転勤制度を見直す会社が急増中! 従業員を“縛る”企業文化や価値観に大きな変化
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月9日 9時26分
働き方はそれぞれ(C)日刊ゲンダイ
【仕事力がアップする経済ノート】
転勤辞令が出れば、サラリーマンなら望まない勤務先であっても回避は困難、辞令には従わざるを得ないだろう。しかし、転勤制度で従業員を縛る企業文化が徐々に変わり始めてきている。
NTTグループではリモートワークを基本に、すでに2022年7月から従業員の半分にあたる約3万人を対象に国内どこでも自由に居住して勤務できる制度を導入している。JTBも転勤が命じられても本人の希望と会社の承認があれば、転居せずにテレワーク勤務できる「ふるさとワーク」を導入している。
こうした転勤をなくす企業がある一方、三菱UFJ銀行、住友生命、みずほフィナンシャルグループなど、転勤に伴う手当の新設や増額をする企業が増えてきているのである。
転勤制度を設けているのは、人事院の22年度「民間企業の勤務条件制度等調査」によると、転居を伴う転勤がある企業の割合が43.2%、一方、転居を伴う転勤がない企業の割合が55.9%。企業規模が大きくなるにつれ転居を伴う転勤がある企業の割合は高くなり、500人以上の企業では転勤「有」が77.7%となっている。
「見直しが求められる転勤制度」のリポートで、ニッセイ基礎研究所の河岸秀叔研究員は、近年、転勤をやむを得ないと考える人は減少したとこう述べている。
「企業が転勤制度を設ける理由は、事業上の都合と人材育成が主ですが、家族の在り方や人口構造の変化から、従来の転勤辞令は回避できないとする価値観が変化してきています」
そして、従業員が転勤を回避する理由をこう続ける。
「①配偶者も仕事を持つ共働き世帯が増えたこと②子育て③親の介護④新しい土地への適応ですが、とくに近年は共働きや親の介護を行う従業員が増えてきたことが挙げられます」
■学生の7割超が「転勤したくない」
転勤の存在は人手不足による人材の定着や獲得に大きく影響している。就職活動では、転勤が多い企業に行きたくないとする学生が増えている。企業の採用状況を調査しているディスコキャリタスリサーチによる25年卒学生の就職意識調査(2月1日時点)では、転勤意向についての質問に「転勤したくない」が76.2%に上る。一方「転勤したい」は23.8%にとどまる。
同社の担当者がこう言う。
「結婚後の家庭生活や親の介護など、転勤の有無を、将来設計を考える上で重要な位置に置く学生が増えています。入社3年以内に退職する社員も増えてきているので人材の定着、獲得のために入社後の転勤制度の在り方は非常に重要になってきています」(同社担当者)
会社の都合に左右されてきた転勤は、働き方改革を進める社会の要請や人手不足から、早急に見直す時期に差し掛かっている。
(ジャーナリスト・木野活明)
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