ウイリーの角度も制御!? 獰猛にもほどがあるKTM 1390 SUPER DUKE R EVO!
バイクのニュース / 2024年5月15日 12時10分
KTMのスーパーネイキッド「DUKE」シリーズが、デビューから30周年の節目に刷新されています。長兄にあたるフラッグシップ「1390スーパーデュークRエヴォ」は「1290スーパーデュークR」から進化し、ますますパワフル! バイカーズパラダイス南箱根(静岡県田方郡函南)にて、KTM JAPANが開いたメディア向け試乗会で、バイクジャーナリストの青木タカオさんが乗りました。
■フロントの浮き上がり角も設定できる!?
5段階でリフトアップ角を調整できる「アンチウィリーモード」は、加速時における前輪の浮き上がりを抑制。フロントがどこまで上がったら制御するのか、角度をメーターディスプレイを見ながら設定できます。
メーターディスプレイを見ながら5段階でリフトアップ角を調整できる「アンチウィリーモード」
軽量な車体の心臓部は排気量1350cc、190PSを発揮する75度Vツイン「LC8」です。最新の電子制御を採用する『1390スーパーデュークRエヴォ』のダッシュ力がいかに凄まじく、獰猛なのかがこれだけでもわかるのではないでしょうか。
■過激すぎて素敵すぎるKTM
ダカール・ラリーの二輪部門で、2001年から2019年まで表彰台独占10回を含む18連勝を達成し、ロードレース世界選手権MotoGPクラスでも高い存在感を示す「KTM」。オン/オフを問わず、世界のトップカテゴリーのレースで活躍しているのは、ご承知の通りでしょう。
ダカール・ラリーの二輪部門に出場するRed Bull KTM Factory Racing
「READY TO RACE」のキャッチフレーズもナットクがいきます。市販車もまた、負けず嫌いでアグレッシブな社風が色濃く反映されているモデルばかり。ラインナップの中で“らしさ”が光るブランドを代表する系譜が「DUKE/デューク」シリーズです。
ネイキッドスポーツでありながら、オフロードモデルをベースにしたモタードマシンのような俊敏性を全身に感じさせる、KTMならではの独創的なキャラクターを持ちます。
■初代から超スパルタン
初代『620 DUKE』が登場したのは1994年。『620 ENDURO』の軽量・パワフルなシングルエンジンをセルスターターも備えずに、そのままロード向けにしたシャシーに搭載したのですから驚きを隠せません。
二眼マスクに前後17インチの足回りを持つ独創的な車体で、乾燥重量わずか145kgという超ライトウェイトを達成したスパルタンなモデルでした。
KTM 1390スーパーデュークRエヴォと豪雨の中テスト走行に参加した筆者(青木タカオ)
キワモノであった『620 DUKE』ですが、今や世界中のライダーらに受け入れられています。30年が経ち、グローバルにラインナップされるのは、125、250、390、790、990、1390と大所帯になっています。
ビギナーからエキスパートまで、幅広い層に支持されるていることがわかるきめ細かい排気量設定であり、さまざまなクラスで需要があり人気を誇っていることも一目瞭然ではないでしょうか。
■最新フラッグシップは1350ccに!
フラッグシップモデルは2024年式にて『1390スーパーデュークRエヴォ』へと進化しました。75度V型2気筒エンジン「LC8」は『1290スーパーデュークR』では1301ccだった排気量を1350ccにスケールアップ。71mmのストロークをそのままにボアを2mm拡大し、110mmとしています。
75度V型2気筒エンジン「LC8」は、排気量を1350ccにスケールアップ!
猛獣を意味する「THE BEAST/ザ・ビースト」のサブネームも伊達ではありません。スロットルボディを56→60mmに拡げ、インジェクターを改良。ラムエア効果を高める新エアボックスなどによってピークパワーを10PS引き上げ、最高出力は190PSに達します。
■まるでエイリアン
見るからに獰猛、果たして言うことを聞いてくれるのでしょうか。ウェットコンディションの中、箱根で乗ってみます。
縦2灯LEDヘッドライトにはレンズカバーがなく、ポジション&デイタイムランニングライトで囲っている
実車を見ると、大柄で迫力満点。縦2灯LEDヘッドライトにはレンズカバーがなく、ポジション&デイタイムランニングライトが囲っています。エイリアンのような面構えで、睨みを効かせているではありませんか。
ライトの光量は環境によって明るさを自動調整。暗くなるにつれて明るさを増し、トンネルに入れば瞬時に前方を照らします。
■ライポジはコンパクト
跨ると、ホールド性に長ける一体感のあるライディングポジションで、意外なほどにコンパクト。アップハンドルのグリップはライダー側に引き寄せられ、ステップは膝が軽く曲がる自然な位置にあり、窮屈さはありません。
シートの座面はグリップ力があり、加速によってお尻が滑ってしまうなんてこともない。ニーグリップがしやすく、気持ち的にもスポーツライディングに誘われます。
シート高は834mmと高めで、身長175cmの筆者(青木タカオ)の場合、片足立ちならシューズの底が地面にしっかりと届くものの両足をおろすとカカトが浮き、つま先立ちになる
車体を引き起こすとスッと軽い。大排気量車であるにも関わらず、車体重量はガソリンを抜きにして200kg。シート高は834mmと高めで、身長175cmの筆者の場合、片足立ちならシューズの底が地面にしっかりと届くものの両足をおろすとカカトが浮き、つま先立ちになります。
■ピックアップ鋭いエンジン
バルブリフト量をエンジン回転数に応じて最適化する新設計の可変バルブ機構のおかげでしょう。全域にわたってピックアップが鋭く、トルクフルです。応答性に優れる力強い駆動力は、扱いやすさも伴っていて神経質で過敏すぎるなんてことはありません。
雨で濡れたスリッピーな路面であるにも関わらず、トラクション性能に優れ、アクセルを積極的に開けて強烈な加速を味わいたくなる
濡れてスリッピーな路面であるにも関わらず、トラクション性能に優れ、アクセルを積極的に開けて強烈な加速を味わいたくなります。
ライドモードは「レイン」「ストリート」「スポーツ」の3つをデフォルトに、「パフォーマンス」と「トラック」の2種をオプション設定。9段階のトラクションコントロールや、「オート」や「コンフォート」も選べるサスペンションモードなどは、5インチのフルカラー液晶ディスプレイを見ながら、ハンドコントロールスイッチにて直感的に操作・設定できます。
■雨でも楽しい軽快なハンドリング
寝かし込みの軽いステアリングフィールは目を見張ります。電子制御による安心感もあり、雨の中でもワインディングを気持ちよく駆け抜けることができます。
電子制御による安心感もあり、雨の中でもワインディングを気持ちよく駆け抜けることができる
サスペンションはWP製で、前後ともフルアジャスタブル。125mmのストローク量を持つインナーチューブ径48mmのAPEXオープンカートリッジフォークに、ブレンボ・モノブロックラジアルマウントキャリパーと320mmフローティングディスクをセットし、足回りにも隙がありません。
リザーバータンク付きWP APEXモノショックはストローク量140mm。オプションの「ローンチコントロール」では車高を下げて、リヤタイヤのトラクションを増大させます。
獰猛なストリートファイターですが、手に余る野蛮さはなく、最新の電子制御を搭載するなど洗練さを増した「スーパーデューク」。今回は試乗速報とし、ドライコンディションにてまた乗ってみたいと思います。
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