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4WDのパイオニアの意地の結晶! スバル「レオーネ3ドアクーペRX / II」とは

バイクのニュース / 2024年5月17日 15時10分

モータースポーツ界の生き字引、現役レーサーの木下隆之氏の新連載コラム「木下隆之のヒストリカルパレード(通称:ヒスパレ)」がスタート! 連載第11回目は、1986年にスバル車として初となるマニュアルミッションとフルタイム4WDを組み合わせた「レオーネ3ドアクーペRX/II」を解説します。

■スバルが「4WDのパイオニア」と呼ばれる理由とは

 スバルは独自の技術を磨くことで個性の差別化を図ってきました。その象徴が世界でも稀な水平対向エンジンであり、4WDシステムです。

スバル「レオーネ3ドアクーペRX/II」(写真提供:ミハラ自動車)スバル「レオーネ3ドアクーペRX/II」(写真提供:ミハラ自動車)

 特に、それまで足元の悪い泥濘地を踏破するためのジープやトラックのみに採用されてきた4WDシステムを、自家用車にも展開してきたことは有名です。いつしかスバルは、「4WDのパイオニア」と呼ばれるようになりましたね。

 ただ、早くから4WDシステムをオンロードモデルに採用してきたにも関わらず、それは手動で2WDと4WDを切り替えなければならないパートタイム式であり、特にマニュアルミッションとの適合が遅れていました。先陣を切ってフルタイム4WDシステムの投入することは叶わなかったのです。副変速機と組み合わせることで、2WDと4WDを手動で切り替えるシステムを生産し続けていたのです。

 いまでこそ4WDは特殊な機構ではなく、ほとんどの乗用車に当たり前のような採用されています。オンロードをドライブしている限り、4WDなのか2WDなのか気づくことはありません。それほどに馴染んだのは、4輪に駆動トルクを伝達するためのセンターデフが様々な技術革新によって進化したからでしょう。

マニュアルミッションとフルタイム4WDを組み合わせることに成功アウディスポーツ QUATTROマニュアルミッションとフルタイム4WDを組み合わせることに成功アウディスポーツ QUATTRO

 ドイツのアウディも4WDシステムを早くから商品化したメーカーです。「クワトロ」の名称で、マニュアルミッションとフルタイム4WDを組み合わせることに成功しています。となれば、それに追従するのは4WDに一家言あるスバルのはずですが、国内初のマニュアルミッションモデルにフルタイム4WDを組み合わせたのはマツダだったのです。

 スバルがマニュアルミッションとフルタイム4WDの合体に成功したのは1986年、この「スバル・レオーネ3ドアクーペRX/II」でした。

 という意味で、このスバル・レオーネ3ドアクーペRX/IIは、記念碑的であり希少価値の高いモデルということになりますね。

排気量1781cc水平対向4気筒ターボエンジンを搭載(写真提供:ミハラ自動車)排気量1781cc水平対向4気筒ターボエンジンを搭載(写真提供:ミハラ自動車)

 搭載するのはもちろん水平対向4気筒エンジンであり、排気量は1.8リッター。ターボチャージャーと組み合わせています。

■平凡なフルタイム4WDではなかった!

 フロントバンパーに「4WD TURBO」のロゴが輝いています。左右には「RX/II FULL TIME 4WD」のロゴデカールが貼られています。リアトランクリッドにもそのロゴが確認できます。どれほどフルタイム4WDであることが誇らしかったか想像ができますね。

シフトレバーの根元にも「FULL TIME 4WD」の文字が確認できる(写真提供:ミハラ自動車)シフトレバーの根元にも「FULL TIME 4WD」の文字が確認できる(写真提供:ミハラ自動車)

 そんな革新的な技術ですから、室内にもフルタイム4WDであることが語ります。ミッションは5速マニュアルであり、そのシフトレバーの根元にも「FULL TIME 4WD」の文字が確認できます。

 しかもこのレオーネは、平凡なフルタイム4WDではなく、副変速機能が可能なのです。べべルギアとバキュームサーボのデフロック付きセンターデフであったために、ハイスピードとロースピードが選択できるようになっていましたし、さらにデフロックのオンオフも任意に設定できたのです。

 日常的なドライブではデフをフリーにしたまま4WDとして生活していていながら、深雪や泥濘地などではセレクトレバーをローにすることで、クロカンモデル並みの踏破性能を引き出すことも可能だったのです。デフロックをオンにすれば無敵ですね。

高速ツアラーでありながらオフロードもこなす万能モデルとして成立させたレオーネ3ドアクーペRX/II高速ツアラーでありながらオフロードもこなす万能モデルとして成立させたレオーネ3ドアクーペRX/II

 というように、国産初のマニュアルミッション4WDの称号はマツダに奪われてしまいましたが、古くから磨き込んできた4WD技術が、レオーネ3ドアクーペRX/IIを高速ツアラーでありながらオフロードもこなす万能モデルとして成立させたのです。まさに「4WDのパイオニア」と呼ばれたスバルの意地の結晶ですね。

 レオーネ3ドアクーペRX/IIはスバルの至宝であるばかりか、日本の宝と言ってもいいかもしれません。

スズキ「GSX400X インパルス」スズキ「GSX400X インパルス」

スバル「レオーネ3ドアクーペRX/II」が登場した1986年は、バイクにも個性的なモデルが多く発表された年でした。その中でもハンス・ムートがデザインしたスズキ「GSX400X インパルス」は、最高出力59psを発揮するGSX-R400の油冷エンジンを搭載していましたが、インパクトのあるフォルムに発売当時東京タワーとも呼ばれ、人気には繋がりませんでした。

◾️スバル「レオーネ3ドアクーペRX/II」
<エンジン>
形式:EA82
種類:水平対向4気筒SOHCターボ
総排気量(cc):1781
圧縮比:7.7:1
最高出力(ps/r.p.m):ネット120/5200
最大トルク(lg-m/r.p.m):18.2/2400
燃料供給装置:電子制御燃料噴射
燃料タンク容量(リットル):60
<寸法・定員>
全長(mm):4370
全幅(mm):1660
全高(mm):1405
ホイールベース(mm):2465
車両重量(kg):1110
乗車定員(名):5

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