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認知症の症状を和らげる「タクティールケア」とは?【介護の不安は解消できる】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月15日 9時26分

【介護の不安は解消できる】

 認知症の行動・心理症状(BPSD)に有効とされているのが「タクティール(R)ケア」です。手を使って相手の手や足、背中などに触れるケアで、押したり揉んだりするマッサージとは異なり、ゆっくりと柔らかく包み込むように行うのが特徴です。1960年代にスウェーデンで未熟児医療に携わる看護師らによって考案され、実際にタクティールケアを受けた乳児に体温の安定や体重の増加が見られたことで、有効性が示されました。

 また、触れる行為は不安感やストレスを軽減させる「オキシトシン」を増やし、「コルチゾール」と呼ばれるストレスにより分泌されるホルモンを減少させると報告されています。そのため、不安を感じやすい認知症の方のケアにおいても効果があると、近年導入している介護施設も増えてきています。

 脳卒中で入院されていた70代の男性で、軽度の認知症も見られ小さな出来事に不安を感じ、病室内にとどまることができず出てこられることもありました。認知症の症状のひとつとして、言葉で表現することができにくくなることがあります。不安に感じる思いを歩き回ることで表現されていたのだと思われます。病棟内を歩いている際は横で背中をさすり、落ち着いているときは手と足のタクティールケアを続けたところ、1週間後には歩き回る行動は減り、表情も穏やかになりました。

 タクティールケアは、施術を行う人も受ける人にも限定はありません。ただ、他者にケアを行う場合には正しい知識と手技を習得する必要があり、資格制度が設けられています。数日間の講義を受講し実習を行った上で試験を受けることができます。

 触れるケアの一部をご紹介します。

【背中】背中に手のひらを密着させ、手の温かさを感じられるようゆっくりと力を入れずに背中全体に触れる。

【手・足】相手の手・足首を上下から両手で包み込むように触れる。甲や指なども優しくなでるように触れる。

 触れるケアを行う際は、驚かせないよう「これから○○を触ります」と声掛けをしてから始めましょう。それぞれ10分を目安に時間があるときに行うといいでしょう。手や足に対して行う際は、滑りを良くするためにも好みのオイルやクリームなどを使用するのもおすすめです。

▽濵優理(はま・ゆり) 山梨県立看護短期大学卒業、1998年山梨医科大学付属病院勤務、2000年島田市民病院勤務を経て、05年から現在の諏訪赤十字病院勤務。

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