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朝起きられず遅刻を繰り返す…長期休み明けは「睡眠相後退症候群」に注意

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月11日 9時26分

 長期休み明け、朝起きるのがつらい経験はないだろうか。連日、遅寝、遅起きを続けると朝起きるのが困難になる「睡眠相後退症候群」を発症する可能性が高い。「青山・表参道睡眠ストレスクリニック」院長の中村真樹氏に聞いた。

 夜になると自然と眠くなり、朝になれば目が覚めるという睡眠のサイクルは、体内時計によってコントロールされている。しかし、GWなどの長期休暇中に夜更かしを続けると、体内時計が遅れて睡眠の時間帯は後方へずれ、社会生活を送る上で望ましい時間に寝起きできなくなる。これが「睡眠相後退症候群(DSPS)」だ。

「長期休みで睡眠スタイルが乱れても、大人であれば休み明けに無理やり起床して何とか出社できますが、子供の場合は難しい。朝起きられない日が続くと次第に遅刻や欠席を繰り返すようになり、出席日数が足りなくなることを心配した親御さんに連れられて受診される学生が少なくありません」

 本来、医学的に必要とされる睡眠時間が8~10時間とされる中高生が午前2時に就寝し、無理やり午前7時に起床しても10時ごろまでは体と脳は眠っている状態だ。

 さらに5時間睡眠という睡眠不足により日中の強い眠気と、自律神経のバランスが崩れることで、頭痛、めまい、下痢、吐き気といった症状を引き起こすだけでなく、脳の前頭葉の働きが低下してイライラしたり、意欲や集中力が低下し、抑うつ状態になりやすい。

 近年は塾に通っている学生も多く、これもDSPSを引き起こす一因になっているという。

「午後10時まで塾で勉強してから帰宅して食事や入浴を済ませたら午前0時を過ぎるので、必然的に就寝時間が遅れやすい。登校のため早起きしている平日の寝不足を補おうと週末に寝だめすると、寝付いた時間と起きた時間の中間時点が通常よりも後ろにずれます。平日に比べてこの中間時点が2時間以上遅れると体内時計は遅い方へ合わせるようになるので注意が必要です」

■睡眠日誌で眠りを可視化する

 都内の私立高校に通う16歳の男性は真面目な性格で、テスト期間中は毎日午前3時まで勉強に励んでいた。その生活に慣れたせいもあり、テスト期間が終わっても深夜まで勉強に取り組むように。次第に朝起きられず遅刻が目立つようになり自己嫌悪に陥って睡眠クリニックを受診し、DSPSと診断された。

「睡眠は体内時計によってコントロールされているので、DSPSを発症すると本人が午前0時に布団へ入ったとしても体内時計の眠りのスイッチが入る午前3時になるまで眠れません。治療を始める際は、まず朝起きられないのは今までの生活習慣が原因であると説明し、自分の睡眠リズムを可視化できるよう、手書きの『睡眠日誌』に就寝時間と起床時間を記入して睡眠の記録を行います。加えて、体内時計を戻す作用を持つ薬や自然な睡眠を誘導・維持させる薬を処方し、1日1回就寝前の決められた時刻に服用してもらうと、早い人で1~2週間後から寝付きが改善されていきます」

 注意したいのが自己判断での服薬管理だ。医師に指定された服用時刻からずれると効果が弱まるうえ、遅い時間に服用し続ければ自然に寝付ける時間が遅い時間に固定され、逆効果につながりやすい。他にも睡眠のリズムが完全に戻る前に急に薬の服用を止めると、治療を始める前の状態に戻りやすいという。しっかりと医師の指示に従う必要がある。

 生活習慣の改善も欠かせない。

「中高生の場合、医学的に必要とされる睡眠時間を取れるよう、遅くとも日付が変わるまでには就寝しましょう。蛍光灯やブルーライトも睡眠に影響するので、夜間の部屋の照明は電球色系に替え、緊急性がない限り午後10時以降のスマホの操作は避けてください。親御さんは子供の健康を守るためにも、DSPSの疑いがあれば放置せず、睡眠専門医がいる医療機関を受診してください」

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