親子の世界観のズレの長期化で膨らむ「感情不全」【「不登校」「ひきこもり」を考える】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月6日 9時26分
まるで望遠鏡と顕微鏡を使って、それぞれが同じものを眺めてもピントが合わないような親子の世界観の違いは、当然、互いにまるで理解しあえません。そのためズレが長期化するほど、不登校やひきこもりになるようなお子さんは、「うちの親は自分のことなど何も理解してくれない」「何か言ってトンチンカンな反応をされても面倒くさいだけから、波風を立てるより自分が大人になれば丸く収まる」と考えるに至ります。
逆に親御さんの方は「うちの子は何度言うことを聞いても同じ話を何度も繰り返すのでいい加減うんざりしている」「正直、うちの子が何を考えているかわからない」と口を揃えて言います。そのうち「親としてはもう限界だ! いい加減にしなさい」と逆ギレすらされている方もいるほどです。
感情不全とは、周囲に、特に理解してもらえないことで傷つき、自らの本音感情を押し殺し隠すことに長けた結果です。感じなければいけない自らの大切な感情までも感度が麻痺し、その煽りを受けて、どうでもいい不要な感情や感覚、衝動や行動が肥大化してコントロール不良となってしまう。その結果、感情の制御不良や抑えの効かない問題行動といった病的現象を生じさせるという生体反応のことを意味するのです。
▽最上悠(もがみ・ゆう)精神科医、医学博士。うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
親が身につけるべき「正しい話の聞き方・伝え方」10原則~⑦【「不登校」「ひきこもり」を考える】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月22日 9時26分
-
親が身につけるべき「正しい話の聞き方・伝え方」10原則~④⑤⑥【「不登校」「ひきこもり」を考える】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月21日 9時26分
-
苦しむわが子を理解し、寄り添うにはどうすべきか?【「不登校」「ひきこもり」を考える】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月16日 9時26分
-
過度の「リスク管理」は子どもの自立の妨げになる【「不登校」「ひきこもり」を考える】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月12日 9時26分
-
なぜ、名カウンセラーより親の「傾聴・共感」が大事なのか?【「不登校」「ひきこもり」を考える】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月7日 9時26分
ランキング
-
1診療報酬改定で6月から初診・再診の負担増 医療従事者の賃上げの原資に
産経ニュース / 2024年6月1日 20時15分
-
2パン祭りならぬパン地獄…医師が警鐘「パンを食べると脳の神経伝達物質を阻害、記憶曖昧・情緒不安定化」
プレジデントオンライン / 2024年6月2日 8時15分
-
3ダンプカーの車体にある「謎の文字と番号」の正体は? 「足立 営 12345」は何を意味しているのか 実は「経済成長」と深い歴史があった!?
くるまのニュース / 2024年6月1日 20時10分
-
4医学部に合格したのに、医師にすらなれずに退学…「頭がいいから医学部受験」を疑わなかった親子の末路
プレジデントオンライン / 2024年6月2日 9時15分
-
5タマネギの皮、納豆のフィルム... 話題の「キッチンでの小さなイライラ撃退法」、実際に試してみました。
東京バーゲンマニア / 2024年6月1日 13時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください