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上司から「新人は1時間早く出社して」と言われました。前日の売上資料を作るためだそうですが、「残業扱い」にならないのでしょうか? 新人はみんな経験しているようです

ファイナンシャルフィールド / 2024年5月16日 2時10分

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新入社員として働き始めると、最初は先輩から仕事を教わりながら覚えることも多く、環境の変化や企業風土に戸惑った経験を持つ人も多いのではないでしょうか。   本記事では、上司から「新入社員は1時間早く出社して売上資料を作成して報告するべき」と言われたケースを想定し、そのような場合は残業扱いとなるのか解説します。

労働時間とみなされるためには?

労働時間は、労働基準法32条で「1日8時間・1週間40時間」を超えて労働させてはならないと定められており「法定労働時間=所定労働時間」としている企業は少なくありません。
 
ただし、時間外や休日労働が全面的に禁止されているわけではありません。一般的には、「36協定」と呼ばれていますが、労働基準法36条において労働組合等との労使協定で取り決めを行い、労働基準監督署に届け出ることで法定労働時間を超えて労働させることができます。
 
法定労働時間を超えて働くと、一般的な残業代に相当する「割増賃金」が支給されますが、今回のケースのように1時間早く出社して資料作成を行うのは労働時間に含まれるのでしょうか。
 
労働時間を適切に管理するには、そもそも「労働時間とは何か」を明確にしなければなりません。
 
厚生労働省が公表しているガイドラインでは、労働時間は「使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」であるとされています。
 
つまり、事実上の使用者にあたる上司が「明示又は黙示の指示」を行って仕事をする場合は労働時間と言えます。
 

今回は「指揮命令下に置かれている」と言えるか?

本記事のケースでは、上司から「1時間早く出社して前日の売上資料を作るべき」と言われていますが、使用者の指揮命令下に置かれていると言えるのでしょうか。
 
過去の判例によると最高裁は「労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたとき」は使用者の指揮命令下に置かれていると言えると判断しています。主体的な業務だけでなく準備行為なども含まれているのが特徴です。
 
今回のケースでは「1時間早く出社して行う売上資料の作成」が、事実上義務付けられており、明確な指示がなかったとしても、新入社員の多くが従っていて自分のみ拒否するのは難しい場合は労働時間に含まれると考えられます。
 
例えば、就業時間が9時から18時(昼休憩1時間)で、所定労働時間が8時間の場合は、1時間早く出社して業務開始すると9時間働く形となります。法定労働時間を超えるため、会社は残業時間数に応じて25%以上を上乗せした手当を支払わなければなりません。
 

業務かどうか上司に確認しよう

売上資料の作成が労働時間に含まれるのか明確にするためにも、直接上司に「1時間早く出社して前日の売上資料を作るのは、業務の一環で労働時間に含まれるか」確認することをおすすめします。
 
と言うのも、場合によっては、その指示は上司個人の考えや価値観であって特に強制力はないといった可能性もあるからです。労働時間に含まれるかどうかは給料に関係する部分なので、決して無視できない内容です。
 
それぞれの思い込みによってトラブルが発生するのを防ぐためにも、上司に確認したうえで、疑問や不明点などがあれば人事や総務などの担当部署に相談してみましょう。
 

まとめ

本記事では、上司から早めに出社して資料を作るように言われたら残業扱いになるのか解説しました。
 
本来の始業時間よりも早く出社するように求めることは違法ではありませんが、結果的に法定労働時間を超えて働くと残業代が発生します。誤解やトラブル防止のためにも、疑問点があれば上司や、人事・総務などの担当部署に確認してみましょう。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
厚生労働省 労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
裁判所 最高裁判所判例集 平成7(オ)2029
厚生労働省 しっかりマスター労働基準法-割増賃金編-
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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