「ロス五輪への推薦状」第14回:センターバックとしての完成度が向上。大津の190cmDF五嶋夏生がプロ、年代別代表入りへ挑戦
ゲキサカ / 2024年4月2日 23時6分
2028年ロサンゼルス五輪まであと4年。ロサンゼルス五輪男子サッカー競技への出場資格を持つ2005年生まれ以降の「ロス五輪世代」において、年代別日本代表未招集の注目選手たちをユース取材ライターの川端暁彦記者と森田将義記者がピックアップ
日本代表の谷口彰悟(アル・ラーヤン)を筆頭に数多くのJリーガーや日本代表を輩出してきた大津高で今年、注目を集めているのがDF五嶋夏生(新3年=ブレイズ熊本出身)だ。
武器は190㎝の長身を生かした競り合いの強さ。相手より頭一つ分、上回るヘディングの強さを買われ、1年生のプレミアリーグ開幕戦でスタメン出場も果たした。以降もコンスタントにピッチに立ち続けたが、「(先輩たちと比べると)スピードやフィジカルの部分で欠けていた」と振り返る通り、課題が露呈した夏以降はベンチスタートが増えていった。
挫折を味わって腐るような選手ではない。「試合に出られなくなって悔しいという想いしかなかったですし、一人の選手としてもっと成長しなければいけないという想いで取り組んできた」。そう話す五嶋は課題だったスピードを身に付けるため、ステップワークを自主練で猛特訓。以前と比べて、フィジカルトレーニングにも力を入れるようになったという。迎えた昨年はプレミアリーグで全試合に出場し、チーム最多の出場時間を記録。「最初はミスが多くて、守備でも軽さが多かったけど1年間通して3年生と一緒にプレーできたので、たくさん成長できた」。
心身ともに充実している今季は、センターバックとしての完成度が増している。以前は小柄なスピード系のアタッカーを苦手にしていたが、今は振り切られそうになっても粘り強く付いていけるようになってきた。スピードとフィジカルが成長したことで、大型選手ゆえの動きの硬さも改善が進んでおり、ゴール前での身体を張った守備も増えている。
また、今年に入ってから熊本で長期間キャンプを行なう北海道コンサドーレ札幌の練習にチームメイトとともにトレーニングパートナーとして参加。「守備やフィジカルはある程度、通用しないこともないのかなと感じたのですが、プレスのスピードが速かった。ボールを持つ、運ぶ力や前に配球するパスはプロの選手たちを見て、質が高いと思いました」。印象に残っている対人の強さとボールを運ぶ力を備えたDF馬場晴也のプレー。DF中村桐椰からはボールを受ける際のファーストタッチに関するアドバイスをもらったという。プロの基準を知れた価値は大きく、高校年代に戻ると余裕を持ってプレーできている。
今年はU-17高校選抜の候補合宿も経験。「プロの練習参加や選抜を経験して、プロになりたいという想いは強くなった」と話す。不思議と縁がない世代別代表への意欲も高まっている。小中学校時代はブレイズ熊本でプレーした五嶋にとって、ソレッソ熊本の選手は良きライバル。ソレッソ出身であるC大阪U-18のMF木實快斗(新3年)やG大阪のMF大倉慎平(新3年)は幼少期から県選抜で一緒にプレーしており、今も仲が良い。世代別代表や九州トレセンに選ばれてきた2人がキャリアとしては先行する形だが、五嶋は「凄いなと思うけど、負けたくない」と自身も更なる上のステージに意欲十分。これほどの大型センターバックは希少価値が高いため、4年後に代表の一員として、世界を相手にしていても不思議ではない。
(取材・文 森田将義)▼関連リンク
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