5大会連続Vの世界最強ネリー・コルダに飛距離は敵わずとも日本人女子が学べるものはある(羽川豊)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月24日 7時38分
ネリー・コルダ(C)ロイター/USA TODAY Sports
【羽川豊の視点 Weekly Watch】
10人の日本勢が出場した今季メジャー初戦のシェブロン選手権は、通算13アンダーのネリー・コルダが史上3人目となる出場5大会連続Vで幕を閉じました。日本選手の最高位は通算5アンダー9位の勝みなみでした。
「ネリーは強いなぁ」
テレビを見ながら、思わず口から出てしまいました。それを象徴したのが2位に3打差をつけて迎えた15番(パー4)です。第1打はドライバーで左のクリークに入れてしまい、第3打はクラブ選択に迷います。グリーン手前にもクリークが流れ、2度のミスはトリプルボギー以上を招きかねません。「大ケガ」を避けるならピンの左に広がる安全なエリアに乗せる選択もありますが、ネリーはクリーク横から逆風の中、7番アイアンでコントロールしてピンの根元に落とし、2パットのボギーで収めました。
一方、追いかける同組の選手はクリークを怖がり、ピンを狙わずセーフティーなピンの左サイドへ逃げます。ミスした相手を楽にするプレーはメジャーの舞台にふさわしくありません。
ネリーの今季1勝目は単独首位で発進したが、その後スコアを崩し、誰もが「終わった」と思った直後の17番でイーグルを奪い、18番もバーディー。2ホールで3打差を追いつき、プレーオフに突入。L・コを退けました。次戦も17番、18番の連続ボギーでR・オトゥールに並ばれ、プレーオフになったものの、1ホール目のバーディーで決着をつけました。
昨年はパットに悩み、未勝利に終わったことで、パットの修正だけでなく、スイングのレベルを上げ、体やメンタル面の改善にも努めたようです。1年間苦しんだことで、逆境に強くなって帰ってきた印象です。
ネリーは細身で身長は178センチ。モデルのような体形ですが、体幹がしっかりしているので飛距離は出るし、今季はショットの精度も抜群。現在の女子プロ界では世界最強です。
日本選手はネリーに飛距離ではかないません。でも、学ぶべき点はあります。競り合いになったとき、大きなリスクがあっても攻めるゴルフができるか。「よし、行くぞ!」と決断したとき、狭いエリアに打っていけるだけのショットの精度を身につけることです。それには技術だけでなく、「決断」と「実行」を妨げないメンタルの強さも必要です。そのためにやるべきことを考えるのです。
ネリーは試合後、「緊張して呼吸をするのもつらかった」と語っていました。ネリーでもメジャーのタイトルを意識して心臓がバクバクしていたのです。日本選手もそんな経験は必ずできます。
(羽川豊/プロゴルファー)
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