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パンダグッズの企画&販売に施設管理 可愛いに偏らない情報発信に命名…膨大なパンダにまつわる仕事を紹介

CREA WEB / 2024年3月17日 11時0分


中国・四川省(筆者撮影)

 上野動物園が2023年10月29日に開催した学生向けセミナー「飼育係だけ!? 動物園でパンダと働くシゴト案内」は、パンダに関わるさまざまな仕事を伝え、視野を広げてもらおうと企画されました。セミナーの様子を中心に、上野動物園のパンダにまつわる仕事を4回にわたり紹介します。


パンダが快適に過ごせるよう多くの人が支えている

 ここまで上野動物園の飼育展示課の仕事を紹介しましたが、ほかにもパンダに関わる部署はあります。一つは施設係(正式名称は「公益財団法人東京動物園協会 総務部 施設課 恩賜上野動物園施設係」)。園内の施設や設備の保守・管理をしていて、電気職、機械職、造園職に分かれます。

 パンダとの関連でいうと、電気職はパンダ舎の照明や通信機器の対応、機械職は竹の鮮度を保つ竹庫の冷凍冷蔵設備の管理などをしています。

 パンダの屋外放飼場とその周辺には、さまざまな植物を植えています。植物には、日陰をつくるなど多くの効果がある一方で、刺されると痛い毛虫や植物を弱らせる虫が付くこともあります。また、植物が伸びすぎると観覧者からパンダが見えなくなります。これらに対処しているのは造園職です。造園職は園内の竹も管理しています。新たに生えたタケノコをすべて育てると密になり、竹の生育に良くないので間引いています。


パンダに関わる施設係の仕事。(筆者撮影。写真のスライドの内容は上野動物園が作成。以下同)

パンダの屋外放飼場とその周辺に植えられている植物の例。

動物を知るきっかけになるように商品開発

 来園者と1番近いのは事業課(正式名称は「公益財団法人東京動物園協会 恩賜上野動物園 事業課」)で、業務係、案内係、販売係があります。

 来園者が必ず接するのが案内係。入口で入場券などを確認するためです。案内係の職員は約30人で、ほかにアルバイトの人もいます。案内係は、園内の総合案内所や観覧列の整理・誘導なども担当しています。パンダの観覧列で案内係の職員と警備会社の警備員を見かけたことのある人は多いでしょう。

 販売係は園内のお店の運営・管理をしています。職員は約25人、アルバイトは200人以上が所属。商品開発に関わることもあります。「ギフト商品もフードのメニューも動物を知るきっかけになるように、できる限り教育普及の要素を取り入れています」(販売係)


販売係の仕事。

上野動物園で販売するパンダ商品の一部。パンダのドネーション商品は売上高の一部が「ジャイアントパンダ保護サポート基金」に寄付される。

“可愛い”に偏らないように情報を発信

 今回紹介した中でパンダから最も遠い部署が教育普及課(正式名称は「公益財団法人東京動物園協会 恩賜上野動物園 教育普及課」)。3つの係で構成され、子供動物園係を除く2つの係がパンダに関係します。

 1つは管理係で、事務系の職員6人が所属。動物園の組織がうまく回るように調整したり、広く意見を聴いて改善につなげたりします。2021年に実施した双子のシャオシャオ(暁暁)とレイレイ(蕾蕾)の名前の公募では、東京都との調整や「名前候補選考委員会」の運営を担いました。

 もう1つの係は、動物と動物園の情報を発信する教育普及係。事務系2人、生物系7人の職員と、動物解説業務の3人、デザイナー1人が所属し、環境学習プログラムの作成や報道対応などをしています。シャオシャオとレイレイの誕生に際しては2カ月ほど前から準備。2021年6月23日未明(1頭目が午前1時3分、2頭目が午前2時32分)に生まれると、午前中に記者会見を開きました。

 パンダの情報はSNSでも発信しています。ただし「あまり“可愛い”に偏らないように、動物園として必要な情報をきちんと出すようにしています。パンダは非常に注目される動物で、コンテンツとしての力があることを意識しつつ、バランスの取れた発信をするようにしています」(大橋直哉教育普及課長)とのことです。


教育普及課のデザイナーの仕事。

双子パンダが生まれた日の午前中に、記者会見を開催。(2021年6月23日)

2歳の誕生日を迎えた双子パンダ。(2023年6月23日)

 このようにさまざまな職種の人たちが、来園者から見える所・見えない所でパンダに関わり、パンダの暮らしを支え、パンダと来園者をつないでいます。動物園を訪れたら、こうした仕事にも思いを巡らせてみると楽しみ方が広がるかもしれません。


中川 美帆 (なかがわ みほ)

パンダジャーナリスト。早稲田大学教育学部卒。毎日新聞出版「週刊エコノミスト」などの記者を経て、ジャイアントパンダに関わる各分野の専門家に取材している。訪れたパンダの飼育地は、日本(4カ所)、中国本土(11カ所)、香港、マカオ、台湾、韓国、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、カナダ(2カ所)、アメリカ(4カ所)、メキシコ、ベルギー、スペイン、オーストリア、ドイツ、フランス、オランダ、イギリス、フィンランド、デンマーク、ロシア。近著に『パンダワールド We love PANDA』(大和書房)がある。
@nakagawamihoo


パンダワールド We love PANDA

定価 1,650円(税込)
大和書房

文・撮影=中川美帆

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