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KDDI、「Googleメッセージ」を標準アプリに LINEを含むメッセージアプリの地殻変動が起きそうだ

ASCII.jp / 2024年5月16日 11時25分

Google I/Oでひっそりと語られたKDDI「Googleメッセージ」採用

 グーグルは5月14日(現地時間)、本社近くの屋外シアターにおいて、開発者向けイベント「Google I/O 2024」を開催した。

 初日の基調講演は「AI一色」。昨年はOpenAIによるChatGPTショックにより、グーグルのとしてかなりまとまりのないAI戦略を語っていたが、今年は「Gemini」を中心にしたAIにおける戦略を2時間弱、語り続けるという内容だった。

 本来のGoogle I/O基調講演であれば、Androidの新バージョンを披露するといった内容が盛りだくさんのはずであったが、今年はあえてAndroidのアップデートの話は2日目に先送りして、徹底的に「Gemini」にフォーカスしていたのが印象的であった。

 そんななか、Androidにおけるメッセージサービスについて、ひっそりと語られたニュースがある。KDDIが今後発売するAndroidスマートフォンにおいて、「Googleメッセージ」を標準アプリとして採用すると発表したのだ。

 Googleメッセージとは、電話番号でメッセージをやりとりするSMSが進化したサービスと言えるもので、RCS(リッチコミュニケーションサービス)をベースにしている。RCSはSMSでは不可能であった、高画質の写真やビデオの送受信や既読の確認、エンドツーエンドの暗号化を可能としている。

 実は国内の3キャリアであるNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクは、RCSに準拠している「+メッセージ」を標準アプリとして搭載している。+メッセージ同士であれば、写真や動画、スタンプなどの送受信が可能だ。

 KDDIでは新たに「Googleメッセージ」を標準アプリとして採用しつつ、「+メッセージ」アプリも搭載していくようだ。ただ、ユーザーはどちらかひとつのメッセージアプリを選ぶ必要があるため、すでに国内で4000万ユーザーがいるとされる+メッセージを選ぶか、世界で使っている人が多いとされるGoogleメッセージの二者択一を迫られることになる。

アップルがRCSに対応すると聞いて Googleメッセージを標準搭載するというKDDIの「荒技」

 KDDIがこのタイミングでGoogleメッセージを載せてきた背景にあるのは、アップルの「iMessage」が2024年中にRCSに対応するというのが大きそうだ。

 これまでアップルのiMessageとRCSには互換性がなかった。RCSにiMessageに送ろうとしても、テキストしか送れないなど、ユーザーの思うとおりにはいかなかったのだ。

 しかし、アップルは欧州連合(EU)が異なるメッセージアプリの相互運用を義務付けた「デジタル市場法(DMA)」などの影響もあってか、2023年11月に「2024年後半にRCSに対応する」と声明を発表したのだ。

 アップルのiMessageがRCSに対応すれば、iPhoneユーザーとAndroidユーザー同士で、写真や映像を自由に無料で送り合える環境が実現する。

 もはや「AndroidだとiMessageが使えず、友達から仲間はずれにされるから、高くてもiPhoneを購入する」ということをしなくても良くなるのだ。

 アップルがRCSに対応すると聞いて、日本の+メッセージもRCSベースからRCS対応にアップデートするかと思いきや、その前にKDDIはRCSに対応したGoogleメッセージを標準搭載するという「荒技」をかましてきたのだ。

 そもそも、+メッセージはKDDIがやる気になってNTTドコモ、ソフトバンクを口説き落として製品化にこぎ着けたとも言われている。

 そんなKDDIがまさか+メッセージからGoogleメッセージに標準アプリを鞍替えするとは他の2社も予想外であったろう。

 iPhoneとRCSでのメッセージのやりとりができるとなれば、Androidユーザーの間で、Googleメッセージを使う人が増えるだろう。実際、現在でもNTTドコモやKDDI、ソフトバンクのユーザーでもGoogleメッセージの利用は可能だ(同じRCSアプリを利用しているユーザー同士しかSMS以外のサービス機能は利用できない)。

 今後、アップルが正式対応し、iMessageとGoogleメッセージがRCSで送受信できるようになれば、これまで国内4000万ユーザーまで拡大した+メッセージの行く末はどうなってしまうのか。

 日本で最も浸透しているメッセージサービスである「LINE」は個人情報の漏洩問題もあり、総務省から韓国・NAVER社との資本関係を見直せといった行政指導が出ている。

 日本で最もユーザーの多いメッセージサービスが揺れる中、新たなメッセージサービスが日本で普及する可能性はあるのか。

 iMessageとGoogleメッセージのRCS接続は、日本におけるメッセージサービスの地殻変動を起こすかも知れない。

 

筆者紹介――石川 温

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)、『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

 

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