[関東1部]史上初の降格危機脱出へ、筑波大は川崎F内定DF車屋をボランチ起用へ
ゲキサカ / 2014年9月2日 8時24分
崖っぷちからの巻き返しだ。JR東日本カップ2014 第88回関東大学サッカーリーグ戦前期を1勝2分8敗の最下位で終えた筑波大は逆転残留、そして上位進出を目標に掲げて後期のリーグ戦を戦う。
リーグ優勝14回の伝統を持ち、過去1度も2部リーグに降格した経験のない名門が初の2部降格と背中合わせの位置にいる。前期はまさかの不振。残留圏内の10位・東京国際大との勝ち点差は4と楽観できない状況だ。ただ、1日の記者会見に出席したDF車屋紳太郎(4年=大津高、川崎フロンターレ内定)は「筑波大は120年という歴史の中で2部に落ちたことのない唯一のチームなんですけど、そのプレッシャーというよりも、歴史の力に後押ししてもらって、ぜひとも後期全勝して、残留して、インカレ出場を狙って頑張りたいと思います」と宣言。OBや周囲からの心配する声も多いというが、「やるのは自分たちなので、いい結果で終われるように頑張る」と前を向いた。
車屋は1年時からハイレベルな技術と抜群のサッカーセンスを発揮。主力として活躍し、昨年はユニバーシアード日本代表として銅メダル獲得に貢献した。そして今年4月には「風間(八宏)さんの影響もやっぱり大きいですし、一番自分にフィットしているサッカーをチームでやりたかったので。フロンターレはCBからつなぐ選手が必要だと思ったし、ボクもそこは一番合っていると思った。あとは監督、スタッフ、会社も同じ考えを持っていることも魅力」と早くも来季の川崎F入りを決断。車屋自身、早い段階での進路選択で筑波大の勝利に集中していた。ただ近年、その攻撃サッカーで相手を圧倒してきた筑波大がまさかの得点力不足に陥り、前期はリーグ最少の7得点。これが不振の最大の原因だった。
その課題を克服するための改善策の一つとして後期、車屋は1年時から務めてきたCBではなく、ボランチ起用されることが有力だ。これまでは最終ラインにこそいたものの、彼がドリブルで駆け上がっていくシーンは1試合で2度3度では収まらない。個人で難なくPAまでボールを運んでしまうキープ力と、左足から長短のパスで正確に前線へボールをつけるセンスの高さ。守備の柱であるとともに、“司令塔”としてプレーしてきた車屋はこの秋、よりゴールに近くなった位置で見せるプレーに注目だ。
元々どのポジションでも高いレベルでプレーすることができる万能型。「360度どこからでも敵が来る環境なんですけど、一番ボールを触れるポジションなので、ボクは楽しいですね。前期点が取れなかったので、後期は自分がリードしてやっていきたいと思います」とボランチ起用に応えてチームを勝利へ導くことを誓った。
筑波大では入学時の指揮官で、現在は進路である川崎Fの監督を務める風間八宏氏の下、技術を徹底的に磨かれてきた。「止めて、蹴るというシンプルなところなんですけど、そこが(個人的に学んだ)一番大きな変化だった。そして高校の時と比べて、過密日程の中でやれて、プロに行けるのはいい準備したと思う」という。自身を成長させ、プロの世界へ導いてくれたチームを2部に落とすわけにはいかない。「後輩たちにも1部で戦う権利を託していく。自分がどう結果を残すとかじゃなくて、チームとして結果を出すことをこだわりたい」。現在のJリーグでトップチームのひとつに加入する注目選手は、何よりチームが勝つためのプレーに徹して、後輩たちに1部で戦う権利をもたらす。
(取材・文 吉田太郎)
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