金正男暗殺で高まる緊張 “保護者”中国は金正恩に激怒必至

日刊ゲンダイDIGITAL / 2017年2月15日 17時11分

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死亡が確認された金正男(左)と弟の金正恩/(C)AP

 まるでスパイ映画の世界だ。北朝鮮の金正恩労働党委員長の異母兄、金正男が13日、マレーシアの首都クアラルンプールの空港で死亡した。韓国のテレビ局など複数のメディアは、北朝鮮工作員に毒針で刺されたと報じた。実行犯は2人組の女とみられ、犯行の後、空港からタクシーで立ち去ったという。14日、マレーシア警察当局も金正男の死亡を確認と発表した。

「断定はできませんが、朝鮮労働党の最高実力機関・組織指導部の関与が疑われます。それがはっきりすれば、弟・正恩の仕業と考えていいと思います」(拓殖大客員研究員で元韓国国防省北韓分析官の高永喆氏)

 最近は空港に刃物やライターを持ち込めない。そのため、世界のスパイなどはボールペンやアクセサリーといった、金属探知機に反応しにくい小道具に凶器を仕込ませ、機内などに携行しているという。

「犯行現場がクアラルンプールの空港だったところが、ますます北朝鮮の関与を疑わせます。マレーシアは北朝鮮と国交を結んでいて、北の工作員が活動しやすい国として知られています」(ジャーナリストの太刀川正樹氏)

 一方、現地のマスコミは、空港を管轄する警察官らの証言として「被害者は顔に液体をかけられた」「化学物質を含んだ布で頭を覆われた」などと報道している。

■「親中国政権」樹立の隠しカードだった

 弟・正恩の粛清を警戒した正男は、09年から中国政府に身を寄せ、マカオ、香港、上海を転々としていたことが目撃されている。北朝鮮情勢に詳しい関西大教授の李英和氏がこう言う。

「中国政府が金正男を庇護下に置いたのは、金正恩体制がクーデターなどで転覆した際、取って代わって親中国政権を樹立するためでした。いわば正男は中国にとって手駒であり、隠しカードだった。その正男を暗殺したとしたら、中国にケンカを売ったも同然。今後、北朝鮮の暗殺への関与がはっきりすれば、習近平政権は『中国政府に対する重大な挑戦』と捉えることになるでしょう。いずれにせよ、金正恩政権の北朝鮮と中国の間で緊張が高まることになると思います」

 金正恩には、中国と対峙してでも兄を殺めなくてはならない深刻な事情があるのか。

「中国は金正恩の過剰な独裁体制に不信感を抱いています。それを察知した正恩には、自分の身が中国に狙われることになるかもしれないという恐怖が常にある。ならば、自分の代わりに後継指名されることになりそうな正男を先回りして暗殺しようと思い至ったとしても、不思議ではありません」(高永喆氏=前出)

 朝鮮半島は、戦争前夜だ。

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