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損保大手の「政策保有株6.5兆円」売却表明はなぜ株価下落の要因にならない?【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月7日 9時26分

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「政策保有株」の売却があったが大きな混乱や反動はなさそう(C)日刊ゲンダイ

【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】#123

 投資家の間でひそかに注目されてきた損保大手4社による「政策保有株」の売却。2月29日の発表から1カ月あまり経ったが、大きな混乱や反動はなさそうだ。

 ご存じのように、損保4社が今後、売却整理する予定の政策保有株は延べ5900社、時価総額6.5兆円にものぼる。それだけに最初のニュースが流れたときは、好調な株式市場の暴落要因になるのではないかと心配されたものだ。しかし、売却発表当日の東京市場では日経平均が下落するなか、東京海上HDやSOMPOHDは、持ち合い解消を好感され逆行高。また、売却される側のトヨタ自動車や信越化学工業も買われ、その後も大きな下落が見られないから意外だった。これは、どう考えればいいのだろうか?

 そもそも日本の株式市場の特徴である「株式持ち合い」の形成は、戦後の財閥解体後から始まり、1960年代の資本自由化のなかで、外資による企業買収から逃れるために強化・拡大されていった。また80年代後半のバブル期には、大量のエクイティーファイナンスの受け皿として株式持ち合いが活用された。

 ところが、90年代のバブル崩壊後は、株式持ち合いのマイナス面や弊害が目立ち、当局の指導もあり、政策保有はどんどん解消されてきた歴史がある。野村資本市場研究所によれば、「持ち合い比率(時価総額ベース)」は、1991年の50%超から2023年には11%台まで低下している。

 普通、持ち合いが解消され、市場で大量の株が処分されるとなると大きく値を下げるものだが、今回は目立った値動きはなかった。理由は、先のトヨタや信越化学に加え、三菱商事や伊藤忠など、株売却の対象となった上位企業がいずれも一流・優良企業であることだろう。5900社すべてがそうとは言わないが、ちょっと値が下がれば買われる株ばかりである。次に、持ち合い解消の動きが加速されることは、日本企業や市場の透明化につながり、海外の投資家へのアピールポイントにもなったと思われる。

 いずれにしても、政策保有株の売却発表を混乱なくのみ込めたということは、最近の4万円株式市場の強さと底の深さの証明とみていいだろう。 (丸)

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