小池都知事の公約「築地は守る」どこへ? 食のテーマパーク機能を有する市場のはずが“多目的スタジアム”に巨人が移転?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月27日 9時26分
「築地は守る、豊洲を活かす」、あれから7年…(小池百合子都知事)/(C)日刊ゲンダイ
2018年に83年の歴史に幕を下ろした東京・築地市場。その跡地の再開発事業者が先週、三井不動産中心の企業連合に決まった。計画案では中央に5万人収容の屋根付き「多目的スタジアム」を配し、総事業費は約9000億円、32年度の開業を目指す。読売新聞グループも企業連合に参加。「巨人の本拠地、築地移転か」と世間をにぎわせたが、ちょっと待て。
「築地は守る、豊洲を生かす」──。小池都知事の公約を忘れては困る。17年6月に豊洲市場への移転と築地再開発の基本方針を表明。長年培った築地市場のブランド力を活用し、22年度をメドに跡地を「食のテーマパーク機能を有する新たな市場として東京を牽引する一大拠点とする」と力説したものだ。同時に築地に戻る仲卸業者への経営支援にも言及。移転反対派が多かった仲卸に配慮した懐柔策には、大きな関心が寄せられた。
ところが、同年11月に小池知事は「食のテーマパークとは、築地の歴史を踏まえた一つの考えた方」と選択肢の一つに過ぎない点を強調。豊洲移転を果たすと、構想はすっかり立ち消えに。今回の計画案にも〈歴史ある「食」を堪能できるフードホール〉が申し訳程度にあるだけで「新たな市場」はどこにもない。移転反対派で東京中央市場労組・執行委員長の中澤誠氏が言う。
豊洲も生かしきれず
「仲卸を築地と豊洲に分断すれば『世界一の魚市場』のスケールメリットを失う。最初から現実味のない構想でしたが、言いっ放しの小池知事に今も一部業者は『だまされた』との思いが強い。本人はどこ吹く風でしょうが、だまされた側は決して忘れません」
約6000億円も投じた豊洲市場も生かせていない。開場5年で水産物の取扱量を年約62万トンに引き上げる計画なのに、昨年度の取扱量は約29.5万トンと半分以下だ。築地時代最後(17年度)の38.5万トンよりも落ち込んでいる。
場内では運搬車「ターレ」に乗車中の死亡事故が少なくとも3件あり、今年2月にも発生したばかり。地盤沈下のくぼみでバランスを崩し、運転者が転落。地面に頭部を強く打ち付けたという。
「立地の悪さのせいで客足は減り、人手不足で従業員を募集しても誰も来ません。2月開業の『豊洲 千客万来』はにぎわっていますが、場内の飲食店にすれば客を奪う“ハラスメント施設”です」(中澤誠氏)
7年前の公約は全て口から出任せ。恐ろしいのは、まだ小池知事が「築地は守る、豊洲を生かす」の方針を撤回しないことだ。再燃した学歴詐称疑惑も「ウソつき女帝なら……」と思えてくる。
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