法政大学島野教授の研究グループが国指定の天然記念物、沖縄固有のヤンバルクイナの羽から新種ダニ発見 ― 羽表面を掃除する良いダニだった
Digital PR Platform / 2024年4月24日 14時5分
法政大学の島野智之教授と東邦大学の脇司准教授らの研究グループが、絶滅危惧鳥類ヤンバルクイナの羽から、その羽を掃除するウモウダニを発見し新種として記載しました。絶滅危惧鳥類ヤンバルクイナが新種記載されて43年目。学名は「agachi」とし、昔からヤンバルクイナがこの地域で親しみを込めて呼ばれていた名前「アガチ(あわてんぼう、せっかちな人の意)」から命名しました。ヤンバルクイナのウモウダニにこの学名がつくことで、ヤンバルクイナに対する地域での愛称も永遠に残すことができました。本研究は、国際誌「Species Diversity(ISSN 0287-0223)」に2024年4月24日に掲載されました。
【発表のポイント】
1.ヤンバルクイナは、1981年に新種として記載された沖縄島北部の固有種で国指定の天然記念物、環境省レッドリストでは「絶滅危惧IA類(CR)」、IUCNレッドリストでは「危機(Endangered: EN)」となっています。ヤンバルクイナは飛ぶことができないことから、外来種のマングースの捕食などにより絶滅の危機にさらされてきました。現在、さまざまな対策により個体数が回復傾向にあります。
2.ウモウダニは、鳥の羽に付き、その羽の古い油やそこについた菌類やバクテリアなどを食べて生活しています。鳥の生きた血を吸ったり組織を食べたりすることはないことから、一般に鳥の羽の汚れを取る相利共生者と考えられます。
3.研究グループは、2008年から2020年にかけて集められて冷凍保管されていたヤンバルクイナの標本の羽(約300枚以上)を調べました。その結果、ヤンバルクイナにだけ寄生する新種ヤンバルクイナウモウダニ(学名:Metanalges agachi(メタナルゲス・アガチ))を発見し、新種として記載しました。ヤンバルクイナがいなければ、もちろん、ヤンバルクイナウモウダニは生きていくことができません。ウモウダニも同様に(あるいは宿主よりも高いリスクで)、絶滅が危惧されています。
◆発表者名
島野 智之(法政大学自然科学センター/国際文化学部国際文化学科 教授)
脇 司(東邦大学理学部生命圏環境科学科 准教授)
セルゲイ ミロノフ (ロシア科学アカデミー)
中谷 裕美子(NPO法人 どうぶつたちの病院 沖縄)
長嶺 隆(NPO法人 どうぶつたちの病院 沖縄 理事長)
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