盛り込んだフラッグシップDACだ。海外価格は3295ドル。
基本機能は踏襲しているのだが、ソフトウェア処理で他社が取り組んでいるものを含む、最先端の機能を利用できるのが特徴。例えば、デジタル・ヘッドルーム処理機能は、フル出力に近いレベルの信号を扱う際にサンプル間のピークが0dBを超えてしまうことによってパススルー時に歪みが生じることを避ける機能。Benchmarkなどの製品も近い機能を搭載している。また、偶数の高次高調波を追加することで真空管アンプの特性に近い音にするチューブモードなども搭載している。
ほかにも従来の欠点を回避しつつ、サウンドステージを拡大し、音楽要素間の分離を明瞭にする独自技術スペーシャル・エンハンスメントをヘッドホンとスピーカー、それぞれの動作モードで利用できる。カスタマイズされた2バンドEQで、低音を強調するだけでなく、さらなる躍動感と雄大さを提供するインパクトプラス機能、10Vrms弱の出力から4Vrms弱の出力に切り替える新たな電圧調整機能を搭載し、専用のハードウェア分圧器によってデジタルボリュームコントロールや信号経路上のアナログボリュームコントロール部を使用せず、他のアンプと互換性を確保した音量調節が可能になることも特徴だ。
人気のZEN DACの新製品
USB DACでは、iFi audioのZENシリーズ第3世代「ZEN DAC 3」が発売後好調な売れ行きとのこと。実売価格は4万円台前半。USB DAC機能を持つヘッドホンアンプでDSD512やPCM768kHz、MQAのフルデコードにも対応する。USBバスパワーで動作するが、より高品位なオーディオ再生を実現するために、DC入力も持つ。外部電源を用いた高音質化も可能だ。
また、Lotoo LTTP Transmitter WT-1(仮)は、Lotoo製のプレーヤーとスマホやPCなどのソース機をロスレスの無線でつなぐための周辺機器だ。現時点では写真の「Mjolnir」のみが対応している。専用方式とすることで、高精度なクロック管理、最大96kHz/24ビットのハイレゾ伝送、最大48kHz/24ビットのロスレス伝送が可能とのこと。
なんとDolby Atmosにも対応したながら聞き高音質イヤホン!
高音質という評判も高い、CleerのARCシリーズ。その最新機種が「ARC 3」だ。ARC 2をさらに強化し、オープンイヤー型と高音質を両立。さらにDolby Atmosoによる3D再生、LDACやaptX Adaptiveなどハイレゾ級ワイヤレス伝送への対応、完全防水のIPX7、ケースに備えた液晶ディスプレーなど多くの新機能を搭載している。
Music、Music Pro、Sports、Sports Pro、Sports MAX、Game、MP3プレーヤーモデルの7エディションをクラウドファンディングで取扱予定。16.2mmと大口径のダイナミックドライバー、より深みのある低音表現を可能とする特許技術DBE 3.0を採用。Gameモデルは専用USB Type-Cドングル同梱で29msと低遅延。Music ProやSports MaxはAI制御のANC搭載で外部ノイズを低減。Sports ProやSports MAXはAIパーソナルトレーナー機能として、ワークアウト情報に基づいたフィードバックを提供するそうだ。
一般販売する際の価格は4万円~6万円程度になる見込みだという。
1台でLC3やaptX Losslessなど マルチなコーデックに対応できるドングル
NUARLは、完全ワイヤレスイヤホンなどの開発過程で必要なものと考えて、試作したUSBドングル「X877」を展示していた。USB Type-C端子に接続して使用するものだが、最大96kHz/24bitのaptX Adaptive、aptX Lossless、LE Audio向けのLC3や軽量で低遅延のSnapdragon Sound Gamingコーデックなどにマルチで対応。ハイレゾ級ワイヤレス伝送から、低遅延伝送まで幅広いコーデックを本体ボタンで切り替えて使えるのがポイントだ。発売予定などは決まっていない。
また、すでに展示しているMEMSスピーカー搭載の完全ワイヤレスイヤホンに加えて、ほぼ同一構成で有線接続という「X979」を展示。ドライバーの構成はxMEMSの「Cowell」を高域用に使用。低域用にはカーボンナノチューブ振動板を使った独自ドライバー(NUARL DRIVER [N8] v4)を使用している。有線タイプのMEMSスピーカー搭載イヤホンは、Noble Audioが「XM-1」という機種を出しているが、XM-1がコネクター部分にUSB DACを搭載しているのに対して、NUARLの製品はイヤホン内にUSB DACを搭載しているという。そのため、完全ワイヤレスと同様、個々のドライバーを独立して駆動するバイアンプも可能となっている。
スマホでバイノーラル録音が簡単にできる立体音響マイク
WHISMRは、現在クラウドファンディング中という、バイノーラル録音用マイク「W-BM1」を参考出品。スマホをつなぐだけで簡単に臨場感のある音やASMRなどが記録できる。会場では実際にどのように聞こえるかを試すこともできた。
左右に人間の耳と近い硬さのシリコン耳があり、そこにコンデンサーマイクが仕込まれている。マイクは定評あるプリモ製(6mm)とのこと。背面にはUSBでデジタル出力できるオーディオインターフェース、上部にはスマホスタンドなどを固定するための1/4インチネジを用意している。デジタル処理(拡散音場フィルタ)で、バイノーラル録音独特の癖を取り除くことができるほか、スマホのUSB端子に直接音を送って録音したり、ヘッドホンで収録中の音を直接モニターできたりする。外部ECMマイクをオプションで用意する予定だという。また、ウィンドスクリーンや、より人間の頭部に近づけるため鼻をあしらったフェイスマスクなども用意している。本体サイズは幅170×奥行き100×高さ80mmで、重量は260g。価格は5万円程度になるようだ。
スマホを使ったYouTube配信などにも良さそうな製品だ。
SACDプレーヤーの展示も
MUSINブースに展示されていたSHANLINGの「SCD1.3」はSACDの再生にも対応。AK4499EXとAK4191を採用したD/A回路、MT1389EE+HD870ドライブシステムや5.0インチフルカラータッチスクリーンなどを搭載する。XLRのバランス出力も装備。矢継ぎ早にCDプレーヤーを投入してきたSHANLINGだが、ついにSACDまで対応してきた。
ONIX Mystic XP1は、ハイエンドのポータブルDACアンプ。AKMのデジタル・アナログ完全セパレート構成(AK4499EX×2+AK4191EQ)をベースに、ONIXブランドに相応しい高品位のサウンドを追及したとする。フルバランス構成で、独自開発の「Brighton」アーキテクチャを採用している。ONIXブランドに相応しい、リアリティあふれる、ブリティッシュサウンドを実現した製品とのこと。
ほかにも注目のヘッドホンが多数!
最近のポータブル再生では、コンパクトに持ち運べるイヤホン再生が主流になりつつあるが、ヘッドフォン祭ではハイエンドヘッドホンの展示も非常に多く、改めてその魅力を感じることができた。高級ヘッドホンは街中で見かけることは少ないが、自宅でじっくり音楽に浸れるのがいいところ。こういった展示会は貴重な出会いの機会になるだろう。
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