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クリエイティブチーム Do it Theater（ドゥイット・シアター）がテーマごとにおすすめの映画を3作品紹介する、連載《土曜日のシネマサロン》。
第116回目のテーマは、「はじまりの季節にみたい映画」です。
Do it Theaterの郡司恵（ぐんじ めぐみ）です。この連載はDo it Theater女子部が様々な切り口のテーマで、おすすめ映画をリレー方式でご紹介しています。
気がつくと桜も満開を迎え、すっかり春爛漫という空気になりましたね。気温も上がったので、外を歩くのが楽しめるようになりましたね。今回は『tick, tick…BOOM! チック、チック…ブーン！』『ワンチャンス』『幸せのちから』と、新しい季節に挑戦する勇気をくれる映画3選をご紹介します。
成功した人生の舞台裏
Netflix映画『tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』独占配信中
title：『tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』
【story】
舞台は1990年のニューヨーク。街角のダイナーのウェイターとして働きながらミュージカル作曲家として成功する夢を追うジョナサンは、30歳を目前にして成果がだせず焦りを感じていた。周りの仲間は現実をみて夢を諦めていく中、ただ時間だけが過ぎていき、現実を突きつけられるのだが…
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名作ミュージカル『RENT レント』を生んだ作曲家、ジョナサン・ラーソンの自伝的ミュージカルを映画化した作品です。主人公ジョナサン役を演じたのは、『アメイジング・スパイダーマン』『ハクソー・リッジ』のアンドリュー・ガーフィールド。夢を追うも上手くいかない境遇で、心が荒んでいく様を見事に演じ切ったアンドリューは、その演技力で観客を魅了し、第94回アカデミーでは主演男優賞にノミネートされました。
ミュージカル『RENT レント』は今やニューヨークのブロードウェイの看板的作品となりましたが、そんな素晴らしい作品を生み出すに至った彼の人生に、どんな苦悩があったのか、どんな心境の移り変わりがあったのかが細かく描かれており、観ているうちについつい彼のことを応援したくなってしまいます。
成功の裏には何かを犠牲にしたり、ものすごく苦しいことがあったりする。でもそれはきっと報われると信じさせてくれる、勇気をくれる素敵な作品です。
好きを諦めない気持ちが起こした奇跡
© 2013 ONE CHANCE, LLC. All Rights Reserved.
title：『ワンチャンス』
【story】
幼い頃から冴えない容姿と、内気な性格でいじめられてばかりだったポール・ポッツ。
イギリスの片田舎で携帯電話ショップのアルバイトをしている彼には、オペラ歌手になる夢があった。数々の挫折を味わいながらも歌い手になることをあきらめないポールは、最後の望みをかけて人気オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」に出場することになるが…
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本作は2007年に、イギリスの人気オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」で歌声を披露し、一躍世界的オペラ歌手になったポール・ポッツの実話を元にした作品です。
メガホンをとったのは『プラダを着た悪魔』のデビッド・フランケル監督。歌唱シーンの吹き替えはポール・ポッツ本人によるものだそう。作中で登場するリアルで美しい声は、思わず鳥肌が立ってしまいます。
ふくよかな体つきと、にっと笑った時に見える欠けた歯がチャーミングなポッツは、その見た目でいじめられていたこともあり、とにかく自信が持てない性格。ポッツと同じ境遇でなくても、誰もが共感できる感情だからこそ、最後の最後までポッツに寄り添う気持ちでいてしまうのです。途中、夢を諦めてしまう場面もあるのですが、ポッツはそれでも好きなことを好きでいつづけました。
何かをずっと続けることもすごいですが、夢を諦めてもなお好きだと思えることは奇跡なのだと思わされました。好きなものは堂々とずっと好きでいていいと希望をもらえる作品です。
人生をかけた大逆転ストーリー
© 2006 Columbia Pictures Industries, Inc. and GH One LLC. All Rights Reserved.
title：『幸せのちから』
【story】
1980年代のアメリカ。医療機器セールスマンのクリス・ガードナーは、妻と5歳の息子の3人家族で細々と暮らしていた。営業がうまくいかず、家賃を滞納し続ける日々。ついには妻が出て行き、大家から家を追い出され、貯金も底をついてホームレスになってしまう。そんなどん底の生活を送っていたクリスは一流証券会社へ入社するため、6ヶ月の無給インターンに人生を賭けて挑戦するのだが…
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アメリカ経済が低迷した80年代初頭に、アメリカンドリームを成し遂げた実在の人物、クリス・ガードナーの半生を描いた作品。息子を連れてホームレスとなる父親をウィル・スミスが、息子役はウィル・スミスの実の息子であるジェイデン・クリストファー・サイア・スミスが演じました。
親子での共演は今作が初となったそうですが、親と子の自然な空気感が存在していて、2人の関係はとても微笑ましく感じます。
愛する息子のため、奇跡を信じて挑戦する姿が描かれているのですが、見ているこっちの息が詰まるほど過酷な戦いの日々でした。報われるのかもわからない挑戦に突き進んだ父の強さと、それを支えた息子の愛らしさに、胸を打たれるものがあります。
これが実話であるとは信じがたいのですが、驚きの結末に涙腺崩壊すること間違いなし。
自分を信じて挑戦すれば、何かを掴むことはできる。私もちょっとくらいもがいてみようかな。そんな気持ちにさせてくれる力強い作品です。
今回は、「はじまりの季節にみたい映画」をテーマに3作品をご紹介しました。ここまで読んでくれた方はお気づきかもしれませんが、全て実話をもとに作られた作品です。奇跡のストーリーは、夢物語だと嫌厭されることもありますが、実際にこんな人生を送った人もいると思うと自分も頑張ってみようという気持ちになりますよね。新しい季節に、挑戦する皆さんの背中を力強く押してくれる3作品だと思うので、ぜひ観てみてくださいね。
『tick, tick… BOOM! : チック、チック…ブーン!』
出演：アンドリュー・ガーフィールド、アレクサンドラ・シップ、ロビン・デ・ヘスス
『ワンチャンス』
2013年 イギリス 103分
DVD：¥1,257（税込）
発売・販売元：ギャガ
『幸せのちから』
2006年 アメリカ 117分
デジタル配信中
発売・販売元：ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
郡司 恵（ぐんじ めぐみ）
学生時代にミニシアターでアルバイトをしていました。新卒でマネージャーとして映画館に勤めたのち、
現在はDo it Theaterでシアタープロデュースに携わっています。『あん』『人生フルーツ』『パターソン』など、日常にある幸せを思い出させてくれる作品が好き。桜が満開の目黒川は夜の散歩が真骨頂。
●Do it Theater（ドゥイット・シアター）
“あたらしいシーンは、Theaterからはじまる”をテーマに、シアター体験を作り出すプロデュース＆クリエティブチーム。FUDGE主宰の「Holiday Circus（ホリデーサーカス）」ではコンテンツクリエイションとして参加。また 累計5万人以上が来場した野外シアター「品川オープンシアター」や横浜赤レンガ倉庫・マリンアンドウォークヨコハマなど５会場同時開催の「SEASIDE CINEMA」、ミニシアター支援を目的とし全国5箇所でキャラバン開催したクラウドファンディングプロジェクト「ドライブインシアター2020」など、映画を観るだけではない、総合演出された新しいスタイルのシアター体験を全国に作り出しているチームです。
www.ditjapan.com
design_Koinuma Kenichi
edit_Takehara Shizuka
